相続した家や実家がゴミ屋敷になっている場合、売却できるのか心配になる方も多いでしょう。結論からお伝えすると、ゴミ屋敷でも売却することは可能です。
ただしゴミの撤去やリフォームが必要になるケースもあるため、通常の物件とは売却の流れがやや異なります。そこで本記事では、ゴミ屋敷を売却する前に知っておきたいことや、ゴミ屋敷を迅速かつ適正価格で売却する方法を説明します。
ゴミ屋敷の売却でお悩みの方は、最後まで目を通してみてください。
目次
ゴミ屋敷を売却する前に知っておきたいこと
冒頭でもお伝えしたように、ゴミ屋敷の売却は通常の売却とはやや流れが異なり、売却が遅くなることで発生するリスクもあります。この章では、売却前に知っておくべきことをお伝えします。
ゴミ屋敷を放置するリスク
ゴミ屋敷の片づけには手間も時間もかかるので、売却を後回しにしがちです。しかしゴミ屋敷を放置することには、次のようなリスクがあります。
- 近隣トラブルになる
- 行政代執行の対象になる
詳しく説明していきます。
近隣トラブルの原因になる可能性がある
ゴミ屋敷を放置すると、近隣トラブルに発展する恐れがあります。
ゴミ屋敷は悪臭・害虫の発生や、火災・放火などのリスクを高めてしまうからです。また、外までゴミが散らばっている場合は周辺の景観や環境を悪化させ、近隣住宅の資産価値まで下げてしまう可能性があります。
実際にゴミ屋敷をめぐって近隣トラブルが起こり、損害賠償請求にまで発展した例もあるほどです。ゴミ屋敷の存在は、近隣住民にとって非常に迷惑であることを頭に入れておきましょう。
行政代執行の対象になる可能性がある
ゴミ屋敷の放置によって住居や近隣に被害が出ている場合、自治体からゴミを片づけるように必ず注意勧告を受けます。
しかしそれを無視し続けると、強制的にゴミを処分する「行政代執行」が行われるため注意が必要です。行政代執行にかかる費用は、所有者負担になります。
対象となる条件は自治体によって若干異なりますが、次のような状況であれば行政代執行が行われる可能性があります。
- 害虫や害獣の被害が出ている
- 火災延焼のリスクが高い
- ゴミによる被害が近隣にまで出ている
もしすでに注意を受けているのなら、行政代執行が行われる前に速やかに対処しましょう。
引き渡し時にはゴミを撤去する必要がある
仲介でゴミ屋敷を売却するのなら、引き渡し時にはゴミを撤去して何もない状態にしておくのが基本です。査定はゴミがある状態でも行えますが、引き渡しまでには片づけておかなければなりません。
自分で片づけるのが難しい場合は、ゴミ屋敷専門の清掃業者に依頼するなどして必ずゴミを撤去しておきましょう。
ゴミ屋敷を迅速・適正評価で売却する3つの方法
ゴミ屋敷の売却相場は、仲介であれば市場価格の7〜8割ほどです。
しかし、売却価格がどのくらいになるのかは、汚れの程度や物件の周辺環境、物件の売り方によっても差が出ます。
そこでこの章では、ゴミ屋敷を迅速かつ適正評価で売却する3つの方法をお伝えします。
- ゴミを撤去して室内をリフォームしておく
- 建物を解体して更地にしておく
- ゴミが残っている状態で買取業者に売却する
詳しく見ていきましょう。
1.ゴミを撤去して室内をリフォームしておく
築年数があまり経っていない一戸建てやマンションの場合は、ゴミを撤去して室内をリフォームしておけば、買い手が見つかりやすくなるでしょう。室内や敷地内、専有部分にあるゴミをきれいに掃除したのちに、汚れた部分をリフォームしたり、臭いを取るために特殊清掃をしたりします。
ただし、ゴミが原因でトラブルや臭いがあったなど、買い手が「知っていたら買わなかった」と思うような要素がある場合は、購入希望者にゴミ屋敷だった事実を説明する義務があります。その場合は、値下げ対応などが必要になるかもしれません。
片づけやリフォームをしたからといって、高く・早く売却できるわけではないということをも、頭に入れておいてください。
2.建物を解体して更地にしておく
木造一戸建てで築年数が30年以上経っている場合や、ゴミの放置によって室内が激しく劣化や欠損している場合は、建物を解体して更地にするのもひとつの手です。
更地にすることで、すぐに買い手が見つかる可能性があります。ただし、解体業者が回収するのは産業廃棄物のみなので、ゴミの処理はしてもらえません。ゴミ処理業者に依頼してゴミを撤去したのちに、建物を解体することになるため更地にするための費用がかさみます。
