「不動産価格は今後どうなるのか」。売却を考え始めると、まずここが気になります。
先にお断りしておくと、この記事では価格の予測はしません。将来の価格を言い当てられる人はいないからです。代わりに、公的なデータで今どうなっているかを確かめ、そこから売り時をどう決めるかを整理します。
確かめた結果を先に3つ挙げます。いずれも、この記事のために公的データを集計したものです。
- 「不動産価格が上がっている」の中身は、ほぼマンションです。2010年を100とした指数で、2025年のマンションは217.8。同じ期間に戸建ては120.3、住宅地は118.7でした
- 2026年の公示地価は、三大都市圏と地方圏で差が開いています(+3.5%と+0.9%)。ただしこれは同じ地点を毎年評価し直した数字です
- 実際に取引された土地の単価は、どの圏域も同じくらい上がっていました(+3.8〜5.5%)。一方で戸建ては圏域で差が出ます。同じ地域でも、土地と建物付きで動きが違います
- 上がっているのは主にマンション。戸建て・土地の持ち主の実感がニュースとずれるのは自然なこと
- 土地の取引単価はどの圏域でも上昇。戸建ては首都圏で上がり、地方圏の価格が低い層だけ下がっている
- 「市況が良くなるまで待つ」は、築年数が進む分だけ不利になることがある
- 売り時は市況の予測ではなく、自分の期限・保有コスト・築年数で決める
目次
不動産価格はここまでどう動いたか

国土交通省は毎月、実際の取引価格をもとにした「不動産価格指数」を公表しています。2010年の平均を100として、価格の水準がどう動いたかを示すものです。全国の住宅について、種別ごとに年平均を並べると次のようになります。
| 年 | 住宅総合 | 住宅地 | 戸建住宅 | マンション |
|---|---|---|---|---|
| 2015 | 104.8 | 97.7 | 100.0 | 121.0 |
| 2020 | 113.9 | 99.8 | 101.4 | 153.4 |
| 2022 | 130.8 | 109.5 | 115.1 | 182.0 |
| 2024 | 138.6 | 115.9 | 117.4 | 202.5 |
| 2025 | 144.7 | 118.7 | 120.3 | 217.8 |
15年間で、マンションは2.2倍になった一方、戸建てと住宅地は1.2倍です。直近(2025年12月)の前年同月比でも、マンションが+8.37%と伸びているのに対し、戸建住宅は+3.04%、住宅地は+1.89%にとどまります。
ここが、価格のニュースと自分の感覚がずれる理由です。「不動産が高騰している」という話の主語は、多くの場合マンションです。戸建てや土地を持っている方が「うちはそんなに上がっていないのでは」と感じるのは、実際そのとおりだということになります。
なお、不動産価格指数の最新は2025年12月分です。2026年1〜3月分と4月分は、集計プログラムの不具合により公表が延期されています(2026年7月29日告知・再開日は未定)。
全国の指数が止まっている一方で、首都圏の流通には変化が出ています。東日本レインズの月例(2026年7月)では、中古マンションの成約件数が前年同月比8.6%減と4ヶ月連続で減り、成約㎡単価も1.5%減と3ヶ月連続で前年を下回りました。在庫件数は5.5%増で、5ヶ月連続の増加です。ただし四半期でみた成約価格は前年同期比0.2%増(2026年4〜6月期)と55期連続で前年を上回っており、下落に転じたわけではありません。売り出し側の強気と、成約の鈍さが同時に起きている状態です。
2026年の公示地価でみる、圏域ごとの動き

もう1つの公的指標が、毎年3月に公表される地価公示です。国が全国の標準地を選び、1月1日時点の価格を判定しています。令和8年(2026年)の住宅地について、対前年の平均変動率は次のとおりでした。
| 圏域 | 令和7年 | 令和8年 |
|---|---|---|
| 全国平均 | +2.1% | +2.1% |
| 三大都市圏 | +3.3% | +3.5% |
| 東京圏 | +4.2% | +4.5% |
| 大阪圏 | +2.1% | +2.5% |
| 名古屋圏 | +2.3% | +1.9% |
| 地方圏 | +1.0% | +0.9% |
| 地方四市(札幌・仙台・広島・福岡) | +4.9% | +3.5% |
