不動産売却の流れと費用の基礎知識|高く売れる6つのポイントを把握

不動産売却の流れと費用の基礎知識|高く売れる6つのポイントを把握

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

土地や建物など不動産を売却したいと思っても、どうすれば良いかわからないという方も多いと思います。不動産の売却を検討しているなら、まずは売却までの流れを知りましょう。

この記事では、相場価格の調べ方をはじめ、売却の流れや必要な費用など、不動産売却で最低限知っておくべきことを解説していきます。また、基礎知識だけでなく「高く売る6つのポイント」と「シチュエーション別のポイント」も紹介しているので、参考にして不動産の売却を成功させましょう。

不動産売却の流れ

不動産を売却する場合には、順序を把握してそれに沿った流れで準備をする必要があります。

  1. 不動産の相場価格を調べる
  2. 不動産会社に査定を依頼する
  3. 不動産会社を決定し媒介契約を結ぶ
  4. 不動産を売り出す
  5. 購入者と交渉する
  6. 互いに売買条件に合意したら売買契約を結ぶ
  7. 不動産を引き渡す
  8. 確定申告を行う(※必要な場合のみ)

売却まで、上記のように進めていきます。 

これから紹介する各項目のポイントを理解しておくと、初めての売却でもスムーズに進めることができます。

1.不動産の相場価格を調べる

売主自身もある程度不動産の知識を身につけておくことが大切です。相場を特に把握し、査定に出す前に自分で不動産の価格を調べておきましょう。

ネットなどで不動産の相場を把握できます。参考サイトは、不動産会社のホームページやレインズマーケットインフォメーション、土地総合情報システムなどから相場を調べることができます。ある程度の相場を知っておけば、安く売って損をしたという事態を防ぐことができます。

参考:レインズマーケットインフォメーション
参考:土地総合情報システム

2.不動産会社に査定を依頼する

適正価格でスムーズな売却をするには、より良い不動産会社に依頼することが大切です。SUMiTAS(スミタス)なら、ネットで簡単に査定が依頼でき、市場にあった適正な査定額を提示します。売却活動の際も全国ネットワークによりいち早く買主を見つけることができますので、万が一売却活動を家族などに知られたくないという場合でも、世に情報を公開しない秘密厳守の売却活動も可能です。

3.不動産会社を決定し媒介契約を結ぶ

不動産会社との媒介契約は3種類あり、それぞれに異なる特徴があります。それぞれの契約内容を知り不動産会社を選定します。下記に、3つの契約の特徴を簡単にまとめました。

項目他の不動産会社との同時契約自分で買主を探す活動報告の頻度レインズへの登録義務
専任媒介契約××1週間に1回以上媒介契約から5日以内
専属専任媒介契約×2週間に1回以上媒介契約から7日以内
一般媒介契約法令上の定めなし法令上の定めなし

専任媒介と専属専任は、1社だけの契約で他の業者との重複契約できません。ですので契約した1社が積極的売却活動をしてくれるかが重要になります。一般媒介は複数社との重複契約が可能ですので、営業活動が消極的になりやすい傾向があります。

一般的に契約期間は3カ月間のため、この期間を過ぎても売れなかった場合は、更新のタイミングで不動産会社を変えるなどの対策を検討しても良いでしょう。

媒介契約の種類不動産売却の媒介契約の違いとおすすめ。一般、専属、専属専任の違い

4.不動産を売り出す

相場価格と査定の結果を踏まえて売却価格を決めます。ただし、あくまでも売り出し価格のため買い主の希望によっては値下げをする場合もあります。後々の値下げも考慮して、売却価格は希望額よりも少し高めに設定しても良いでしょう。

売却価格を決めたら、不動産会社はネットなどに広告を出して買い手を探します。問い合わせが少ない場合は不動産会社の担当者と相談して売却希望価格を変更するなど対策をしていきます。

