【土地の売却相場を調べる】相場よりも高く売るためのコツ

土地売却価格の相場の調べ方|売却にかかる費用や注意点を紹介

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

所有する土地を売却したいなら、いくらくらいで売れるのか相場を知ることが大切です。売却価格の相場を決める大きな要素は、次の3つがあげられます。

  1. 土地そのものが持つ特性
  2. 立地や流通量の多さ
  3. 売主の事情

土地の大きさや形状などの特性から、立地条件や周辺に似たような土地が売り出されていないかどうか、さらにはすぐ売りたいかゆっくりでもよいかといった売主の事情も金額に関係していきます。

これら3つの点を総合していくらになるかを知っておくと、適正価格で売却しやすいです。相場を正しく把握して、所有する土地を納得できる金額で売却しましょう

土地の売却相場を調べる5つの方法

土地を売却するには相場を知る必要がありますが、この調べ方は次の5つがあります。

調べる方法特徴
①不動産査定サイト・より好条件で売却できる業者を見つけやすい
②不動産情報サイト(SUUMO,at home等)・条件をつけて検索しやすい
・似た土地が見つからない場合もある
③実勢価格から算出する・取引の成約価格を参考にできる
・実際の相場と金額が異なることがある
④路線価から算出する・面積から売却相場を計算できる
・土地の形状によっては計算が難しい
⑤固定資産税評価額から算出する固定資産税の評価額から相場を把握できる

それぞれで特徴が異なるため、自分に合った方法を試して相場を確認することが大切です。

【一番おすすめ】不動産査定サイトを利用する

土地や住宅など不動産を売却する際には、不動産会社に査定をしてもらわなければなりません。

SUMiTASならネットで簡単に査定依頼ができ、その結果からより詳細な訪問査定を依頼することが可能です。まずはSUMiTASにご相談ください

不動産情報サイトで検索する

不動産の売却や賃貸などの情報を掲載している不動産情報サイトを使うことでも、所有している土地の相場価格を算出することは可能です。不動産情報サイトでは土地の形状や特徴など条件をつけて検索できるため、自分が持っている土地に近いものの売却情報を、簡単に確認できます。

似たような条件の土地がいくらで売られているかを参考にすることで、市場での相場価格がスムーズに判断できるでしょう。

ただし、常に似たような条件の土地が見つかるとは限らず、所有する土地の性質次第では似ているものが売りに出されていないこともあります。情報が確実に見つかるとは限らないため、複数社の情報サイトを利用して探してみるとよいでしょう。

実勢価格から算出する

実際の成約価格を元に、売却相場を確認することも可能です。成約価格は実勢価格と呼ばれており、これは土地総合情報システムで検索できます。過去2年分の取引事例の成約価格を確認できるため、似たような土地がいくらで売れているかを確認するとよいでしょう。

ただし、実勢価格は必ずしもその土地の価値通りに設定されているとは限らず、相場よりも上下していることもあります。これは土地の大きさや形状、売主の事情によるところも大きいため、ひとつの事例だけで判断せず、複数の成約価格を参考にすると、より正確な相場を算出しやすいです。

参考:土地総合情報システム

路線価から算出する

国税庁が発表している路線価図から、路線価という基準を用いることでも土地の相場価格は判断できます。路線価は毎年定められている基準であり、簡単にいえば主要な道路に面する1平米あたりの土地の価値が、いくらであるかを示したものです。

該当する場所の路線価を調べ、土地の大きさから計算することで、土地全体の路線価が判断できます。路線価は取引価格より2割程度低いため、算出した価値額に0.8で割ることで、大体の相場が判断できるでしょう。

複雑な形状をした土地では路線価を使った算出は難しいので、参考程度にとどめておくことがおすすめです。

参考:路線価図

固定資産税評価額から算出する

毎年送られてくる固定資産税の通知書に記載されている、固定資産税評価額からも、土地の売却相場は算出できます。

固定資産税評価額は取引価格の3割程度低いため、0.7で割って計算しましょう。計算した金額が土地の売却相場であり、概算ではありますが簡単に求められるのは魅力といえます。

土地の売却相場を調べるメリット

そもそもなぜ売却前に相場を調べるのか、疑問に思う人も少なくありません。売却価格の相場は不動産会社に査定を出すことでもわかるため、事前に調べる意味がないと考える人も多いでしょう。しかし、事前に自分で売却を相場を調べることには、次の2つのメリットがあります。

