2021年公示地価ランキング。6年ぶりに下落!

2021年公示地価ランキング。6年ぶりに下落!

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

2021年3月23日に発表された最新の公示地価ランキングを紹介します。2021年の公示地価は新型コロナウイルスの影響で、全国全用途6年ぶりに下落しました。公示地価は土地の用途を分類しており「住宅地」「商業地」「工業地」「全用途」の4つに分けられます。

SUMiTAS(スミタス)では「住宅地」と「商業地」の価格順ランキングを紹介します。2021年も前年同様、どちらもTOP10を東京圏が占めており、順位は前年からあまり変わりがありませんが、全体的に下落しています。昨年との比較ができる対前年変動率(%)をご参考ください。

参考:国土交通省 令和3年地価公示の概要「公示価格上位順位表(全国)」

2022年発表の最新公示地価ランキングは下記の記事をご覧ください。

【最新】2022年公示地価ランキング。全国平均上昇【2022年最新】2022年公示地価ランキング。全国平均上昇

2021年公示地価ランキング(全国)

【住宅地:価格順】公示地価ランキングTOP10

2021年1月1日時点の住宅地の価格順公示地価ランキングは、次の通りです。

「住宅地 公示地価ランキングTOP10(表1)」

順位都道府県住所公示地価
(円/㎡)
対前年変動率
(%)
1位東京都港区赤1-14-114,840,000円/㎡2.5%
2位東京都千代田区六番町6番14,050,000円/㎡0%
3位東京都港区白金台3-16-103,810,000円/㎡0%
4位東京都港区南麻布4-9-343,570,000円/㎡2.0%
5位東京都港区南麻布1-5-113,170,000円/㎡0%
6位東京都千代田区三番町6番253,160,000円/㎡0%
7位東京都千代田区一番町16番33,030,000円/㎡0%
8位東京都千代田区九段北2-3-252,960,000円/㎡0%
9位東京都港区赤坂6-19-232,750,000円/㎡0.4%
10位東京都渋谷区恵比寿西2-20-72,730,000円/㎡0.7%

住宅地のTOP10ランキングはすべて東京圏の地域で、2020年と同じ順位でした。地価ランキングトップの「赤坂1-14-11」は2.5%となり、2位以降の対前年変動率が0%が多い中で強さがわかります。2021年は1㎡あたり484万円で、4年連続で1位になっています。

最寄り駅は溜池山王駅で、近くには虎ノ門ヒルズやアークヒルズ仙石山森タワー、六本木ヒルズ、国会議事堂などがある高級住宅街で、資産家や経営者などの富裕層が生活しています。赤坂エリアは再開発が進んでおり、赤坂7丁目には地上46階建高層住宅棟や6階建商業棟なども建設予定です。

【商業地:価格順】公示地価ランキングTOP10

2021年1月1日時点の商業地の価格順公示地価ランキングは、以下の通りです。

「商業地 公示地価ランキングTOP10(表2)」

順位都道府県住所公示地価
(円/㎡)
対前年変動率
(%)
1位東京都中央区銀座4-5-653,600,000円/㎡▲7.1%
2位東京都中央区銀座5-4-346,100,000円/㎡▲7.2%
3位東京都中央区銀座2-6-739,900,000円/㎡▲7.9%
4位東京都中央区銀座7-9-1939,300,000円/㎡▲8.0%
5位東京都千代田区丸の内2-4-137,200,000円/㎡▲1.1%
6位東京都新宿区新宿3-24-136,500,000円/㎡▲3.7%
7位東京都新宿区新宿3-30-1134,600,000円/㎡▲6.0%
8位東京都中央区銀座6-8-329,300,000円/㎡▲9.0%
9位東京都千代田区大手町2-2-129,000,000円/㎡▲1.4%
10位東京都中央区銀座4-2-1528,700,000円/㎡▲7.4%

商業地は新型コロナウイルスの影響で店舗やホテルの不動産需要が縮小し、マイナス0.8%と7年ぶりの下落となりました。2021年もランキングTOP10を占めるのはすべて東京エリアで、ランキングトップは6年連続1位となっている「山野楽器銀座本店」ですが、2020年から1㎡あたり▲410万円下がりました。

  • 1位:山野楽器銀座本店
  • 2位:対鶴館ビル
  • 3位:明治屋銀座ビル
  • 4位:ZARA
  • 5位:丸の内ビルディング(1ランク↑)
  • 6位:新宿M-SQUARE(1ランク↓)
  • 7位:新宿高野第二ビル
  • 8位:銀座尾張町TOWER
  • 9位:新大手町ビルディング(1ランク↑)
  • 10位:塚本素山ビルディング(1ランク↓)

上記の通り、地価ランキングTOP10には2021年もお馴染みの建物が並びます。5位の千代田区丸の内と、9位の千代田区大手町は下落率が1%台と他のエリアより少なく、オフィス需要に比べて商業地としての価値に影響があったことがうかがえます。

公示地価の内容や決まり方

公示地価は、国土交通省から毎年発表される土地の評価基準で、土地取引の際の指標です。公示地価の内容や決まり方、他の評価基準との違いを知ることで、土地価格を把握しやすくなります。

