住宅ローン控除初年度の確定申告はどう進める?必要書類や注意点をチェック!

住宅ローン控除初年度の確定申告はどう進める?必要書類や注意点をチェック!

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

住宅ローンを組んで家を購入したら、住宅ローン控除を利用できますが、住宅ローン控除を利用するためには、家を買った翌年に必ず確定申告が必要です。

しかし会社勤めで確定申告をしたことがない方は「どう手続きしたらいいかわからない」と悩んでしまうと思います。そこで本記事では、住宅ローン控除を受けるための確定申告に必要な書類や手順、注意点をお伝えしていきます。

住宅ローン控除を利用し、減税するためには確定申告が必須なので、ぜひ最後までご覧になってください。

住宅ローン控除を受けるには初年度に確定申告が必要!

冒頭でもお伝えしたように、住宅ローン控除を受けるためには家を買った翌年に確定申告が必要です。確定申告をしなければ住宅ローン控除は適用されず、所得税や住民税の控除を受けることはできません。

「そもそも住宅ローン控除がどんな制度なのかわからない」という方は、住宅ローン控除について説明した記事がありますので、まずはこちらをご覧ください。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除を受けるための確定申告の基本

確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の収入(所得)と、それに対する所得税の額を計算し、国に報告する一連の手続きのことです。住宅ローン控除を受ける場合は、確定申告で「還付申告」を行い、納めすぎた所得税の還付を受けます。

ここでは確定申告の時期や申請先、方法など、確定申告の基本を見ていきましょう。

申請時期

住宅ローン控除を受けるために行う確定申告の申請時期は、家を買った「翌年1月1日から3月15日まで」です。申告書の提出期限が土日祝にあたる場合は、その翌平日が提出期限となります。

住宅ローン控除の確定申告は1月1日からですが、所得税の申請時期は2月16日から3月15日までと、住宅ローン控除よりもやや短いので注意しましょう。

申請先

確定申告の申請先は「住所地を管轄する税務署」です。
住所地の税務署がわからない場合は、国税庁のウェブサイト「税務署の所在地などを知りたい方」のページで郵便番号や住所、地図から管轄の税務署を検索できます。

参考:国税庁「税務署の所在地などを知りたい方」
https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm

申請方法

確定申告の申請方法には、次の3つの方法があります。

  • ウェブサイト(電子申告)
  • 税務署の窓口
  • 郵送

ウェブサイトを利用すれば書類作成から申告まですべてウェブ上でできますが、自宅で作成した書類を窓口へ持参したり、郵送したりすることも可能です。
書類の詳しい提出方法については、後ほど説明します。

住宅ローン控除初年度の確定申告のスケジュール

住宅ローン控除を受けるための確定申告時期は1月1日から3月15日までですが、書類集めなどの準備に時間がかかるため、早めに動いておくことをおすすめします
ここでは住宅ローン控除初年度における、確定申告のスケジュールをお伝えしていきます。

12月~1月:勤務先から源泉徴収票を受け取る

会社員の場合、12月に行われる年末調整後に源泉徴収票が発行されます。
住宅ローン控除を受けるための確定申告では「家を買った年」の源泉徴収票が必要になるため、大切に保管しておきましょう。

もし源泉徴収票が2月までに発行されなかったときには発行依頼を、紛失してしまった場合は再発行依頼をして、必ず手元に用意しておいてください。

1月~2月:確定申告に必要な書類を集める

年が明けたら、確定申告に必要な書類を集め始めましょう。
確定申告に必要な書類は、金融機関、法務局、不動産会社(売主)、住宅会社、税務署などの複数か所から取得するため、意外と時間がかかります。

とくに金融機関や法務局、事務所などは平日のみの営業や開庁になるため、忘れないよう、早めに取得しておきましょう。なお、住宅ローン控除の確定申告申請は1月1日からできるので、書類が集まれば年明けから申請可能です。

必要書類と取得場所については、後ほど詳しくお伝えします。

2月中旬~3月中旬:確定申告手続き

書類がすべて集まったら、確定申請書を受け取る、またはダウンロードして書類を作成していきます。作成するのは、次の2つの書類です。

  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 確定申告書(会社員など給与所得者の場合はA様式)

書類作成は税務署または自宅で行い、持参・郵送・電子のいずれかの方法で申告と書類提出を行います。作成方法がわからない場合は窓口で相談しながら作成することもできますが、確定申告時期は窓口がとても混み合います。

まずは国税庁のウェブサイト「住宅ローン控除を受ける方へ」のページを参考にして、作成してみましょう

参考:国税庁「住宅ローン控除を受ける方へ」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/info-jyutakukoujo.htm

申告後、1か月〜1か月半後に還付金が入金されます。

確定申告を忘れた、間に合わなかったとき

確定申告を忘れてしまったり、間に合わなかったりして手続きできなかった場合、住宅ローン控除は適用されません。ただし過去5年分はさかのぼって還付申告できるので、申告のし忘れに気づいたらすぐ手続きしておきましょう。

