不動産売却にかかる税金はどれくらい?計算方法や節税対策を紹介!

不動産売却にかかる税金はどれくらい?計算方法や節税対策を紹介!

不動産の売却時にかかる費用、とりわけ税額がどの程度になるかは、売却による利益・損益を考える上で気になるという方も多いと思います。例えば、売却の利益に課税される譲渡所得税は数百万円になるケースがありますので、しっかりと理解しておくことが重要です。

この記事では、不動産売却にかかる税金およびその計算方法や節税対策について解説しています。不動産売却にかかる費用を理解し、手元に残るお金を少しでも多くできるようにしましょう。

不動産売却でかかる譲渡所得税とは

譲渡所得税とは、不動産を売却し、その売却によって得た利益に課税される税金のことを指します。不動産売却で必要な費用として最も大きい金額になるのが譲渡所得税です。

譲渡所得とは?

ご自身で所有する不動産を売却し、その売却によって得た利益を譲渡所得と言います。譲渡所得は、給与所得などとは分離して確定申告を行う必要があり、所得税と住民税の課税対象です。

売却する際にかかった仲介手数料、契約書に貼付する印紙税などは経費となり、売却価格から差し引くことで譲渡所得が算出されます。ちなみに譲渡所得がマイナスになった場合は課税されませんので、覚えておきましょう。

譲渡所得の計算

譲渡所得の計算式は以下のとおりです。

譲渡所得= 物件の売却価格−取得費−譲渡費用

では、ここから取得費と譲渡費用について解説していきます。

取得費の計算

取得費は、物件の購入価格から減価償却費を引いた価格に購入時の諸費用を足したものです。この減価償却費ですが、建物は購入してから時間が経過するほど価値が徐々に下がりますので、その分は購入価格から差し引きます。

減価償却費は、購入費用×90%×償却率(※)×経過年数で算出が可能です。この金額に仲介手数料や解体・整地・測量費などの諸費用を含めると取得費用ということになります。

※主な居住用建物(非事業用)の耐用年数と償却率

種別耐用年数償却率
木造33年0.031
鉄筋コンクリート造70年0.015

譲渡費用とは?

譲渡費用は不動産売却時にかかった費用を指します。

主な譲渡費用
  • 売却時の仲介手数料
  • 売主が負担した印紙税
  • 貸家売却による借家人の家屋明け渡し時の立ち退き料
  • 土地売却時に、その土地に建つ建物を取り壊したときの解体費用
  • 借地権売却時に地主の承諾をもらうために支払った名義書換料

譲渡所得税の計算方法は?

ここでは、譲渡所得税の計算方法として、内訳や税率について解説していきます。

譲渡所得税の内訳

不動産を売却した際に課税される譲渡所得税ですが、その内訳は所得税と住民税に分けられ、所得金額に税率を掛けて算出されます。税率は不動産の所有期間が5年以下の場合「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」です。

保有期間については、譲渡した年の1月1日現在を基点に5年超か5年以下で決まり、それぞれの税率によって課税されます。

  • 短期譲渡所得
    譲渡所得×39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
  • 長期譲渡所得
    譲渡所得×20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

現状は、所得税と住民税に加えて、東日本大震災の被災者支援を目的とした復興特別所得税が徴収されることも覚えておいてください。

4,000万円で家を売却した場合の譲渡所得税(計算例)

実際にどのくらいの金額が課税されるかをシミュレーションしてみましょう。

  • 4年前に購入した新築マンション(居住期間4年)
  • 売却額:4,000万円
  • 購入額:3,000万円
  • 購入時の諸費用:150万円
  • 譲渡費用:200万円
マンションの減価償却額

減価償却費の計算式は、購入費用×90%×償却率(※)×経過年数です。
3,150万円×90%×0.015×4年=170万円
マンションの購入額は3,150万円−170万円=2,980万円となります。

譲渡所得税額

保有期間が4年ですので、短期譲渡所得(譲渡所得×39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)で算出します。
{4,000万円−(2,980万円+150万円)−200万円}×39.63%=266万円
譲渡所得税の266万円に、抵当権抹消登記の登録免許税1,000円と収入印紙税1万円を足した267万1千円が税額となります。

