土地売却の手順は?税金・費用の相場や高く売るためのコツなどを紹介

土地売却の手順は?税金・費用の相場や高く売るためのコツなどを紹介

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

土地を有効活用することは難しく、相続した土地を持て余している方も多いのではないでしょうか。土地は所有しているだけで、税金や手入れの費用がかかります。そのため、活用できない土地は、なるべく早く売却するのがおすすめです。

土地売却の基礎知識をしっかりと把握しておくことで、取引をスムーズに行え、高値で売却できる可能性も高まります。はじめて土地売却をする方は、どうぞ最後までお付き合いください。

土地を売る3つの方法

土地を売る方法として、次の3つがあります。それぞれの方法のメリットとデメリットについて解説するので、所有する土地に合った売却方法を選びましょう。

メリットデメリット
仲介相場価格またはそれ以上で売却できる可能性が高い売却に一定の期間を要する
買取スピーディかつスムーズに売却できる仲介よりも価格が下がる
国に売却国は買い上げる必要があるため高値で取引されることが多い売却できるタイミングが合わないとできない

不動産会社の仲介で売却する

仲介とは不動作会社に買主を見つけてもらい、土地を売却する方法です。これは、最初に思いつく売却方法ではないでしょうか。この方法は、他と比べて売却価格が相場かそれよりも高く売却できる可能性があります。

広く買主を募ることで一番良い条件の方に売却することができます。ただし、他の方法と比べて売却期間がかかるデメリットがあり、一般的には3ヶ月程度の期間が必要です。

不動産会社に買取りを依頼する

不動産会社に土地を買い取ってもらう方法もあります。不動産会社に直接買い取ってもらうので、仲介手数料もかからず、買主との交渉も不要です。また、スケジュールが立てやすく、売却までの時間を短縮することができます。

ただし、不動産会社は売却できないリスクを背負うことや販売のための活動費を考慮し、仲介よりも価格は下がる傾向で、仲介に比べ6割程度の価格になる可能性もあります。したがって、スピーディに売却したい方にはおすすめですが、高値で売却をしたい場合にはおすすめできない方法です。

国に土地を売却する

土地は国が購入することもあります。一般的には国から提案があって売却するということが多く、好きなタイミングで売却できるわけではありません。国は道路や鉄道、公共施設等の建設のためにその土地を必要として買い取りたいので、売却をする場合は所有者有利で高値で取引されることが多いようです。

土地売却の手順と相場の調べ方

土地売却をスムーズに行うためには、以下の手順を理解しておくことが大切です。

  1. 所有する土地の相場を自分で調べる
  2. 査定を依頼するのに必要な書類を準備する
  3. 査定を依頼して媒介契約を結ぶ会社を決める
  4. 売却活動が開始される
  5. 買主と売買契約を締結する
  6. 決済後に土地の引き渡しは行われる

何から始めればよいのか分からない方は、こちらをご覧になってください。

1. 所有する土地の相場を自分で調べる

まずは、不動産会社に依頼する前に、自分で土地の相場価格を把握することが大切です。相場価格を、不動産会社に相談する前に知っておくことで、販売価格を決定しやすくなりスムーズに売却活動が進みます。また、相場に見合っていない査定額を提示された場合に、気付くことができて騙されにくくなります。

土地の相場価格は、さまざまな方法で調べることができるので、1つの方法ではなく複数の方法で調べるとよいでしょう。土地の相場価格は、主に「実勢価格」や「公示地価」を参考にして、調査するのがおすすめです。

実勢価格とは、同じ条件下で取引された事例の平均値を割り出した価格ですが、国土交通省の「土地情報総合システム」で調べることができます。事例が少ない場合は、不動産会社の販売価格や査定額などを参考にするとよいでしょう。

公示地価とは、国土交通省が年に1回公表する全国の基準となる地価で、こちらは国土交通省の「標準地・基準地検索システム」で検索ができます。公示地価は、実勢価格のように全てのエリアの価格は公表されずに、基準地点の1m²あたりの価格を公表しています。所有する土地の近くの基準地点を確認することで、およその価格を割り出すことができます。

