売り出してから数ヶ月、問い合わせが入らない。値下げしたほうがいいのか、会社を変えるべきか、それとも土地そのものに問題があるのか。判断がつかないまま時間だけが過ぎていく。
先に基準になる数字をお伝えします。首都圏で土地が売り出しから成約に至るまでの平均は89.8日です(東日本レインズ・2025年)。およそ3ヶ月。つまり、3ヶ月を過ぎて売れていないなら平均より遅れており、何かを変える時期に来ています。
そして、売れない土地の多くは「売れない土地」なのではありません。その価格・その売り方では売れていないだけです。この記事では、経過した期間ごとに何を点検し、何に切り替えるかを整理します。最後の受け皿(買取・国庫帰属)まで道はつながっています。
- 首都圏の土地の平均成約日数は89.8日。3ヶ月が最初の見直し時期
- 原因は「価格」「土地の条件」「売り方」の3つに分けると打ち手が決まる
- 実際に取引されている土地の66%は300㎡未満。広すぎる土地は分割も検討する
- 2年動かないなら、持ち続けるコストと手放す選択を数字で比べる
目次
どこからが「売れない」なのか。期間別のやること

売り出してからの経過期間で、確認すべきことと打ち手が変わります。
3ヶ月: 反響の「量」と「質」を分けて点検する
平均日数(89.8日)に達する時期です。ここで見るのは価格そのものではなく、問い合わせがどう入っているかです。
- 問い合わせがゼロに近い: 価格か、広告の露出に原因があります。土地は物件写真で差がつきにくいぶん、価格の影響が大きく出ます
- 問い合わせはあるが、現地を見た後で止まる: 価格と現地の状態が釣り合っていない可能性があります。草木の繁茂、ゴミの放置、境界杭が見当たらないなど、現地で分かる要因を点検してください
- 買い手が住宅ローンで詰まっている: 再建築不可・接道の条件など、土地そのものの制約が疑われます
専任媒介契約・専属専任媒介契約の契約期間は法律で最長3ヶ月と決まっており、ちょうど更新の判断時期にもあたります。不動産会社からの販売状況報告に、掲載先・閲覧数・問い合わせ件数が具体的に書かれているかを確認してください。
半年: 価格と会社を見直す
3ヶ月時点の点検で原因が特定できていれば、半年までに手を打ちます。
価格の見直しでは、周辺の成約事例と比べます。売り出し価格ではなく成約価格です。近隣で似た条件の土地がいくらで成約しているかを確かめ、そこから離れているなら差を埋めます。刻み方は、端数を削る程度の小幅な値下げを繰り返すより、検索の価格帯(たとえば3,000万円以下)に入る水準まで一度で動かすほうが反響につながりやすいのが実務です。
会社の見直しを判断する材料は、活動の中身です。レインズへの登録証明書は出ているか、他社からの問い合わせを受け付けているか、広告の写真や図面は更新されているか。媒介契約を切り替えるなら、この時点が区切りになります。
1年: 売り方そのものを変える
価格を調整しても動かない場合、一般の買い手以外に売り先を広げます。
- 隣地の所有者に打診する: 隣接地の所有者にとって、自分の土地と一体にできる土地には固有の価値があります。土地の売却では現実的な選択肢です
- 空き家バンク・自治体の制度を使う: 自治体によっては土地も登録できます
- 買取を並行して検討する: 不動産会社が直接買い取る方法です。価格は仲介で売る場合より低くなりますが、期間の確実性は上がります
2年: 持ち続けるコストと出口を数字で比べる
2年動かないなら、売り方の問題を超えて、その土地に一般の買い手がつきにくい可能性が高くなります。ここでやるのは、値下げの是非ではなく計算です。持ち続ける年間コストと、今手放した場合の差額を並べます(後述)。
このタイミングで検討対象に入るのが、相続土地国庫帰属制度(相続した土地を国に引き取ってもらう制度)です。ただし要件が厳しく、負担金も必要です。詳しくは制度の要件をまとめた記事とメリット・デメリットの記事で解説しています。
売れない原因を3つに分けて自己診断する
原因は次の3つに分類すると、打ち手が決まります。
| 分類 | 具体的な状態 | 打ち手 |
|---|---|---|
| 価格 | 周辺の成約事例より高い/検索の価格帯から外れている | 成約事例に合わせて調整。刻みではなく価格帯をまたぐ |