5.購入者と交渉する

購入希望者との売買交渉では、価格以外にも支払い方法や引き渡し日、修繕費用の負担など、さまざまな条件について話し合います。価格は最低価格を決めておくことがポイントです。その他の条件に関しても、交渉されたことをすべて受け入れるのではなく、無理な要望を全て受け入れる必要はないため、交渉により損をしないように気をつけましょう。

売却する家に瑕疵がある場合は、誠実に伝えましょう。瑕疵とは不具合や問題点、欠陥のことです。これを隠して売買契約を結んだ場合、後に賠償金を請求されるなどの問題が発生する原因になります。

6.互いに売買条件に合意したら売買契約を結ぶ

交渉後、売買条件に合意したら買主と売買契約を結びます。このときに、買主から物件価格の10%程度の手付金を受け取り、売主は不動産会社に仲介手数料の半額程度支払うのが一般的です。

万が一、買主の一方的な理由により契約解除がされた場合は、手付金は返す必要はありません。しかし、買主が住宅ローンの審査に落ちたなど、やむを得ない理由で契約を解除する場合は、手付金を返金する必要があります。

7.不動産を引渡す

引き渡しまでに、所有権移転や抵当権抹消などの登記に必要な準備を行います。期日に間に合わないと違約金が発生する恐れもあるため注意しましょう。

引渡しの当日には買主と一緒に立ち会い、設備や備品の取り扱いなどを確認します。売買金額を受領したら引き渡し手続き完了です。引き渡し完了後には、不動産会社に残りの仲介手数料半額分を支払います。

8.確定申告を行う(※必要な場合のみ)

売却益が出たら確定申告が必要です。つまり「不動産を購入したときの価格」から「売却経費を引いたあとの売却価格」を引いた時に利益が出ている場合です。

また損失があったときでも、確定申告をしたほうが良い場合があります。年間の収入に対して、損失した分を引いて申告できるため、支払った税金が還付される場合や納める税金が少なくなることがあります。確定申告は不動産を売却した翌年の2月16日頃~3月15日頃までなので、忘れないように申告しましょう。

不動産売却にかかる費用

不動産を売却するまでの間に、さまざまな費用が発生します。その中で最も高額な費用は仲介手数料です。他には、各種税金や登記申請の手続きにかかる費用、引っ越し費用、そして場合によってかかる費用もあります。どのような費用が必要か、いくら必要かを確認しましょう。

費用の中でも高額になる「仲介手数料」

「仲介手数料」は仲介を依頼した不動産会社に支払う手数料のことで、金額は法規制により上限が決められています。上限金は、売買代金の金額区分ごとに定められているので、下記の表でご確認ください。

売却価格手数料(税抜)
200万円以下の金額売却価格の5%以内
200万円超え400万円以下の金額売却価格の4%以内
400万円超えの金額売却価格の3%以内

200万円以下の部分は5%を掛け、200万円超~400万円以下の部分は4%を掛け、400万円超~1,000万円以下の部分は3%を掛け、3つを合計したものに消費税を加えます。例えば、売却価格が1,000万円だった場合を計算してみましょう。

  • 200万円以下の部分:200万円×5%=10万円
  • 200万円超~400万円以下の部分:200万円×4%=80,000円
  • 400万円超~1,000万円以下の部分:600万円×3%=18万円
  • 合計:10万+80,000円+18万円=36万円+消費税

本来はこのようにして上限額を求めます。ただ、もっと簡単に求めることができる速算式があります。不動産の売買では、400万円超えるケースがほとんどで、その場合の仲介手数料の上限は、下記の速算式に当てはめて求めることができます。

売却価格×3%+60,000円+消費税

一例として、売却価格が1,000万円だった場合を当てはめてみますと以下のようになります。

1,000万円×3%+60,000円+消費税=36万円+消費税

なお、1,000万円の場合と3,000万円の場合、5,000万円の場合、1億円の場合でそれぞれ計算してみると以下のようになります。

売却価格計算式仲介手数料の税込額(消費税10%の場合)
1,000万円1,000万円×3%+6万円+消費税39万6,000円
3,000万円3,000万円×3%+6万円+消費税105万6,000円
5,000万円5,000万円×3%+6万円+消費税171万6,000円
1億円1億円×3%+6万円+消費税336万6,000円