| その他の地域 | +0.6% | +0.6% |
全国平均は5年連続の上昇です。三大都市圏は上昇幅が広がり、地方圏はわずかに縮んでいます。これまで地方圏を牽引してきた地方四市も、+4.9%から+3.5%へ伸びが鈍りました。
ここから「都市部は上がり、地方は伸び悩む」と読みたくなりますが、この数字の性質を押さえておく必要があります。地価公示は、毎年同じ地点を評価し直した定点観測です。標準地はその地域の標準的な区画として市街地に置かれるため、実際に売買される土地の全体とは対象がずれます。上昇率の高い地点のランキングは公示地価ランキングの記事にまとめています。
では、実際に取引された価格はどう動いたのでしょうか。
【独自集計】実際の取引価格は2024年からどう変わったか

国土交通省が公開している不動産取引価格情報から、2024年と2025年の取引を抜き出して比べました。土地(更地)が約12万件、戸建てが約17万件です。
土地は、どの圏域でも同じくらい上がっていた
住宅地の土地取引について、1平方メートルあたり単価の変化です。
| 圏域 | 2024年の単価(中央値) | 平均の変化 | 中央値の変化 |
|---|---|---|---|
| 全国 | 54,000円 | +5.0% | +5.6% |
| 首都圏 | 170,000円 | +5.5% | ±0% |
| 近畿・中京圏 | 89,000円 | +3.9% | +2.2% |
| 地方圏 | 35,000円 | +3.8% | +2.9% |
単価の水準そのものは圏域で大きく違います(首都圏17万円に対し地方圏3.5万円)。ただし1年間の上がり方は、どの圏域も+3.8〜5.5%の範囲に収まっていました。公示地価でみたときのような、三大都市圏と地方圏の開き(+3.5%と+0.9%)は出ていません。
同じ「土地の値動き」でも、定点観測(公示地価)と実際の取引とでは見え方が変わります。どちらが正しいという話ではなく、測っているものが違うということです。
戸建ては圏域で差が出て、価格が低い層だけ下がっている
同じ期間の戸建て(土地と建物)の取引総額です。
| 圏域 | 2024年の価格(中央値) | 平均の変化 | 価格が低い側25%の変化 |
|---|---|---|---|
| 全国 | 2,500万円 | +1.6% | -2.0% |
| 首都圏 | 3,900万円 | +2.1% | ±0% |
| 近畿・中京圏 | 2,500万円 | +1.1% | ±0% |
| 地方圏 | 1,700万円 | +0.7% | -3.1% |
土地とは対照的に、戸建ては圏域で差が出ました。首都圏の+2.1%に対し、地方圏は+0.7%です。さらに、地方圏では価格が低い側25%の水準が-3.1%と下がっています。土地としては上がっている地域でも、建物が付いた安い戸建ては買い手が付きにくくなっている、という形です。
築年数が価格に効く度合いは、市況とは別に働きます。この点は築年数別の売却相場をまとめた記事で詳しく扱っています。
この集計の条件と限界
読み方を誤らないために、条件を明示します。
- 対象: 国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報。2024年第1四半期〜2025年第4四半期。住宅地で、取引の事情等の記載があるものを除外。土地は面積40〜2,000平方メートル・価格100万円以上、戸建ては価格100万〜3億円・延床30〜2,000平方メートル
- 中央値だけで判断していません。この統計は価格が丸められて公開されているため、実際には動いていても中央値が変わらないことがあります。上の表で首都圏の土地が「中央値±0%・平均+5.5%」となっているのがその例です。平均と四分位を併せて確認しています
- 毎年、別の物件の集まりを比べています。同じ家を追いかけた数字ではないため、その年にどんな物件が多く売られたかによっても動きます
- 取引価格情報は取引当事者への調査にもとづくもので、成約価格情報とは別系統のデータです
価格を動かしている要因
ここまでの数字の背景には、方向の違う力が同時に働いています。
| 要因 | 価格への効き方 | 種別による違い |
|---|---|---|
| 建築費の上昇 | 新築の価格が上がり、中古の割安感が強まる | 建物の比重が大きいマンション・戸建てに効く。更地には効きにくい |