| 土地の条件 | 境界未確定・再建築不可・接道が狭い・傾斜・古家が残っている・広すぎる | 測量、隣地との調整、分割、解体の要否を判断 |
| 売り方 | 広告が弱い・レインズに載っていない・他社に紹介されていない | 販売状況報告の中身を確認。会社と媒介契約を見直す |
このうち、時間と費用がかかるのが土地の条件です。とくに次の2つは、放置したままでは買い手が判断できません。
境界が確定していない場合。買い手は購入後の紛争リスクを負うことになるため、敬遠されます。確定測量には1〜3ヶ月と数十万円規模の費用がかかりますが、売り出し前に済ませておくのが原則です。費用の相場と流れは確定測量費用の記事で解説しています。
古家が残っている場合。解体して更地にするか、そのまま売るかは一概に決まりません。解体費がかかるうえ、更地にすると固定資産税の住宅用地特例が外れて税額が上がります。判断の材料は古家付き土地の売却の記事にまとめています。
実データでみる「売れている土地」の姿

自分の土地が市場でどの位置にいるのかを知るために、実際に取引が成立した土地のデータを集計しました。国土交通省が公開している取引価格情報から、2024年〜2025年の住宅地の土地取引121,173件です。
| 面積帯 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 50㎡未満 | 1,354 | 1.1% |
| 50〜100㎡ | 8,952 | 7.4% |
| 100〜150㎡ | 18,084 | 14.9% |
| 150〜200㎡ | 21,620 | 17.8% |
| 200〜300㎡ | 30,017 | 24.8% |
| 300〜500㎡ | 20,924 | 17.3% |
| 500〜1,000㎡ | 13,085 | 10.8% |
| 1,000㎡以上 | 7,137 | 5.9% |
取引の66%は300㎡未満に集中しています。中央値は220㎡でした。一方、1,000㎡以上の土地は全体の5.9%しかありません。
これは「広い土地は売れない」という意味ではなく、買い手の数が面積帯によって大きく違うということです。住宅を建てる目的の買い手が求めるのは、多くの場合300㎡以下です。それを超える土地は、事業者か、広い敷地を求める限られた層が対象になります。
圏域によっても標準が違います。取引された土地の面積の中央値は、首都圏165㎡、近畿・中京圏195㎡、地方圏260㎡でした。自分の土地が地域の標準よりかなり広いなら、分割して売り出せないかを不動産会社に相談する価値があります(接道の条件を満たす必要があるため、分割できるかは土地ごとに変わります)。
なお、この集計は実際に売れた土地だけを対象にしています。売れ残っている土地との比較ではない点にご注意ください。分かるのは「市場で成立している取引がどこに集まっているか」までです。
選択肢のカタログ。どこまで手があるか
期間別の打ち手を、選択肢として一覧にします。上から順に、一般の市場に近いものから並べています。
| 選択肢 | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| 価格の見直し | 問い合わせが入らない | 小刻みより価格帯をまたぐ。下げ続けると足元を見られる |
| 不動産会社・媒介契約の変更 | 活動の中身が見えない | 契約期間の区切りで判断する |
| 境界確定・測量 | 境界標がない、隣地と認識が違う | 1〜3ヶ月と数十万円規模。売り出し前が原則 |
| 分割して売り出す | 地域の標準より広い | 接道の条件を満たす必要がある |
| 隣地の所有者へ打診 | 隣接地と一体化する価値がある | 不動産会社を通すのが安全 |
| 空き家バンク・自治体の制度 | 地方の土地 | 自治体により土地の扱いが異なる |
| 買取 | 期限がある、一般の買い手が付かない | 価格は仲介より低くなる |
| 相続土地国庫帰属制度 | 相続した土地で、買い手も引き取り手もいない | 要件が厳しく、負担金が必要 |
買取という選択
