マンション売却の流れと相場。よくある失敗談を確認して売却計画を立てよう!

中古マンションの売却で失敗しない!流れや相場をおさえ買主を探そう

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

初めて中古マンションを売却するとなると、なにから始めたらよいのかわからないと悩む方が多いです。できるだけ高く売りたい、新しい家を買う資金にあてたいと考えている方もいることでしょう。

中古マンションの売却を検討しているなら、流れや相場について知ることが大切です。この記事では、売却までの手順や準備すること、売却にかかる費用、高く売るコツなどを紹介しています。記事の内容を参考にして売却プランを立てていただき、高値で中古マンションを売却しましょう。

中古マンションの売却の流れ

以下は、中古マンションを売却するための準備段階から、売却後に確定申告をするまでの流れです。

  1. いくらで売却できるか相場を調べる
  2. 売却を依頼する不動産会社を選ぶ
  3. 媒介契約の種類を選んで買主探しを始める
  4. 内覧で中古マンションの良い所をアピール
  5. 売買契約を結んで中古マンションの引渡し
  6. 売却の翌年に確定申告

いきなり不動産会社を選ぶのではなく、その前に相場を調べておくことがおすすめです。また、それぞれの段階で売却成功につながるポイントがあるため、それらをおさえながら流れを把握し、売却までスムーズに進めていきましょう。

1. いくらで売却できるか相場を調べる

相場を知らないと、安い価格で売却してしまうことがあります。不動産会社の査定価格を参考に、売出価格を決めますが、安く売り出しても損をしますし、高くても売れ残ってしまうでしょう。相場相当の適正な売出価格にすることがベストなので、いくらで売却できるか相場を調べておきましょう。

売却価格は、依頼する不動産会社によって数百万円もの差が出ることがあります。その理由は、立地条件やニーズ、マンションの状態などで価格を決める際に、担当者の知識や感覚によって、価格の判断にズレが生じるためです。もしくは、担当者の営業力が価格に影響することもあります。

査定価格が高い方が良いという訳では無いですが、どこの不動産会社に依頼するかで売却価格に差が出るため、不動産会社や担当者の実績やノウハウを把握して、慎重に選びましょう。

【一番おすすめ】査定サイトの利用

相場を調べるのに一番おすすめの方法は、査定サイトの利用です。不動産会社に、マンションを査定してもらい価格を出してもらうことで、いくらで売れそうか価格の範囲を把握できます。このような流れで相場を把握できることが、査定サイトの魅力です。

査定サイトは、マンションの基本的な情報を入力するだけで、簡単に不動産会社に査定依頼を出すことができます。時間も手間もほとんどかからず、かつ無料で依頼できるため、利用しない手はありません。数ある査定サイトの中でも、当社SUMiTAS(スミタス)は査定の正確性や売却までのサポート力が優れています。

全国の査定実績から分析された正確な査定、最適な売却方法の提案、全国ネットワークの販売網を活かした販売活動など、利用するメリットがたくさんあります。まずはSUMiTASにご相談ください

自分で売却相場を調べる方法

査定サイトなどで不動産会社に相談するのではなく、自分で売却相場を調べる方法もあります。例えば、「不動産売買の情報サイト」「レインズマーケットインフォメーション」「土地総合情報システム」「中古マンション価格天気図」「マンション売却シミュレーター」といったのもを利用することで、相場を調べることも可能です。

【不動産売買の情報サイト】

ネット上で、中古マンションの売買情報を閲覧できるサイトがいくつもあります。検索機能を使い、周辺物件で売りたいマンションと似た条件の売買価格を調べましょう。この場合、同じマンション内の別の部屋が売りに出されている場合は、相場を知るのに有効です。もしくは、最寄り駅までの距離、専有面積、築年数など、近い条件の物件が複数あれば、その平均値を割り出します。

手軽に調べられることはメリットですが、なかなか有力な情報を集められないことも多いです。また、記載されている価格は売出価格であり、最終的に売れた価格ではないことも認識しておきましょう。

【レインズマーケットインフォメーション】

国土交通大臣指定のサイトで、相場を調べることもできます。実際に取引された、過去の成約価格を知ることができるという点が、「不動産売買の情報サイト」で調べる方法との違いです。

