マンションの売却の検討時、「売却するタイミングがわからない」と悩む方は少なくありません。売却するタイミングが悪いと、想定よりもマンション売却価格が下がってしまう可能性があります。
実際、インターネット上でマンション売却の経験談を探してみても、売却のタイミングが悪く失敗したという事例をよく見かけます。
売却のタイミングをなるべく希望に添えるものにするために、この記事では3つの視点から見たマンション売却のタイミングについて解説します。
売却のポイントや注意点についても触れているため、マンションを売却するタイミングについて悩んでいる方は、この記事を参考にしてください。
目次
「不動産の市場動向」から見る売却タイミング
市場動向を把握しておくことで、マンションの売り時を逃さずに、適切なタイミングで売却できます。
マンションの売却を考えているのなら、市場動向をしっかりと把握しておくようにしましょう。
2013年からマンション価格は上昇が続く
国土交通省が発表している「不動産価格指数(住宅及び商業用不動産)」を確認すると、マンション価格は、2013年から上昇が続いています。
2020年に発生した新型コロナウイルスの影響や、東京オリンピックが終了した影響により、マンション価格が下落することが懸念されていましたが、マンション価格が大きく下落することはありませんでした。
ただし、2022年2月には大手銀行が長期金利の上昇を受けて固定金利の引き上げを実施しており、今後も大幅な金利上昇があればマンション価格が下落する可能性もあるため、継続的に確認していく必要があります。
2021年は商業地を中心に地価が下落
国土交通省が公表している公示地価を確認すると、新型コロナウイルスが発生した2020年は商業地の地価が大きく下落しており、2021年にも下落した地価は回復していません。
一方で住宅地も商業地と同様に2020年は下落しましたが、2021年には下落前の水準まで回復しています。ただし、三大都市圏でも、大阪圏に関しては新型コロナウイルスの影響から回復していません。
このように、住宅地の地価は、商業地と比較すると、新型コロナウイルスの影響から回復しています。
中古マンション市場は首都圏を中心に価格が上昇
中古マンション市場は、首都圏を中心に価格が上昇し続けています。
公益社団法人東日本不動産流通機構が公表しているデータによると、首都圏の成約㎡単価は2020年5月から22ヶ月連続で上昇し、㎡単価は49ヶ月連続で上昇しているそうです。
また、売却価格に関しても前年同月比で6.6%上昇、2020年6月から21ヶ月連続で上昇しています。
出典:東日本不動産流通機構「月例速報MarketWatch2022年2月」
上記のデータから首都圏の中古マンション市場が好調な状態が続いているのが分かります。
2022年の不動産市場の最新動向は?
2022年の不動産市場は、現状維持もしくは上昇する見通しと言われています。ここでは「新型コロナウイルスによる影響」と「2022年問題」を主に取り上げます。
新型コロナウイルスに関しては、拡大や社会的影響は収まりつつあり、2021年には下落前の水準まで回復していることから大きな影響はないと言えるでしょう。
対して、2022年問題は不動産価格の暴落が懸念されています。2022年問題とは、1982年に指定された生産緑地だった土地のおよそ80%が宅地に転用され、市場に大量に出回る可能性があることを指します。2022年問題に対しては、2017年の「生産緑地法」の改正や2018年の「都市農地貸借法」の成立などの政府の対策により大きな影響は出ないと考えられています。
「築年数」から見るマンション売却タイミング
最適なマンション売却タイミングを知るには、築年数も非常に重要な要素になります。築年数が経過すると、マンション価格が大きく下がってしまうからです。
どのくらい下がるのかについては、下記のグラフをご覧ください。築20年を超えると中古マンションの価格が大きく下落していることがわかります。
他にも築年数ごとにマンション売却における特徴があるため、築年数ごとに解説していきましょう。
築年数5年以内は新築に近いため比較的買い手がつきやすい傾向
築年数が5年以内のマンションは、新築のマンション価格と大きく変わらない価格で取引されるケースも少なくありません。
新しい設備が導入されている可能性が高く、内外装も新築と変わらずキレイな状況にある可能性が高いからです。景気や周辺地域の状況などによっては、購入価格より高値で売却できるケースもあります。
ただし、売却する際に似たような物件が多数売られている場合には、相場よりも売却価格が下がってしまう可能性があるので注意が必要です。