不動産会社が直接買い主になる方法です。買い手を探す期間がないため、査定から決済まで短期間で終わります。価格は一般の市場で売る場合より低くなるのが通例で、期間の確実性と価格を交換する選択だと考えてください。仲介と買取の両方で査定を取り、差額と期限を天秤にかけるのが実務的です。手続きの流れは不動産買取の記事で解説しています。
相続土地国庫帰属制度の実績
2023年に始まった、相続した土地を国に引き取ってもらう制度です。「土地を手放したい」という需要に対する最後の受け皿として語られますが、実際にどれだけ通っているかを法務省の統計で確認しました。
令和8年6月30日現在で、申請5,698件に対し、実際に国庫へ帰属したのは2,885件です。地目別では宅地1,073件、農用地925件、森林193件、その他694件でした。却下が83件、不承認が93件あります。
却下・不承認の理由には、境界が明らかでない、通路として使われている、工作物がある、崖があるといったものが並びます。建物が建っている土地は対象外で、更地にする必要がある点も含め、要件は簡単ではありません。それでも、申請の一定数が実際に承認されている制度です。相続した土地で行き先がない場合は、検討対象に入ります。
相続した土地をそのまま持ち続けることの問題は、相続した土地の売却の記事でも扱っています。
持ち続けると、いくらかかるのか

「もう少し待てば売れるかもしれない」と判断を先送りするとき、待つ側にもコストがかかっています。土地の場合、次の費目です。
| 費目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)+都市計画税(上限0.3%) | 更地には住宅用地の特例がない。建物を解体すると税額が上がる |
| 草刈り・管理 | 年に数回の委託で数万円〜 | 放置すると近隣からの苦情・行政指導につながる |
| 機会損失 | 売却代金を得られない期間 | 住み替えや納税の資金にできない |
とくに見落とされるのが住宅用地の特例です。住宅が建っている土地は固定資産税の課税標準が最大6分の1に軽減されますが、更地にはこの軽減がありません。古家を解体して売り出した土地が売れ残ると、税負担が増えた状態が続きます。
では古家を残せば安心かというと、そうとも限りません。2023年12月に施行された改正空家法で「管理不全空家等」という区分が設けられ、市区町村から勧告を受けると、建物が建っていても同じ特例が外れます。解体してもしなくても、放置したままにすると税負担が上がる道があるということです。
判断の材料はこう並べます。
- 年間の保有コスト(固定資産税+管理費)を計算する
- 今の売り出し価格と、買取の査定額の差を出す
- その差額を年間コストで割ると、「あと何年待てば買取より得か」が出ます
たとえば年間コストが15万円、仲介と買取の差が300万円なら、20年分にあたります。この場合は待つ選択に合理性があります。逆に差が45万円なら3年分で、2年動いていない土地なら手放す判断が現実的になります。感覚ではなく、この2つの数字を並べてください。
ただし、ここで出る年数は固定の答えではありません。仲介で狙える価格も買取の査定額も日々動くため、同じ土地でも時期によって年数は変わります。一度計算して終わりにせず、不動産会社に相談しながら定期的に取り直してください。この数字は、ひとりで結論を出すためのものというより、相談の場で判断をそろえるためのものです。
家が売れない場合との違い。不動産の売却ができない状態が続くとき
土地に限らず、不動産の売却ができない状態が続くこと自体は珍しくありません。ただし建物が付いている場合、点検する項目が少し変わります。
- 建物の状態と築年数が効く: 土地は経年で劣化しませんが、建物は毎年評価が下がります。待つほど不利になる度合いは建物付きのほうが大きく、築年数別の相場の記事で年数ごとの水準を確認できます
- 内覧の対応が結果を左右する: 土地は現地を見るだけですが、建物は室内の印象が判断に直結します
- 解体という選択肢が加わる: ただし前述のとおり、更地にすると固定資産税の特例が外れます
共通するのは、原因を「価格」「条件」「売り方」に分けて特定してから手を打つという順番です。原因を特定せずに値下げだけを繰り返すのが、最も避けたい進め方になります。
土地が売れないときのよくある質問
2年売れない土地は、もう売れないのでしょうか?
