土地活用で駐車場経営をするメリットと注意点は?適しているのはどんな土地?

土地活用 駐車場

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

初期費用や維持費が比較的かからない駐車場経営は、初心者にも始めやすい土地活用方法の1つです。けれど収益性や税制面での注意点があり、駐車場経営に適している土地と、適していない土地があります。

本記事では、駐車場経営の種類と特徴をはじめ、メリットや注意点などの駐車場経営を始める前に知っておきたい知識をお伝えします。駐車場経営が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

土地活用で行う駐車場経営の種類と特徴

駐車場経営には「月極駐車場」「コインパーキング」の2つの方法があり、それぞれ活用の始め方や特徴が異なります。

「月極駐車場」「コインパーキング」の特徴比較

月極駐車場

月極駐車場は特定の利用者と長期契約を結び、定期的な賃料収入を得る経営方法です。

車を駐車できるスペースさえあれば活用を始められるので、他の活用方法と比べて初期費用と維持費を抑えられます。

月極駐車場の運営方式には、個人で運営する方法のほかに「管理委託方式」と「一括借上方式(サブリース)」があります。それぞれの特徴を見てみましょう。

  • 管理委託方式:駐車場の運営を専門の管理会社に委託し、月々管理委託費を支払う。初期費用や維持費はオーナー負担。
  • 一括借上方式:駐車場の経営をまとめて業者に委託し、オーナーは借地料のみを受け取る。税金を除く初期費用や維持費はすべて委託会社が負担する。

どちらの方法も、駐車場管理の手間が省けることがメリットです。経営を委託すれば、副業で経営にあまり手がかけられない方や、遠方に住んでいる方も経営が可能になります。

ただし駐車場管理を委託する場合は、管理委託費が発生するため個人経営と比べて収益は下がってしまいます。個人経営、経営委託のそれぞれの特徴を把握したうえで、どちらの方法にするか考えましょう。

コインパーキング

コインパーキング経営では特定の人に駐車場を貸すのではなく、不特定多数の利用者が駐車時間に応じて料金を支払います。

駐車時間の計算や支払いのために、精算機やロック、ゲートなどを設置する初期費用はかかりますが、駐車場需要が高い場所であれば月極駐車場よりも高い収益を期待できます。

ただし、特定の利用者が決まっていないので、安定した賃料収入が見込めるわけではありません。誰も利用しなければ収益が0円の日も出てくるため、周辺の駐車場ニーズをしっかりと調査する必要があります。

コインパーキングは専用設備が必要

コインパーキングの運営にも「個人運営」と「委託運営」の2つの方式がありますが、コインパーキングでは専用の設備を用意が必要になるため、管理は業者に委託することがほとんどです。

土地活用で駐車場経営をするメリット

駐車場経営の種類と特徴を説明したので、ここからは土地活用で駐車場経営をするメリットをお伝えしていきます。

駐車場経営のメリット

初期費用を抑えられる

駐車場経営の大きなメリットは、初期費用を抑えられることです。

土地活用にはさまざまな方法がありますが、中でもアパート経営やテナント経営は多額の初期費用がかかります。建物の本体工事費に加えて、上下水道や外構などを整える費用やローンの手数料、登記費用なども必要になり、建物の規模によっては数千万円、ときには数億円かかることも珍しくありません。

経営がうまくいけば大きな収益を期待できますが、それだけ支出も大きくなります。

一方で駐車場経営は土地さえあれば、ほとんど初期費用をかけずに始められる土地活用です。初期投資が少ないことは、土地活用が成功するか不安に思っている投資初心者にとってメリットと言えるでしょう。

アパート経営における利回りとは?最低ラインや注意点を解説

土地面積が狭い場合でも活用できる

駐車場経営は、面積が狭い土地でも始められます。

住宅地としては扱いづらい細長い土地やL字状の旗竿地でも、駐車スペースさえ確保できれば問題ありません。どんなに狭くいびつな土地でも、駅や繁華街、商業施設、学校付近などの駐車ニーズが高い場所であれば収益を期待できるでしょう。

ただし、普通車を駐車するためには「横幅2.5m × 縦幅5m」の駐車スペースが必要で、その広さが確保できない場合は駐車が困難です。駐車場経営を始めるときには、「最低限の駐車スペースが確保できそうか」という点に注意しましょう。

管理に手間がかからない

駐車場経営はアパート経営やテナント経営と比較して、管理に手間がかかりません。

アパート経営やテナント経営では、入居者の管理やトラブルへの対応、定期的なメンテナンス、空室対策、家賃滞納者への対応など、さまざまな面で管理の手間が生じます。これらの管理はすべて管理会社に委託することができますが、多額の委託費用がかかります。

これに対して駐車場経営では、利用者との契約管理や税金の支払いなどが中心になるので管理にあまり手間がかかりません。コインパーキングの場合は管理会社に委託することがほとんどなので、管理に手間をかけることなく運営を続けられるでしょう。