本来の計算方法で求めた金額と、速算式で求めた金額が同じになります。あくまでも上限額なので、必ずこの金額が仲介手数料になるということではないことも、合わせて認識しておきましょう。

契約手続きに必要な「印紙税」

契約書には収入印紙を貼る必要があり、印紙を貼ることで「印紙税」を納めます。税額は契約書に記載する金額により異なります。また、平成26年4月1日から令和4年3月31日まで10万円を超えるものは軽減税率の対象になります。

売却価格が500万円超~5億円以下までの印紙税額を下記の表にまとめました。

契約金額本則税率軽減税率
500万円超え1,000万円以下10,000円5,000円
1,000万円超え5,000万円以下20,000円10,000円
5,000万円超え1億円以下60,000円30,000円
1億円超え5億円以下10万円60,000円

500万円以下、または5億円超の印紙税額も知りたい方は、国税庁のホームページで確認してください。

参考:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁

不動産売却時に欠かせない「抵当権抹消費用」

ローンが残っている場合は、売却代金で残債をすべて支払うことになります。そのときには繰り上げ返済手数料がかかりますが、料金は金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

また、ローンを完済する際に抵当権抹消手続きを行いますが、そのときには不動産1物件につき1,000円の登録免許税の支払いが必要です。土地と建物の場合は2件分となり、2,000円を支払います。

抹消登記の手続きは少し複雑なので、司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士に依頼する場合の報酬は10,000円程度です。

売却で利益が出たら「譲渡所得税」

不動産の売却で利益が出た場合は、譲渡所得税として所得税と住民税がかかります。売却価格から取得するときにかかった代金と、購入時や売却時の諸費用を差し引いて出た利益に税率がかかることが特徴です。文章で説明するとわかりづらいですが、計算式にすると以下のようになります。

譲渡所得税 =(売却価格-(所得するときにかかった代金+購入時や売却時の諸費用))× 税率

なお、税率は物件を所有していた期間によって変わります。所有期間5年以下と5年超の場合の税率は以下の表でご確認ください。また、復興特別所得税は令和19年(2037年)まで支払う税金です。

項目所有期間所得税住民税復興特別所得税合計
短期譲渡所得5年以下の場合30%9%0.63%39.63%
長期譲渡所得5年超の場合15%5%0.315%20.315%

所有期間が5年超になると税率が低くなり納める税金が少なくなります。

住み替えの場合は「引っ越し費用」

住み替えの場合は引っ越し費用が必要です。売却のタイミングが悪いと、現在の住まいから仮住まいへ、仮住まいから新居へと、2度の引っ越しが必要になります。

引っ越し費用には、仮住まいが必要かどうかで料金が大きく変わります。また、業者や引っ越しプランによっても料金が変わるため、見積もりを取って確認しましょう。

その他場合によってかかる費用

場合によって、「廃棄処分費用」「測量費」「解体費」「クリーニング費」などがかかることがあります。下記はそれぞれの費用の目安です。

費用項目目安費用
廃棄処分費用10~50万円
敷地の測量費50~80万円
建物の解体費100~300万円
ハウスクリーニング費5~15万円

不動産により、かかる費用はさまざまです。上記のほか、地中埋蔵物があった場合は撤去費用が必要になることもあり、予定にない追加費用が発生することもあります。また、リフォームをする場合はリフォーム費用も必要です。

そのほかの費用は、不動産会社に相談することで概算を教えてくれることがあります。専門業者を紹介してくれることもあるので、不明なことがあればどんなことでも相談しましょう。

不動産を高く売る6つのポイント

売却を成功させるための6つのポイントを紹介します。

  1. 売却理由を明確にする
  2. 査定を依頼する前に自分でも相場を理解する
  3. 不動産会社の売却実績に注目
  4. 売却期間に余裕をもち売り急がない
  5. 不動産はきれいな状態にしておく
  6. 売却のタイミングを見計らう