また、更地にすると固定資産税の軽減が受けられなくなるので、税負担が最大6倍になってしまう点にも注意が必要です。自己判断せず、不動産会社と相談のうえ検討しましょう。
3.ゴミが残っている状態で買取業者に売却する
片づけが面倒な方や、売却まで急いでいる方には買取がおすすめです。
ゴミ屋敷のまま買い取ってくれる不動産会社に依頼すれば、ゴミを片づける手間と費用が省けます。
また、買取価格や条件に双方が納得すれば、1〜2週間ほどでゴミ屋敷を現金化できるのも、買取を選択するメリットです。ただし、買取価格の相場は市場価格の6〜7割ほどで、さらにそこからゴミ処理費用が加味されるため、市場価格の5割程度になる場合もあります。
手元にできるだけ多くお金を残すためには、高値で買い取ってくれる、信頼できる不動産会社に買取依頼をしましょう。
ゴミ屋敷を売却するときにかかる費用
ゴミ屋敷の売却方法で悩んだとき、ゴミの撤去やリフォーム、建物の解体にかかる費用を知ってから検討したいと思うはずです。最後に、ゴミ屋敷を売却するときにかかる費用をお伝えします。
ゴミの撤去と清掃にかかる費用
ゴミを自分でゴミ処理センターに搬入すれば、無料で引き取ってくれる自治体もありますが、ゴミ屋敷になるほどの量となると、搬入は現実的ではありません。そのため、ここではゴミ処理業者に依頼する場合の、費用相場をお伝えします。
間取り | 費用目安 |
---|---|
2DK | 9~25万円 |
2LDK | 12~30万円 |
3DK | 15~40万円 |
3LDK | 17~50万円 |
4LDK以上 | 22万円~ |
費用幅が大きいのは、ゴミの量や作業員の人数、作業時間、トラックの数、大きさなどによって、費用にも差が出るからです。また、一戸建てかマンションであるかによっても、費用に差が出ます。ゴミの量が多くなるほど、費用も高くなると考えておきましょう。
続いて、床の汚れの拭き取りや、薬品を用いた清掃・消臭作業をするときにかかる費用の目安は次のとおりです。
間取り | 費用目安 |
---|---|
2DK | 3.5万円~ |
2LDK~3DK | 5万円~ |
3LDK~4DK | 6.5万円~ |
4LDK以上 | 8万円~ |
ゴミの撤去と同様に、清掃作業も汚れの程度や作業員の人数、作業時間によって価格に差が出ます。
今回は部屋数を目安に費用を紹介しましたが、部屋の大きさ(平米・坪)によっても費用を決めている業者も多くあります。詳細な費用が知りたい方は、業者に見積もり依頼をしましょう。
リフォームにかかる費用
ゴミの撤去後にリフォームする場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。4LDKをリフォームすると仮定した場合の費用目安を見てみましょう。
内容 | 費用目安 |
---|---|
壁紙の貼り換え | 50万円前後 |
床材の張り替え | 80万円~ |
キッチン交換 | 60~150万円 |
浴室交換 | 60~150万円 |
給湯器交換 | 20~30万円 |
トイレ交換 | 15~40万円 |
内装や水まわり設備をすべて交換する場合の費用目安は400〜500万円ほどですが、部屋の広さはもちろん、選ぶ内装材の種類や設備のグレード、リフォーム会社によっても大きく異なります。
建物の解体費用
建物の解体費用は平米数・坪数によって決まっており、木造一戸建てならば「3〜5万円/坪」が相場です。ここでは坪数ごとの費用目安を見てみましょう。
間取り | 費用目安 |
---|---|
20坪 | 60~100万円 |
30坪 | 90~150万円 |
40坪 | 120~200万円 |
表を見てわかるように、解体には高額な費用がかかります。前面道路が狭くトラックが入れない場合などは、追加料金がかかるため費用はさらに高くなります。
ゴミ処理費用と解体費用がかかる点をふまえて、本当に解体が必要なのかを検討しましょう。
ゴミ屋敷の売却方法は状況に合わせて判断を!
ゴミ屋敷でも売却できますが、売り方によって価格に差が出るため、ゴミの量や物件の状況に合わせて売却方法を選ぶことが大切です。最もおすすめできないのが「何もせず放置すること」です。
ゴミ屋敷を放置すると近隣トラブルだけではなく、物件の資産価値もどんどん下がり、売却価格も下がってしまいます。
ゴミ屋敷の売却でお悩みの方は、SUMiTAS(スミタス)にお気軽にご相談ください。