活用方法を変更しやすい

更地のまま土地を活用する駐車場経営は、将来的に他の活用方法への変更が可能です。土地にアパートや建物を建てて貸し出すことはもちろん、戸建住宅を建てて自分で住むこともできます。

アパートやテナントの場合、活用方法を変更する際には建物の取り壊しなどが必要になり、時間と解体費用がかかりますが、駐車場は撤去費用がほぼかかりません。

月極駐車場で契約車両がある場合も、1か月前の通知で契約解除することができます。

活用をすぐに始められて、「活用を辞めたい」「活用方法を変更したい」と思ったときにすぐ対応できることは、土地活用の大きなメリットと言えるでしょう。

土地活用で駐車場経営をするときの注意点

初心者にも始めやすくメリットの多い駐車場経営ですが、もちろん注意点もあります。駐車場経営で後悔しないために、注意点をしっかりと頭に入れておきましょう。

駐車場経営をするときの注意点

税負担が重くなる

土地を駐車場として活用する場合は「住宅用地の特例」が適用されなくなり、固定資産税や都市計画税の負担が重くなります。

住宅用地の特例は、人が居住するための住宅が建っている敷地や庭、居住用駐車場の敷地などの固定資産税と都市計画税が軽減される特別措置のことです。住宅用地として活用する場合には一定の税金の軽減が行われますが、駐車場として利用すると減税措置の対象外となります。

さらに駐車場にアスファルト舗装をしたりフェンスを設置した場合、その費用が10万円以上かかり、償却資産評価額の合計が150万円以上になると、償却資産税が課される点に注意が必要です。

そして駐車場を事業者に貸し出す場合、令和5年(2023年)10月1日以降は「インボイス制度」にも注意しなければなりません。事業者が駐車場賃料の仕入税額控除を受けるためには、適格請求書(インボイス)が必要になるからです。

適格請求書を発行するためには、オーナーが課税事業者になる必要があります。オーナーがこれまで免税事業者だった場合は、課税事業者になることで消費税分の負担が増えることになります。

収益性が低い

駐車場経営は他の土地活用方法と比べて初期費用はかかりませんが、収益性が低いという点に注意が必要です。

アパート経営やテナント経営などの活用方法に比べて損失が出るリスクが低い分、利益も限られるローリスク・ローリターンの運営だと言えます。

けれど記事内で何度もお伝えしたように、駐車場経営はほぼ初期費用をかけることなく始められる初心者向きの土地活用です。まずは駐車場経営を始めてみて、収益の様子を見ながら他の活用方法を考えるのも1つの方法です。

駐車場と相性が良い土地

最後に月極駐車場とコインパーキング それぞれ相性が良い土地を説明します。

自分が所有する土地の特徴から、どちらが適しているのか考えてみてください。

駐車場経営と相性が良い土地

月極駐車場に適している土地

住宅地やオフィス街にある土地は、月極駐車場に適しています。

住宅地では周辺に居住する住民が駐車場を必要とするケースが多く、オフィス街ではオフィス勤務者やビジネス関係者からの駐車場需要が期待できるからです。

たとえば住宅地では自宅の駐車場では台数が足りなかったり、マンション内の駐車場が確保できなかったりというケースはよくあります。

オフィス街では車通勤は可能であるものの、会社の敷地内に駐車スペースが確保できないことや、抽選制で数台しか停められず、駐車場を探している勤務者がいる可能性もあります。

所有する土地が住宅地やオフィス街にあるのなら、月極駐車場を検討すると良いでしょう。

コインパーキングに適している土地

コインパーキングに適しているのは、駅の近くや駐車場が不足している商業施設、病院、大学周辺などにある土地です。一時的に駐車せざるを得ない場所にある土地は、コインパーキング向きの土地と言えます。

これらの施設からやや距離がある場合には、周辺のコインパーキングの駐車状況からニーズ調査をしてみてください。土地周辺に常に満車になっているコインパーキングが多いのなら、エリアのコインパーキング需要が高いとみていいでしょう。

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駐車場経営を検討している方は相談実績が豊富なSUMiTASにご相談を!

初期費用や維持費があまりかからず、大きなリスクを抱えずに始められる駐車場経営は、投資初心者でも始めやすい魅力的な土地活用方法です。

ただし、駐車場経営は土地周辺のニーズ調査が必須で、駐車需要がない土地で駐車場を経営すると収益は0になってしまいます。ローリスクといえど、簡単な経営方法ではありません。

土地活用を始めるのなら活用方法にかかわらず、不動産投資の専門家である不動産会社に1度相談してみましょう。

SUMiTAS(スミタス)では土地活用の相談をお受けするのはもちろん、土地に適した駐車場経営の方法もご提案いたします。駐車場経営を検討中の方は、お気軽にご相談ください。

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

愛媛大学在学中に愛媛県で株式会社アート不動産を創業する。現在アート不動産では、アパマンショップ(賃貸)を5店舗、SUMiTAS(売買)を2店舗・管理センターを1店舗、売買店舗を2店舗運営。吉田 宏の詳細プロフィールはこちら