上記の6つのポイントをおさえることで、高く売れる可能性があります。なるべくすべてを実践することが理想です。簡単にできることが中心となっているため、解説を読んでいただき、内容を理解してから実践しましょう。

不動産の売却理由を明確にする

売却理由を明確にすることで、希望の売却価格や時期、住み替えなどの条件をイメージしやすいです。早期の売却が目的なのか、高値で売却するのが目的なのか、理由によって売却プランが変わってきます。

例えば、スムーズな売却が目的な場合は、値引きが有効策になることもあります。一方で、高値で売却するのが目的の場合は、値引き以外で売れる方法がないか検討する必要があります。売却理由によっては、売却ではなく賃貸にするという選択肢もあるため考慮しましょう。

査定を依頼する前に自分でも相場を理解する

さきほども申しましたが、自分で相場を把握することで、不動産会社が提示した査定額を売却価格にしてよいのか判断できます。また、不動産会社の査定額とのズレがわかり、自分の希望額に無理がないかも確認できます。

また、査定額とのズレの根拠を不動産会社に聞いたときに、曖昧な返答でごまかそうとする担当者は信頼できません。納得できる答えが返ってきた担当者に依頼しましょう。

下記は、自分で相場を調べるためのサイト情報です。これらを参考にして、相場を調べてから査定を依頼しましょう。

サイト特徴探す物件
不動産情報サイト・競合物件の売出価格がわかる
・取引成立後の価格ではないので、価格をそのまま参考にしないように注意する
マンション・戸建て・土地
不動産取引価格情報検索・国土交通省が運営するサイト
・アンケート調査に基づいた取引価格情報がわかる
マンション・戸建て・土地
レインズ・マーケット・インフォメーション・実際に取引された価格がわかる
・似た条件の物件データがあれば参考になる
マンション・戸建て
価格天気図・相場動向を天気に見立てている
・都道府県の全体的な情報や都心の情報がわかる
マンション
国土交通省地価公示・都道府県地価調査・基準となる土地の価格がわかる
・国や都道府県が年に1度更新している
土地
路線価図・評価倍率表・道路につけられた土地の価格がわかる
・相続税の評価のために使用される
土地

参考:不動産取引価格情報検索
参考:レインズ・マーケット・インフォメーション
参考:価格天気図
参考:国土交通省地価公示・都道府県地価調査
参考:路線価図・評価倍率表

不動産会社の売却実績を確認する

不動産会社によって得意分野が異なります。そのため、売却実績に注目し、自分が売りたい不動産に似た売却実績が多いところに依頼するのがおすすめです。

例えば、一戸建ての販売が得意な会社や、マンションがメインのところもあります。戸建てが得意な会社にマンションの販売を依頼したため、なかなか売れないというケースもあります。得意分野を知るためには、ホームページで実績をチェックしましょう。もしくは、手間はかかりますが複数社の担当者と話し、実績の違いを比較する方法もあります。

売却期間に余裕を持って売り急がない

売り急いでしまうと、売却価格が予想より下がってしまうこともあります。時間に余裕があれば、高額で購入してくれる人を待つ時間や、交渉する時間が取れます

高めの価格設定は売れにくいこともあり、時間をかけても問題ないのであれば、気長に買い手を探すこともできます。また、売却期間に余裕を持つことで、内覧に向けた整理整頓や掃除などがゆっくりでき、必要な書類や費用の準備も焦らず行うことが可能です。

不動産はきれいな状態にしておく

建物がある場合は、きれいに清掃しておきましょう。ポイントは、内覧時に向けてきれいな状態にしておくことです。また、更地の場合は荒れていない状態にしておくことが大切です。草むしりなどをして、万が一ゴミなどが捨ててあれば掃除をしておきましょう。

