土地活用で太陽光発電!初期費用はどのくらい?メリットと注意点もあわせて解説!

土地活用 太陽光発電

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

広くて平らな土地を所有しているのなら、太陽光発電での土地活用をご検討してはいかがでしょうか。
太陽光発電はさまざまな補助金制度が適用され、地価や需要を受けづらいおすすめの土地活用です。

本記事では、太陽光発電で収入を得るしくみや、メリット、注意点をお伝えしていきます。土地活用で太陽光発電が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

太陽光発電で収入を得るしくみ

まずは太陽光発電で収入を得るしくみや経営形態など、太陽光発電の基礎知識をお伝えしてきます。

太陽光発電の基礎知識

太陽光発電の経営形態

太陽光発電には「自営方式」「土地貸し出し方式」の2つの経営形態があります。

自営方式は自分自身で太陽光パネルを設置し、発電した電力を売る方法です。売電価格から太陽光パネルのローンなどの経費を差し引いた金額が、そのまま収益になります。

太陽光発電の専門事業者に土地を貸し出し、売電価格ではなく土地の「賃料」を受け取るのが土地貸し出し方式です。太陽光パネルの設置費用や維持管理コストはかかりませんが、自営方式と比べて収益性は低くなる傾向があります。
また、契約満了まで土地を売却したり、他の活用方法に変更したりすることができない点にも注意が必要です。

固定価格買取(FIT)制度について

「売電価格には一定期間買取価格の保証がある」と聞いたことはありませんか?
それが「FIT(固定価格買取)制度」です。

発電力に応じて、10kwh未満であれば10年、10kw以上であれば20年間は電力を固定価格で買い取ってもらえます。アパート経営やテナント経営などに向かない田舎の土地でも、太陽光発電ならばFIT制度によって一定期間は安定した収入が得られることがメリットです。

固定価格は1年ごとに更新され、現在(2023年時点)の買取価格は次のようになっています。

電源規模2023年度下半期2024年度
住宅用太陽光発電10kW未満16円16円
事業用太陽光発電
(地上設置)
10kW以上
50kW未満
10円10円
50kW以上
入札対象外
9.5円9.2円
(参照元:再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度|経済産業省)

一定期間は固定価格での買取が続くFIT制度ですが、表を見てわかるようにFIT制度の固定価格は年々下がっています。この先も値下がりは続くことが予想され、固定期間の契約が終了すると買取価格の保証はなくなります。

FIT制度の契約終了後に太陽光発電を継続する場合は、主要電力会社や新電力会社への売電を継続するか、自己消費するかのいずれかを選択しなければなりません。

太陽光発電の初期費用とランニングコスト

太陽光発電の初期費用には、太陽光パネルやパワーコンディショナー費などの設備費用、取り付け工事費や設置場所の準備費用がかかります。

太陽光発電システムを設置するときにかかる初期費用の目安は、以下の通りです。

費用項目初期費用額(1kWあたり)
太陽光発電パネル約17万円前後
架台約2万円前後
パワーコンディショナー費約4万円前後
工事費・その他約6.万円前後
合計39万円前後

太陽光発電に必要な面積は1kWあたり10〜15㎡が目安なので、300㎡の土地なら20〜30kW分の太陽光パネルを設置できる計算になります。

その場合、初期費用の目安は600〜1,000万円ほどです。初期費用は太陽光パネルのメーカーや導入規模、条件によって異なりますが、土地の広さをもとに計算してみると大きな初期費用がかかることがわかります。

ランニングコスト

太陽光発電は太陽光パネルを設置して終わりではありません。
発電を続けるためには、次のようなランニングコストがかかります。

項目参考相場内容メンテナンス費
メンテナンス費定期点検費用10,000~30,000円/回4年に1回推奨
清掃費用基本料金1万円 + 太陽光パネル1枚あたり500円から1,000円程度規模によって変動有り
設備の修理・交換費用20~30万円 (パワコン1台)パワコンの寿命は 10~15年
税金固定資産税固定資産評価額の1.4%事業収入につながる場合課税対象
所得税売電所得=売電収入-(減価償却費+必要経費)年間20万円を超える売電所得がある場合課税対象
その他保険料35,000~45,000円/年火災保険・動産総合保険/賠償責任保険/休業補償 保険/出力抑制保険など
撤去費用20~30万円作業費/人件費/足場代など

資源エネルギー庁によれば、非住宅用の太陽光発電のランニングコストは1年あたり「5,000円/kW」とされています。先ほどと同じように300㎡の土地に30kWの太陽光パネルを設置するのであれば、ランニングコストは年間15万円が目安です。