5年間の申告期限を過ぎた場合は、還付申告をしても控除を受けることはできません。

住宅ローン控除初年度の確定申告に必要な書類

前述したように、住宅ローン控除を受けるための確定申告には、さまざまな書類が必要です。ここでは必要書類と取得場所を確認していきましょう。

書類取得場所
確定申告書税務署窓口または 国税庁のウェブサイト
住宅借入金等特別控除額の計算明細書
本人確認書類(1または2)の写し 1.マイナンバーカード 2.通知カード、マイナンバー記載の住民票 上記に加えて 運転免許証、パスポートなどの本人確認書類市町村役場またはコンビニエンスストア
源泉徴収票勤務先
住宅ローン年末残高証明書金融機関
登記事項証明書法務局
売買契約書(工事請負契約書)の写し契約書類の中からコピーして提出 (不足書類や紛失した書類がある場合は、必要に応じて不動産会社または住宅会社に問い合わせる)
耐震基準適合証明書または住宅性能評価書の写し (耐震基準を満たす中古住宅の場合)
認定通知書の写し (認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の場合)

一覧を見てわかるように、住宅ローン控除の確定申告にはさまざまな書類が必要です。
原本が必要になる書類もあれば、写しが必要な書類もあるので、どの形式の書類が必要なのかも確認しておきましょう。

確定申告書類の提出方法

前述したように、確定申告書類の提出には、

  • ウェブサイト(電子申告)
  • 税務署の窓口
  • 郵送

3つの方法があります。
それぞれどのような方法で提出するのか、メリットや注意点を踏まえて説明していきます。

電子申告(e-Tax)

電子申告(e-Tax)を利用すれば、インターネット上で自宅から書類を提出できます
申告期間中は24時間受付可能で、インターネット環境さえあれば好きな時間に申請できることがメリットです。

ただしe-Taxはマイナンバー方式なので、パソコンから申請する場合は、マイナンバーとICカードライタまたはマイナンバーの読み取りに対応したスマートフォンが必要です。前もって道具を準備する必要がある点に注意しましょう。

税務署の窓口

税務署の窓口では書類の提出だけではなく書類作成もできるので、その日のうちに書類を作成して提出することが可能です。不明点が出たときすぐに相談できるのも、窓口で手続きするメリットと言えます。

ただし税務署の開庁日は、平日の8時30分〜17時(一部の税務署では日曜も開庁)までなので、土日祝休みの方は仕事を抜けたり休んだりしなければなりません。さらに確定申告時期は窓口が非常に混み合うので、待ち時間も発生するでしょう。

郵送

郵送であれば、自宅で書類を作成して郵送するだけで書類提出が完了します。
「信書」にあたる確定申告書は、宅配便やゆうパックでの送付はできないので、必ず普通郵便またはレターパック、簡易書留、特定記録郵便のいずれかの方法で送付してください。

なお、郵送では通信日付印(消印)が提出日とみなされるため、必ず3月15日までに消印が付くように、発送日にも気を付けましょう。

住宅ローン控除初年度にする確定申告の注意点

住宅ローン控除の確定申告には、いくつか注意点があります。
最後に注意点に目を通しておきましょう。

2年目以降は申告不要

住宅ローン控除を受けるとき、確定申告が必要なのは住宅ローン控除を受ける初年度のみです。会社員などの給与所得者の場合、2年目以降は年末調整で手続きできます。

年末調整での手続きは、勤務先に「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」「住宅ローンの残高証明書」を提出する必要があるので、大切に保管しておきましょう。

ふるさと納税のワンストップ特例制度が利用できない

会社員などの給与所得者がふるさと納税をするときには、確定申告不要の「ワンストップ特例制度」を利用することがほとんどです。しかし住宅ローン控除の初年度は確定申告をするため、ワンストップ特例制度は利用できません。

納税時には、ワンストップ特例制度ではなく確定申告する旨を記載し、確定申告時には忘れないよう寄付金控除申請をしておきましょう。

もし寄付金控除申請を忘れてしまった場合は、「更正の請求」をすれば住宅ローン控除と同じように過去5年分までさかのぼって還付を受けることができます。寄付金控除申請を忘れるとふるさと納税分がすべて自己負担になってしまうため、忘れないように入力または記載しておきましょう。

住宅ローン控除の確定申告は1度のみ!余裕をもって書類準備を!

住宅ローン控除を受けるためには、書類集めや確定申告の手続きなど、すべきことが多くあります。少し面倒に感じるかもしれませんが、会社員のような給与所得者であれば、確定申告が必要なのは住宅ローン控除を受ける初年度のみです。

住宅ローン控除はとても節税性が高い制度なので、忘れないよう申告しましょう。
SUMiTAS(スミタス)では、不動産購入にあたって住宅ローン控除の手続きの相談も承っております。これから不動産の購入予定がある方は、お気軽にご相談ください。

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

愛媛大学在学中に愛媛県で株式会社アート不動産を創業する。現在アート不動産では、アパマンショップ(賃貸)を5店舗、SUMiTAS(売買)を2店舗・管理センターを1店舗、売買店舗を2店舗運営。吉田 宏の詳細プロフィールはこちら