空き家を上手に売却する!高く売るためのコツを解説

空き家を高く売却する方法は?上手に売るためのコツや注意点を解説

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

相続などで不動産を取得したものの、すでに住居があるために使用しなかったり、遠方のため利用が難しかったりすることは多いでしょう。こういったケースでは、住居は空き家になってしまいますが、できるだけ早く売却したほうがよいでしょう。

空き家のまま保有し続けることには、さまざまなデメリットやリスクがあるため、素早く行動して売却活動を開始し、少しでも好条件での売却を目指しましょう。

空き家は早めに売却したほうがいい4つ理由

そもそも、なぜ空き家は早めに売却すべきなのかですが、これには次の4つの理由があります。

  1. 所有している限り固定資産税がかかり続ける
  2. 近隣に迷惑をかけてしまう可能性がある
  3. 空き家で犯罪が起きた場合は責任が伴う
  4. 資産価値が下がり売却しにくくなる

空き家といえども不動産に該当するため、所有している限りは固定資産税が発生し続けています。固定資産税の課税要件は、使用しているかどうかではなく、所有権を持っているかどうかです。

つまり、使わない不動産でも持っているだけでコストがかかってしまうため、余計な費用を削減するためにも、素早く手放したほうがよいでしょう。また、家は誰も住まないと特に劣化が早く、腐敗などによって倒壊するリスクもあります。

状態が悪くなることで近隣住民に迷惑をかけてしまい、場合によってはトラブルに発展することもあるため、注意しなければなりません。また、空き家は犯罪に使用されてしまうこともあり、この際も近隣住民に迷惑をかける可能性があります。

さらに、早めに手放さないと資産価値はどんどん下がり続け、いざ手放そうと思ったときに売却が難しくなることもあります。時間が経過して、劣化が進むほど売却は難しくなるため、スムーズに手放すためには早めに行動を起こすことが大切です。

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空き家を売却する3つの方法

いざ空き家を売却するとなったときには、どのような方法で売るのかを考える必要がありますが、空き家を売却する際は次のような方法があります。

売却方法メリットデメリット
① 空き家を古家付きのまま売却時間や手間がかからない売却価格が安くなりやすい
② 空き家を解体して更地にして売却家付きよりも高く売りやすい解体に費用と時間がかかる
③ 空き家をリフォームしてから売却気に入った人がいればすぐに売れる・リフォーム費用がかかる
・趣味の違いで売れない場合もある

それぞれのメリットとデメリットを詳しくみていきましょう。

① 空き家を古家付きのまま売却

土地つきの不動産なら古い家もつけて、土地とともに売却するという方法があります。家つきで売却する場合は解体などが不要なため、時間もコストもかかりません。素早く売りに出せることが魅力で、売却活動の開始はスムーズでしょう。

反面、売却価格が安くなりやすいこともあり、好条件で手放すことが難しい場合も少なくありません。土地と建物つきなら基本的に価値は上がりますが、空き家など長く使用していない物件の場合は、建物の劣化が激しいため、土地分の売却価格まで下げてしまうこともあります。

きれいな状態で家が残っている場合は、高値で売却できることもあります。ただし、状態次第では売却する不動産が増えるにもかかわらず、売却価格自体が安くなってしまう可能性があることは理解しておきましょう。

② 空き家を解体して更地にしてから売却

家つきのまま売却することが難しい場合は、空き家を解体して更地にしてから、土地のみを売却するという方法もあります。土地のみの売却なら家つきよりも高く売れることが多く、土地活用がしやすい地域であれば、買い手が素早く見つけられることもあります。

ただし、空き家の解体にはお金と時間がかかることがデメリットで、これら2つを考慮したうえで、家つきで売るのか更地にして売るのかを決めなければなりません。

解体のコストが高くなってしまうと、家つきで売ったほうが売却価格自体は安くても、解体費用を差し引いて計算すると、解体しない場合のほうがお得に売却できるということもあります。また、そもそも建物部分の価値次第では、解体すると損をすることも少なくありません。解体しても問題ない建物かを確認し、各種コストも考慮したうえで売却に臨むことが大切です。

③ 空き家をリフォームしてから売却

空き家をリフォームして、物件の魅力を高めてから売却するという方法もあります。空き家の売却で問題になりやすいのは状態の悪さで、リフォームによって問題点が改善されれば、素早く買い手が見つかることも少なくありません。

