自宅を高値で売却するためのポイント!注意点も解説

自宅を売却する方法は?高値で売るためのポイントや注意点

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

自宅を売却するなら、少しでも高値で売りたいと考える人は多いでしょう。不動産の価値はさまざまなポイントで決定しますが、これが売却時の価格とイコールとは限りません。

つまり、実際の価値よりも安くしか売れない場合や、反対に高く売れる場合もあるということです。売却方法次第でいくらで売れるかは違ってくるため、売り方を工夫して、少しでも高値で自宅を売りましょう。

自宅を売却する3つの方法

自宅を売却する際の代表的な方法は、不動産会社による仲介と買取、個人で購入者を見つけるの3つです。

売却方法メリットデメリット
1.仲介・高値で売りやすい
・不動産会社がサポートしてくれる
・売却までに時間がかかりやすい
・不動産会社の選定が難しい
2.買取・素早く売却できる
・確実に売りやすい
・売却価格が下がりやすい
・対応している業者が少ない
3.自分で購入者を見つける・高値で売却できる
・一部コストが削減できる
・買主を探すのが難しい
・手続きが面倒になりやすい
・トラブルが起きることも多い

それぞれで特徴が異なるだけではなく、メリットとデメリットも違います。方法ごとの違いを把握して、自分に合ったやり方を選ぶことが大切です。

1.不動産会社に「仲介」を依頼する

自宅を売却する際のもっともオーソドックスな方法は、不動産会社に仲介を依頼することです。不動産の売却といえば仲介による売買と考える人も多く、イメージしやすい売却方法です。仲介による売却では、不動産会社が仲立ちをし、個人の買主を見つけます。

相場通りの価格か、交渉次第でそれ以上で売れることも多く、金銭的なメリットは大きいでしょう。また、不動産会社が広告を出し、買主を募ってくれるため、手間をかけずに売却できる点も魅力です。書類上の手続きなども不動産会社にサポートしてもらえるため、高値でかつスムーズに売却できる方法です。

ただし、仲介の場合は売却までに時間がかかりやすく、数カ月程度の期間を要することも少なくありません。また、仲介でも買主との交渉次第では、相場以下で売却する場合もあることは理解しておきましょう。

2.不動産会社に「買取」を依頼する

不動産会社を利用するという点は仲介と同じですが、買取では売却先が個人ではなく不動産会社になります。不動産会社が買主となるため素早く売却でき、短期間で売ってしまいたい人におすすめです。買取だと最短1週間程度で売れることもあるため、仲介よりも確実に短い期間で手放せます。

また、個人では買い手がつきづらい物件であっても、不動産会社なら買い取ってくれることも少なくありません。スムーズで確実性の高さは魅力ですが、反面売却価格が下がってしまうことは理解しておきましょう。買取の場合は相場の70~80%程度で取引されることが多く、金銭的なメリットを求めたい人は注意が必要です。

また、仲介のようにほとんどの不動産会社が実施しているわけではなく、そもそも買取対応をしている業者はそれほど多くありません。そのため、売却先を見つけるのに時間がかかったり、選択肢が少ないために条件が下がりやすい面もあります。

3.業者を介さずに「自分で」購入者を見つける

不動産取引は不動産会社を介することが基本ですが、実は業者に頼らず個人間での売買も可能です。個人売買ならお互いの合意で金額を決められ、より高値で売却できることも少なくありません。また、仲介をしないために手数料も発生せず、この分を考えると仲介よりも高く売れる場合があるでしょう。

売却した場合の金銭的なメリットは大きいですが、個人で購入希望者を見つけるのは難しく、なかなか買い手が見つからないのが現実です。また、買主がいても交渉や書類上の手続きなどはすべて自分で行わなければならず、これに手間がかかってしまうこともあります。

契約時に正しく取り決めをしておかないと後からトラブルになることもあります。個人売買は高値で売却しやすいものの手間が多く、リスクも高いため、あまりおすすめできる方法ではありません。

自宅を売却する時の流れ

不動産会社による仲介で自宅を売却するなら、次の手順で進めていきます。

  1. 自宅の相場価格を自分で調べる
  2. 不動産会社に査定を依頼する
  3. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  4. 売り出し価格決定後に売却活動が開始される
  5. 買主と売買契約を締結する