第一印象となる玄関は特にきれいにし、水回りは念入りに掃除をし、臭いにも注意してください。ベランダや庭もチェックしましょう。どうしても汚れが落ちない場合は、ハウスクリーニングを依頼するのも良いです。ただし費用がかさむので、予算と相談して決めましょう。

売却のタイミングを見計らう

4月からの新生活が控えている1~3月は、需要が増えるため売れやすい時期です。ただし、どんな不動産でも売れやすいというわけではありません。例えば同じマンションが売りに出されていると、部屋の位置や価格などが比較され競合する場合があります。

1~3月の次に、9月頃も会社の人事異動が増える時期なので、引っ越し希望者が増えます。人気があれば高く売れやすいので、需要が増えるタイミングを見計らうことは重要です。

不動産売却の5つのポイント【シチュエーション別】

売却のポイントをシチュエーション別で紹介します。

  1. ローンが残っている不動産は完済できる金額で売却する
  2. 譲渡所得税が発生した場合は控除が利用できないか確認する
  3. 相続した不動産は登記を忘れずに行う
  4. 遠方の不動産売却をする際は不動産のある地域の会社を選ぶ
  5. 不動産をはやく現金化したい場合は「買取り」も検討する

重要なポイントを5つに絞ってまとめました。各項目ごとに詳しく解説していきます。

ローンが残っている不動産は完済できる金額で売却する

ローンが残っている家を売る場合には、残債が完済できる金額で売却しましょう。また、売却資金で完済ができず不足分が生じる場合には預貯金や自己資金で補う形が一般的です。どうしても自己資金を用意できない場合には、売却では無く賃貸で運用する等、別の方法を検討する事も必要です。

譲渡所得税が発生した場合は控除が利用できないか確認する

不動産の売却で利益が出たら譲渡所得税が発生します。しかし、「特別控除」が適用できれば、節税することが可能です。

特別控除の種類は、以下のようにいろいろあります。

  • マイホームを売却した際に利用できる「3,000万円控除」
  • 不動産を10年以上所有していた場合に利用できる「軽減税率の特例」
  • 新たな居住用の不動産を購入した際に利用できる「不動産買換えの特例」
  • 相続税を一部取得費に加算できる特例「取得費加算特例」

これらの特別控除を受けるには、一定の要件を満たす必要があります。また、譲渡した翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をすることも、必須条件です。

相続した不動産は登記を忘れずに行う

相続した不動産は、所有者を変更するために相続登記をする必要があります。登記上の名義人が亡くなった人のままになっているなど、相続登記がされていない不動産はそのままでは売却できないので注意しましょう。

相続登記には期限が特にないため、登記の手続きを忘れたままになっていることはよくあります。相続したと思っていた不動産でも、よく調べてみたら名義人が亡くなった人のままだったというのもよくあることです。

また、使用していない不動産でも、所有する限り固定資産税がかかります。放置しておくと管理も必要で大変です。管理されていない不動産は、どんどん価値が下がっていきます。相続登記をしたら早めの売却を目指しましょう。

遠方の不動産を売却する際は不動産のある地域の会社を選ぶ

遠方の不動産を売却したい場合、基本的には不動産のある地域の会社を選びます。不動産会社のネットワークもあり、買主の候補を見つけてくれる可能性が高いためです。

ただし、最低でも一度は現地に行く必要があります。必ず行く必要があるのは、引き渡し・決済のタイミングです。売買契約のタイミングもできれば立ち会ったほうが良いですが、代理人を立てることができれば、現地に行かなくても問題ありません。

不動産をはやく現金化したい場合は「買取」も検討する

「買取」とは、不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。買取は、早期に現金化できることがメリットです。また、広告や販売期間が不必要で仲介手数料も発生しないので、売却にかける手間を大幅に減らせます。売却スケジュールがタイトな方は、買取を検討しましょう。

ただし、全ての不動産会社が買取を行っているわけではないので、買取に対応しているかどうかは事前に確認する必要があります。また、仲介に比べて売却価格は低くなる傾向があります。