2. 査定を依頼するのに必要な書類を準備する

慌てないように不動産会社に査定を依頼する前に、売却に必要な書類と資料を準備しておきましょう。査定の際に必要な書類や資料は、以下のものになります。

  • 本人確認ができる身分証明書(運転免許証、パスポートなど)
  • 実印
  • 印鑑証明書
  • 住民票
  • 登記権利書または登記識別情報
  • 固定資産税納税通知書

印鑑証明書と住民票は、役所やコンビニなどで入手することができます。詳細はお住まいの市区町村のホームページで確認しましょう。

登記権利書と登記識別情報は、役割は同じものです。平成18年以前に発行されていたのが登記権利書で、それ以降に新しく発行されたのが登記識別情報になります。新しいほうは、情報が英数字の組み合わせが記載されています。

固定資産税納税通知書は毎年4月から6月に届きます。納税額、納期限などが記載された書類です。

3. 査定を依頼して媒介契約を結ぶ会社を決める

事前準備ができたら、不動産会社に土地の査定を依頼しますが、一社ではなく複数社に査定依頼をして、比較するようにしましょう。その際には、査定サイトを利用すると便利です。査定サイト「SUMiTAS 」は、全国の不動産を適正価格で査定するほか、訪問査定も依頼することができるので、ぜひ活用してみてください。

査定価格に納得したら、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約は「一般媒介契約」「専任専属媒介契約」「専任媒介契約」の3種類あり、自身に合った契約形態を選びます。それぞれの契約の違いは以下の通りです。

仲介の依頼自己発見取引契約の有効期限レインズ登録義務業務報告義務
一般媒介契約複数社可能原則制限なし義務なし義務なし
専任専属媒介契約1社のみ×3か月以内媒介契約締結から5日以内1週間に1回以上
専任媒介契約1社のみ3か月以内媒介契約締結から7日以内2週間に1回以上
媒介契約の種類不動産売却の媒介契約の違いとおすすめ。一般、専属、専属専任の違い

なお、上記の表中の「レインズ」とは、不動産売却の情報交換システムのことをいいます。全国にホストコンピューターを設置しており、不動産業者が会員となって、物件の登録情報を即座に検索できるシステムです。レインズに登録されることにより、広く不動産の情報を行き渡らせることができ、買主を見つける可能性を広げます。

4. 売却活動が開始される

不動産会社と媒介契約を結んだら、土地の売却活動が開始されます。不動産会社が行ってくれる売却活動は、広告の出稿や土地情報のサイトへの登録、購入希望者の内覧対応などがあります。

5. 買主と売買契約を締結する

土地の購入希望者が見つかったら条件のすり合わせが行われ、お互いが条件に同意したら売買契約を締結します。専門的な手続き等は、不動産会社が行ってくれるので心配する必要はありません。

6. 決済後に土地の引き渡しが行われる

引渡し日に残りの代金を受領し、土地を引き渡します。そして当日中に司法書士が法務局へ出向き、売主から買主へ所有権移転登記を申請します。

土地を売る時に必要な費用や税金

土地を売却するのにも費用がかかります。費用について知っておかないと後から思ったよりもお金が残らないなど不測の事態を起こす可能性もあります。何にどの程度かかるのか事前に理解しておきましょう。

種類特徴
仲介手数料 仲介手数料には上限額が法律で定められている。
上限額の計算式(下記の合計金額)
・売却価格のうち200万円以下の部分 5%+消費税
・売却価格のうち200万円超400万円以下の部分 4%+消費税
・売却価格のうち400万円超の部分 3%+消費税
印紙税・契約金額が高ければ印紙税も上がる
・令和4年3月31日まで軽減税率適用
・10,000円から60,000円程度
譲渡所得税・売却による利益が出た金額に譲渡所得税がかかる
・税率は所有期間により異なる
抵当権抹消費用・不動産1件につき1,000円
・司法書士へ依頼した場合は報酬として10,000円程度かかる
登録免許税・所有権移転登記は通常買主負担
・変更登記の登録免許税は不動産1件につき1,000円
・司法書士へ依頼した場合は報酬として10,000円程度かかる
測量費用・官民立ち会いが必要な場合60~80万円
・立ち会いが不要の場合35~45万円
解体費用・木造:坪30,000~40,000円
・鉄骨造:坪50,000~60,000円
・RC造:坪70,000~80,000円
繰上返済手数料・10,000円~30,000円程度