同じマンションの別の部屋の情報があれば参考になりますが、ない場合は似た条件で探す必要があり、似た条件の物件が見つからないことも考えられるでしょう。ただし、誰でも閲覧できるため、査定を依頼する前に調べておくと役に立つこともあります。

参考:レインズマーケットインフォメーション

【土地総合情報システム】

国土交通省が運営するサイトで、「レインズマーケットインフォメーション」と同様に、実際に取引された過去の成約価格を調べることができます。「過去1年間を含む」など、期間を選択して調べることができて便利です。その他、地価公示・都道府県地価調査、不動産取引価格アンケート回答も知ることができます。

参考:土地総合情報システム

【中古マンション価格天気図】

東京カンテイが公表しているデータサイトです。「晴→価格が上昇傾向」「薄日→価格がやや上昇傾向」「雲→価格が足踏み傾向」「小雨→価格がやや下落傾向」「雨→価格が下落傾向」と、市場の動向を天気で表現しています。

参考:中古マンション価格天気図

【マンション売却シミュレーター】

不動産の情報サイトを中心に、ネット上ではいくつもの「マンション売却シミュレーター」のサービスを無料で提供しています。最寄り駅や築年数、専有面積などの指定された項目を入力するだけで、自動的にシミュレーション査定をしてくれるサービスです。

匿名で利用でき、簡単に早く結果が分かることはメリットですが、正確な査定とはいえないでしょう。実際の価格とは大きな差が出る可能性があることも理解したうえで、だいたいの相場を把握する程度であれば、一度試してみることもおすすめです。

2. 売却を依頼する不動産会社を選ぶ

売却を依頼する不動産会社の決定は、今後の流れを左右する最も重要なポイントです。不動産会社の絞り込みは、査定の金額だけで判断することを避け、最終的な決定は、担当になるであろう人と話をしてから決めることをおすすめします。

その理由は、担当者による売却活動次第で、早く売れるか高く売れるかが決まるためです。さらに、売却までは数カ月以上と長い時間がかかります。その間、担当者とやり取りをしながら売却活動を進めていくため、相性のよさも重要です。

担当者の見極めは、説明が丁寧で信頼できるか、納得できる査定価格を提案してくれるか、査定価格の根拠がしっかり説明できるかなどで判断するとよいでしょう。

3. 媒介契約の種類を選んで買主探しを始める

不動産会社を一社に決定したら、媒介契約の種類を選びます。他社へ媒介依頼をし、販売報告が任意の「一般媒介」、隔週や週一で販売報告をしてくれる「専任媒介」「専属専任媒介」から選びましょう。それぞれに特徴があるため、詳細内容をよく確認し、自分に合う種類を選択することが大切です。

契約の種類を選んだら、担当者と打ち合わせをして売出価格を正式に決定します。なお、3カ月たっても売れなかった場合は担当者とよく話し合い、価格の見直しなどをして売れるための対策をしましょう。

4. 内覧で中古マンションの良い所をアピール

購入希望者が見つかったら、内覧対応をします。気に入ってもらえるように、周辺環境や部屋の魅力をさり気なくアピールすることもおすすめです。ただし、しつこいアピールは嫌がられるので避けましょう。

また、当日までに掃除や整理整頓、臭い対策、修繕などをして、清潔感のある部屋にすることも大切です。内覧に来ている人は購入を前向きに検討しているため、購入の後押しとなるようによいところをアピールして、部屋を魅力的に感じてもらえるようにしましょう。

なお、内覧の際に購入希望者から、価格交渉を持ちかけられることは多いですが、要望はできる限り受け入れたほうがよいとされています。しかし、要望を丸のみにすると損をする可能性があるため、事前に妥協できる価格を決めておくとよいでしょう。

5. 売買契約を結んで中古マンションの引渡し

購入希望者の意思が固まり、価格の合意もできたら、売買契約を結んで中古マンションの引き渡しへと進みます。ローンの残債がある場合は、抵当権の抹消手続きやローンの完済が必要です。引渡しまでに抵当権の抹消やローンの完済、引越しを完了させましょう。

売買契約書を取り交わす際には、買主から売買価格の10~20%程度の手付金を受け取ります。一方で、不動産会社には、仲介手数料の半額程度を支払うなど、お金のやり取りがあることも認識しておきましょう。

