「忙しい人」必見! “世話ラク”植物の選び方

「忙しい人」必見! “世話ラク”植物の選び方

暮らしに彩りを添える「ボタニカルインテリア」のすすめ[第3回]

株式会社LIXILが運営しているリクシルオーナーズクラブ「住み人オンラインー住まいと暮らしのレシピ集」より抜粋してお届けします。

インテリアシーンで話題を集めているボタニカルプランツ。“心地よい暮らし”に欠かせないアイテムとして植物を扱うお店が増え、私たちの手に入りやすくなりました。それだけに、何を選んだらいいのか迷ってしまいます。そこで、インテリアにふさわしいグリーンの品揃えが豊富な「アクタス」グリーンバイヤーを務める曽我広範さんにアドバイスをお願いしました。

曽我博範さん

アクタスのアパレル/グリーン開発チームで、「アクタス青山店」をはじめアクタス店舗のグリーンバイヤーとして植物を買付、売場のディレクションも手掛けるボタニカルのスペシャリスト。アパレル業界出身で、インテリアに溶け込むグリーンのチョイスに定評がある。

プランツは“生きたインテリアアイテム”

「アクタス青山店」で扱っているグリーンはざっと数百種類。すべてインドアプランツです。そこが、園芸専門店との大きな違いと言えます。

土がいらないエアプランツだって“生きもの”。霧吹きで水をかけてあげる手入れが必要。
土がいらないエアプランツだって“生きもの”。霧吹きで水をかけてあげる手入れが必要。

「家具、雑貨、布類(ファブリック)の3大アイテムに加え、心地よい暮らしに欠かせない“第4のインテリアアイテム”として植物をとらえ、提案しています。ただし植物には、家具や雑貨と決定的に違う点があります。それは、インテリアの中で唯一の“生きもの”ということです。展示しつつ、スタッフが日々愛情をもって手入れをしていかないと枯れてしまう。個々のプランツに即した育て方を、座学ではなく日々実践し学んでいます。そんな知識と経験があるからこそ、お客さまにアドバイスすることができるのです」

 もちろん、インテリアのプロでもあるので、プランツを取り入れた部屋のコーディネート相談などにも対応してくれます。そんな点もまた、園芸専門店との違いであり、ライフスタイルショップたるアクタスの強みだと、曽我さんは自負しています。

プランツ選びは「これ好き!」の直感を大切に

「この子を家に連れて帰りたい」とピンときたら、その直感を大事に!
「この子を家に連れて帰りたい」とピンときたら、その直感を大事に!

 見ているだけでウキウキ楽しくなるプランツの数かず。しかし、いざ我が家へとなると、どれを購入したらいいのか迷ってしまう。インテリアプランツを選ぶときのポイントって何ですか?

「その質問を受けたとき、私はいつもこう答えています。『直感で好き! これ欲しい!』と思えるものがいいですよって。初心者の方は育てやすさを重視しがちですが、それよりインスピレーションが大事だと思います」

「ペットを飼うことに似ていて、この犬種はおとなしくて育てやすいと言われても、かわいいと思えなければ飼う気にはなりません。同様に、たとえ手のかからない植物であっても、ちゃんと愛情をもって育ててあげないと枯れてしまいます。『この子をうちに連れて帰りたい、一緒に暮らして育ててあげたい』。そう思えるかどうかを第一の基準にしてください」

天井から吊るされたコウモリラン。土のかたまりから葉っぱがビュンビュン伸びる姿にピンときたら!
天井から吊るされたコウモリラン。土のかたまりから葉っぱがビュンビュン伸びる姿にピンときたら!

 予想に反してシンプルな答えが返ってきました。でも、プロから言われると説得力があります。

「そのあと、日当たりや風通しなど、置きたい場所の環境や条件をスタッフに伝えて、その植物に適しているかどうか確かめることをお忘れなく」

 “一に直感、二に環境”だそうです。なんだかボタニカルプランツに対する親しみがいっそう増すようなアドバイスではありませんか。

忙しくても“育てやすい”グリーンもある

同じ仲間で品種が違うサンススペリア3兄弟。鉢のデザインも変えれば個性が強調されてインテリア性がいっそう高まる。
同じ仲間で品種が違うサンススペリア3兄弟。鉢のデザインも変えれば個性が強調されてインテリア性がいっそう高まる。
プランツ関連のグッズも充実。ちょっとおしゃれなジョウロや霧吹きなどを揃えれば、植物の手入れがいっそう楽しくなりそう。

「『育てやすいものはどれですか?』というのも、ビギナーからよく聞かれることですが、実は、悩ましい質問なんですよ。というのは、その人が望む“育てやすさ”が何を指しているのか、一人ひとり違うからです。

 育てやすいとは、水やりの回数が少なくて済むことを指すのか。はたまた、日当たりの悪いところでも育ってくれることなのか。それによって答えがまったく違ってきますから。スタッフに相談するときは、そのあたりのことをしっかり伝えてください」

 確かに、「霧吹きで植物に水をかけるのが楽しい」という人もいれば、「忙しくて休日にしか霧吹きできない」という人もいるでしょう。日当たり、風通し、温度など部屋の環境に加えて、生活スタイルによっても、育てやすい植物のチョイスは変わってきます。

「忙しい人でも、複数のプランツ育成が楽しめる選び方ってあるんですよ。たとえばこのサンスペリア。3つとも同じ仲間ですが品種が違うので葉形の変化が楽しめる。でも育て方は一緒。乾燥に強く、日当たりは好きだけれどちょっと弱いところでも大丈夫。とても育てやすくてビギナーにオススメです」

 育て方がそれぞれ違うと覚えるのが大変ですが、共通していれば水やりなどのタイミングは一緒。“同じ仲間で品種違いを複数”。耳より情報をいただきました。

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お話を伺った方

曽我博範さん

アクタスのアパレル/グリーン開発チームで、「アクタス青山店」をはじめアクタス店舗のグリーンバイヤーとして植物を買付、売場のディレクションも手掛けるボタニカルのスペシャリスト。アパレル業界出身で、インテリアに溶け込むグリーンのチョイスに定評がある。

取材・撮影協力◎アクタス青山店
文=田中幸子 撮影=平野晋子