不動産会社に支払う仲介手数料

仲介手数料は、販売活動や売却手続きを行ってくれる不動産会社に支払いますが、成功報酬なので売却が成立した場合に発生する費用です。仲介手数料は、土地売却にかかる費用の中でも最も高額です。

ただし、高額になるといっても、法律で上限が決められているので安心です。上限額は売却価格により変動しますが、仲介手数料の上限は以下の表で計算できます。

売却価格仲介手数料の上限
200万円以下の部分5%+消費税
200万円超400万円以下の部分4%+消費税
400万円超の部分3%+消費税

400万円を超える物件に関しては、簡易的な計算式で算出できます。

売却価格×3%+6万円+消費税


仮に売却価格が2,000万円の場合、2,000万円×3%+6万円+消費税(10%)=72.6万円が上限額となります。

仲介手数料は上限額で請求されることが多く、支払うタイミングは売買契約締結後に半額、引き渡し完了時に半額を支払うことが一般的です。

売買契約書にかかる印紙税

土地の売買契約書を作成した際に、収入印紙を貼付して納税をしますが、印紙税の額は契約金額が高いほど上がります。印紙税は、令和4年3月31日までに軽減税率が適用されます。

契約金額本則税率軽減税率
100万円超え500万円以下2,000円1,000円
500万円超え1,000万円以下10,000円5,000円
1,000万円超え5,000万円以下20,000円10,000円
5,000万円超え1億円以下60,000円30,000円
1億超え5億円以下100,000円60,000円

もし、収入印紙を貼り忘れて印紙税を納めなかった場合は、本来の印紙税額にプラスして、印紙税額の2倍の「過怠税」を支払うことになるので注意しましょう。

売却益に課せられる譲渡所得税

土地を売却して利益が出た場合は、譲渡所得税を納める必要があります。譲渡所得税がかけられる利益とは、売却価格から取得費や譲渡費用、特別控除をマイナスして出た金額です。

税率は土地の所有期間により異なり、所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」で計算をします。

区分所得税住民税
長期譲渡所得15%5%
短期譲渡所得30%9%

抵当権抹消費用

ローンを組んで土地を購入していた場合は、抵当権がつけられており、売却をする際は抵当権を外す必要があります。その際には、ローンを完済するだけでなく、自身で抹消手続きが必要なので注意しましょう。抵当権抹消には、不動産1件につき1,000円の費用がかかります。

また、抵当権抹消手続きを司法書士へ依頼すると、司法書士報酬が加算されます。報酬は司法書士によって異なりますが、10,000円程度を目安に考えておくとよいでしょう。

登録免許税

土地の売却時には所有権移転登記や抵当権抹消登記をする必要があり、その際に法務局に対して支払うのが登録免許税です。

上記で説明した抵当権抹消費用には登録免許税が含まれています。ただし、所有権移転登記に関しては、不動産の売買では買主が費用を負担するのが原則です。

上記の他、土地売却時の所有者の住所・氏名と登記簿に記載されている住所・氏名が異なる場合には変更登記をする必要があり、この費用として1筆につき1,000円の登録免許税がかかります。

また、変更登記を司法書士に依頼した場合には司法書士報酬を支払う必要があり、おおよその相場は10,000円程度です。

測量費用

土地売却時に土地の境界確定が済んでいない場合や測量図がない場合には、測量士や土地家屋調査士に依頼します。

測量費は隣地の所有者が官か民かによって大きく異なり、官の場合は官民立ち会いが必要になるため60~80万円程度、官の立ち会いが不要の民民立ち会いの場合で35~45万円程度が相場です。