物件や自分に合った不動産会社の選び方

ここでは、物件や自分に合った不動産会社の選び方をご紹介します。

具体的な流れは以下の通りです。

  1. STEP1.不動産のタイプを把握する
  2. STEP2.大手か中小か。会社の規模で不動産会社を絞り込む
  3. STEP3.担当者の対応・人柄・成績で決める

不動産会社にはそれぞれ得意不得意があります。

まずはご自身がどのような不動産を売却するのかを明確に把握したうえで、売却する不動産を得意とする不動産会社に依頼することが大切です。

不動産のタイプを把握する

売却する不動産が土地か戸建てかマンションかによって選びたい不動産会社は変わってきます。

また、マンションの中にもシングル向けなのかファミリー向けなのか、駅近なのか郊外なのかによっても得意とする不動産会社が異なります。

まずは、売却する不動産のタイプを明確化したえうえで不動産ポータルサイトや不動産会社のホームページなどで同じタイプの不動産を多く掲載している会社を探す方法が効果的です。

大手か中小か。会社の規模で不動産会社を絞り込む

不動産会社を探すにあたり、大手がよいのか、中小がよいのかという問題があります。一般的な感覚からすると中小より大手の方がよい条件で売却してくれそうな気がしますよね。しかし、不動産に関しては、大手より中小の方がエリアについて詳しいということも珍しくありません。

大手と中小については以下のように特徴があるため、使い分けたり、場合によっては両方とも利用したりすることも考えられます。

  • 大手不動産会社
    サービスが豊富
    広範囲に顧客を探せる可能性がある
    社員の質が高い傾向にある
  • 中小の不動産会社
    地元に詳しい
    その地域に特化したノウハウがある
    得意分野に特化している傾向がある

表にある通り、大手はサービスの質が高く幅広い地域をカバーしやすい傾向にあります。このため、例えば転勤で県外からやってくる人をターゲットにしやすい駅近の物件などで利用しやすいといえるでしょう。

一方、中小は地元ならではの情報を知っていることが多く、郊外の物件での売却では効果を発揮しやすいです。これらを組み合わせることもおすすめです。

担当者の対応・人柄・成績で決める

実際に不動産会社と契約を結んだ後、売却をサポートしてくれるのはその会社の担当者です。会社毎に特徴があるとはいえ、最終的には担当者の実力や人柄次第なところがあります。

不動産会社を探しながら、問い合わせしたときの担当者のレスポンスの速さや直近の売買実績を確認して決めるといった方法が考えられるでしょう。

初めての不動産売却で注意すべきこと

ここでは、初めての不動産売却で注意すべきこととして、以下の2点をご紹介します。

  1. 不動産会社に丸投げせずに自ら売却活動に参加する
  2. 少しでも懸念があれば必ず担当者に伝える

それぞれについて見ていきましょう。

不動産会社に丸投げせずに自ら売却活動に参加する

不動産売却は、媒介契約締結後は、基本的に不動産会社が広告や案内活動、契約手続き等全てを行ってくれます。

しかし、こうした一連の流れを全て不動産会社に任せきりにしてしまうと、売却できなかった場合や、仮に何らかのトラブルに発展してしまった場合には、最終的な責任は売主が取らざるを得ません。

例えば、不動産会社の作成するチラシやインターネットの掲載内容についても、実際に売主が確認してみて、変に思う部分があれば指摘しましょう。

また、そもそも物件の相場など把握しておかないと、どこが悪いか気づけないので売却査定の段階から、自分である程度相場を調べておくことが大切だといえるでしょう。

不動産売却では、不動産会社に丸投げするのではなく、一緒に売却活動するつもりでいることをおすすめします。

少しでも懸念があれば必ず担当者に伝える

売却する不動産について雨漏りがあるなど少しでも懸念点があれば担当者に伝えましょう。

不動産売却においては、契約不適合責任(2020年4月以前の取引については瑕疵担保責任)といって、売買契約書の内容と実際の売買物の内容が違う場合には、売却後も売主が責任を負わなければいけません。