売れないと決まったわけではありません。ただし2年動いていないなら、価格・条件・売り方のいずれかに、これまで手を付けていない原因が残っている可能性が高い状態です。まず不動産会社を変えて別の視点で査定を受け、それでも動かないなら、隣地への打診・分割・買取と、売り先を広げる方向に切り替えます。並行して、持ち続ける年間コストと買取価格の差を計算してください。
値下げはいくら刻みで行うのが良いですか?
小刻みに何度も下げるのは避けてください。買い手側に「まだ下がる」と受け取られ、様子見される要因になります。効くのは、検索の価格帯をまたぐ水準まで一度で動かすことです。多くの不動産ポータルサイトは「3,000万円以下」のような区切りで絞り込むため、その境界を越えると表示される母数そのものが変わります。
田舎の土地はどうすればよいですか?
買い手の母数が少ないため、一般の市場だけで探すと時間がかかります。隣地の所有者への打診、自治体の空き家バンク、地元に強い不動産会社への切り替えを組み合わせてください。相続した土地で引き取り手が見つからない場合は、相続土地国庫帰属制度が選択肢になります(令和8年6月30日現在で2,885件が承認されています)。農地や山林は取引の仕組み自体が宅地と異なるため、別の手順が必要です。
買取だといくらくらいになりますか?
一般の市場で売る場合より低くなります。不動産会社が転売までのリスクと費用を負うためです。具体的な水準は土地の条件と地域で幅があるため、仲介での査定と買取での査定を同時に取って、実額の差で判断してください。その差額と、持ち続ける年間コストを比べるのが判断の手順です。
売れないまま相続が発生したらどうなりますか?
相続人が引き継ぎます。2024年4月から相続登記が義務化され、相続で取得を知った日から3年以内の申請が必要です。施行日より前に相続が始まっていた場合も対象で、その期限は2027年3月31日です。売れない土地をそのまま次の世代に渡すと、名義変更の手続きと保有コストを引き継がせることになります。処分の判断は、先送りするほど選択肢が減ります。
まとめ: 期間で区切って、原因を特定してから動く
土地が売れないときの進め方を整理しました。
- 首都圏の土地の平均成約日数は89.8日。3ヶ月が最初の点検時期
- 半年で価格と会社を見直し、1年で売り先を広げ(隣地・空き家バンク・買取)、2年で保有コストと出口を計算する
- 原因は「価格」「土地の条件」「売り方」の3つに分ける。特定せずに値下げを繰り返さない
- 取引の66%は300㎡未満。地域の標準より広い土地は分割も検討する
- 最後の受け皿として買取と国庫帰属がある。国庫帰属は令和8年6月30日現在で2,885件が承認
最初にやるべきは、今の売り出し価格が市場から離れていないかの確認です。SUMiTASの10秒査定は、住所と物件情報を入れるだけで匿名・電話なしで概算価格を確認できます。今の価格が妥当かを確かめる材料としてお使いください。
本記事のデータは次のとおりです。土地の成約日数は東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」の「登録から成約に至る日数」によります(首都圏が対象で、地域により水準は異なります)。取引された土地の面積帯は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報(2024年第1四半期〜2025年第4四半期・住宅地・取引の事情等の記載があるものを除く・価格100万円以上)121,173件をもとに当社で集計しました。実際に成立した取引のみが対象で、売れ残っている土地は含まれません。相続土地国庫帰属制度の件数は法務省の公表統計(令和8年6月30日現在)によります。固定資産税の標準税率と住宅用地の特例は地方税法によります。管理不全空家等への勧告による特例の解除は、空家等対策の推進に関する特別措置法(令和5年12月13日施行)と地方税法によります。相続登記の申請期限は法務省の案内によります。測量費用・管理費用・買取価格の水準は土地の条件と地域により大きく異なります。
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