暮らしに彩りを添える「ボタニカルインテリア」のすすめ[第1回]
株式会社LIXILが運営しているリクシルオーナーズクラブ「住み人オンラインー住まいと暮らしのレシピ集」より抜粋してお届けします。
ボタニカルインテリア、ボタニカルショップ、ボタニカル男子……。まさに「ボタニカル」のムーブメントが到来しています。ボタニカルインテリアって、ちょっとハードルが高そう。そう思い込んでいる人がいるかもしれません。でも、ガーデニングを楽しむほど庭にスペースがない、手間をかける時間がない。そんな人にこそオススメしたいのがボタニカルインテリアなのです。そこで「アクタス青山店」を訪ね、グリーンバイヤーの曽我広範(そが・ひろのり)さんにその魅力をうかがいました。
曽我博範さん
アクタスのアパレル/グリーン開発チームで、「アクタス青山店」をはじめアクタス店舗のグリーンバイヤーとして植物を買付、売場のディレクションも手掛けるボタニカルのスペシャリスト。アパレル業界出身で、インテリアに溶け込むグリーンのチョイスに定評がある。
もくじ
心地よい暮らしを求める人にフィット
「今やグリーンはインテリアの重要なエッセンスになりました。かつては家具、雑貨、布類(ファブリック)の3つのアイテムが部屋を構成する要素でしたが、時代の流れとともに、より五感に響く部屋づくりが求められています。いわば、内面的な満足度を高めてくれる『心地よい暮らし』。それを満たしてくれる“第4のインテリアアイテム”として植物は不可欠です」
こう語るのは、アクタス青山店をはじめ、植物を扱う店舗のグリーンバイヤーグリーンバイヤーとして植物を買付、売場のディレクションも手掛ける曽我広範さんです。
曽我さんは、植物の需要が高まるなか、「より個性的なグリーンコーディネートを“手軽に”楽しみたい」という方に向け、アドバイスを行っています。そのうえでボタニカルインテリアのムーブメントを、「現代のニーズにぴったりハマった、グリーンコーデの進化形であり、新鮮なスタイル」とらえています。
SNSから火が付いたボタニカルインテリア人気
「もうひとつ言えるのは、ボタニカルインテリアのブームの背景として、SNSの普及が非常に大きいということです」
何しろ“バエる”(インスタ映えする)ので次々とアップされ、その魅力がSNSによって、どんどん拡散していきました。加えて、「多肉植物」「エアプランツ」など、ちょっと気になるキーワードを検索すれば、世界中の情報が大量に手に入るようにもなっています。
サボテンひとつにしても、「こんなにたくさんの種類があるのか」「こんな飾り方おもしろいなあ」と、ユーザーの知識・情報が増え、センスが格段にレベルアップしています。
「こうした状況に応えるために、供給側も努力しています。生産者はより個性的で魅力あるプランツを提供できるよう、育成品種を増やしたり、ユニークな形になるよう“仕立て”に手をかけて、希少感があるグリーンを育てたりするところが増えています」
それらをさらに目利きしてユーザーに届けるのが、曽我さんたちのお仕事。「ボタニカルショップ」としてお店に足を運んでいただけるよう、個性的なグリーンの品揃えやディスプレイに力を入れています。
「弊店のようにグリーンコーナーが併設されたライフスタイルショップが増えつつあることも、ブームの高まりにひと役かっていると思います」
植物+鉢の組み合わせでおしゃれ雑貨風に
「日本の住空間に観葉植物が定着したのは1970~80年代くらいのことです。ゴムの木とかポトスとか、“これを飾ればおしゃれなインテリアを実現できる”という定番グリーンをご記憶の方も多いのでは? でも今は、かつてないほど、インドアグリーンの種類が豊富です。僕らバイヤーは、日本中のみならず情報網を世界に広げ、仕入れ先を広大しています」
ネットで「ボタニカルプランツ」に関するサイトを覗いてみると、南米やアフリカ、東南アジアなど、原生地が世界各国に渡っていることがわかります。
「アクタス青山店には、ざっと数百種類のプランツを揃えていますが、一貫しているのは植物を“インテリアアイテム”としてとらえ、提案していることです。個々の植物に合った鉢を組み合わせ、おしゃれな1点もの雑貨のような感覚でチョイスしていただければと思います。そこが園芸専門店との大きな違いでしょう。一部のマニアだけでなく、多くの人がグリーンに親しみをもっていただけることに結びついていると思います」
また、おしゃれな男性誌が、ボタニカルインテリアの特集号を出すなど、グリーン好きの男性が増えていることも、ブームの牽引にもなっているのでは、と曽我さんは分析しています。
ワンコインで手に入れられるアイテムから始める
「プランツの飾り方テクニックも、今、ぐんとバリエーションが広がっています。グリーンを床や棚に置く、天井から吊るすといったおなじみの方法だけでなく、額のように壁に掛けたり、ワイヤーを使って棚の縁などに引っ掛けたり」
土がいらずどこにでも置くことができるエアプランツなどは、「雑貨合わせ」が楽しめる点で人気を呼んでいるといいます。グリーンの種類とともに、飾り方・楽しみ方の幅が広がったことで、誰でもが個性的な部屋づくりができるようになりました。
「500~600円のエアプランツを棚やテーブル上にポンと添えるだけで、部屋の風景・暮らしの気分が変わる。そんな手軽な楽しみ方ができるのは、かつての観葉植物ブームにはなかったことです。リーズナブルな金額で手に入れられるアイテムから始めてみるのもおすすめです」
日本中から世界各国からのレアなグリーンが手に入るようになり、これまで以上に暮らしを潤してくれるようになりました。ボタニカルインテリアは決して一過性のブームではなく、今後ますます私たちの暮らしに定着していくのではないでしょうか。
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曽我博範さん
アクタスのアパレル/グリーン開発チームで、「アクタス青山店」をはじめアクタス店舗のグリーンバイヤーとして植物を買付、売場のディレクションも手掛けるボタニカルのスペシャリスト。アパレル業界出身で、インテリアに溶け込むグリーンのチョイスに定評がある。
取材・撮影協力◎アクタス青山店
文=田中幸子 撮影=平野晋子