不動産価格の推移と動向!売却に適したタイミングとは?

不動産価格の推移や動向【2019年版】売却に適したタイミングとは?

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

不動産を売却するなら、その価格を正しく把握することが大切です。不動産価格は流動的なものであり、固定されているわけではありません。

さまざまな外的要因によっても変動するため、なにが要因となり価格変動を起こしているのかを知る必要があります。不動産価格が変動する要因や価値の調べ方などを知り、条件のよい状態のときに売却しましょう。

不動産価格の推移

まずは、不動産価格がどのような推移を辿っているのかを知っておきましょう。国土交通省によると、2019年の不動産価格は57カ月連続で向上しています。価格向上傾向にあるため、売却に適している時期といえます。

2019年の不動産価格は57カ月連続で向上しています

参考:国土交通省

全国的にマンションの価格は上昇中

不動産のなかでも、マンションの価値は全国的に上昇しています。2010年時点を100%とすると、2018年には50%程度上昇しており、大幅に価格が上昇しています。また、都心や大都市だけに限らず、全国的に上昇しています。

土地の価格は緩やかに上昇中

マンションの大幅な価値上昇に対して、土地の価値の上昇は緩やかです。土地の価格上昇は東京を中心に広がり、東京23区では2014年頃から上昇を続けています。開発や再開発が実施されている土地は価格が上昇傾向にあり全国的にも価格が上昇傾向にあります。

戸建ての価格は値上がり幅が狭い

戸建ての価格も順調に上昇していますが、マンションと比較するとその伸び率はそれほど大きくありません。2010年と比較すると価格は上昇していますが、上がり幅は2~3%程度です。

決して価値が下がっているわけではないため、売却には適していますが、マンションと比較するとやや上昇値は低いです。

不動産価格に影響を与える4つの要因

流動的な不動産価格を把握するには、なにが価値に影響を与えているのか、その要因を知ることが大切です。

  1. 金利の動向
  2. 法律の改正
  3. 人口の増減
  4. 都市開発やイベント

不動産価格に影響を与えるのは大きく4つです。これらがどのように作用しているのかを解説していきます。

金利の動向

金利は不動産の購入意欲に大きく影響し、金利が高いほど不動産価格は下落しやすく、低いほど価格は上昇しやすいです。これは住宅ローンが大きく関係しています。住宅ローンの金利が高いと、ローンを組む際の利息が高くなり、最終的な支払額が多くなります。

そのため、購入意欲を下げやすく、需要が下がるために不動産価格も下落しやすいと考えましょう。反対に金利が低いと利息が少なくなって支払額も下がるため、需要が上がって不動産需要は高まりやすいです。

金利は需要の上限に大きく影響するため、需要が高くなるほど不動産価格は上がり、下がると価格も下落するといえます。

法律の改正

2015年に相続税についての法律が改正され、これまでよりも税額が高くなりました。その影響で現金よりも税額が安い不動産を購入しようと考える人は増え、需要の増加によって不動産価格は上昇しています。

不動産に関する法律や税金についての法律が改正されると不動産価格に影響が出ることもあるのでチェックしておきましょう。

人口の増減

不動産の需要を決める重要な要因として、人口があげられます。人口が増加すると需要が上がるために不動産価格も上昇する傾向にあり、反対に人口が減少すると供給過多となり、不動産の価格は下落します。

空家率も重要な問題であり、空き家は増えるほど供給過多な状態になるため、不動産価格は下落していきます。日本は少子高齢化の影響により、人口が減少傾向で推移しています。

そのため、将来的に見ると不動産価格は減少する可能性が高く、2019年時点における価格上昇もその他の要因における一時的なものと考えておきましょう。

都市開発やイベント

不動産価格を上昇させる要因として、都市開発やイベントがあげられます。都市開発が進み、利便性が高くなるほど不動産価格は上昇します。また、大規模なイベントによって整備が進められると不動産価格が上昇する傾向にあります。

直近のイベントで考えると東京オリンピックがあります。東京オリンピックによって都心への注目が高まり、再開発を行うエリアも増えています。

東京23区を中心に土地の価値が上昇している理由もここにあり、大規模なイベントがあると不動産価格が大きく向上することも多いです。

自分の所有する不動産の価格を調べる方法

不動産の売却を考えているなら、所有しているものにどれくらいの価値があるのかを知っておきましょう。不動産価格を調べる方法としては、次の4つがあげられます。

  1. 【一番おすすめ】査定サイトを利用する
  2. 土地総合情報システム
  3. レインズマーケットインフォメーション
  4. 公的な価格指標を参考にする

これらを使用して不動産価格を正しく把握し、少しでも好条件での売却を目指しましょう。

【一番おすすめ】査定サイトを利用する

不動産価格を調べるもっともおすすめの方法は、査定サイトの利用です。査定サイトで複数社から査定を出してもらうことで、それらを比較して該当不動産の価格を見極めることができます。同じ不動産でも業者によって提示する金額は異なるため、必ず複数の不動産会社で比較しなければなりません。

