任意売却の相談はどこにする?4つの相談窓口と相談時の確認事項を解説

任意売却の相談はどこにする?4つの相談窓口と相談時の確認事項を解説

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

住宅ローンの返済を6か月〜10か月ほど滞納すると、裁判所から競売開始決定通知書が届き、家を競売にかけられてしまいます。競売を避けるためには、家賃の返済が厳しくなってからすぐに任意売却を検討しなければなりません。

しかし、いざ任意売却をするとしても「どこに相談すればいいのか」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。任意売却の相談は、自身の状況に合わせて選ぶと話がスムーズです。

そこで本記事では、任意売却の相談窓口とその特徴、相談時の確認事項などをお伝えします。

最後まで目を通し、できるだけ早く行動に移しましょう。

不動産の任意売却を相談できる窓口

「任意売却」は金融機関から抵当権の解除・承諾を得て、住宅ローンが残る家を売る方法です。抵当権の解除を認めてもらうことで、住宅ローン残高が査定額を上回るオーバーローンの家でも売却できます。

不動産の任意売却を相談できる窓口は、次の4つです。

  •  銀行などの金融機関
  • 弁護士
  • 司法書士
  • 不動産会社

冒頭でもお伝えしたように、相談する窓口は自身の状況から判断することが大切です。
それぞれの窓口にどのような特徴があり、どのようなときに相談すればいいのかを、ここで頭に入れておきましょう。

銀行などの金融機関

「毎月数万円だけ返済金が足りない」「一時的に収入が減っている」など、返済を滞納したものの返済額を見直せば返済できる状況なのであれば、銀行などの金融機関への相談を検討しましょう。

債権者である金融機関は、できれば任意売却せず住宅ローンの返済を続けてほしいのが本音です。返済の意思があるのならば、相談することで返済額の見直しや猶予をしてもらえるでしょう。

逆に任意売却をしたい方が相談しても、許可してもらえなかったり返済の見直しを提案されたりして、話を進められない可能性があります。

返済の意思がある、あるいは任意売却を迷っているのなら金融機関への相談が適していますが、任意売却をすると決めたのなら、弁護士・司法書士・不動産会社のいずれかの窓口に相談しましょう。

弁護士・司法書士

弁護士や司法書士などの士業への相談が適しているのは、任意売却と同時に債務整理も検討している方です。

住宅ローンだけではなく他のローンの返済も厳しい場合などは、個人再生や任意整理、自己破産などの手続きを同時に進めることもあります。もし債務整理を検討しているのであれば、弁護士や司法書士への相談を検討すると良いでしょう。

不動産会社のみの相談で済む?

債務整理を伴わない任意売却は、不動産会社のみの相談で済むケースがほとんどです。法の専門家への相談には高額な報酬もかかるので、まずは不動産会社に相談することをおすすめします。

不動産会社

任意売却に限らず、家を手放す意思が固まっているのであれば、まずは不動産会社に相談しましょう。任意売却といっても、“金融機関の許可を得る”という部分以外は、実は通常の仲介売却と同じだからです。金融機関に相談したとしても、結局は不動産会社へと足を運ぶことになります。

また、「住宅ローンの滞納=任意売却」と結びつける方が多いのですが、地価の上昇や需要の増加によって、売却金で住宅ローンを完済できることも少なくありません。本当に任意売却が必要なのかを確かめるためにも、まずは不動産会社に相談することをおすすめします。

ただし任意売却の相談は、どんな不動産会社でもいいわけではありません。
次章で詳しく説明します。

任意売却の不動産会社選びで確認すべきポイント

任意売却では家を売却するだけではなく、新たな住まい探しなどの生活の立て直しも考えなければなりません。しかし任意売却自体に対応していない不動産会社が多く、対応できても売却までしかサポートしてもらえないこともあります。

任意売却では不動産会社選びもとても重要なので、とくに次のようなポイントを確認しましょう。

  • 任意売却の実績が豊富であるか
  • 弁護士や司法書士と提携しているか
  • 担当者が誠実に対応してくれるか

それぞれ詳しく説明します。

任意売却の実績が豊富であるか

前述したように、任意売却では家を売るだけではなく、生活の立て直しも考えなければなりません。さらに債権者(金融機関)との交渉や売却活動、新居探しなども同時進行で行うので、思わぬトラブルが発生する可能性もあります。