売却までの期間には個人差がありますが、早くても1カ月程度で、平均的には3カ月前後かかると考えましょう。また、長いと半年ほどかかることもあり、仲介では売却活動が長期間化しやすいことは理解しておきましょう。

1.自宅の相場価格を自分で調べる

まずは自宅がどれくらいで売れるのか、相場を自分で調べる必要があります。査定額は業者に出してもらえますが、事前に相場をある程度理解しておかないと、提示された金額が正しいかどうか判断できません。提示された金額を鵜呑みにして売却活動を進め、損をするということもあるため注意が必要です。

相場を調べるには、不動産ポータルサイトを使って、似たような物件がいくらで売り出されているかを参考にすることがおすすめです。また、土地総合情報システムでは、過去2年分の取引事例が掲載されているため、ここから似た物件を探し、成約価格を参考にしてもよいでしょう。

ただし、家が南向きか北向きなどの方位や階数の違い、近隣施設の利便性など、まったく同条件を探すのは困難です。また売却時期によっても価格は上下するものですので、あくまでも参考としてご利用ください。

参考:土地総合情報システム

2.不動産会社に査定を依頼する

相場を把握した上で不動産会社に査定を依頼します。

このとき担当者と接する機会があるのならば、相性がよいかどうかをチェックすることも大切です。担当者との相性次第では売却活動がスムーズに進まなくなることもあるため、コミュニケーションがきちんと取れるか、丁寧に対応してくれるかなどの点も見極めましょう。

3.不動産会社と媒介契約を結ぶ

依頼する不動産会社を決めた後は、媒介契約を結びます。媒介契約には3つの種類があり、それぞれで特徴が異なります。

媒介契約の種類特徴
一般媒介契約・複数社と契約できる
・自分でも買主を探せる
専任媒介契約・契約できる不動産会社は1社のみ
・自分でも買主を探せる
専属専任媒介契約・契約できる不動産会社は1社のみ
・自分では買主を探せない

もっとも制限が多いのは専属専任媒介契約ですが、その分不動産会社が売却活動に力を入れてくれやすいです。

反対に自由度が高い一般媒介契約は、不動産会社による売却活動が熱心ではなく、ほとんど自分で活動しなければならないこともあります。媒介契約は途中で変更もできるため、売却状況に合わせて段階的に制限を増やしてもよいでしょう。

媒介契約の種類不動産売却の媒介契約の違いとおすすめ。一般、専属、専属専任の違い

4.売り出し価格決定後に売却活動が開始される

不動産会社と媒介契約を結んだ後は、自宅をいくらで売り出すかを決めます。売り出し価格をいくらにするかは重要であるため、査定額を参考にしながら、担当者と念入りに相談して決めることが大切です。

価格が決まった後は売却活動が本格的にスタートし、不動産会社が広告宣伝などを行ってくれます。広告を出した後は内覧の希望者が現れるまで待ち、希望者が出次第対応となります。

5.買主と売買契約を締結する

内覧対応を行い、購入希望者が現れると売却の条件の交渉を行います。交渉の結果、双方の合意が取れたなら売買契約を締結します。売買契約締結時には売却価格や契約締結時に支払う手付金、引き渡しの期日や契約破棄の際の違約金などを定めましょう。

口頭での約束は反故になってしまうことも多いため、重要事項は必ず契約書に記載しておかなければなりません。売買契約締結後は定めた手付金を支払い、売主は不動産会社に対して仲介手数料の半額を支払います。

契約書に定めた日程で自宅の引き渡しを行い、この同日に決済をします。引き渡しが完了した後は仲介手数料の残りを支払い、売却は終了です。

自宅を売却する時にかかる費用

自宅売却によって得られる利益を把握するには、売却時にかかる費用を知っておかなければなりません。

  • 仲介手数料
  • 所得税
  • 住民税
  • 特別復興所得税
  • 印紙税
  • 登録免許税

これらがいくらかかるのかを把握しておくと、売却価格から差し引いて手元に残る実際の利益を計算しやすくなります。

仲介手数料

不動産会社に仲介を依頼して売却する場合は、一般的に売買契約後と売却後の2回にわけて仲介手数料を支払います。仲介手数料は法律によって上限額が決められており、売却価格によって変動します。