| 金利 | 上がると買い手が借りられる金額が下がり、需要が細る | ローンを使う実需層が中心の価格帯ほど効く |
| 新築の供給 | 減ると中古に需要が向かう | 都市部のマンションで顕著 |
| 人口と世帯の減少 | 買い手の母数が減る | 需要の薄い地域ほど早く効く |
| 立地の選別 | 駅距離・生活利便で差が開く | 全種別。同じ市区町村内でも差が出る |
注意したいのは、これらが全国一律に働くわけではないことです。同じ市区町村の中でも、駅に近い区画と離れた区画では動きが分かれます。前章の集計で圏域の平均像から個別の物件を言い当てられなかったのも、同じ理由です。
だからこそ、次にやることは「全体の予測を追うこと」ではなく、自分のエリアと種別で確かめることになります。
自分のエリアと種別で実勢を確かめる手順

公開されているデータだけで、ここまで調べられます。
1. 不動産情報ライブラリで、自分の市区町村の取引事例を見る
この記事の集計にも使った、国土交通省のデータベースです。地図から市区町村・地区を選び、種別と時期を指定すると、実際の取引価格が一覧で出ます。自分の物件と面積・駅距離が近い事例を3〜5件拾ってください。1件で決めつけないことが大切です。
2. レインズ・マーケット・インフォメーションで成約価格を確認する
不動産流通機構が運営するサイトで、成約した価格を検索できます。売り出し価格ではなく成約価格が見られるのが利点です。掲載の中心は住宅で、土地単体の事例は多くありません。
3. 種別ごとの動きを、価格指数で補正して考える
事例が少ない地域では、直近1〜2年の動きが読み取れないことがあります。その場合は、冒頭で見た不動産価格指数のグラフのように、種別ごとの指数の伸び方を目安にしてください。マンションと戸建てでは、同じ地域でも動き方が違います。
土地については、土地の売却相場を調べる方法をまとめた記事もあわせてご覧ください。相続税路線価から水準を見積もる方法もありますが、その式で出るのは公示価格の水準までで、実際の取引価格とは離れることがあります。実際にどれだけ離れるのかは、路線価と実勢価格の違いを検証した記事で、全国854市区町村の取引データをもとに解説しています。
調べた相場で売り出しても買い手が付かないときの原因と対処は、土地が売れないときの記事にまとめています。
そして、ここまでで分かるのは「条件の近い他人の物件」の価格までです。自分の物件の実額に落とすには査定が要ります。
売り時は市況ではなく「自分の事情」で決まる
「もう少し待てば高く売れるのではないか」。売却を先送りする理由として最もよく聞くものです。
この判断を市況の予測でするのは、おすすめできません。予測が当たるかどうか以前に、待っている間に確実に進む変化があるからです。判断軸は3つあります。
軸1: 期限があるかどうか。住み替え先の契約、相続税の申告期限(相続の開始を知った日の翌日から10か月以内)、離婚に伴う財産分与など、動かせない期限がある場合は、市況を待つ選択肢がそもそもありません。期限から逆算した売却スケジュールを組むのが先です。種別ごとの売却期間の実測と逆算のしかたは、不動産売却の期間の記事で解説しています。
軸2: 持っている間のコスト。固定資産税、管理費・修繕積立金、火災保険、空き家なら管理の手間と交通費。年間で数十万円になることも珍しくありません。1年待って価格が数%上がっても、保有コストで相殺されることがあります。前章の集計でみたとおり、戸建ての年間の動きは地方圏で+0.7%でした。
軸3: 築年数の進行。これが最も見落とされます。市況が横ばいでも、建物の築年数は毎年1年ずつ進みます。特に木造戸建ては築20〜25年で建物の評価がほぼ残らない扱いになることが多く、この帯を挟む前後では、待つほど不利になる可能性があります。築年数ごとの相場の落ち方は、築30年・築40年など築年数別の記事で解説しています。
逆に、待つ判断に合理性があるのは次のような場合です。近隣で再開発や新駅の計画が具体的に進んでいる、相続した直後で相続登記や境界確認が終わっていない、確定測量が必要で売り出せる状態にない。いずれも「市況が良くなるから」ではなく、売れる状態を整えるための時間という理由です。
不動産価格の今後についてよくある質問
金利が上がったら不動産価格は下がりますか?
