市街化調整区域とは

市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)」は、市街化の拡大を防ぎ、都市化を抑制する目的で指定されているエリアです。そのため、人が住むための住居や商業施設などは、原則として建てることができません。

本記事では、市街化調整区域の特徴を中心に解説していきます。

不動産取引で欠かせない「市街化調整区域」とは?

都市化を抑制する目的の市街化調整区域ですが、具体的にはどのような地域が当てはまり、比べられることが多い市街化区域とはどう違うのでしょうか。ここでは、市街化調整区域と市街化区域について見ていきましょう。

市街地の拡大を防ぐ地域のこと

冒頭にも書いたように、「市街化調整区域」は、市街地開発を極力行わず、都市化を防ぐ地域のことです。市街地から離れたエリアや田畑が広がる田舎に多く、建物の建て方や工事規模などに多くの制限があります。

市街化調整区域が制定された背景には、戦後の高度成長期で人口が増加し、住宅地が乱開発されたことが挙げられます。都市近郊にある農村地帯を守るための策として、都市化を進められる「市街化区域」と、都市化を抑制する「市街化調整区域」が範囲分けされました。

市街化調整区域では、住宅などの建設が促進されていないため、電気や水道などのインフラ整備が整っていないことがあり、市街化調整区域の土地評価は低くなります。

土地を安く購入できたとしても、さまざまな制限があるため需要や資産価値が低く、売却時に買い手が見つかりづらい点に注意が必要です。

市街化区域との違い

ここからは、市街化調整区域と比較されることが多い「市街化区域」について説明します。

市街化調整区域が、「無秩序な市街地の拡大を防ぐために、あまり市街地開発がなされない地域」であるのに対し、市街化区域は「すでに市街地を形成している区域、及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」と定義されています。

これを簡単に説明すると、「人が住みやすいようにインフラ整備などを積極的に行い、住宅街や商業施設を計画的に建てていくエリア」ということです。

市街化区域には用途地域が定められ、

  • 「住居用の地域」
  • 「商業用の地域」
  • 「工業用の地域」

の3つのジャンルがあり、さらに細かく分類すると全部で13種類存在します。用途地域によって、建築できる建物の種類や高さなどが決まっているため、土地購入前には用途地域の確認が必須です。

都市化が期待できて利便性も良い市街化区域は、住みたいと思う人も多く、市街化調整区域に比べて高値での売却が期待できるでしょう。

市街化調整区域の特徴

市街化調整区域の定義や、市街化区域との違いを説明してきました。

ここでは、市街化調整区域の特徴をもう少し詳しく説明していきます。

建物の建築や建て替えが制限される

市街化調整区域では、土地開発を求める際は工事規模に関わらず、次のような制限があります。

  • 自治体に開発や建築の許可を取らなければならない
  • 新しく住居が建てられない
  • 建て替え、増築、リフォーム、リノベーションの場合も許可が必要

市街化調整区域では、原則として自由に新しい家を建てることはできません。しかし、必ずしも建築不可なわけではなく、条件によっては許可される場合もあるため、各自治体に確認してみましょう。

また、既存住宅の建て替えや増築、リフォーム、リノベーションの際にも基本的に許可が必要で、制限がかかる可能性もあります。市街化調整区域に建っている中古住宅の購入とリノベーションを考えている方は、リノベーションの可否を必ず確認しておきましょう。

インフラ整備が整っていない場合がある

市街化調整区域は自然や資源を守るための地域なので、電気・ガス・水道などのインフラ整備が整っていないことがあります

インフラが整っていなければ整備することはできますが、自己負担で行わなければなりません。上水道や下水道、電線などのインフラを整備する場合は、高額な費用がかかります。

生活利便施設が近くにないことが多い

市街化調整区域は、農業や林業を行う地域で、人が住む場所としては推奨されていません。そのため、駅・学校・病院・スーパー・コンビニなど、生活に必要な施設が近くにないことが多く、生活に不便さを感じてしまいます。

市街化区域であれば、将来的に生活利便施設が増える可能性もありますが、都市化が抑制されている市街化調整区域は、生活利便施設が近くにできることは期待できません。

「市街化調整区域」まとめ

市街化調整区域は、都市化を抑制する目的で設定されている地域なので、人が住むことは推奨されていません。もし建築許可が出たとしても、インフラ整備が十分でなかったり、病院やスーパーなどのライフラインがなかったり、さまざまなデメリットがあります。

市街化調整区域にある不動産の売却を検討している方は、

  • 住宅の建設許可を取る
  • 農地として売却する
  • 用途を変えて売却する

など、買い手が見つかりやすくなる工夫が必要です。

そして何よりも大切なのが、市街化調整区域の売却経験がある不動産会社に相談することです。

SUMiTAS(スミタス)は、市街化調整区域の取り扱い実績も豊富にございますので、売却でお悩みの方はお気軽にご相談ください。