太陽光発電と相性がいい土地

アパート経営やテナント経営と同じように、太陽光発電にも「相性がいい」「悪い土地」があります。太陽光発電と相性がいいのは、次のような土地です。

太陽光発電と相性が良い土地
  • 広い土地
  • 平らな土地
  • 日当たりの良い土地
  • 地盤が強い土地
  • 自然災害が少ない土地

広くて平らで日当たりが良く、地盤が強い土地は太陽光発電に適しています。地震や豪雨などの自然災害が少ない土地であれば、尚良いでしょう。

一方で太陽光発電と相性が悪いのは、次のような土地です。

  • 周辺に高い建物や高木などがある日当たりの悪い土地
  • 風が強く倒木や飛散物のリスクがある土地
  • 豪雨や地震などが多い地域

パネルの効率や安全性に影響を及ぼす可能性がある土地は、太陽光発電には向いていません。土地の状態や条件は太陽光発電の効率と収益に直結するため、専門家のアドバイスを受けながら検討しましょう。

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土地活用で太陽光発電をするメリット

太陽光発電には安定性や優遇制度の適用など、さまざまなメリットがあります。

太陽光発電のメリット

安定した経営ができる

先ほどもお伝えしたように太陽光発電にはFIT制度があるため、10〜20年の一定期間は固定価格で電力を買い取ってもらえます。賃貸の経営のように空室リスクがなく、安定した収入を得られるのは大きなメリットと言えるでしょう。

FIT制度や補助金制度が受けられる

太陽光発電を導入すると、FIT制度や自治体の補助金制度などを受けることができます

自治体によっては補助金制度が充実しており、導入費用の一部が補助されることもあるので、導入前に必ず確認しておきましょう。

地価や需要の影響を受けない

アパート経営やテナント経営、駐車場経営、売却など他の土地活用方法では、地価や需要の変動によって収益が大きく左右されます。しかし太陽光発電の収益は太陽光から受けるエネルギー量で決まるので、地価やニーズの影響を受けることはありません。

売電価格の変動はあるものの、需要や地価の変動に関係なく安定した収益を得られる点は太陽光発電のメリットと言えるでしょう。

土地活用で太陽光発電をするときの注意点

安定した収入を期待できる太陽光発電ですが、いくつか注意点もあります。

詳しく解説しますので、しっかりと把握しておきましょう。

太陽光発電の注意点

太陽光パネルの設置費用がかかる

太陽光発電を始めるためには太陽光パネルの設置が必要で、太陽光パネルは設置面積に応じて費用も高くなります。

先ほど例に出したように、300㎡の土地に30kW分の太陽光パネルを設置する場合の初期費用は600〜1,000万円が目安です。手元資金が足りない場合は、資金調達の手段としてローンの借り入れが必要になります。

また、太陽光パネルは同じ容量でも、メーカーによって価格が大きく異なる点にも注意が必要です。価格だけで選ぶと補償がしっかりしていなかったり、長持ちしなかったりする可能性もあります。メーカー選びの難しさは、太陽光発電のデメリットと言えます。

税負担が重くなる

住宅用地には「住宅用地の特例」という税制上の優遇措置があり、固定資産税や都市計画税の税率が軽減されます。しかし、太陽光発電設備は建築物ではないので、特例の対象外となり、アパート経営やテナント経営のように節税効果を得ることができません。

さらに事業収入につながる太陽光発電設備は、固定資産税の課税対象となる点にも注意が必要です。節税効果を得たいのであれば、他の活用方法を検討した方が良いでしょう。

インボイス制度も要チェック

令和5年(2023年)10月1日から開始される「インボイス制度」は、免税事業者への影響はありません。個人事業主で売上が年間1,000万円を超えている場合や、課税事業者を選択している場合はインボイス発行事業者の申請をしておきましょう。

売電価格が年々下がっている

先ほど紹介した買取価格表を見てわかるように、FIT制度の固定売電価格は年々値下げされています。この先も買取価格は下がっていくことが予想されており、太陽光発電を始める時期が遅くなるほど収益は下がってしまうでしょう。

売電価格が下がれば利回りも低下し、投資した初期費用を回収する期間も長くなってしまいます。太陽光発電を始めるときには、土地の状態や条件だけではなく、売電価格の下落見込も考慮し、将来の収益見通しを慎重に検討しなければなりません。

土地活用で太陽光発電を検討している方はSUMiTASにご相談を!

太陽光発電事業は、地価やニーズに収益が左右されず、固定価格買取制度によって一定期間は安定した収益を得られる土地活用方法です。ただし電力の買取価格は年々下がり続けているため、太陽光発電を始めるのなら早めの行動が必要でしょう。

また、土地活用として太陽光発電経営を検討する際には、メリットや注意点だけではなく、売電価格の変動やこの先の展望も把握しておくことが大切です。

SUMiTAS(スミタス)では、太陽光発電はもちろん、さまざまな土地活用方法を提案しております。太陽光発電以外に、高い収益を期待できる活用方法が見つかる可能性もあります。これから土地活用を検討している方は、お気軽にご相談ください。

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

愛媛大学在学中に愛媛県で株式会社アート不動産を創業する。現在アート不動産では、アパマンショップ(賃貸)を5店舗、SUMiTAS(売買)を2店舗・管理センターを1店舗、売買店舗を2店舗運営。吉田 宏の詳細プロフィールはこちら