売買価格仲介手数料の上限の計算式
200万円以下売買価格×5%+消費税
200万~400万円売買価格×4%+2万円+消費税
400万円以上売買価格×3%+6万円+消費税

仲介手数料は課税対象であるため、消費税も考慮しなければなりません。また、仲介手数料は成功報酬であるため、発生するのは契約が決まってからです。売却活動を行うだけでは発生せず、途中で売却をやめたとしても、仲介手数料は発生しません。

売却益にかかる税金

自宅を売却した際に利益が出ると、その分に対して税金がかかります。売却益が出ているかどうかは、次の式で計算します。

売却益 = 売却価格 – 取得費 – 売却にかかった費用 – 特別控除

これらを計算してプラスが出た場合は、所得税と住民税、復興特別所得税の3つが課税されると考えましょう。これらは売却する不動産の所有期間によって税率が異なります。5年以下だと短期譲渡所得となって税率は高く、5年を超えていると長期譲渡所得に区分されて税率は下がります。

税金の種類短期譲渡所得の税率長期譲渡所得の税率
所得税30%15%
住民税9%5%
復興特別所得税2.1%2.1%

これらは売却益が出た場合のみ納付が必要であるため、費用が高く利益が出そうにないなら、所有区分を気にせず売却して構いません。

売却手続き時に支払う税金

売却手続きでは売買契約書を作成する際に印紙税が、所有権の移転登記をする際に登録免許税がかかります。印紙税は売買契約書に記載された金額によって変動し、金額が上がるほど税額も高くなります。

契約金額本則税率軽減税率
10万円を超え50万円以下400円200円
50万円を超え100万円以下1,000円500円
100万円を超え500万円以下2,000円1,000円
500万円を超え1,000万円以下10,000円5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下20,000円10,000円
5,000万円を超え1億円以下60,000円30,000円
1億円を超え5億円以下10万円60,000円
5億円を超え10億円以下20万円16万円
10億円を超え50億円以下40万円32万円
50億円を超えるもの60万円48万円

2020年3月31日までの取引では、軽減税率が適用されます。登録免許税は土地と建物両方にかかり、それぞれで税率が異なります。

固定資産税評価額に税率をかけたものが課税額という点は共通していますが、土地は2021年3月31日までの取引で1.5%、建物は2020年3月31日までの取引で0.3%となります。それぞれ本則税率は2%です。

自宅を高く売却するための4つのポイント

少しでも自宅を高く売却するには、次の4つのポイントを押さえることが大切です。

  1. なるべく早く売却する
  2. 実績のある不動産会社に依頼する
  3. 内覧時の印象に気をつける
  4. ハウスクリーニングを依頼してメンテナンスを行う

工夫次第で売却の条件はよくなるため、細部まで押さえて売却活動に取り組みましょう。

なるべく早く売却する

自宅を売却するならできるだけ早いほうがよく、後になるほど資産価値が下がって売却価格も安くなってしまいます。価値は1年ごとに下落していくため、高値で売りたいなら早めに行動するに越したことはありません。

売却活動は3カ月から半年ほどかかることも多いため、事前準備は早めに行い、すぐに売却活動に移れるようにしておくことが大切です。

実績のある不動産会社に依頼する

仲介を依頼する不動産会社によっても売却価格が変わることは多いため、実績があり、信頼できる業者を選ぶことが大切です。不動産会社によって得意分野は異なるため、自宅の種別に合わせ、売却に強みを持った業者を選びましょう。

全国のSUMiTASならエリアに精通した担当不動産会社による訪問査定も依頼できるため、スムーズに業者を選定しやすいです。

内覧時の印象に気をつける

購入の意思決定を促すには、内覧時の印象が非常に重要です。内覧での印象がよくないと、金額や立地、築年数などの諸条件がよくても、購入を考えてしまう人は少なくありません。好印象を与えるためには部屋はきれいに片付けておき、できるだけ物を少なくしておくことが大切です。

住み替えを予定しているなら、引っ越しの準備も少しずつ始めておき、不要なものは捨てておくとよいでしょう。また、どうしても片付かない場合は、トランクルームなどを借りて、一時的に荷物を別の場所に移しておくこともおすすめです。

部屋をきれいにするだけではなく、購入希望者への対応は丁寧に行い、住んでいるからこそわかる自宅のよさをアピールすることが大切です。他にも電球を替えて部屋を明るくしたり、来客者用のスリッパを用意するなど、細かい気遣いをして好印象を与えましょう。