なお、5年を経過してしまうと築浅のマンションという売り出し方が難しくなり売却価格が下がるため、5年を経過していないマンションの売却を検討している場合は、5年を経過する前に売却するようにしましょう。
築年数5〜10年未満はお手頃価格となり人気が出やすい傾向
築年数10年未満のマンションは、新築マンションと比較するとお手頃な価格であるうえに、設備や部屋の劣化も軽微であるケースが多いため人気です。売り手からしても売却しやすいタイミングと言えます。
ただし、マンションの管理体制が悪く見栄えが悪くなっている状態の場合は、売却価格が安くなってしまう可能性があるため、大規模修繕が済むまで売却を待つのがおすすめです。
築年数10〜15年はリフォームや設備の補修がポイントに
築年数が10年を超えて15年に近づいてくると、マンション設備の老朽化により補修が必要になる場合があります。
そのため、設備の補修やリフォームを済ませて売却することで、売却価格が高くなる可能性もあります。
とはいえ、ご自身で判断するのが難しい方は、補修やリフォームを行うべきかどうかを不動産会社に相談しましょう。
築年数20年以上は大規模なリノベーションの有無・設備状況がポイントに
築年数が20年を超えてくるとマンションの売却価格も値下がりし、売却までの時間もかかるようになります。建物や設備の老朽化が進み古さが目立ってしまううえに、間取りも流行から外れていることが多いからです。
そのため、築年数20年以上のマンションを売却する際は、大規模なリノベーションや最新設備の導入がポイントになってきます。リフォームや最新設備を導入することで、買い手側にとって魅力的なマンションになるため、売却価格が上がるだけでなく買い手も見つけやすくなります。
築20年を経過したマンションを売却する際は、リノベーションを検討してください。リノベーション費用の捻出が難しい場合は売却価格を下げる必要が出てくるでしょう。
築年数30年以上なら大幅な値下げとなる可能性も
築年数が30年を超えたマンションの中には、大幅に値下がりしてしまう物件も存在します。マンション自体の老朽化がかなり進んでいるため、適切な大規模修繕が行われていない場合は、見た目も相当に悪くなってしまうからです。
当然、部屋の老朽化も進んでいるため、スムーズに売却するには事前のリフォームもおすすめです。
したがって、築30年を経過したマンションを売却する場合は、部屋のリフォームをしたうえで、マンション自体の大規模修繕が実施されるのを待ってから売却するようにしましょう。
ただし、近年の流れとして「築古の中古マンションを購入してフルリノベーションをする」という購入側の新たな選択肢が定着しました。
そのため、築20年以上経過しているマンションでも、立地条件が良く、価格が相場相応の適正値であれば、内装状態を問わずに購入される方も増えており、一概に「古い=売りにくい」という考え方にも変化が生じています。
「時期」で考えるマンション売却タイミング
マンション市場が最も動くのが、2〜3月の期間になります。4月の新年度に向けた就職や転勤、入学などのライフスタイルの変化が多いため、マンションの購入を検討する方が増えるからです。
実際、公益社団法人東日本不動産流通機構が公表しているデータを確認すると、2〜3月のマンション成約数は他の月と比較して多い傾向にあります。
出典:東日本不動産流通機構「月例速報MarketWatch2022年2月」
一方で、5月や7月、8月は、マンション成約数が減少するため、良い条件で売却したいのであれば、この時期は避けるほうが無難です。
マンションを売却する際は、時期も重要になるため、売却する時期についてもよく検討するようにしてください。
マンション売却するタイミングを見極める際の注意点・ポイント
マンション売却を適切なタイミングで売却するためには、以下のポイントをよく理解しておく必要があります。
- 周辺環境の変化に注意する
- 大規模修繕が計画されているなら実施後に売却する
- マンションの所有期間が5年未満だと税負担が大きい
- 住宅ローンの残債がある場合は売却価格に注意する
上記のポイントについて、それぞれ詳しく解説します。よく理解して、マンションを売却する際の参考にしてください。
周辺環境の変化に注意する
マンションを購入してから月日が流れると、周辺環境が変化していき、マンション価格に影響を与えます。
例えば、周辺地域に大きなショッピングモールなどが建設されると、利便性が向上し、マンションの価値があがる可能性が高いです。
一方で、大手企業や大学の移転などによって、マンション価格が下がる可能性もあります。特に工場系の企業が移転してくる場合は、空気汚染や騒音などが心配で購入を躊躇する人が増えてしまい、マンション価格が大きく下がることが懸念されます。
