ガラクタが片付けば文句はない!?整理整頓ができる物置として実現を目指す

ガラクタが片付けば文句はない!?整理整頓ができる物置として実現を目指す

シリーズ 男のリフォーム 「ガレージ」本格派のこだわり 第2回

株式会社LIXILが運営しているリクシルオーナーズクラブ「住み人オンラインー住まいと暮らしのレシピ集」より抜粋してお届けします。

リフォーム時に、書斎と並んで家族の理解が得にくいのが「屋根付きのガレージ」。モータージャーナリストの森口将之さんに、屋根付きのガレージを作ることのメリットと、家族を説得するためのヒントを伺います。前回はファミリーカーのためのガレージについてでしたが、今回は趣味のクルマやちょっと貴重なクルマについてのお話です。

クルマが劣化しにくくリセールバリューも向上

 家族のクルマのために屋根付きのガレージを作ることのメリットはいろいろ出てきましたが、ではもう1台趣味のクルマを持ったり、ちょっと高級なクルマを持つときに、ガレージはどういうメリットがあるということを奥様に説得すればいいでしょう。

(c) 大崎慎一

「高級車やスポーツカーといっても、いまのクルマであれば、改造したり、自分で手を加えたりする余地があまりないので、 ファミリーカーと大きく変わるところはない と思いますが、やはり直射日光、風雨などにさらされないことでコンディションを保ちやすくはなります。当然、クルマが汚れたり、塗装面が傷ついたりもしにくくなります。洗車の回数も減りますね」

 ずっと持ち続けるには屋根付きの方がいいと同時に、近頃のクルマは塗装がよくなっていますが、やはり直射日光を避けた方が劣化は避けられます。買い替え時には、下取り価格などのリセールバリューの面でも効果は十分ではないでしょうか。

ガレージは奥様の家事負担を減らす!?

 趣味のクルマのためのガレージとなると、ガレージ内の装飾などにもこだわるようになりそうです。その分、家族の理解も得にくくなりそうな気がします。

「ゆとりのある広さのガレージにすると、そこに趣味のグッズやミニカーを飾ったり、お気に入りのポスターや写真、昔のクルマの宣伝やヒストリックカーのイベントのプレートなどを飾ったりする楽しみもできますね」

 実際、屋根付きガレージを作りたいという方の多くが、趣味の空間にしたいという夢をお持ちのようです。

「クルマが趣味の方なら、誰もがそんな空間を持ちたいところでしょう。自分の居場所を作るためにガレージを建てるというのは正しい動機です(笑)。現代のクルマであれば、そうそうクルマをいじることはありませんけれど、インテリアとして『工具』を飾ることもできますし、テーブルや椅子を置いてクルマを眺めながらくつろぐこともできます。趣味の部屋、半分書斎のような形で、クルマの維持とは別の目的でガレージを作るというのが本音だという方はものすごく多いです」

 そこがまさに、「一番家族に理解されないところ」であり、「お金をかけることを拒否される」ところではないでしょうか。

「家の中に大量に置かれたクルマ雑誌を本棚に整理し、趣味関連のさまざまなグッズを収納して奥様を説得すれば、反対されにくいかもしれません。クルマ仲間が来れば、ガレージで勝手にワイワイやれるので、奥様が面倒を見なくてすみます」

ガラクタが片付けば文句はないはず

 ファミリーカーの場合同様に、「実質は趣味部屋・書斎でありながら、表向きは「収納スペース」と言い張るのは、ガレージ実現の第一歩。巧い手のように思われます。

「ご家族の様子次第なのですが、お子さまやご家族の自転車を置くだけでなく、壁に自分の趣味用の自転車を飾るということもできます。毎日乗るわけではないでしょうが、大抵は2台、3台と増えていき、家族にとっては邪魔なものに他なりません。でも、壁に掛けたり吊したりすれば文句も言われなくなります」

 キャンプやバーベキューの道具や釣り道具、バイクのウェアなども、ディスプレイのように収納するなど、応用も利きそうです。

 また、古いクルマに乗っている方は、屋根付きのガレージがどうしてもほしいもの。昔のイタリア車は錆びやすいし、英国車は電装系が弱いし、丈夫なドイツ車といっても、いかんせん旧車はカバーを掛けても維持するのに苦労するものです。

「ヒストリックカーといわれる旧車を持っている方は、クルマそのものもそうですが、パーツがいつなくなるかわからないので、その予備を保管したり、日常的に自らの手である程度クルマをいじる方が多いでしょうから、工具なども置かなければいけませんね。なかには、載せ替え後のエンジンをそのままディスプレイしている方もいらっしゃいます。例えば部品取り車をストックしておいたりする方もいて、そのためにさらに別のガレージを持っているという方も」

 そういうものをストックすると、ガレージそのものがまるで修理工場か何かのような雰囲気になりそうです。けれど、そのガレージは、クルマを維持するために絶対に必要なもの。そしてそういったものをしまうことで、ご家族にも白い目で見られないようにできます。自分の愛車のために屋根付きのガレージを作る。そのことで、家族も幸せになれます。ご家族に、勇気と強い意志を持って、説得をなさってみてはいかがでしょう。

 次回は、ガレージを自らの手で作った方をご紹介します。生の声を聞きけば、なんだか夢が実現しそうな気がしてくるかもしれません。

(第3回に続く)

お話を伺った方

森口将之さん

森口将之さん

モビリティ&モータージャーナリスト。
移動や都市という視点から自動車や公共交通を精力的に取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書『パリ流環境社会への挑戦』(鹿島出版会)『これでいいのか東京の交通』(モビリシティ)『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)など。

文◎坂井淳一 写真◎末松正義 森口将之
取材協力◎久我敏徳 大崎慎一