ハウスクリーニングを依頼してメンテナンスを行う

部屋の清潔感を高めるためには、ハウスクリーニングを依頼して徹底的に掃除をしておくこともおすすめです。汚れが目立つ場所を依頼することがおすすめであり、内覧時に特に見られやすい玄関周りや水回りを中心に実施してもらうとよいでしょう。

業者に依頼する箇所が増えると費用も上がるため、できる部分は自分で掃除をすることが大切です。普段の掃除では落ちない頑固な汚れなどに限ってハウスクリーニングを依頼することで、費用を抑えながら自宅をきれいにし、物件の魅力を高められます。

自宅を売却する時の2つの注意点

上手に自宅を売却するには、次の2つの注意点を守ることが大切です。

  1. 安易な値下げはしない
  2. 瑕疵(かし)などの告知は嘘をつかない

これらが守れていないと、売却に失敗し後悔することも少なくありません。

安易な値下げはしない

不動産売買では価格交渉は当たり前であり、購入希望者の申し出に合わせて値下げをし、契約締結を促すことも少なくありません。値下げ自体は戦略として有効ですが、相手に求められるまま安易に金額を下げないようにしましょう。

なんの根拠もない値下げ希望に応じてしまうと、押せばどこまでも下がると思われてしまいます。値下げをすること自体は構いませんが、金額を下げるならそれに見合った理由を探さなければなりません。

例えば設備に不具合があるなど、問題点が明確なら値下げを考慮しても構わないでしょう。安易に下げ過ぎるとエスカレートして、最終的な売却価格が希望を大きく下回ってしまうこともあります。

瑕疵などの告知は嘘をつかない

隠れた不具合を瑕疵(かし)といいますが、売却時にはこれはすべて告知しておかなければなりません。瑕疵の告知義務に違反すると、引き渡してからその事実がわかった場合、損害賠償を請求されることがあります。瑕疵があっても事前に告知しているなら問題はなく、不具合が残った状態でも売却は可能です。

もちろん、瑕疵がある分値下げを求められることは多く、基本的にはこれに乗ることで不具合を納得してもらうと考えましょう。

事前に告知していない瑕疵はすべて損害賠償追及の対象となってしまうため、自宅の状況は嘘偽りなく正確に伝えることが大切です。

自宅の売却に関するQ&A

スムーズに自宅を売却するには、売買活動時に疑問に上がりやすいポイントを知っておくことが大切です。

  • 【Q1】ローンが残っていても売れるのか?
  • 【Q2】自宅に住んだままでも売れるのか?

これら2のポイントを疑問に思う人は多いため、この点について理解を深めておきましょう。

ローンが残っていても売れるのか?
住宅ローンを組んでいて、まだ残債があったとしても自宅の売却は可能です。売却価格で残債分を完済したり、住み替えるなら新居のローンに借り替えたりすることもできます。
ただし、ローンが残っている場合はローン会社に事前に相談が必要であり、売却したいことを伝えておきましょう。売却の許可をもらい、その後の返済プランも話し合った上で自宅を手放すことが大切です。
自宅に住んだままでも売れるのか?
自宅の売却は住んでいる状態でも可能であり、普段の生活空間をそのまま内覧で見てもらうこともあります。実際に住んでいる人がいることで購入希望者は生活のイメージを膨らませやすく、より具体的に物件の魅力を伝えられるでしょう。
ただし、住んだままだと内覧のたびに片付けが必要だったり、余計なイメージがつくことでかえって購入意欲の妨げになったりすることもあります。メリットとデメリットの両方があるため、新居の購入を売却前後のどちらにするかによって決めてもよいでしょう。

自宅の売却は計画的に進めてスムーズに売ろう!

自宅を売却するなら、計画的に考え早めの行動を取ることが大切です。売却活動は数カ月程度かかることも多いため、準備は早めにしておきましょう。明確なプランを立てて売却活動に臨み、自宅を少しでも好条件で売却しましょう。

自宅の売却査定はSUMiTAS

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

2005年から不動産賃貸仲介営業で不動産業のキャリアをスタート。
物件マニアで、『従事している期間毎日10件内見する』という裏目標を立て、6年間実施。札幌市内の賃貸物件約18,000件を内見した。
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