登録免許税とは

登録免許税(とうろくめんきょぜい)」は、不動産の売買や相続による所有権の移転や住宅ローンの抵当権を設定するとき、国に対して納める税金です。

登録免許税は、登記事項や対象の金額、取得方法などによってかかる税率が異なり、条件を満たせば軽減措置が適用されます。

本記事では、住宅購入時に必要な登録免許税や軽減措置について説明していきますので、参考にしてください。

住宅購入時に必要な「登録免許税」とは?

登録免許税は、住宅購入時に必要な税金です。登録免許税を納付して不動産登記をすれば、その住宅の所有者であることを公的に証明できます。

では、そもそも不動産登記とはどのような手続きなのでしょうか?不動産登記と登録免許税について、もう少し詳しく説明していきます。

不動産登記とは?

不動産登記(ふどうさんとうき)」は、所有する土地や建物の権利を登録する手続きのことです。「登記」と一口にいってもさまざまな種類があり、不動産登記の他にも商業登記や法人登記、船舶登記などがあります。今回紹介する不動産登記は、文字通り不動産に関する登記です。

登記によって記録された、土地や建物に関しての所在地や構造、面積、所有者、抵当権など権利関係などの情報は、登記事項(登記簿)として法務局に保管されています。個人情報が記載されている書類ではありますが、所有者以外でも閲覧や取得が可能です。

不動産登記にはいくつか種類がありますが、今回はその中でも不動産売買と関わり深い登記を3種類説明します。

所有権移転登記売買や相続、贈与などで土地や建物を取得した場合、前の所有者から自分に所有権が移転するときに必要な登記
所有権保存登記建物を新築したときに、最初の所有者のみが行う登記
抵当権設定登記住宅ローンを利用するにあたって設定する登記で、住宅ローンを完済したときには抹消登記を行う

表を見てわかるように、登記手続きは不動産に変更点があったときに行います。

不動産登記は義務ではありませんが、登記のない不動産は第三者に所有権を主張することができないので、所有権を守るためには登記手続きが必要です。

なお、相続に関する所有権移転登記(相続登記)は、令和6年(2024年)4月1日より義務化されることが決定しています。

「登録免許税」は登記手続きの際に納める税金

冒頭にも書いたように、登録免許税は登記手続きの際に国へ納める税金です。税額は「固定資産税評価額」によって決まります。

固定資産税評価額は、各市区町村で管理している固定資産課税台帳に記載された、土地や家屋の評価額のことで、3年に1度見直されます。土地は毎年1月1日時点の地価公示価格の約70%、建物は再建築価格の50〜70%、または新築工事にかかった費用の50〜60%とされるのが一般的です。

所有する不動産の固定資産税評価額は、毎年自治体から送付される納税通知書の課税資産明細欄で確認できます。

登録免許税の納税は法務局窓口や電子納付で行いますが、登記手続きは司法書士に依頼することがほとんどです。司法書士に依頼する場合、登録免許税は報酬とあわせて支払います。

登録免許税の税率

登録免許税額は、次の計算方法で求められます。

「登録免許税額 = 不動産の固定資産税評価額 × 税率」

税率は登記の種類によって異なり、土地と建物の両方の登記を行う場合には、土地と建物のそれぞれ登録免許税が必要です。

税率は、原則として以下の通りに定められています。

登記の種類本則税率
土地の所有権移転登記(売買による移転)2.0%
住宅の所有権保存登記(新築住宅を取得した場合)0.4%
住宅の所有権移転登記(中古住宅を売買により取得した場合)2.0%
住宅ローン抵当権設定登記0.4%

なお、住宅ローン抵当権設定登記だけは、固定資産税評価額ではなく「住宅ローンの借入金額 × 税率(本則税率0.4%)」で算出されます。他の登録免許税とは計算方法が異なる点に注意しましょう。

上記の税率は本則税率なので、不動産を購入する際に要件を満たせば軽減措置が受けられるケースが多く、本則税率よりも負担が軽減されます。

軽減措置については、次項で確認していきましょう。

登録免許税の軽減措置について

前項では登録免許税の本則税率を挙げましたが、土地の売買による所有権移転登記や、一定の条件を満たす住宅用家屋の所有権保存登記については、軽減税率の特例を受けることができます。

これから紹介するのは、令和6年3月31日まで適用される軽減税率です。

土地の売買に係る軽減税率

まずは、土地の売買による所有権移転登記の登録免許税で適用される軽減税率を見てみましょう。

登記の種類税率軽減税率
土地の所有権移転登記(売買による移転)2.0%1.5%

土地の所有権移転登記の軽減には特別な条件はなく、特例期間内であれば無条件で特例を利用することができます。

住宅に係る軽減税率

住宅に係る登録免許税の税率については、以下の通り軽減されます。

登記の種類税率軽減税率
建物の所有権の保存登記0.4 %0.15 %
建物の所有権の移転登記​​2.0 %0.3 %
住宅ローンの抵当権の設定登記​​0.4 %0.1 %

住宅に係る軽減措置は土地の軽減措置とは異なり、利用するためには次の要件を満たす必要があります。

  • 個人が自宅として利用すること
  • 建物部分の登記簿上の床面積が50平方メートル以上であること
  • 新築または取得後1年以内の登記であること
  • 登記申請時に、市町村等の証明書を添付すること

中古物件の場合は、「取得日以前20年以内(鉄骨造などは25年以内)の建物であること」という築年数に関する内容も加わるため注意しましょう。

「登録免許税」まとめ

「登録免許税」と一口にいっても多くの種類があるため、どんなときに、どの登録免許税が適用されるのか悩んでしまう方も多いです。さらに軽減税率などの適用もあるので、登記手続きが必要になったときには混乱しがちです。

登記関連の手続きは司法書士に依頼するのが一般的なので、自分で登録免許税を納税することはないかもしれませんが、どんな税金が課せられているのか知ることはとても大切です。

本記事を参考に、不動産売買をしたときにはどのような登記手続きが必要になり、どのくらいの登録免許税がかかるのかを計算してみてください。