引渡しの時期は、売買契約から1カ月ほど経過したあとです。そのときに売買価格の残金を受領し、不動産会社には仲介手数料の残代金を支払います。

6. 売却の翌年に確定申告

中古マンションを売却したことで利益が出た場合は、翌年の確定申告は必須です。利益が出た状態とは、「マンションの購入価格+購入・売却にかかった諸経費」よりも高く売れた場合を意味します。マンションは、年数がたつと価格が下がっていくことが多いため、売却益が出るケースは稀でしょう。

もし利益が出たとしても、3,000万円の特別控除などを使って節税することができます。また、損失が出た場合でも、節税になるため確定申告をしたほうがよいです。確定申告は、売却した翌年の2月16日~3月15日が期間ですので、忘れずに手続きをしましょう。

中古マンションの売却の必要書類

売却の契約時までに必要なもの、引渡しの時に必要なもの、確定申告の時に必要なものに分けて表を作成しました。

売却の契約時

取得場所取得費用
登記簿謄本もしくは登記事項証明書法務局またはオンライン・窓口で書面請求:1通につき600円
・オンライン請求 / 送付:1通につき500円 ・オンライン請求 / 窓口交付:1通につき480円
媒介契約書不動産会社が準備
登記済み権利書(登記識別情報)本人所有
固定資産税納税通知書・固定資産税評価証明書・固定資産税納税通知書は市町村(東京23区の場合は東京都)から通知が届く・固定資産税評価証明書は役所で取得可能固定資産税評価証明書の発行手数料は、証明書1枚につき300円程度(※市区町村による)
マンションの管理規約の書類本人所有
マンション管理費・修繕積立費等の書類本人所有
耐震診断報告書・アスベスト仕様調査報告書(ある場合)診断した場合は所有
購入時の契約書・重要事項説明書(ある場合)本人所有
身分証明書本人所有
実印本人所有(新たに登録する場合は役所)登録手数料(印鑑手帳交付手数料)は1件300円程度
印鑑証明書(3カ月以内のもの)役所またはオンライン1通300円~(※市区町村による)
住民票(3カ月以内のもの)役所またはオンライン1通300円~(※市区町村による)

引き渡し時

取得場所取得費用
身分証明書本人所有
実印本人所有
印鑑証明書(3カ月以内のもの)役所またはオンライン1通300円~(※市区町村による)
住民票(3カ月以内のもの)役所またはオンライン1通300円~(※市区町村による)
銀行口座通帳(振込先情報)本人所有
住宅ローン残高証明書(ローンがある場合)金融機関

確定申告時

取得場所取得費用
源泉徴収票本人所有
売買契約書本人所有
購入時の契約書本人所有
仲介手数料領収書本人所有
印紙代の領収書本人所有
除票住民票(特別控除利用時)役所1通300円~(※市区町村による)
住宅ローン残高証明書金融機関

場合によっては、別途必要な書類が発生することもあるため、こちらの表を参考にしながら、不動産会社にもよく確認しましょう。

中古マンション売却でよくある失敗談

中古マンション売却は、何度も経験して慣れているという人は少ないでしょう。初めて経験するという人が多いと思います。そのため、中古マンション売却には「こんなはずではなかった」という失敗談がつきものです。

ここからは、失敗談をもとによくある失敗のパターンをまとめます。自分の中古マンション売却が失敗しないためにも、把握しておきましょう。

相場よりも安い価格を設定してしまった

よくある失敗談として、「相場よりも安い価格を設定してしまった」というものがあります。このような失敗の原因として考えられるのは、不動産業者による査定が不正確だったというものでしょう。不動産業者によっては、相場よりも安い価格を査定額として提示することがあります。

自分自身で相場を調べて把握しておくことが大切です。中には逆に、依頼を受けるためにあえて高額な査定額を提示する業者もあります。この場合も、結果的にその金額で売却できるとは限らず、結果的に安い価格で売却する結果になることもあるため、要注意です。

内覧の準備がしっかりできていなかった

買主の立場で考えたとき、実際に物件を見る内覧はとても重要でしょう。内覧時のイメージによって購入意欲は大きく左右されます。そのため、準備が不十分な状態で内覧をむかえてしまい、失敗してしまったという体験談もよくあります。