契約不適合責任は、売買契約時に「引渡しから3カ月以内」等と責任の及ぶ期間が決まります。この期間を過ぎたら、原則としては、買主から売主に責任が追及されることはありません。

しかし、売主が不具合を知っていながらそのことを契約書に記載せず虚偽の内容を伝えるなど悪質な場合には、上記期間経過後も責任を追及されることになります。例えば、騒音など売主が問題と感じていなかったものについても、買主は問題と感じるケースがあるのです。

こうした問題はどこまで伝えていいか難しい部分があるため、不動産会社の担当者に伝え、その判断を仰ぐのがベストです。

不動産売却でよくある質問

ここでは、不動産売却についてよくある質問をご紹介します。

Q1.媒介契約はどれを選べばいいの?

結論から言うと、状況に応じて決めるのがベストという回答になるため、ここではその決め方・選び方をご紹介します。

そもそも媒介契約には一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つがあり、売主への報告義務の有無や期間など違いがあります。

中でも一番大きな違いは、一般媒介契約は複数社に契約を依頼できるのに対し、専任媒介契約や専属専任媒介契約は1社としか媒介契約を結べないことだといえるでしょう。

同時に複数に依頼できるかどうかや、報告義務、契約期間について表にまとめると、以下のようになります。

複数社依頼自己発見取引売主への報告義務契約期間期間
一般媒介契約規定なし規定なし
専任媒介契約×14日に1回以上3カ月以内
専属専任媒介契約××7日に1回以上3カ月以内

一般媒介契約は複数社に依頼できる分、多くの人にアプローチできる可能性が高いです。一方、それ以外の2つについては1社にしか依頼しない分、不動産会社が一生懸命取り組んでもらいやすいです。

どちらがいいというわけではありませんが、気に入った会社が見つかった場合には後者を選ぶなど状況に応じて決めるとよいでしょう。なお、不動産会社によっては専任媒介契約を条件にクリーニングを実施してくれるなど独自のサービスを提供してくれることもあります。

Q2.相見積もりは何社出すのがおすすめ?

相見積もりは相場を知るためにも少なすぎず多すぎない、3~5社程度にしておくのがおすすめです。不動産の売却査定は不動産会社によって査定結果が異なることもあり、特に最初のうちは相場を把握する意味も含め、複数社に売却査定を依頼するべきだといえます。

あまり多くの不動産会社に依頼しても管理できなくなる可能性がありますし、逆に最初から1~2社社程度だと相場より高いもしくは安い査定額だったとしてもそれに気づけない可能性があります。

Q3.売却前にリフォームは行うべき?

不動産の売却前のリフォームについては、基本的に行うべきではありません。

というのも、例えば100万円かけてリフォームしたとしても、その100万円を売却価格にプラスできることは少ないからです。中古物件の多くは土地の価格がベースにあり、建物の価値はあまり高く見られないことが要因の一つです。

一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の平成26年のデータによると、特に若年層において中古住宅購入後にリフォームを実施した割合が高く、一戸建てで45.8%、マンションで50.9%と約半数を占めています。

売主としては、最低限のハウスクリーニング程度で済ませておき、売却後に買主がリフォームを実施するという形にした方がニーズに沿った売却となりやすいでしょう。

不動産の相場価格を調べてみよう

まずは不動産の相場価格を調べることから始めてみましょう。その後、相場を把握してから、不動産会社に査定を依頼しましょう。そうすることで、相場価格とのズレを把握でき、最適な売却価格を設定できます。

不動産の査定を依頼する際には、査定サイトの利用がおすすめです。全国の不動産を査定できるSUMiTAS(スミタス)は、市場の需要に合わせた査定に定評があるので、この機会にお任せください。

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

2005年から不動産賃貸仲介営業で不動産業のキャリアをスタート。
物件マニアで、『従事している期間毎日10件内見する』という裏目標を立て、6年間実施。札幌市内の賃貸物件約18,000件を内見した。
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