ただし、土地の広さや形によって大きく変わるため、上記はあくまでも目安として考えておきましょう。

測量費は依頼する業者によって費用が大きく変わるため、複数の業者に相見積もりを取っておくことをおすすめします。

解体費用

土地の売却時、土地の上に建物が建っている場合には解体費用が発生する場合があります。
解体費用は構造毎に異なり、相場は以下の通りです

木造30,000~40,000円/坪
鉄骨造50,000~60,000円/坪
RC造70,000~80,000円/坪

木造のように柔らかい構造ほど解体費用は安く抑えられます。例えば、30坪の建物が建っている場合、木造だと100万円程度、鉄骨造で150万円、RC造で200万円程度と考えるとよいでしょう。

ただし、土地が狭く重機を入れるのが大変な場合や、家財を残したまま解体する場合には、別途費用が高くなることがあります。

繰上返済手数料

土地を売却すると同時に住宅ローンを完済する場合、金融機関に対して繰上返済手数料を支払います。繰上返済手数料は金融機関によって、また繰上返済の方法によって金額が変わりますが、10,000円~30,000円程度が相場です。

例えば、みずほ銀行の繰上返済手数料は、33,000円(店頭)の他、三井住友銀行では11,000円(専用パソコン)~22,000円(書面)となっています。

ただし、金融機関にとって手間のかからないインターネットバンキングを利用しての繰上返済の手数料は上記と比べて安く利用できるのが一般的です。

上記、みずほ銀行についてはインターネットバンキングを利用すると無料、三井住友銀行では5,500円となっています。

土地を売る理由で多いものは?

土地の買主は売主がなぜ土地を売るのかという理由についても購入時の判断材料の1つとして知りたいものです。土地を売る理由でよくあるものとしては、以下のようなものがあります。

  • 引っ越したいため
  • 資金が必要になったため
  • 管理の手間がかかるため

引っ越したいため

転勤など必要に迫られて実施する場合もあれば、他に住みたい場所が見つかったという理由の場合もあるでしょう。なお、騒音がある場合や周辺に暴力団事務所がある場合で、そのことを理由に引っ越しする場合には注意が必要です。

こうしたネガティブな情報を伝えると買主にとってはマイナスな情報となってしまいますが、仮に伝えずに売却すると後々トラブルになってしまう可能性があります。どこまで伝えるべきかという点は難しい問題なので、不動産会社の担当者と相談しながら進めるとよいでしょう。

資金が必要になったため

具体的には以下のようなケースが挙げられるでしょう。

  • 新居の購入資金
  • 老後資金
  • 事業資金
  • 借金返済
  • 当面の生活費
  • 相続税

「借金返済のため」や「当面の生活費」といったややネガティブな理由は積極的に伝える必要はありません。とはいえ、嘘をつくわけにはいかないため、聞かれたら答える程度のスタンスでいるとよいでしょう。

管理の手間がかかるため

活用していない土地を売却するようなケースでは、土地を所有しているだけで管理の手間がかかり、また固定資産税も払わなければなりません。売却してしまえば、こうした手間や税金の支払いから解放されます。

現在住んでいない土地を売却する場合、ほとんどのケースでこの理由に当てはまるのではないでしょうか?土地の管理の手間は多くの(活用されていない)土地の所有者が抱える負担であり、買主としても特に不安なく購入する理由になります。

土地をできるだけ高く売る3つのコツ

誰もが、少しでも高値で売却したいと考えるものですが、今回は土地を高く売るための3つのコツを紹介します。

  1. 土地の状態を良くする
  2. 1月~3月の時期を狙って売却する
  3. 境界線を明確にしておく

内覧時に備えて土地をよい状態に保つ

購入希望者の内覧前には、土地の状態を整えておくことが大切です。土地が雑草で生い茂ってい する場合があります たり、ごみが散乱していたりすると減額交渉されやすくなるため注意しましょう。