何かと忙しく、内覧の準備に手が回らないということもつい起こりがちです。物件に汚れや破損など、悪印象を与える要因があればハウスクリーニングや小規模リフォームなどをして改善しておいた方が良い場合もあります。また、物件そのものだけでなく、売主の対応も内覧時の印象に影響するので、質疑応答など当日の対応についても事前に調べて準備しておくと良いでしょう。

依頼した不動産業者が不誠実だった

不動産業者の選択で失敗してしまったというケースもあります。不動産業者の中には、売却活動をしっかり行う業者もあれば、売却活動をあまり行わない業者もあります。売主は不動産業者に任せてしまえば、当然売却活動を行っているものだと思い、安心してしまうでしょう。しかし、実際にどのような活動をしているかは見えてきません。

売却活動の報告を行う業者、行わない業者もありますが、前者の業者であれば安心して任せ続けることができるでしょう。中には、一定期間を過ぎてから値下げをするように言い、値下げ以降に積極的に売却活動に動き出すという業者もあるようです。

中古マンションを高く売却する4つのコツ

中古マンションを売却するまでの流れや、準備することなどの基礎知識を把握したら、高く売却するためのコツもおさえておきましょう。ポイントは以下の4つです。

  1. 値付けは戦略的に行う
  2. 売却しやすいタイミングを見計らう
  3. 売却完了までに時間の余裕を確保
  4. 室内をきれいにして内覧で好印象を残す

価格戦略のポイントや、売れやすいタイミングを知っていると、マンションの売却が有利になります。また、内覧も重要なので、コツをおさえて好印象を残せるようにしましょう。それでは、4つのコツの詳細を解説します。

値付けは戦略的に行う

自分が売りたい価格と相場が合わないこともあります。相場を無視して、強すぎる価格設定を押し通しても、売れなければ意味がないため、担当者とよく相談して売出価格を決めましょう。

相場に合わせたとしても、売れ残ってしまうことはあります。もし値下げすることになっても、いつごろから値下げするのか、どこまで値下げするのかを戦略的に行うことが大切です。例えば、「2,000万円→1,980万円」のように、検索の値段範囲が変わるような値下げで、買主の見つかりやすさが変わります。

経験や実績が豊富な担当者であれば、このように効果的な戦略を提案してくれるので、売れずに悩むことがあれば相談してみましょう。

売却しやすいタイミングを見計らう

新生活が控えている1~3月は、人の移動が控えているので中古マンションの需要が増えます。単純に、需要が増えるほど早く高く売れやすいです。

ただし、同じマンションで売りに出されていると、部屋の位置や価格の比較をされやすくなってしまうので注意しましょう。価格の競り合いで、安くなってしまう可能性もあるため、売却時期を遅らせるほうが得策です。

逆に、近くに新築マンションの建設計画がある場合は、なるべく早く売ったほうがよいでしょう。新築のほうが魅力的に見えてしまうため、中古マンションが売れにくくなる可能性があります。

売却完了までに時間の余裕を確保

売り急いでいると、早く買主を見つけるために予定よりも値引きをしてしまいやすいです。売却活動を開始してから、引渡しをするまでに通常は4カ月程度かかるので、余裕をもって売却活動をはじめましょう。

そのためにも、あらかじめ売却の手順をしっかり把握しておくことが大切です。急いでいるために、内覧対応が雑になると売れにくくなってしまい、余計に時間がかかってしまうことも考えられます。焦りは失敗の原因になるため禁物です。早く高く売るためには、しっかり準備をして時間の余裕を確保するようにしましょう。

室内をきれいにして内覧で好印象を残す

内覧当日までに、掃除や整理整頓、小さな傷の修理などをして、室内をきれいにしておきましょう。生活感が出やすいキッチンや水回りは、汚れを落としてきれいにしておくと印象がよくなります。

また、内覧当日は照明を明るくすることも大切で、部屋は「広く、明るく、きれいに」見せることを心がけます。臭い対策として、当日は換気をして空気もきれいにしておきましょう。

当日の内覧対応は、内覧希望者を不安にさせないように、質問には迷わず答えることが大事です。また、男性が対応すると威圧的に感じる方もいるため、なるべく女性が対応することをおすすめします。

