日本国内において、マンションの人気は築年数の浅いものほど高い傾向にあります。マンションの売却を行う場合、基本的に築年数が古ければ古いほど売却しにくくなると言えるでしょう。
本記事では、築年数の古いマンションの売却について、特に築40年以上のマンションを売却することについて解説していきたいと思います。本記事を読むことで、築40年など築古マンションを売却するメリット・デメリットや高く売るコツを知ることができるでしょう。
目次
築40年ってどれくらい古いの?
日本国内においてはマンションは築年数が古ければ古いほど人気が落ちてしまいますが、築40年のマンションというとどのくらい劣化しているのでしょうか?
築20年位で下げ止まる中古マンションの売却価格
築古マンションは古ければ古いほど売却しづらくなります。一方で、築年数と売却価格の関係を見てみると、新築から築年数を経るごとに売却価格が減っていく一方、築20年程度で下げ止まることが多いというデータがあります。

この段階で新築時の価格の50~70%程度まで下がっており、それ以上は下がりづらいというのが築20年程度だと考えるとよいでしょう。築古マンションに具体的な定義はありませんが、このことから築古マンションはおおよそ築20年程度以上と考えられます。
マンションの耐用年数
マンションの多くはRC造で建てられます。RC造とは鉄筋とコンクリートを組み合わせた鉄筋コンクリート造のことで、その材料となるコンクリートは100年持つとされています。
しかし、マンションは当然ながらコンクリートだけではなく配管や各種設備が入っており、それらが古くなると建て替え等を検討しなくてはならないこともあるでしょう。
なお、税金の計算に用いられる「法定耐用年数」ではRC造の建物の耐用年数は47年とされています。
築40年のマンションは売却できる?
築20年程度から築古マンションと判断される中、築40年のマンションは売却できるのでしょうか? 結論からいうと、築40年のマンションであっても問題なく売却できるといえるでしょう。
中古マンションの人気が高まっている
中古マンションが売れる理由の一つとして挙げられるのが、特に都心を中心とした中古マンションの人気が高まっているということです。これは、東京オリンピックやアベノミクスによる円安需要などを背景に、都心を中心とした地価の上昇が起こっており、これに伴い新築マンションの価格が高騰していることが原因と考えられます。
新築マンションの価格が高くなりすぎてしまい、一般の人では手を出せないレベルまで高くなってしまったのです。このため、これまで中古マンションを検討していなかった人でも、中古マンションを検討することが多くなっています。
このように中古マンションは以前より人気が高まっており、築40年のマンションでも十分に売却できる可能性があります。
築40年マンションのメリット・デメリット
築40年のマンションにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
メリット1:価格が安い
築40年のマンションのメリットとして価格が安いことが挙げられるでしょう。
アベノミクスが実施された頃から日本の地価は上昇を続けており、ここ数年は「不動産バブル」とも言われている現状です。新築マンションの購入を検討していた人であっても、その価格の安さから中古の購入を検討するケースが増えていると言えます。
メリット2:管理を知った上で購入できる
新築マンションと比較した際、中古マンションのメリットとしてよくいわれるのが、管理状況を確認したうえで購入できることです。新築マンションでは、これからどのように管理されていくのか不透明ですが、中古マンションの場合、過去にどのような管理をされてきたか知ることができます。
特に築40年も経っていれば豊富な管理データを見たうえで、管理状況を把握でき、購入の判断材料として活用できるでしょう。
メリット3:立地がよいことがある
築古マンションは立地条件の整っているものが多いというメリットがあります。ここ数十年でマンションが次々に建てられていることもあり、立地のよいところに空き地を求めることが難しくなっています。一方、古いマンションであれば、今のように競争の激しい環境になる前に建てられている可能性が高く、立地がよいことが多くあります。
売却するマンションが築古マンションに該当する場合、改めて立地について確認してみるとよいでしょう。