また、大規模な新築マンションの入居が始まる直前に、マンションを売り出してしまうのも危険です。新築マンションに人気が集まってしまい、売却価格が下がる可能性があります。
このように、周辺環境の変化がマンションの資産価値に影響をおよぼすことは確かです。
しかし、周辺環境の変化がマンション価格にプラスの影響を与えるのか、マイナスの影響を与えるのかを判断するのは容易ではありません。マイナス要素になりそうな変化が起きる可能性がある場合は、早めの売却を検討するようにしましょう。
大規模修繕が計画されているなら実施後に売却する
中古マンションの購入を検討している方は、大規模修繕を実施された後のマンションのほうが良い印象を持ちます。適切な大規模修繕が実施されることによって、マンションの見た目もよくなるだけでなく、宅配ボックスなどの新しい設備が導入される可能性もあるからです。
大規模修繕が計画されているなら、大規模修繕を実施した後に売却するようにしましょう。物件の価値が向上して高く売却できるうえに、買い手が見つかりやすくなります。
マンションの所有期間が5年未満だと税負担が大きい
マンションに限ったことではありませんが、不動産の売却では、築年数と同様に所有年数も大きなポイントになります。所有年数は売却益が出た際に課税される譲渡所得税の税率に大きく関係するからです。
所有年数による譲渡所得税の税率の違いは、以下の表で確認してください。
名称 | 内容 | 住民税率 | 所得税率 |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 譲渡した年の1月1日において所有期間が5年未満のもの | 9% | 30.63% |
長期譲渡所得 | 譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの | 5% | 15.315% |
上記のように、所有期間次第で税率が10%以上変わってきます。
ただし、売却益が出ない場合は関係なく、売却益が出たとしても控除制度があるため、気にする必要のない方も多いです。むしろ、不動産価格が上昇しているなどの理由がある場合などは、所有期間に関係なく売却したほうが良いケースもあるので、どうするのが最適なのかをよく見極めるようにしてください。
住宅ローンの残債がある場合は売却価格に注意する
住宅ローンの残債が残っている状態でマンションの売却を検討する際には、マンションの売却価格が住宅ローンの残債額を上回っているかを確認することが重要になります。マンションの売却価格が住宅ローンの残債額を下回っているオーバーローンの状態では、売却をしても住宅ローンの完済ができないために預貯金などで補填しない限りは売却自体が行えないからです。
このため、マンションの売却を検討する際は、マンションの売却価格が住宅ローンの残債額を上回っているかを確認するようにしましょう。
なお、上記と同じオーバーローンの状況下でも、住宅ローンを滞納してしまっている場合は、任意売却にて売却できる可能性があります。任意売却とは住宅ローンを滞納している場合に、売却できる可能性のある仕組みのことで、通常なら売却できないオーバローンの物件でも売却が可能です。
任意売却も金融機関に同意を取る必要があるうえに、信用情報機関に登録されるなどのデメリットもあるため、任意売却を利用する際は慎重に検討する必要があります。
任意売却については、「【図解】任意売却の流れ・期間とは?任意売却時の注意点も解説」で詳しく解説しているので、参考にしてください。
【図解】任意売却の流れ・期間とは?任意売却時の注意点も解説中古マンションの売却相場
マンション売却で損をしないためにも、マンションの売却相場を把握することが重要です。この章では、地域ごとのマンション売却相場について解説しているので、参考にしてください。
なお、東日本不動産流通機構の発表している「月例速報MarketWatch2022年2月」の情報を参考にして、2021年の売却相場を表にまとめています。
北海道のマンション売却相場
北海道地方のマンション売却相場です。
都道府県 | 平均坪単価(万円) | 平均価格(万円) | 専有面積(平方メートル) |
---|---|---|---|
北海道 | 24.77 | 1,881 | 75.93 |
東北地方のマンション売却相場
東北地方のマンション売却相場です。
都道府県 | 平均坪単価(万円) | 平均価格(万円) | 専有面積(平方メ |
---|---|---|---|
青森県 | 20.39 | 1,284 | 62.99 |
