「不動産取得税(ふどうさんしゅとくぜい)」はその名の通り、不動産を取得した際に課せられる税金です。
本記事では、不動産取得税の概要や計算方法、軽減措置について解説していきます。納税通知書が送られてきてから焦らないように、本記事で知識を身につけておきましょう。
不動産を取得した場合に課税される「不動産取得税」とは?
まずは、不動産所得税がどんな税金なのか、いつ納税するのかなどの基本情報をお伝えしていきます。
不動産を取得したときに納める税金
冒頭でも説明したように、不動産取得税は土地や建物などの不動産を取得したときに納める税金です。
原則として不動産を取得した日に課税され、取得の申告は原則として60日以内、東京や大阪のような都心では30日以内と定められています。申告先は不動産所在地を管轄する税事務所で行い、納税先は不動産の所在地となる都道府県です。
不動産取得税の納税はいつする?
不動産取得税の納税期限は、都道府県によって異なります。不動産取得の申告後3か月〜半年ほどで納税通知書が届くので、到着したら定められた期間までに金融機関で納付します。
不動産取得税は納付期限を過ぎてしまうと延滞税が発生する場合もあるため、期日までに必ず納税しましょう。万が一納税通知書を紛失してしまった場合は放置せず、税事務所に相談して再発行の手続きをしてください。
固定資産税との違い
不動産を取得すると不動産取得税以外にもさまざまな税金が発生しますが、固定資産税もその1つです。固定資産税と不動産取得税はどう違うのでしょうか。
2つの税金の大きな違いは、納付回数と納付先です。不動産取得税は不動産の取得時に1度だけ課されるのに対し、固定資産税は固定資産を所有している限り毎年課税されます。
そして不動産取得税は都道府県に納めますが、固定資産税の納税先は市区町村なので、納税先も異なります。どちらも不動産に対して課税されますが、まったく違う税金であることを覚えておきましょう。
不動産取得税の計算方法
不動産取得税がどのような税金かわかったので、ここでは不動産取得税の計算方法を見ていきましょう。不動産取得税は、次の計算式で求められます。
「固定資産税評価額 × 税率 (原則4%)= 不動産取得税」
不動産取得税は、固定資産税の税額を出す基準としても使用される”固定資産税評価額”を課税標準とし、建物と土地に分けてそれぞれ計算します。固定資産税評価額の目安は、毎年1月1日に定められる公示価格の7割程度です。
税率は原則として4%ですが、さまざまな軽減措置があり、土地と住宅については2024年3月31日の取得までは3%に引き下げられています。
不動産取得税が軽減される特例とは?
前項で不動産取得税の税率は原則4%(2024年3月31日の取得までは3%)であるとお伝えしましたが、軽減措置を受ければ税負担を軽くすることができます。ここでは住宅と土地、それぞれの軽減税率を確認していきましょう。
住宅の場合
住宅における不動産取得税の軽減措置は、対象の住宅が新築か中古かで控除額が異なります。
【新築の場合】
新築住宅の不動産取得税では、建物部分の固定資産税評価額から1,200万円が控除され、計算式は次のようになります。
「(建物の固定資産税評価額 - 1,200万円)× 3%」
そして1,200万円の軽減措置が受けられる要件は、以下の通りです。
- 居住用家屋やセカンドハウス、住宅用の賃貸マンションなどであること
- 床面積が50㎡以上~240㎡以下であること
なお、令和6年3月31日までに認定長期優良住宅を新築した場合は、評価額から1,300万円控除されます。
【中古の場合】
中古住宅で軽減措置を受ける場合は、完成した時期ごとに控除額が異なりますが、新築と同様に上限は1,200万円です。
「(建物の固定資産税評価額 - 築年次ごとに定められた控除額)× 3%」
また、軽減措置を受けるためには次の要件を満たす必要があります。
- 個人が自己の居住用またはセカンドハウス用に取得した住宅であること(住宅でない家屋を住宅用にリフォームする場合は取得前にリフォームが完了していること)
- 床面積は50㎡以上~240㎡以下であること
- 耐震基準要件のうち「1982年1月1日以降に新築されたもの」または「新耐震基準に適合していることが証明され、既存住宅売買瑕疵保険に加入している」のいずれかに当てはまること
中古住宅では「新耐震基準を満たすこと」が要件に追加されている点に、注意が必要です。
土地の場合
土地の不動産取得税額は、税率を乗じてから軽減額を差し引きます。
「(土地の固定資産税評価額×1/2× 3%)- 軽減額」
軽減額は次のうち”高い方の金額”が適用されます。
- 45,000円
- (土地1㎡当たりの固定資産額×1/2)×(住宅の床面積×2)×3
適用要件も見てみましょう。
- 建てられた住宅が、建物の軽減の条件を満たしていること
- 住宅よりも先に土地を取得した場合、土地取得から3年以内に建物を新築すること
- 建物の建築を先行していた場合、新築した人が1年以内にその土地を取得すること
土地の評価額に乗じる軽減措置と特例の適用期限は、2024(令和6)年3月31日までとなります。
「不動産取得税」まとめ
不動産取得税は、不動産を取得したときに必要な税金で、さまざまな軽減措置が設けられています。ただし軽減措置を受ける場合は、税事務所で軽減措置利用の申告をしなければ適用されません。
申告期限は一般的には不動産を取得してから60日以内、東京や大阪のような都心では30日以内と定められています。税負担を軽減するためにも、必ず期日内に申告・納付を済ませておきましょう。