デメリット1:修繕積立金の問題
築古マンションについては修繕積立金に注意が必要です。修繕積立金とは、将来の大規模修繕などに備えて入居者全員で積み立てるお金のことです。
築年数が古くなると、当然修繕の実施回数も増え、1回あたりの必要な積立金も大きくなっていくでしょう。十分な額の修繕積立金が蓄えられていればよいですが、万が一に必要な額が足りない場合には入居者から別途徴収するケースもあります。
積み立てられている額が小さく、かつ管理が適切に行なわれていないような物件だと売却しにくくなるといえるでしょう。
デメリット2:耐震性の不安
建物の内部については、ある程度リフォームやリノベーションで新築に近い状態に戻すことも可能ですが、耐震性に関係する基礎部分については簡単に補強することはできません。
特に、1981年より前に建てられた建物については「旧耐震基準」と呼ばれる古い耐震基準を元に建てられており、耐震性に不安が残ります。「旧耐震基準」のマンションが必ずしも耐震性が低いというわけではありませんが、物件を探す段階で旧耐震基準のマンションは除外する購入者もおり、売却しにくくなってしまいます。
デメリット3:契約不適合責任の問題
中古マンションには「契約不適合責任」問題があります。
契約不適合責任とは、不動産の売却後契約書の内容と対象の不動産の状況が異なる場合に、買主から売主に対して補修など要求できる責任のことです。特に築年数の古いマンションほど、売却後にこうしたトラブルが発生する可能性は高いといえるでしょう。
築40年のマンションを売却するのであれば、契約不適合責任を追及されないよう、不具合などについて事前にしっかり買主に伝えておくことが大切です。
築古マンションを高く売るには
築古マンションは新築マンションや築浅マンションと比べて価格が安いことがポイントとなりますが、それでも売主としては少しでも高く売却したいですよね。
ここでは、築古マンションを高く売る方法について解説していきたいと思います。
リフォームしない
築古マンションはフローリングや壁紙が傷んでいたり、設備が古かったりすることが多いでしょう。こうした設備等に関して、売却前にリフォームを実施するケースもあります。しかし、少しでも高く売却したいと思ったらリフォームせずに売却することをおすすめします。理由としては、リフォームしたからといって、リフォーム費用分高く売却できないことも多いからです。
また、買主の中にはマンションを購入後、自分でリノベーションしたいと考えている方もおり、売主がリフォームを実施しているとその費用分が無駄になってしまいます。少しでも高く売却したいのであれば、売却前にリフォームを実施するかどうかよく検討することが大切です。
販売価格を高めに設定する
不動産は売却前に価格交渉を要求されることが多いです。このため、最初は高めの販売価格を設定しておくことで、価格交渉されても十分な額で売却できる可能性が高くなるといえます。
もちろん、高めに設定した価格で売却できればそれに越したことはないでしょう。
複数の不動産会社に売却査定を出す
マンション売却時には複数の不動産会社で売却査定を出すことをおすすめします。というのも、同じプロであっても参考にするデータの違いなどにより査定結果が異なることがあるからです。
複数の不動産会社に査定額を提示してもらい、査定額の理由も聞きながら信頼できる不動産会社を見つけることをおすすめします。
1社1社不動産会社を探すのは大変ですが、SUMiTAS(スミタス)なら全国の不動産売買店舗と連携査定しますので、是非ご利用ください。
まとめ
築40年のマンションについてメリット・デメリットや高く売る方法などお伝えしました。築40年のマンションは、耐震基準の問題などあり築浅物件と比べて条件が悪くなってしまう可能性があります。一方で、メリットもたくさんあるため、まずはその内容について把握できるようにするとよいでしょう。
本記事でもお伝えした通り、少しでも高く売却したいのであれば、SUMiTASへご相談ください。
この記事を書いた人

逆瀬川勇造
宅建士 / FP2級技能士(AFP) / 相続管理士。地方金融機関勤務後、不動産会社にて営業部長を務め、住宅の新築や土地の売買、相続などさまざまなお客様を担当。その後、金融や不動産を中心としたライターとして独立し、実務経験を活かして読者の悩みに寄り添う記事を執筆。