岩手県 | 22.51 | 1,329 | 58.73 |
宮城県 | 29.5 | 2,035 | 68.94 |
秋田県 | 19.48 | 1,207 | 60.72 |
山形県 | 21.78 | 1,557 | 70.68 |
福島県 | 24.01 | 1,649 | 68.09 |
関東地方のマンション売却相場
関東地方のマンション売却相場です。
都道府県 | 平均坪単価(万円) | 平均価格(万円) | 専有面積(平方メートル) |
---|---|---|---|
都道府県 | 平均坪単価(万円) | 平均価格(万円) | 専有面積(平方メートル) |
茨木県 | 28.18 | 2,165 | 76.71 |
栃木県 | 24.56 | 1,684 | 68.48 |
群馬県 | 23.64 | 1,593 | 67.2 |
埼玉県 | 36.04 | 2,450 | 68.01 |
千葉県 | 32.79 | 2,387 | 72.82 |
東京都 | 81.17 | 4,897 | 60.35 |
神奈川県 | 47.63 | 3,215 | 67.52 |
中部地方のマンション売却相場
中部地方のマンション売却相場です。
都道府県 | 平均坪単価(万円) | 平均価格(万円) | 専有面積(平方メートル) |
---|---|---|---|
新潟県 | 21.73 | 1,441 | 65.84 |
山梨県 | 19.38 | 1,235 | 62.95 |
長野県 | 35.96 | 2,711 | 74.76 |
富山県 | 25.12 | 1,874 | 74.27 |
石川県 | 25.06 | 1,800 | 71.91 |
福井県 | 25.89 | 2,191 | 98.66 |
岐阜県 | 23.76 | 1,874 | 78.85 |
静岡県 | 27.38 | 1,901 | 69.34 |
愛知県 | 29.4 | 2,205 | 75.01 |
近畿地方のマンション売却相場
近畿地方のマンション売却相場です。
都道府県 | 平均坪単価(万円) | 平均価格(万円) | 専有面積(平方メートル) |
---|---|---|---|
三重県 | 25.37 | 1,961 | 77.32 |
滋賀県 | 30.07 | 2,182 | 75.53 |
京都府 | 42.33 | 2,675 | 63.19 |
大阪府 | 39.68 | 2,701 | 68.06 |
兵庫県 | 31.94 | 2,293 | 71.79 |
奈良県 | 21.21 | 1,533 | 73.22 |
和歌山県 | 15.94 | 1,083 | 66.39 |
中国地方のマンション売却相場
中国地方のマンション売却相場です。
都道府県 | 平均坪単価(万円) | 平均価格(万円) | 専有面積(平方メートル) |
---|---|---|---|
鳥取県 | 22.93 | 1,724 | 74.68 |
島根県 | 25.58 | 1,926 | 75.29 |
岡山県 | 27.26 | 1,967 | 72.07 |
広島県 | 31.6 | 2,305 | 72.93 |
山口県 | 20.49 | 1,488 | 72.65 |
四国地方のマンション売却相場
次に四国地方のマンション売却相場です。
都道府県 | 平均坪単価(万円) | 平均価格(万円) | 専有面積(平方メートル) |
---|---|---|---|
徳島県 | 21.29 | 1,572 | 70.96 |
香川県 | 18.09 | 1,288 | 69.94 |
愛媛県 | 24.16 | 1,717 | 71.01 |
高知県 | 23.62 | 1,683 | 71.38 |
九州・沖縄地方のマンション売却相場
最後に九州地方と沖縄のマンション売却相場です。
都道府県 | 平均坪単価(万円) | 平均価格(万円) | 専有面積(平方メートル) |
---|---|---|---|
福岡県 | 30.65 | 2,034 | 66.36 |
佐賀県 | 19.67 | 1,533 | 77.95 |
長崎県 | 25.87 | 1,813 | 69.93 |
熊本県 | 22.8 | 1,657 | 72.51 |
大分県 | 23.14 | 1,691 | 72.96 |
宮城県 | 28.13 | 2,153 | 76.53 |
鹿児島県 | 29.02 | 2,106 | 72.37 |
沖縄県 | 43.24 | 3,059 | 70.73 |
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