  1. 信頼できる不動産会社かどうかを見極められる
  2. 相場に合った売り出し価格をスムーズに設定できる

これらのメリットを把握し、事前の調査がいかに重要であるか理解を深めておきましょう。

信頼できる不動産会社かどうかを見極められる

所有している土地がどれくらいで売れるかは、不動産会社に査定を依頼することで詳細な金額を確認します。自分で売却相場を知っておかないと、不動産会社が提示する査定額が正しいのかどうかわかりません。

提示された金額を鵜呑みにし、不利な条件で売却してしまうこともあるため、売却相場は先に把握しておく必要があります。相場を知っておくと不動産会社が提示する査定額が正しいかどうか判断でき、そこから信頼できる業者かどうかの選別もできるでしょう。

売却時には不動産会社に仲介を依頼することがほとんどであるため、信頼できるパートナーを正しく見極めるためにも、事前の相場の調査は重要といえます。

相場に合った売り出し価格を設定することができる

実際に売却するとなったときには、いくらで売り出すのか、この金額設定が重要です。相場を知っておくと適切な売り出し価格に設定でき、売り損や売り逃しを避けやすくなります。もしも相場以下の金額に設定してしまうと、素早く売りやすくなるものの、本来得られたかもしれない利益を逃してしまう可能性が高いです。

反対に高値に設定すると、条件が悪いと判断され、いつまでも売れ残ってしまうことが少なくありません。相場を知って適切な金額に設定することで、スムーズかつ損なく売却できるため、好条件で土地を売るには売却価格の相場を知ることが重要であるとわかります

土地を売却相場よりも高く売るための3つのコツ

所有する土地の売却相場を知ったなら、その金額で売り出すことで少なくとも損はしづらくなります。しかし、好条件で売却したいなら、相場よりも高く売る方法を考えることが大切です。

  1. 測量を行い境界を確定させる
  2. 隣地に売却を提案する
  3. 売却するタイミングを見極める

これら3つのコツを把握して、相場より少しでも高値での売却を目指しましょう。

測量を行い境界を確定させる

隣接地がある土地は、事前に測量を行い、土地ごとの境界線を確定させておくことが大切です。境界線が曖昧になっていると、どこまでが自分の所有分なのかがわかりづらく、売却時に隣接地の所有者とトラブルになってしまうことも少なくありません。

また、境界線が曖昧なままの土地は、購入者にとってもリスクが高く、購入後に隣接地の所有者とトラブルになるかもしれないといった、マイナスのイメージを持たれやすいです。

より好条件で売るには不安要素を解消しておくことが大切であるため、業者による調査によって境界線を明確にし、それを証明できるようにしておくことが大切です。測量によって境界線が明確になっているなら、土地トラブルの心配もなくなり、買主に安心感が与えられるため好条件での売却もしやすくなるでしょう。

隣地に売却を提案する

隣接地がある場合は、隣の土地を持っている人に売却を提案することもおすすめです。隣接する土地なら、もう一方の土地を買うことで連続した大きな土地となり、不動産の価値は高まりやすいです。なんらかの方法で活用する場合でも、土地が広いなら自由度は上がるため、買主にとってもメリットとなるでしょう。

土地の価値が高くなるメリットもあるため、好条件でも売却しやすく、別の人に売るよりも高値での取引になる可能性が高いです。

売却するタイミングを見極める

不動産は売却するタイミング次第でも価値が変動することが多いため、いつ売るか適切な時期を見極めなければなりません。

毎年の周期で見るなら、新年度が始まる前の1~3月などがおすすめであり、新生活の準備で住宅需要が増える時期なら、土地の需要も上がりやすいでしょう

需要が高まるタイミングが売却価格が向上するタイミングといえるため、時期も考慮して売却計画を練ることが大切です。

土地の売却にかかる費用

土地を売却する際には、いくつかの費用が発生します。

  • 仲介手数料
  • 譲渡所得税
  • 住民税
  • 復興特別所得税
  • 印紙税
  • 登録免許税

不動産取引の際の代表的な費用を知り、売却時のコスト負担がどれくらいになるのか把握しておきましょう。

仲介手数料

不動産会社に仲介を依頼して売却する場合は、仲介手数料を支払わなければなりません。仲介手数料は不動産の取引価格によって決まり、法律で次のように上限が決められています。

取引価格手数料
200万円以下取引価格の5%以内
200万円超・400万円以下取引価格の4%以内
400万円超取引価格の3%+6万円

仲介手数料は課税取引であるため、この上限額に消費税がプラスされると考えましょう。また、法律で定められているのはあくまで上限であり、その範囲内なら業者は自由に金額を設定できます。そのため、上限額よりも少し割引したり、場合によっては無料としたりすることもあります。