適正価格でスムーズな売却をするには、より良い不動産会社に依頼することが大切です。SUMiTASなら、ネットで簡単に査定が依頼でき、適正な価格で査定します。

さらに、売却活動の際も全国ネットワークによりいち早く買主を見つけることができます。また、売却活動を家族などに知られたくないという人も、世に情報を公開しない秘密厳守の売却活動も可能です。

土地総合情報システム

国土交通省が運営している土地総合情報システムでは、過去2年分にわたっての不動産の売却事例を確認できます。自分が所有している不動産と似た条件の取引事例を参考にすることで、どれくらいの金額で売却できるのか、相場をチェックしましょう。

参考:土地総合情報システム

レインズマーケットインフォメーション

国土交通大臣が指定する不動産流通機構が運営している、レインズマーケットインフォーメーションというサイトでも、過去の取引事例を検索できます。

直近1年分の取引事例が掲載されているため、これも参考にするとよいでしょう。土地総合情報システムと合わせて利用することで、より正確な売却相場を把握しやすくなります。

参考:レインズマーケットインフォメーション

公的な価格指標を参考にする

不動産の価値基準として公的な指標が公表されているので、これを参考にするのもおすすめです。公的な価格指標は次の4つがあげられます。

  1. 公示価格
  2. 基準地価格
  3. 路線価
  4. 固定資産税評価額

公示価格は国土交通省が、基準地価格は各都道府県が公表している不動産の価格指標です。路線価は国税庁が発表している価格指標であり、主要な道路に面する土地1平米あたりの価格がわかります。

固定資産税評価額は、毎年送付される固定資産税通知書に記載されている金額で、固定資産税額を決める際に用いられます。固定資産税評価額は公示価格の70%程度であるため、これを指標に計算してみることも大切です。

これらは不動産価格を決める要素であるため、それぞれを参考にすることで大まかな価格を知ることが可能です。

参考:土地総合情報システム
参考:路線価図

不動産価格について知るには、今後どのような動向で推移していく可能性があるのかを知っておきましょう。

  1. マンションは2019年頃がピークの可能性あり
  2. 2022年に都市部の地価が下落する恐れがある
  3. 利便性の高い地域は下落の心配が少ない

動向を知る上で知っておきたい情報は、これらの3つです。

マンションは2019年頃がピークの可能性あり

2010年から順調に価格上昇しているマンションですが、ピークは2019年から2020年頃にかけての可能性があります。マンション価格の主な要因は東京オリンピックであり、その証拠に首都圏のマンション価格はオリンピック開催に向けて大きく向上しています。

そのため、現在の価格上昇の要因である東京オリンピックが終了すると、その反動で大幅に価格が下落する可能性が高いです。

2019年がピークと考え、売却するなら大幅に下落する前に決めたほうが無難で

2022年に都市部の地価が下落する恐れがある

土地の使用用途限定する法律として生産緑地法があり、これは期限付きの法律です。最初に生産緑地に指定された土地は、2022年に農業用の利用という限定が解除されるため、これを機に売却される可能性があります。

都市部では生産緑地が数多く存在するため、仮にこれらがすべて売却されると、土地の供給が大幅に増加し、相場に影響を及ぼす可能性もあります。もちろん、用途の制限が取れたからといって必ずしも全員が手放すとは限りませんが、売却を考える人が少なからずいるでしょう。

そのため、地価がするリスクがあることは理解しておき、もし都市部で土地を持っているなら生産緑地法が解除されるまでに売ったほうが無難といえます。

利便性の高い地域は下落の心配が少ない

東京オリンピックの終了や生産緑地法の解除による2022年問題などの懸念はありますが、基本的に利便性が高い地域では、それほど大きく価格が下落する心配はありません。都市部の主要駅近くの土地や建物は、その利便性の高さから常に一定の価値を保っています。

そのため、都市部で地価の下落があったとしてもその影響は小さくて済み、仮に下がったとしても他の不動産よりは下落幅は少ないでしょう。

また、昔から高い価格であり続けている地域は、比較的価値が安定しています。利便性の高い地域は売り急ぐ必要はないため、入念に準備をして、用意が整ってから売却を始めることがおすすめです。

不動産の売却価格を高くする3つのポイント

基本的には市場の動向に影響を受ける不動産価格ですが、実は売却方法を工夫することで高値で売ることも可能です。売却価格を少しでも高くするには、次の3つのポイントを押さえることが大切です。

  1. 査定額の根拠を確認し不動産の強みを明確にする
  2. 信頼できる担当営業マンを見つける
  3. 内覧時の印象を上げる

市場の動向を意識しながらも、これら3点を考慮してできるだけ高値での売却を目指しましょう。

査定額の根拠を確認し不動産の強みを明確にする

不動産会社に査定を依頼し金額を確認した後は、なぜその金額になっているのか根拠を確認します。査定額を決定する要因はさまざまあり、そこには該当不動産の強みが考慮されているため、これを明確にしておくことが大切です。