中古マンションの売却にかかる費用・税金

中古マンションを売却する際には、さまざまな費用や税金がかかることも認識しておきましょう。以下の表にある費用や税金は、基本的に必要です。また、その他にも費用がかかることがあります。

  • 仲介手数料
    400万円を超える売買は、「売却価格の3%+60,00円+消費税」支払う
  • 譲渡所得税
    5年以下の短期所有は譲渡所得金額の30%、5年超の長期所有は譲渡所得金額の15%納付する
  • 住民税
    5年以下の短期保有は譲渡所得金額の9%、5年超の長期保有は譲渡所得金額の5%納付する
  • 復興免許税
    平成25年から令和19年までは、所得税と併せて2.1%納付する
  • 印紙税
    売買契約書に記載の物件価格によって印紙税額が変わる(平成26年4月1日から令和4年3月31日まで軽減措置あり)
  • 登録免許税
    登記関係の税金、税額は登記の種類による(抵当権抹消登記の登録免許税は土地・建物それぞれ1,000円ずつ、その他の登記は物件価格の0.1%が目安)
  • 消費税
    投資用マンションの建物部分、仲介手数料に消費税(10%)がかかる

上記の他、ローンの残債がある場合にかかる費用も含めて、詳細を解説していきます。

仲介手数料

仲介手数料は、売却が成功した際に不動産会社に支払います。手数料の金額には上限が決まっており、売却価格によって上限額が異なることが特徴です。400万円を超える売買では「売却価格の3%+60,000円+消費税」が上限額になります。

不動産の売買は、400万円を超えるケースがほとんどなので、この計算式に当てはめて金額の目安を把握しておきましょう。例えば、中古マンションを1,000万円で売却した場合、仲介手数料の上限額は39万6,000円(税込)です。

ローン残債がある場合は完済の手数料

ローン残債がある場合には、以下の2つの費用の支払いが必要です。

  • 抵当権抹消の費用:登録免許税1,000円+司法書士に支払う報酬が10,000~20,000円程度
  • 繰り上げ返済と手数料:ローンの残債+手数料5,000円程度

金融機関で物件を担保にしてローンを組むことが「抵当権」です。売却する際には、ローンを完済して抵当権を抹消しますが、この手続きに費用がかかります。

抵当権抹消登記にかかる登録免許税が、不動産1つにつき1,000円必要です。また、手続きは自分でもできますが、司法書士に依頼することも多く、報酬の支払いが10,000~20,000円程度かかります。さらに、繰り上げ返済の費用に加えて、手数料が5,000円程度必要です。

売却益にかかる税金

売却時に発生した利益(譲渡所得)に対して、所得税と住民税が課税されます。譲渡所得とは、売却額から購入額と購入・売却にかかる各種費用を差し引いて得た利益のことで、利益が出ない場合は課税されません。

所得税は、マンションの所有期間が5年以下か5年超かで「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」に分かれます。短期の場合は「譲渡所得金額×30%」、長期の場合は「譲渡所得金額×15%」と税率が変わることがポイントです。

なお、平成25年(2013年)から令和19年(2037年)までの間は、譲渡所得に対して復興支援特別税が2.1%かかり、復興支援特別税の所得税率は、短期が30.63%、長期が15.315%です。

売却手続き時に支払う税金

売買契約の際に印紙税が、抵当権抹消の際に登録免許税がかかります。売却益の有無にかかわらず支払い義務があるので、払い忘れのないように注意しましょう。

印紙税額は、物件価格により金額が変わります。また、令和4年(2020年)3月31日までに作成される売買契約書には、軽減税率が適用されることもあわせて認識しておきましょう。

例えば、物件価格が500万~1,000万円の場合、本則税率は10,000円ですが、軽減税率が適用されると5,000円になります。印紙税率は細かく設定されているため、詳細は国税庁のホームページでご確認ください。

ローンを完済した際の抵当権抹消手続きの際にかかる登録免許税額は、不動産1件につき1,000円です。その他の登記に関する手続きでも登録免許税がかかります。相続の場合、贈与の場合など、ケースごとに税率が異なるため、詳細は国税庁のホームページをご覧ください。おおよそですが、物件価格の0.1%を目安にしておくとよいでしょう。