所有する土地が遠方にあったりして、なかなか清掃が難しい場合は、多少お金を支払っても、不動産会社に依頼してきれいにしてもらうのもよいでしょう。

1月~3月の時期を狙って売却する

実は、不動産が高く売れやすくなる時期があります。一般的に土地が高く売却できるのは、建物付きの場合は1月から3月、建物がない更地の場合は1月から3月より少し早い時期が狙い目です。高くなる理由は、新生活を始める人が多い4月に向けて購入をする人が多い傾向にあるためで、更地は建物を建てる時間が必要になるので少し早めになります。

ほかにも、人事異動が増える時期でもある9~11月も売れ時とされています。少しでも土地を高く売るためには、こうした需要が増える時期を狙うことも一つの方法です。

境界線を明確にしておく

土地の境界線が曖昧だと、購入後に隣接する土地の所有者とトラブルになる可能性があるため、購入希望者もなかなか購入に踏みきれないということがあります。

約3ヵ月の期間が必要なので、早めに準備しておくことが大切です。なお、測量費は100m²の土地で60万円から80万円かかります。

土地を売る時の10の注意点

土地を売る際に、気を付けたい10の注意点を紹介します。

  1. 売却理由は前向きな理由を伝える
  2. 不要な土地はとにかく早く売る
  3. 売却する土地の情報を事前に把握する
  4. 売却にかかる費用を算出して確認しておく
  5. 相続した土地の場合は名義人が変更されているか確認
  6. 古家付き土地の場合は瑕疵担保責任を問われることも
  7. 農地の場合は農業委員会・都道府県知事の許可が必要
  8. 相場についての知識を事前に身につけておく
  9. 査定後には査定書をもらう
  10. 控除を有効利用する

これらの内容をあらかじめ把握しておくことで、土地売却の失敗を防ぎましょう。

売却理由は前向きな理由を伝える

買主に気持ちよく購入してもらうためには、売却理由は前向きなものを考えておくことが大切です。もちろん、嘘を伝えることはよくありませんが、あとでトラブルになる可能性もあるので注意しましょう。

例えば、離婚や住宅ローンの滞納によって土地を売却しなければならない場合など、マイナスになることはあえて話す必要はなく、「住み替えのため」という前向きな理由で伝えることをおすすめします。

不要な土地はとにかく早く売る

土地は使用していなくても固定資産税がかかり、市街化区域に指定されている土地は都市計画税も必要です。また、土地を利用していなくても手入れは必要で、その際には管理費用がかかります。自身で管理する場合は手間と交通費がかかり、誰かに頼めば委託費用が必要です。万が一、放置すれば雑草が生い茂って害虫が湧き、近隣住民とのトラブルにもつながりかねません。

土地売却にはある程度の手間と費用がかかるので、なかなか踏み出せないという方も多いでしょう。しかし、土地は所有するだけで、税金や管理費用がかかるため、早めに売却することをおすすめします。

売却する土地の情報を事前に把握する

土地を売却するためには、さまざまな情報が必要になります。そのため、あらかじめ土地の情報を集めて把握しておくことが大切です。

土地の情報とは、広さから境界、権利関係、用途地域、地盤、土壌などに関する情報ですが、場合によっては情報収集に費用と時間がかかるので早めに用意しておきましょう。また、建物が建つ土地の場合は、建物の情報も事前に把握しておく必要があります。

売却にかかる費用を算出して事前に確認しておく

土地を売却する際には、さまざまな費用がかかります。仲介手数料や印紙税など、一定にかかる費用を把握しておくことも大切ですが、場合によってはその他にも費用がかかることは忘れてはなりません。

例えば、古家がある場合は解体費用が必要になったり、地盤によっては土地の調査費用が必要になったりすることもあります。このように、土地の状況によって加算される可能性のある費用についても、想定しておきましょう。