売却する不動産の強みがわかっていると、買主と交渉する際の材料となり、これを根拠に値下げ交渉に応じずに済む場合もあります。また、強みが多数あるなら売り出し価格自体を高く設定することも可能であり、買主との交渉次第で高値で売却できることもあります。

反対に強みが明確になっていないと値下げを迫られたときに断りづらくなったり、不動産のアピールができなくて売り逃しをしてしまったりすることもあるため、注意しなければなりません。

信頼できる担当営業マンを見つける

スムーズかつ好条件で売却できるかどうかは、担当する営業マン次第の部分もあります。そのため、仲介を依頼する不動産会社の選定は慎重に行うだけではなく、担当営業マンの選択も念入りに考えましょう。

担当営業マンとの相性を見極めるには、話していてストレスを感じないか、こちらの疑問点に丁寧に対応してくれるかをチェックするとよいでしょう。また、担当者から売却についての提案や手数料などについての詳細な説明があるかも重要であり、適切なアドバイスをしてくれるかどうかも重要です。

同じ不動産でも担当者が違うだけで売却の条件が異なることもあり、売れるまでの期間から売却価格が違ってくることもあります。もし担当者との相性が悪いと感じるなら、別の営業マンに担当替えを依頼するとよいでしょう。それでも上手くいかないなら、利用する不動産会社自体の変更を再考することもよいでしょう。

内覧時の印象を上げる

不動産の中でも、住宅は立地などの条件だけではなく、内覧時の印象次第で売却条件が違ってくることもあります。そのため、内覧時に好印象を与えられるように工夫することは重要であり、事前の準備は徹底して行ってください。

内覧時の印象をよくするには、部屋をきれいに掃除しておき、清潔感をアピールすることが大切です。特に玄関周りや水回り、収納などはよくチェックされ、念入りに掃除をしておかなければなりません。

個人の清掃だけでは限度がありますので、ハウスクリーニングを依頼し、プロに任せてきれいにすることもおすすめです。また、物が片付かないなら一時的にトランクルームを借り、不要なものを移動させておくのもよいでしょう。

自分で対応するなら笑顔で接することを心がけ、来客用のスリッパは新品や使い捨てを用意したり、長くなるならお茶を出したりするといった細かい気遣いも大切です。住んでいるからこそわかる魅力をアピールするのはもちろん、快適に部屋を見てもらえるための工夫をして印象をよくしていきましょう。

不動産価格に関する2つの注意点

売却時の不動産価格を考える上では、次の2点に注意しましょう。

  1. 不動産査定価格は成約価格と異なる
  2. 売り出し価格は上げすぎない

これらを把握できていないと、売却価格が下がったり、スムーズに売却できなかったりします。上手に売却するためにも、注意点は細部まで正しく把握しておきましょう。

不動産査定価格は成約価格と異なる

売却時には査定額を参考にしますが、これは成約価格とイコールではありません。査定額はあくまで不動産の条件で見た概算の売却予定額であり、実際には買主との交渉によって価格が決まります。つまり、いかに査定額が高くても、交渉次第では成約価格がそれ以下に下がることもあります。

反対に交渉が上手くいくと査定額以上で売れることもあるため、金額設定は不動産会社と相談しながら行うことが大切です。査定額通りに売れると考えて資金計画を練ってしまうと、実際の成約価格が下がって資金繰りに困ってしまうこともあります。

また、所有する不動産の価格を調べる際に取引事例を参考にする場合も同じで、似た条件でも売却時の買主との条件交渉次第で金額はいくらでも上下することは理解しておきましょう。査定額は目安でしかないため、資金計画を立てる際には余裕を持って考えることが大切です。

市場動向を確認して売り出し価格を設定する

高値で売却したいなら売り出し価格を高くする必要がありますが、あまりに高く設定しすぎるのは禁物です。売り出し価格は市場動向を参考にする必要があり、これにそぐわない金額設定をすると、売り逃しをする可能性もあります。

売り出し価格を高く設定すると、購入希望者が現れないだけではなく、売却が難しいと判断され、不動産会社に難色を示される可能性があります。

売却活動に精力的になってもらえず、適切な売り時を逃してしまうこともあるため注意しなければなりません。価格は不動産会社とよく相談して金額を決めましょう。

不動産価格を調べて売却のタイミングを見極めよう

少しでも好条件で不動産を売却するには、所有する不動産の価格を調べえておくことが大切です。価格が上昇しているかどうかをチェックし、売却のタイミングを見極めましょう。また、売却方法も工夫することで、所有する不動産を少しでも高値で売りましょう。

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

2005年から不動産賃貸仲介営業で不動産業のキャリアをスタート。
物件マニアで、『従事している期間毎日10件内見する』という裏目標を立て、6年間実施。札幌市内の賃貸物件約18,000件を内見した。
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