金利の上昇は、ローンを使う買い手の購入できる金額を下げるため、需要を細らせる方向に働きます。ただし価格は金利だけで決まるものではなく、建築費や供給量、その地域の需要と同時に動きます。実際、直近では金利が動くなかでも公示地価は5年連続で上昇しました。ただし、この公示地価が評価しているのは2026年1月1日時点の価格です。日本銀行は2026年6月16日に政策金利を1.0%程度へ引き上げており(従来は0.75%程度)、この利上げの影響はまだ公表値に入っていません。「金利が上がる=価格が下がる」と単純に結びつけず、自分のエリアの取引事例で確かめることをおすすめします。
地方の家は今売ったほうがよいですか?
一律には言えません。今回の集計では、地方圏でも土地の取引単価は平均+3.8%と上がっていました。一方で戸建ては+0.7%で、価格が低い側25%は-3.1%と下がっています。同じ地方圏でも、更地なのか建物付きなのか、価格帯がどこかで結果が違います。判断は市況ではなく、期限・保有コスト・築年数の3点で考えてください。
「2025年問題」で価格は暴落しますか?
団塊の世代が後期高齢者になることで住宅の供給が急増する、という文脈で語られる話です。相続によって市場に出る物件が増える地域があるのは確かですが、2026年の公示地価は全国平均で5年連続の上昇となっており、現時点の公的データに全国的な急落は表れていません。ただし需要の薄い地域では、売り出しても買い手が付かない状態が長引くことがあります。地域ごとの実勢を見るしかありません。
待てば高く売れますか?
価格が上がる可能性はありますが、同時に建物は1年分古くなり、保有コストもかかります。今回の集計でみた戸建ての年間の動きは、首都圏で+2.1%、地方圏で+0.7%でした。この幅と、1年分の固定資産税・管理費・築年数の進行を並べて比べるのが現実的な判断です。
マンションは今が売り時ですか?
指数でみるかぎり、マンションは他の種別と比べて上昇が続いています(2025年12月の前年同月比+8.37%)。ただしこれは全国の平均であり、築年数・立地・管理状態によって個別の結果は大きく変わります。首都圏の直近の流通では成約件数と㎡単価が前年を下回る月が続いているため、全国の指数だけで判断せず、まずは同じマンション内や近隣の成約事例を確認してください。
まとめ: 予測を追うより、自分のエリアと種別を確かめる
不動産価格の今後について、公的データで確かめられることを整理しました。
- 上がっているのは主にマンション。2010年比でマンション2.2倍に対し、戸建て・住宅地は1.2倍
- 2026年の公示地価は三大都市圏+3.5%・地方圏+0.9%。ただし定点観測の数字
- 実際の取引では、土地はどの圏域も+3.8〜5.5%で上昇。戸建ては圏域差が出て、地方圏の価格が低い層は下落
- 圏域の平均像から、自分の物件は言い当てられない。エリアと種別で確かめる
- 売り時は市況の予測ではなく、期限・保有コスト・築年数で決める
相場の全体像を追いかけるより、自分の物件が今いくらなのかを知るほうが、判断は早く固まります。SUMiTASの10秒査定は、住所と物件情報を入れるだけで匿名・電話なしで概算価格を確認できます。まずは今の水準を知るところから始めてください。
本記事のデータは次のとおりです。不動産価格指数は国土交通省「不動産価格指数(住宅)」の全国・原系列(2010年平均=100)を年平均で集計したもので、最新は2025年12月分です(2026年1〜3月分および4月分は公表延期)。首都圏の直近の流通は東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch(2026年7月度)」および「季報 Market Watch(2026年4〜6月期)」によります。政策金利は日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年6月16日)によります。公示地価は国土交通省「令和8年地価公示」の住宅地・対前年平均変動率です。取引価格の年別比較は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報(2024年第1四半期〜2025年第4四半期)をもとに当社で集計しました。集計条件は本文に記載しています。取引価格情報は取引当事者への調査にもとづくもので、成約価格情報とは別系統のデータです。個別の物件の価格は、立地・形状・築年数・管理状態により大きく異なります。
不動産売却ガイド