仲介手数料は高額になりやすいため、無料は魅力的ですが、あまりにも安い場合には注意しなければなりません。格安や無料の仲介手数料をうたう業者は、別のところで経費を計上して、結局高いコストを請求する悪徳業者の場合があります。

安いからといってそれだけでつられず、信頼できる業者かどうか考えた上で、仲介を依頼することが大切です。

売却益にかかる税金

土地の売却によって利益が出た場合は、所得税と住民税、特別復興所得税の3つがかかります。売却益は売却価格から土地の取得費や売却時の諸経費、適用できる場合は特別控除を差し引いた金額で計算します。これらを計算してプラスにならない場合は、非課税であると考えましょう。

所得税と住民税は売却する土地の所有期間でも税率が異なり、5年以下のものは短期譲渡所得に、5年を超えるものは長期譲渡所得に分類され、それぞれの税率で計算されます。

税金の種類短期譲渡所得の税率長期譲渡所得の税率
譲渡所得税30%15%
住民税9%5%
復興特別所得税2.1%2.1%

所有期間区分が違うと合計の税率が大きく違ってくるため、区分が切り替わるぎりぎりの所有期間なら、少し待ってから売却するとよいでしょう。

売却手続き時に支払う税金

売却手続きの際に支払う税金は印紙税と、登録免許税の2つがあります。印紙税は売買契約書に貼り付ける印紙の費用であり、契約書に記載されている金額で税額が変動します。

契約金額本則税率軽減税率
10万円を超え50万円以下400円200円
50万円を超え100万円以下1,000円500円
100万円を超え500万円以下2,000円1,000円
500万円を超え1,000万円以下10,000円5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下20,000円10,000円
5,000万円を超え1億円以下60,000円30,000円
1億円を超え5億円以下10万円60,000円
5億円を超え10億円以下20万円16万円
10億円を超え50億円以下40万円32万円
50億円を超えるもの60万円48万円

2020年3月31日現在までの取引では、軽減税率が適用されているため負担は少ないです。登録免許税は、不動産の所有権移転登記をする際にかかる費用です。

税額は固定資産税の台帳に記載されている金額を元にし、通常はこの2%が税額となります。ただし、2021年3月31日までの取引だと、土地の登録免許税は軽減税率が適用されるため、1.5%となります。

土地の売却相場に関する2つの注意点

土地の売却相場を考える上では、次の2つの注意点を頭に入れておかなければなりません。

  1. 相場と実際の売却価格には差がある
  2. 都市再生特別措置法区域は価格が上がりやすい

これらを把握して、失敗のない土地売却を目指しましょう。

相場と実際の売却価格には差がある

売り出し価格を設定する際には相場を参考にしますが、これは絶対的なものではありません。相場はあくまで目安の金額であり、実際の売却価格とは多少なりとも差が出ることは理解しておきましょう。

実際の売却価格は、所有物件の特徴やそのときの需要や売り主の事情など、不確定な要素によって左右されるため、ある種運次第、タイミング次第な部分もあります。おおむね相場程度の金額での売却は可能ですが、シチュエーション次第で売却価格が増減することは理解しておかなければなりません。

都市再生特別措置法区域は価格が上がりやすい

形状や大きさなどの条件が同じ土地でも、区域によって売却価格が異なることはあります。特に高値で売りやすいのは、「都市再生特別措置法区域」に指定されている土地です。指定されると、建築の際の条件や税金面での優遇が受けられます。

これは当該地区の再生や活性化も含めて、より高次元の土地利用を行うために考慮されており、結果的に地域全体か活性化することを目的としているため、他の土地よりも高値で売りやすくなります。

相場を知ることで土地の売却を成功させよう

所有する土地を上手に売却するためには、相場を把握し土地の価値について正しい認識をしておくことが大切です。

相場を知ることで、利用する業者の選定や売り出し価格の設定などがしやすくなり、売却もスムーズになります。事前の情報収集が結果を左右するため、相場の調査は念入りに行い、少しでも好条件で土地を売却しましょう。

土地の売却・査定ならSUMiTAS

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

2005年から不動産賃貸仲介営業で不動産業のキャリアをスタート。
物件マニアで、『従事している期間毎日10件内見する』という裏目標を立て、6年間実施。札幌市内の賃貸物件約18,000件を内見した。
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