任意売却の実績が豊富な不動産会社であれば、イレギュラーな事態にもしっかり対応してもらえるので、安心して任意売却を進められるでしょう。

弁護士や司法書士と提携しているか

任意売却を進めるなかで、債務整理を検討したほうがいいケースも出てくるかもしれません。その場合は弁護士や司法書士と相談しながら手続きを進めるため、法の専門家と提携している不動産会社なら話がスムーズです。

担当者が誠実に対応してくれるか

任意売却は売却活動こそは仲介売却と変りませんが、「住宅ローンを滞納している」という事実から、精神的な負荷が大きい売却です。金融機関との交渉や期日までの売却、さらには新居探しなどで多忙になり、疲弊してしまう可能性もあります。

できるだけストレスがかからないように任意売却を進めるためには、悩みに寄り添い、誠実に対応してくれる担当者に依頼することが大切です。ここまで紹介した2つのポイントも大切ですが、最終的には担当者との相性を見てから契約を検討しましょう。

任意売却を相談するときに確認しておきたいこと

任意売却の相談窓口や不動産会社選びについて説明してきたので、最後に相談時に確認しておきたいポイントをお伝えします。

  • 本当に任意売却すべきかどうか
  • 任意売却後のローン返済について
  • 手数料やコンサル料の有無

それぞれ見ていきましょう。

本当に任意売却すべきかどうか

前述したように、任意売却は金融機関との交渉に手間がかかるなど、精神的な負担が大きい売却方法です。住宅ローンの返済をすでに滞納しているとしても、本当に任意売却が必要なのかを慎重に考えなければなりません。

中古物件の取引価格は上昇が続いているので、住宅ローンを売却金で完済できる可能性もあります。売却金でローンを一括返済できるのならば、金融機関の許可を得ることなく仲介売却で家を売却できます。

不動産会社への相談時には、本当に任意売却が必要なのか、他に適している方法がないのかなどを必ず確認しておきましょう。

任意売却後のローン返済について

任意売却をすると売却後は返済義務がなくなると勘違いされる方も多いのですが、不足分については返済が必要です。たとえば住宅ローンが3,000万円残っている家を2,000万円で売却したら、残りの1,000万円は一括または分割返済することになります。

図解:任意売却後のローン返済の例
図解:任意売却後のローン返済の例

分割返済を選択する場合は、月々の返済金額や期間、利息などは不動産会社を通じて交渉してもらえる場合がほとんどです。少額返済にも応じてもらえるでしょう。

しかし、それでも返済が難しいのであれば、自己破産も視野に入れなければなりません。任意売却前から返済が難しいのが明らかなら、初めから弁護士や司法書士に相談したほうが良いでしょう。

なお、司法書士が対応できるのは、1件につき債務額(元金)140万円以下までの債務整理のみです。140万円を超える場合は、弁護士への相談になります。

手数料やコンサル料の有無

任意売却に対応している不動産会社の中には、債務者の焦りにつけこんで悪質な営業をする会社もあります。よくあるのが、手数料やコンサル料の請求です。

不動産会社が売主に対して仲介手数料以外の手数料を請求するのは、宅地建物取引業法(宅建業法)で禁止されています。つまり手数料を請求してくる時点で、その不動産会社は悪質な営業をしているということです。

契約前には念のため仲介手数料以外の手数料がかからないかを確認し、万が一請求された際には、宅建協会や各都道府県の宅建指導担当に相談しましょう。

任意売却は相談先が重要!信頼できる会社に相談を

任意売却の相談窓口は、自分の状況や意思から選ぶことが大切です。

返済を続ける意思があるのなら金融機関に、売却を検討しているのであれば、まずは不動産会社に相談しましょう。他にもローンを抱えており、任意売却後の返済も明らかに難しいのであれば、債務整理を視野に、弁護士や司法書士への相談を検討してください。

任意売却では債務者の焦りにつけこんで、悪質な営業をする不動産会社もあります。今回説明したポイントを参考にして、慎重に会社選びをしてください。

全国に店舗展開しているSUMiTAS(スミタス)でも、任意売却の相談を承っております。

本当に任意売却が必要なのかも含め、しっかりとヒアリングをしながら売却についてアドバイスいたしますので、まずはご相談ください。

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

愛媛大学在学中に愛媛県で株式会社アート不動産を創業する。現在アート不動産では、アパマンショップ(賃貸)を5店舗、SUMiTAS(売買)を2店舗・管理センターを1店舗、売買店舗を2店舗運営。吉田 宏の詳細プロフィールはこちら