不動産売却の際の節税方法は?控除や特例について

納税額を抑えるために知っておきたいポイントとして、控除や特例など、以下の5つの方法をご紹介します。

  1. 3,000万円特別控除
  2. 所有期間10年超の場合の軽減税率特例
  3. 買い換え特例
  4. 取得加算の特例(相続した不動産の場合)
  5. 空き家の3,000万円特別控除

1.3,000万円特別控除

3,000万円の特別控除は、不動産を売却した際に得た売却益に対し、3,000万円までは課税対象から除外できるというものです。売却益が3,000万円に満たない場合は、その金額までの控除となりますので税額は0となります。

例えば、所有期間20年、売却価格5,000万円、取得費1,000万円、譲渡費用200万円の場合、5,000万円−1,000万円−200万円−3,000万円(特別控除)=800万円が課税譲渡所得額で、納税額は800万円×20.315%=162.52万円です。

なお、3,000万円特別控除と所有期間10年超の軽減税率の特例を併用する場合、売却後に新居を購入すると住宅ローン控除の適用を受けられなくなりますのでご注意ください。

2.所有期間10年超の場合の軽減税率特例

ご自身がお住まいのマイホームを売却し、一定の要件(※)に当てはまる時は、長期譲渡所得税率の軽減措置の適用を受けられます。

所有期間10年超の軽減税率は、課税譲渡所得6,000万円以下の部分について、税率が14.21%(所得税10%、住民税4%、復興特別所得税0.21%)軽減されます。

国税庁「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」内、「特例を受けるための適用要件」を参照してください。

3.買い換え特例

一定の要件(※)にあてはまるマイホームを売却し、代わりのマイホームに買い換えた場合、売却益に対する課税を将来に繰り延べることができます。

建物・土地のいずれの場合も10年超の所有期間があると適用対象となりますが、適用されても売却益が非課税となるわけではありません。譲渡所得が買い替え代金以下の場合、譲渡益に関する課税が繰り延べられ、買い替え代金よりも大きい場合は、差額分は譲渡所得税の課税対象となります。

旧居を5,000万円で売却し、7,000万円の新居に買い換え、その新居を8,000万円で売却したケースを以下の表にまとめてみました。

旧居の売却売却価額5,000万円-取得費1,000万円=4,000万円の譲渡益が発生
新居の購入7,000万円のマイホームに買い替え→買い替え特例によって譲渡益4,000万円への課税は繰り越し
新居の売却新居を8,000万円で売却したので、8,000万円-7,000万円=1,000万円の譲渡益が発生 →このタイミングで繰り越しになった4,000万円にも課税され、合計5,000万円が課税対象となる

特定居住用財産の買い換え特例は、居住用財産の3,000万円特別控除や所有期間10年超の軽減税率との併用はできませんのでご注意ください。

国税庁「特定のマイホームを買い換えたときの特例」内、「特例を受けるための適用要件」を参照してください。

4.取得加算の特例(相続した不動産の場合)

相続又は遺贈により取得した不動産を一定期間内(※)に売却した場合、相続税額の一定金額を譲渡資産の取得費に加算できます。

取得費に相続税額を加算することで課税対象額を減額できる制度です。その場合の計算方法は、下記となります。

相続人の相続税額×売却した資産の相続税評価額÷相続税の課税価格(債務控除前)

相続税を支払っていること、相続から3年10ヶ月以内の売却であることが必須条件となりますので覚えておきましょう。

国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」、「相続税が取得費に加算される特例(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)」内の「特例を受けるための要件」を参照してください。

5.空き家の3,000万円特別控除

相続した不動産を売却しても3,000万円の特別控除を受けることはできませんが、相続した空き家を更地として売却する場合は一定の条件下で3,000万円特別控除を受けられます。