公示地価の内容や決まり方、他の土地評価基準との違いについては下記の記事を参考にしてください。

2021年の公示地価が下落した理由

2021年3月発表の公示地価は、全用途の全国平均が対前年でマイナス0.5%となり、2015年以来6年ぶりに下落しました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、インバウンド需要が減少した事が主な要因の1つです。それによりホテルや店舗の土地需要が激減し商業地が7年ぶりに下落となりました。また、景気の先行き不安から、住宅地も5年ぶりに下落しました。下落の傾向は住宅地よりも商業地、地方圏よりも3大都市圏の方が大きかったです。

全国的に地価が下落

2021年3月に発表された最新の公示地価の特徴は、

  • 全国平均が6年ぶりに下落
  • 住宅地は5年ぶりに下落
  • 商業地は7年ぶりに下落
  • 三大都市圏(東京、大阪、名古屋)はいずれも8年ぶりに下落
  • 地方四市(札幌、仙台、広島、福岡)はすべての用途で上昇を継続したが上昇率が縮小
  • 地方四市を除くその他地方圏でも全用途平均・住宅地は2年ぶりに、商業地は3年ぶりに下落

となっています。以下は、主なエリアの公示地価変動率です。

「エリア別公示地価変動率」

全国
 2019年2020年2021年
全用途1.2%1.4%▲0.5%
住宅地0.6%0.8%▲0.4%
商業地2.8%3.1%▲0.8%
三大都市圏(東京、大阪、名古屋)
 2019年2020年2021年
全用途2.0%2.1%▲0.7%
住宅地1.0%1.1%▲0.6%
商業地5.1%5.4%▲1.3%
地方四市(札幌、仙台、広島、福岡)
 2019年2020年2021年
全用途5.9%7.4%2.9%
住宅地4.4%5.9%2.7%
商業地9.4%11.3%3.1%
その他地方圏
 2019年2020年2021年
全用途▲0.2%0.1%▲0.6%
住宅地▲0.2%0%▲0.6%
商業地0%0.3%▲0.9%

全国的に下落していますが、地方四市(札幌、仙台、広島、福岡)の公示地価は上昇を維持していることが2021年公示地価の傾向です

公示地価の下落による影響

公示地価は不動産取引や税金などに影響を及ぼすため、地価下落で喜ぶ人もいれば、そうでない人もいます。地価下落がどのような影響をもたらすのか知っていれば、先回りした行動が可能です。

公示地価下落の「マイナス影響」

公示地価が下落すれば、不動産の資産価値や売却価格下落への影響があります。ここでは、公示地価下落の主なマイナス影響以下2点について見ていきましょう。

  1. 不動産の資産価値が下がる
  2. 不動産を高く売却できない可能性がある

1.不動産の資産価値が下がる

公示地価は不動産取引の指標となるため、公示地価が下落すれば所有する不動産の資産価値が下がることが多いです。

公示地価は、一般の土地取引の指標や公共事業用地の取得価格算定規準となるため、不動産の資産価値に大きな影響を与えます。資産価値が安くなれば、売却のタイミングを見極めることが大切です。売却の流れや高く売るためのポイントは、こちらを参考にしてください。

不動産価格の推移や動向【2019年版】売却に適したタイミングとは?不動産価格の推移と動向!売却に適したタイミングとは?

2.不動産を高く売却できない可能性がある

公示地価が下落すれば、不動産の価値も下がるため、それまでのような金額で売却できない可能性があります。しかし、全国的に下落している中で地価が維持・上昇しているエリアは注目度が高く、需要も見込めるため、買い手は見つかりやすいと言えるでしょう。不動産の売却を考えている方は、売却のタイミングについてもSUMiTAS(スミタス)にご相談ください。不動産(マンション・戸建て・土地)を売却する方法や高く売るコツについては、こちらを参考にしてください。

土地売却の手順は?税金・費用の相場や高く売るためのコツなどを紹介土地売却の手順は?税金・費用の相場や高く売るためのコツなどを紹介

公示地価下落の「プラスの影響」

公示地価下落にはマイナス影響がある一方で、プラスの影響もあります。ここでは、公示地価下落によって考えられるプラスの影響2点について見ていきましょう。

  1. 税金が安くなる
  2. 不動産を買いやすくなる

1.税金が安くなる

公示地価は土地の相続評価や固定資産税評価の基準になるため、地価が下落すれば各種税金が低くなることが考えられます。相続税や贈与税の基準となる相続税路線価は、公示地価の8割を目安に決められるため、公示地価と相続税路線価は推移の仕方が同じです。

また、固定資産税や不動産取得税の基準となる固定資産税路線価は、公示地価の7割を目安に決められています。

  • 公示地価上昇:相続税路線価、固定資産税路線価も上がる
  • 公示地価下落:相続税路線価、固定資産税路線価も下がる

となるため、公示地価が下落をすれば、固定資産税や相続税などの税負担が減る可能性が高いです

2.不動産を買いやすくなる

公示地価の下落によって売主は良い条件で売却しにくくなる場合がありますが、買主は価格が安くなって買いやすくなります。買主にとっては不動産購入のハードルが下がり、予算内に収まる不動産が見つかる可能性があるため、新着物件を小まめにチェックしてみてください。

不動産の売却・購入を考えている方は、SUMiTAS(スミタス)にご相談ください。市場規模・動向に見合った売却方法やタイミングのアドバイスを、お客様の要素と照らし合わせながらご提案いたします。

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

愛媛大学在学中に愛媛県で株式会社アート不動産を創業する。現在アート不動産では、アパマンショップ(賃貸)を5店舗、SUMiTAS(売買)を2店舗・管理センターを1店舗、売買店舗を2店舗運営。吉田 宏の詳細プロフィールはこちら