「限界集落(げんかいしゅうらく)」とは、地域人口の半数以上が65歳以上の高齢者で形成されている集落のことです。本記事では限界集落の状態や集落の段階、限界集落が問題視される理由を説明します。
社会問題になりつつある「限界集落」とは?
まずは限界集落がどのような状態なのか、定義や集落の区分を説明します。
人口の半数以上が65歳以上の集落のこと
冒頭でも説明したように、地域人口の半数が65歳以上の集落を「限界集落」といいます。
「限界」と言われるのは、地域の過疎化や高齢化の進行によって、生活や道路の管理、田畑の仕事、冠婚葬祭などの社会的共同生活の維持が困難なことが理由です。
集落の段階
限界集落に到達するまでにはいくつか区分があり、
- 高齢者の割合
- 共同機能が果たせているか
の2つの観点から段階が分かれています。
区分 | 定義 | 状態 |
---|---|---|
存続集落 | 人口比率の50%以上が55歳未満 | 跡継ぎがいて、共同体機能を次の世代へと受け継いでいける |
準限界集落 | 人口比率の50%以上が55歳以上 | 現時点では共同体の機能が成り立っているが、後継の確保が難しくなっている |
限界集落 | 人口比率の50%以上が65歳以上 | 高齢化・過疎化が進み、共同体の機能維持が限界に達している |
危機的集落 | 人口比率の70%以上が65歳以上 | 集落内に9軒以下で過疎化が進み、共同体の機能維持が極限に達している |
超限界集落 | 定義なし | とくに定義はないが、目安は5軒以下。危機的集落の状態を超えて、消滅集落への移行が始まっている |
廃村集落 | 1軒2名以下 | 1軒隣しかなく、集落の機能が完全に消滅している |
消滅集落 | 人口0 | 完全に無住の地となり、消滅した集落 |
総務省の調査によると、全国に過疎地域は6万3,237集落あり、そのうち32%を限界集落が占めています。2015年の調査から1割ほど増加しているため、この先も少子高齢化の影響によって割合が増えていくことが予想されます。
参考:総務省「過疎地域における集落の状況に関する現況把握調査最終報告(概要版)」
集落の区分とは別にも問題視されているのが、子どもを産める年齢の女性が減ることで人口の減少が危惧される「消滅可能性都市」です。
具体的には、2010年から2050年までの間に20〜39歳の女性が半分以上減少すると、自治体経営が破綻する可能性があるとされています。
少子高齢化の影響によって、多くの自治体の存続が難しくなっているのです。
集落の問題点
限界集落が問題視されている理由は、集落の過疎化や高齢化によってさまざまな問題が起こり得るからです。中でもとくに問題視すべきなのが、
- 空き家、空き地率の増加
- 産業の衰退
の2つです。それぞれ説明します。
空き家・空き地率が高まる
集落の人口が減るのに反して、空き家や空き地はどんどん増えていきます。
人が住んでいない家はあっという間に劣化してしまうので、自然災害時の倒壊はもちろん、建物の老朽化による自然倒壊の恐れもあります。
また、空き家ばかりが目立つ地域では、放火による火災、不法滞在、麻薬の違法取引などの犯罪のリスクも高まるでしょう。
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農林漁業が衰退してしまう
限界集落に住む人たちの多くは、農業や林業、漁業などの何かしらの産業を行いながら生活している場合がほとんどです。しかし産業は肉体労働なので、いつまでも続けられるものではありません。
本来ならば、親世代の高齢化に伴って次の代へと引き継がれますが、跡継ぎがいなければそのまま衰退してしまいます。産業が衰退すると集落としての機能が保てなくなり、危機的集落、超限界集落と、消滅集落への一途をたどってしまうのです。
「限界集落」まとめ
「限界集落(げんかいしゅうらく)」は、地域人口の半数以上を65歳以上の高齢者が占める集落のことです。
集落の状態には段階があり、住民の年齢や高齢者の比率によって、存続集落、準限界集落、限界集落、危機的集落、超限界集落、廃村集落、消滅集落と定義されます。
集落の高齢化・過疎化には空き家・空き地率の増加、産業の衰退などの問題点があるため、移住支援や事業支援金など、国による対策が進められるでしょう。