国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」内、「特例を受けるための要件」を参照してください。

売却損が出たら?売却損の低減に使える特例

不動産を売却した場合、購入金額よりも売却金額が低くなる売却損が出てしまった時の負担を軽減する特例をご紹介します。

損益通算

売却損が出たとき、一定の要件(※)を満たした場合について、所定の手続きに従うと所得税・住民税の控除を受けられます。不動産取引において生じた売却損を別の課税所得から相殺し、トータルの税額を減額する仕組みです。

所有する不動産AとBを売却した際にAでは利益が出てBでは損失が出た場合、Aの利益とBの損失を相殺した金額をベースに納税額の算出が可能です。ただし、不動産を売却した前年・前々年に「所有期間10年超の場合の軽減税率の特例」、「3,000万円特別控除」、「買換え特例」を利用した場合は、適用不可となりますのご注意ください。

国税庁「損益通算」内、「損益通算の対象となる所得の範囲」を参照してください。

売却費用が所得税額を上回った場合の繰越

保有期間5年超の居住用財産を売却して売却損が出た場合で考えてみましょう。この売却損を損益通算しても赤字となるときは、金額を翌年以降最長3年間繰り越して所得から控除できます。

繰り越しについては、以下の表をご参照ください。

所得譲渡損失繰り越し課税
売却した年600万円2,000万円-1400万円課税0
2年目600万円1400万円-800万円課税0
3年目600万円800万円-200万円課税0
4年目600万円200万円400万円400万円に対して課税

不動産売却時に譲渡所得税以外にかかる費用

譲渡所得税に比べるとそこまで大きな金額ではないものの、支払いが発生するものがありますので、ご紹介します。

  1. 収入印紙税
  2. 登録免許税
  3. 仲介手数料

1.収入印紙税

収入印紙税とは、売買契約時に貼付する収入印紙に支払う税金のことです。売主と買主で1通ずつの計2枚、一方が原本を管理して一方がコピーの場合は1枚の収入印紙の購入が必要です。

収入印紙は課税文書への貼付が必要で、不動産関連の場合、「不動産の譲渡に関する契約書」「地上権または土地の賃借権の設定・譲渡に関する契約書」「消費貸借に関する契約書」などが対象となります。支払う印紙税額は契約金額によって変動しますので、以下の表を参照してください。

契約金額本則税率軽減税率
100万~500万円以下2,000円1,000円
500万~1,000万円以下10,000円5,000円
1,000万~5,000万円以下20,000円10,000円
5,000万~1億円以下60,000円30,000円

登録免許税

物件の所有者が変わる際の登記に対して支払いが発生するのが登録免許税です。登録免許税法によれば、「登記等を受ける者が二人以上あるときは、これらのものは連帯して納付する」とあり、売主・買主が双方で負担します。

具体的には、「所有権移転や抵当権設定時の登記費用」と「抵当権抹消の登記費用(※ローン残債がある場合のみ)」が対象で、土地・建物ごとに1,000円となります。買主が前者を、売主が後者を負担することが一般的ですので覚えておきましょう。

仲介手数料

不動産売却の仲介を不動産会社に依頼する場合に支払う費用のことで、売却価格×3%+6万円で上限額が算出されます。不動産会社は算出した上限額の範囲内で金額を設定することができるため、仲介手数料の金額は不動産会社によって異なるということになります。

売却価格仲介手数料上限額(税抜)
1,000万円の場合36万円
3,000万円の場合96万円
5,000万円の場合156万円
1億円の場合306万円

まとめ

譲渡所得税を中心に、不動産売却にかかる税金およびその計算方法や節税対策について解説してきました。さまざまな税金や費用がかかることはご理解いただけたかと思います。

控除や特例を活用して少しでも売却益を確保できるようにしましょう。その一方で、手残り金額を増やすために重要なのは、より高い金額で不動産を売却することです。まずは、お持ちの不動産がいくらで売れるのかを査定してみましょう。

この記事を書いた人

T.S MarketingLAB
T.S MarketingLAB

不動産ポータルサイト運営企業でマーケティングを担当していた経験を活かし、不動産市況・業界動向・エンドユーザーのトレンドについて、各種メディアでライターとして情報発信を行うほか、不動産会社のコンサル・業務課題ソリューションなども手掛ける。