また、きれいな状態にしていることで物件そのものの価値も上がり、より高値で売却できることもあるでしょう。デメリットは工事が必要なため、売却までに時間がかかりやすいことがあげられます。

また、リフォーム費用の支払いが必要な点もデメリットで、場合によってはコストがかさんで、利益が縮小することもあるため注意しなければなりません。また、リフォームは個人の趣味が出やすく、全面的に行うと購入希望者を狭く限定してしまうこともあります。

細部までこだわったリフォームをすると、買主を選ぶことになりがちなため、行うなら限定的な範囲で個人の趣味が反映されない、スタンダードな内容に絞るとよいでしょう。

空き家をスムーズに売却する流れ

スムーズに空き家を売るためには、売却する際の全体の流れを知っておくことが大切です。

  1. 不動産会社に査定を依頼する
  2. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  3. 空き家の売却活動が開始される
  4. 売買契約を締結する
  5. 決済と空き家の引き渡しを行う

空き家の売却は、大きく5つのステップで行います。

① 不動産会社に査定を依頼する

まずは不動産会社に査定を依頼して、該当する物件がどれくらいで売れそうなのか、相場価格を把握しておきます。物件の相場価格に明確な基準はないため、不動産会社によって提示する金額が違うことも少なくありません。

不動産会社を探す際には査定サイトを利用することをおすすめします。

SUMiTASなら簡単な不動産情報の入力だけで、すぐに査定依頼ができ、無料で利用できます。また、訪問査定に伺うことも可能で、素早く査定結果をチェックできるため、便利にご活用ください。

② 不動産会社と媒介契約を結ぶ

査定をしてもらい、売却を依頼する不動産会社を見つけたら、媒介契約を結びます。媒介契約とは、売却を仲介してもらうための契約で、種類は次の3つがあります。

  1. 一般媒介契約
  2. 専任媒介契約
  3. 専属専任媒介契約

それぞれで特徴が異なるため、自分の売却スタイルに合わせて選ぶことが大切です。例えば、一般媒介契約と専任媒介契約は自分で買主を探して契約できますが、専属専任媒介契約ではこれができません。また、専任と専属専任の媒介契約は、利用できる不動産会社は1社ですが、一般媒介契約なら複数社との契約が可能です。

契約や売却における制限が多いほど、不動産会社が売却活動に専念してくれやすいため、よりスムーズに売却しやすくなります。

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③ 空き家の売却活動が開始される

媒介契約を結んだあとに、本格的に売却活動がスタートします。売却活動の内容はさまざまですが、主な取り組みとしては次の通りです。

  • 物件情報の広告宣伝
  • 内覧の対応
  • 不動産会社との打ち合わせ

これらの取り組みを行い、購入希望者を見つけていきます。購入希望者が見つかったら、一度内覧に来てもらい、ここで物件のアピールを行って購入意欲をかきたてることが大切です。

内覧の対応は、不動産会社に一任することも可能で、遠方の空き家で現地に行くことが難しいなら、任せてしまってもよいでしょう。

④ 売買契約を締結する

内覧後に、購入希望者が物件を気に入ったら売買契約を締結します。契約締結前には、売却価格や引き渡しの日、条件などの細かい取り決めを行います。そして、最終的にはすべての内容を、契約書に記さないといけません。

契約書に取り決めをすべて記載していないと、あとから言った言わないのトラブルになることも多いため、注意しましょう。各種条件を提示し、双方合意のうえで契約を行います。契約時には、売却価格の一部を手付金として買主から受け取ることが基本で、売主は不動産会社に対して仲介手数料の半額を支払うことが多いです。