参考:国税庁 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置
参考:国税庁 登録免許税の税額表

投資用マンションは消費税がかかる

法人ではなく、個人が居住用のマンションを売却する場合は、消費税がかかりません。ただし、投資用マンションの場合、売主が個人でも法人でも関係なく、建物の売却金額に対して消費税がかかります。なお、土地には消費税がかかりません。

副業として投資用マンションを売買しているなど、利益が小さい場合は免税事業者に分類され、支払いが免除されます。利益の大きさの判断は、2年前の課税売上が1,000万円以下か1,000万円超かどうかです。

中古マンション売却の4つの疑問

中古マンション売却を検討している方の中で、よくある質問を4つ厳選しました。

  • 【Q1】売却前にリフォームをしたほうがよい?
  • 【Q2】いつまでも売却できない時はどうする?
  • 【Q3】住み替えは売りと買いのどちらが先行?
  • 【Q4】ローンが残っていても中古マンションは売却できる?

上記の内容は、初めての中古マンション売却の際に、一度は疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。疑問に対する答えを紹介します。

売却前にリフォームをしたほうがよい?
リフォームをする必要はありません。
「リフォーム費用を上乗せできない」「自分好みにリフォームしたい方もいる」という2つの理由から、リフォームをする必要はないでしょう。
リフォームをしたとしても、かかった費用を上乗せして売却できる保証はないです。たしかに、劣化や痛みが目立つ部屋よりも、リフォームできれいになった部屋のほうが、魅力的に感じてもらえるでしょう。しかし、リフォーム代を上乗せしてしまうと、高くなってしまい売れにくいです。
また、自分好みにリフォームしたい方もいるため、リフォーム済みの物件は魅力を感じてもらえないこともあります。
いつまでも売却できない時はどうする?
不動産会社に買取の依頼ができます。
一般的には、不動産会社に仲介を依頼して買主を見つけますが、不動産会社に直接買取の依頼をすることもできます。1週間~1カ月程度で引渡しまでできるため、売却を急いでいる方におすすめです。ただし、売却価格は相場の6~8割となるため注意しましょう。
安くても早く売りたい方、仲介で売却活動をしたけれどなかなか売れない方は、買取を選択することもおすすめです。
住み替えは売りと買いのどちらが先行?
資金に余裕があり、新居をじっくり探したいなら買い先行、売り急いでいなくて資金計画をしっかりと立てたいなら売り先行がおすすめです。
中古マンションを売却し、新しく住み替えたい方は、買い先行にするか売り先行にするか悩むことでしょう。一般的には、「売り先行」で計画を進めることが多いです。しかし売り先行にすると、新しい家を焦って決めなくてはなりません。もしくは仮住まいを探す場合もあります。
スムーズに住み替えができるのは、売りと買いを同時期に行う方法ですが、なかなかうまくはいきません。なるべく売りと買いが同時期になるようにできないか、担当者に相談してみましょう。
ローンが残っていても中古マンションは売却できる?
売却額でローンを完済できなくても、買い替えローンを使えば売却は可能です。
一番よいのはローンを完済することですが、完済が難しい場合は、売却額をあててローンを完済します。それも不可能な場合は、買い替えローンを使うことを検討しましょう。
ただし、「ローンの残債+新しい家のローン」を借り入れることになるため、通常の住宅ローンよりも借入額が増えることになります。借入額が多いと審査は厳しくなるでしょう。また、審査に通ったとしても、返済の負担が大きくなるため、今後の返済プランをよく考えて決断することが大事です。

中古マンションの準備をしっかり行って売却計画を立てよう

中古マンション売却についての知識を深めたら、「売却の流れ」に沿って行動してみましょう。まず、査定で相場をつかみながら、依頼する不動産会社を絞り込むことが第一です。

SUMiTASにご相談いただければ、中古マンションの適正な相場を把握できます。その後、担当者の話をよく聞くなどして、今後の売却活動を任せる不動産会社を慎重に選びましょう。

また、各段階で必要な書類や費用を把握し、早めに準備を進めておくことで、売却の流れがスムーズに進みます。準備をしっかり行って、売却計画を立てましょう。

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

愛媛大学在学中に愛媛県で株式会社アート不動産を創業する。現在アート不動産では、アパマンショップ(賃貸)を5店舗、SUMiTAS(売買)を2店舗・管理センターを1店舗、売買店舗を2店舗運営。吉田 宏の詳細プロフィールはこちら