相続した土地の場合は名義人が変更されているか確認

相続した土地を売却する際は、名義人が自身に変更されているか確認しましょう。土地を売却できるのは「不動産登記簿(登録事項説明所)」に記載された名義人だけです。土地を相続した際には、自動的に名義変更されることはないので、自身で行う必要があります。

相続登記は自身で行うことも可能ですが、添付書類の提出や法務局に出向く手間や時間を考えると、司法書士や土地家屋調査士などに依頼するのが一般的です。

古家付き土地の場合は瑕疵担保責任を問われることも

土地に古家が建っている場合は、契約不適合責任に注意が必要です。

契約不適合責任とは、契約の内容と売買した物件の状態が異なるときに売主が責任を持たなくてはならないことを意味します。

令和2年4月の改正民法施行により、瑕疵担保責任から変更されたもので、細かな部分で違いはあるもののおおむね同様のものだと考えてよいでしょう。

契約不適合責任の期間は、民法では買主が契約不適合を知ってから1年以内に事実を売主に通知すれば権利が保全されることになっています。

そのため、古家付きで土地を売却する際には、契約不適合によって補修費用を要求されたり、解約や損害賠償請求をされたりする可能性があることは、覚えておきましょう。

農地の場合は農業委員会・都道府県知事の許可が必要

農地は自分の土地であっても、許可なく農地以外で売却することはできません。なぜなら、農地は食糧を生産するための大切な土地なので、転用については農地法で制限されているためです。

ただし、市街化地区域内にある農地の転用の場合は、農業委員会に届出をだすことで転用できます。4ヘクタール以下の市街化調整区域内の農地の転用は、都道府県知事の許可が必要で、4ヘクタール超の市街地調整区域内の農地転用は、国との協議の上で都道府県知事の許可が必要になります。なお、地域の条件や状況によっては許可が下りない可能性もあるので注意しましょう。

相場についての知識を事前に身につけておく

土地の査定を受ける前に、自分自身でも土地の相場について知識を身につけておいた方が良いでしょう。万が一不適切な査定をされてしまった場合に気が付きやすくなりますし、なぜその金額になるのか質問しやすくなります。

相場を調べる方法は複数ありますので、できるだけ複数の方法を使って多角的に押さえておくのが良いでしょう。

  • 周辺の類似物件の価格を調べる
  • 周辺の土地の過去の取引データを調べる
  • 路線価・固定資産税評価額などの公的価格を調べる

査定後には査定書をもらう

不動産会社に査定してもらった後は、査定書を必ずもらうようにしましょう。きちんとした査定書が手元に残れば安心ですし、他の不動産会社の査定書と比べることもできます。逆に、査定書を渡そうとしない不動産会社には要注意です。とにかく契約を早く取ろうとしていたり、全体的な対応が雑な可能性が考えられるからです。

控除を有効利用する

控除を利用することで、節税が可能です。例えば2011年・2012年に取得した土地を売却する場合に受けられる「長期譲渡所得の1,000万円特別控除」などがあります。これらの控除についてはさまざまな条件があり、当てはまる場合・当てはまらない場合があります。税務署や不動産会社など、専門家に相談してみましょう。

査定サイトを利用して土地の売却をスムーズに進めよう

土地売却の成功に大切なことは、信頼できる不動産会社を見つけることです。信頼できる不動産会社を見極めるためには、複数の不動産会社を比較することと、ご自身の売却の知識が重要になります。

普段の生活があると忙しいため、なかなか土地売却をはじめるきっかけを掴みにくいものです。まずは、時間や手間がかからない査定サイトでお持ちの土地の査定からはじめてみてはいかがでしょうか。目安の金額を知ることで土地の活用方法、売却時期、売却方法など具体的な方針を決めるきっかけになることでしょう。

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

愛媛大学在学中に愛媛県で株式会社アート不動産を創業する。現在アート不動産では、アパマンショップ(賃貸)を5店舗、SUMiTAS(売買)を2店舗・管理センターを1店舗、売買店舗を2店舗運営。吉田 宏の詳細プロフィールはこちら