⑤ 決済と空き家の引き渡しを行う

契約時に定めた日程で、決済と物件の引き渡しを行います。決済と引き渡しは基本的に同日ですが、契約書にて別日を指定することも可能です。

決済では、手付金を差し引いた残りの金額を清算し、売却費用の清算を行います。決済が終了したあとは、各種必要書類の提出を行い、鍵を渡して引き渡しは完了です。

空き家を少しでも高く売却する4つのコツ

物件価値が落ちやすい空き家は、売却価格が下がることも多いですが、工夫次第では高値で売れることもあります。

  1. 特別控除・特例を利用する
  2. 相続や空き家の売却が得意な会社を選ぶ
  3. ハウスクリーニングを行う
  4. 欠陥は修繕しておく

これら4つのコツを把握して、少しでも好条件での空き家の売却を目指しましょう。

① 特別控除・特例を利用する

不動産売却時には特別控除や税制優遇などの特例が利用できるため、適用条件に当てはまるならこれらを活用することをおすすめします。

特別控除・特例適用条件控除金額や軽減税率
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 ・昭和56年5月31日以前に建築されたこと
・区分所有建物登記がされている建物でないこと
・相続の開始の直前まで被相続人以外に居住をしていた人がいないこと
・売却価格が1億円以下であること
など
最大3,000万円控除
3,000万円の特別控除 ・現在主に居住している住宅の売却
・取り壊した場合は1年以内に売却
・空き家の場合は住まなくなってから3年以内の売却
・家族など特別な関係の人への売却ではないこと
・前年や前々年に同じ特例を受けていないこと
など
最大3,000万円控除
マイホームを売ったときの軽減税率の特例 ・現在主に居住している住宅の売却
・売却する不動産の所有期間が10年を超えていること
・取り壊した場合は1年以内に売却
・空き家の場合は住まなくなってから3年以内の売却
・家族など特別な関係の人への売却ではないこと
・前年や前々年に同じ特例を受けていないこと
など
・6,000万円以下の部分は所得税が10%、住民税が4%
・6,000万円超の部分は所得税が15%、住民税が5%

控除や軽減税率は、あくまでコストを減らすものですが、出費が減ることで結果的に利益が大きくなるため、実際に手元に残るお金は大きくなるでしょう。

② 相続や空き家の売却が得意な会社を選ぶ

不動産会社ごとに得意分野は異なり、この違いによって売却価格が変動することは多いです。そのため、相続に関する知識が豊富な業者や、空き家の売却が得意な業者を選ぶことが、高値で売却するコツのひとつです。

業者の得意分野を確認する際は、ホームページ上の売り文句を参考にしたり、売却の実績などを確認するとよいでしょう。

③ ハウスクリーニングを行う

見た目がきれいな物件のほうが売却しやすいため、ハウスクリーニングを実施してから売却することもおすすめです。特に空き家の場合は散らかっていたり、汚れていたりすることも多いため、積極的にハウスクリーニングを利用しましょう。

ハウスクリーニングは部分別に行うことも可能で、特にチェックされやすい水回りや玄関などは、念入りに行うことが大切です。ハウスクリーニングは業者に依頼するだけでなく、ある程度までなら自分で行うことも可能です。

できるだけ自分で掃除をしておくと、業者に依頼する部分が減るため費用を削減しやすく、結果的に利益の拡大にもつながるでしょう。

④ 欠陥は修繕しておく

空き家に欠陥がある場合は、売却前に修繕しておいたほうがよい場合もあります。壊れたままだと印象が悪くなり、売却価格が下がってしまうこともあるため、注意しなければなりません。

また、修繕を行う場合はできるだけ費用をかけないことも重要で、大規模な修繕をするとコストがかさみ、その分を回収できない可能性があります。

コストをかけた分、そのまま売却価格が上がるわけではないため、出費とのバランスを考えながら、必要最低限の部分のみ修繕するようにしましょう。

空き家の売却に必要な費用

不動産を売却する際にはいくつか費用がかかり、これらは空き家であっても同じです。

  • 仲介手数料
  • 税金
  • 解体費用・処分費用

売却時にかかる費用を把握して、コストも考慮したうえで売却価格を決めるようにしましょう。

仲介手数料

不動産会社に売却を依頼する場合は、仲介手数料を支払わなければなりません。これは法律で上限が決められており、金額は次の通りです。

取引額仲介手数料の上限
200万円以下売却額×5%
200万円超・400万円以下売却額×4%+20,000円
400万円超売却額×3%+60,000円

仲介手数料が定められているのはあくまで上限額で、下限内での設定は自由です。そのため、上限額いっぱいまで請求する業者もあれば、割引して請求する業者もあります。また、仲介手数料を無料とする業者もありますが、別途費用を請求して結果的に高いコストとなることもあるため、注意しなければなりません。

交渉次第で割引をしてもらうことも可能ですが、基本的には上限いっぱいまで請求されると考え、必須の費用として考えておきましょう。

税金

売却時には各種税金が発生しますが、これらは課税の要件がそれぞれ異なります。

種類説明何に対してかかる税金か
譲渡所得税所有期間で税率が変動売却時に発生した利益にかかる税金
住民税所有期間で税率が変動売却時に発生した利益にかかる税金
復興特別所得税所有期間に関係なく税率は固定売却時に発生した利益にかかる税金
印紙税契約金額に応じて変動売買契約時の手続きにかかる税金
登録免許税固定資産税額によって変動所有者の名義変更などにかかる税金
固定資産税不動産の価値によって変動不動産保有にかかる税金
都市計画税不動産の価値によって変動不動産保有にかかる税金

譲渡所得税や住民税、特別復興所得税は、売却によって利益が出た場合のみ課税されます。売却価格から取得費や各種費用を差し引き、プラスが出た場合に課税されると考えましょう。印紙税は、売買契約書を作成する際にかかる税金で、契約書に記載する金額が上がるほど、コストもアップします。

登録免許税は、固定資産税評価額に税率をかけて算出します。所有者の名義変更の際にかかる費用です。固定資産税や都市計画税は、不動産の価値によって金額が変動します。空き家を更地にして売却する場合は、住宅による軽減税率が外れて税額が高くなってしまうこともあるため、注意しましょう。

解体費用・処分費用

更地にしてから売却する場合は、空き家の解体費用やゴミなどの処分費用がかかります。これらは取り壊しが必要な場合のみかかる費用なため、家つきで売る場合は不要です。家の大きさやゴミの量などによって異なりますが、数十万円近くかかることもあります。

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空き家を売却する際の4つの注意点

損なくスムーズに空き家を売却するためには、次の4つの注意点を把握しておかなければなりません。

  1. 空き家の権利関係を事前に確認しておく
  2. 更地にする場合はタイミングを考える
  3. 相続の場合には相続人全員の同意が必要
  4. なるべく3年以内に売却する

注意点が守れていないと費用が上がって損をしたり、売却活動が途中でストップしたりすることもあります。

空き家の権利関係を事前に確認しておく

空き家を売却する際には、権利関係を事前に確認しておかなければなりません。特に、複数人で空き家を相続している場合は、誰が土地の権利を持っているのか、建物の権利を持っているかなどの確認は必須です。一人で相続しているなら問題ありませんが、共有名義になっている場合は、権利者全員に確認する必要があります。

更地にする場合はタイミングを考える

空き家を更地にすると、住宅の軽減税率が外れてしまい、固定資産税が高くなるため注意しましょう。固定資産税は、毎年1月1日時点で決定するため、更地にするなら1月2日以降にすることがおすすめです。売却してからの固定資産税は買主が負担するため、時期をずらすことで自身の税負担は抑えられます。

相続の場合には相続人全員の同意が必要

複数人で空き家を相続している場合は、相続人全員の同意が必要です。そのため、共有名義で相続をしている場合は、全員で話し合いをして、同意を得てから売却するようにしましょう。一人でも同意していない人がいると、売却ができなくなってしまうため注意しなければなりません。

なるべく3年以内に売却する

空き家の売却で特別控除を適用するためには、住まなくなって3年以内に売却しなければなりません。売却によって利益が出ないなら問題はありませんが、利益が出そうな場合は3年以内に売却して、控除を適用したほうがよいでしょう。

また、所有期間が10年ぎりぎりの場合は、軽減税率が適用できるまで待ってから売却することもひとつの方法です。

不要な空き家はなるべく早く売却しよう

空き家は所有しているだけでコストがかかるため、できるだけ早く売却することが大切です。活用せずに持っていると、それだけで損をするため、早めの売却を心がけなければなりません。空き家はコストがかさまないうちに売却するようにし、出費を抑えてできるだけ多くの利益を出しましょう。

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監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

2005年から不動産賃貸仲介営業で不動産業のキャリアをスタート。
物件マニアで、『従事している期間毎日10件内見する』という裏目標を立て、6年間実施。札幌市内の賃貸物件約18,000件を内見した。
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