住宅ローンの金利から利息を計算する方法と、計算前に知っておきたいこと

住宅ローン 金利 計算

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

金融機関が提供する返済額シミュレーションで確認できるのは、

  • 「月々の返済額」
  • 「ボーナス月の返済額」
  • 「総返済額」

の3つで、利息は表示されない場合が多いです。
けれど住宅ローンを比較するときには、「利息」も気になりますよね。

そこで本記事では、住宅ローンの金利から利息を計算する方法や、利息を計算するときの注意点をお伝えします。住宅ローンの利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

住宅ローンの利息を計算する前に知っておきたいこと

住宅ローンの返済額には「元金」と「利息」が含まれており、返済方法によって元金と利息は異なります。利息の計算方法を知る前に、まずは住宅ローンの基本である、返済方法について知っておきましょう。

ローンの返済額に含まれるもの

住宅ローンは4,000万円借り入れたからといって、4,000万円を返済するわけではなく、元金に応じた利息が上乗せされます。そのため、4,000万円の元金部分は“返済”し、そこに上乗せされる利息は“支払う”イメージです。

支払う利息の金額は、元金と金利で決まります。
たとえば、3,000万円を元利均等返済で35年かけて返済する場合で考えてみましょう。
プランAの金利は0.5%、プランBの金利が0.8%だったとします。

  • プランA:月々の利息12,500円、総額2,707,920円
  • プランB:月々の利息20,000円、総額4,405,560円

月々の利息の差は7,500円ですが、利息分の総返済額を見ると約170万円もの差が出ます。

私たちが住宅ローンを比較するときには、ついつい月々の返済額に目がいきがちですが、比較時に必ず確認しておきたいのは「利息」の部分です。

元利均等返済と元金均等返済の違い

住宅ローンを組むときには

  • 「元利均等返済」
  • 「元金均等返済」

のどちらかの返済方法を選びます。2つの返済方法の大きな違いは、元金の減り方です。

元利均等返済は借り入れ当初は利息部分の支払いが多く、元金の減りが緩やかで、完済時まで返済額は一定になります。これに対して元金均等返済は、元金部分は一定になっていて、返済が進むに連れて少しずつ利息と返済額が減るのが特徴です。

元金均等返済のほうが支払う利息は少なくなりますが、返済当初の月々の返済額が大きくなります。
なお、シミュレーションツールで返済方法を選択できない場合は、元利均等返済でシミュレーションされている場合がほとんどです。

住宅ローンの金利から利息を計算する方法

ここまでの説明で、住宅ローンの金利と利息がどれだけ大切なのか、おわかりいただけたと思います。ここからはこの記事の本題である、住宅ローンの金利から利息を計算する方法をお伝えしていきましょう。

私たちが金利と認識している数字は、正しくは「年利」といい、年利を12(1年間の月数)で割った「月利」で月々の利息が決まります。

年利(%)÷ 12 = 月利(%)
ローン残高 × 月利= 月々の利息額

この先は上記の計算式を基本として、元利均等返済と元金均等返済の返済額の計算をしていきます。

元利均等返済の計算方法

返済が進むに連れて元金の割合が大きくなる元利均等返済では、月々の返済額を計算したあとに、先ほど説明した計算式で求めた「月利」をかけて利息を求めます。

元金返済額 = 借入金額 ÷ 返済回数(35年の場合は12か月×35年=420回)
利息 = ローン残高 × 月利(%)
月々の返済額 = 元金返済額 + 利息

計算例を見てみましょう。

【計算例】
借入金額:4,000万円
借入期間:35年
金利:0.5%(変動金利、ただし変動はないものとする)
ボーナス返済:なし

毎月返済額 :103,834円
利息 :4,000万円 ×(0.5% ÷ 12)= 16,666円
月々の返済額 : 103,834円 – 16,666円 = 87,168円

「返済1年後」や「返済10年後」などの決まった時期の利息を求めたいときには、その時点でのローン残高をもとに上記の計算式に当てはめれば、その時点での利息を調べられます。

元金均等返済の計算方法

完済まで元金の返済額が一定な元金均等返済では、元利均等返済よりも計算式が少しシンプルになります。

元金返済額 = 借入金額 ÷ 返済回数(35年の場合は12か月×35年=420回)
利息 = ローン残高 × 月利(%)
月々の返済額 = 元金返済額 + 利息

計算例を見てみましょう。

【計算例】
借入金額:4,000万円
借入期間:35年
金利:0.5%(変動金利、ただし変動はないものとする)
ボーナス返済:なし

元金返済額 :4,000万円 ÷ 420回 = 95,238円(小数点以下切り捨て)
利息 :4,000万円 × (0.5% ÷ 12)= 16,666円
月々の返済額 : 95,238円 + 16,666円 = 111,904円

同じ借入額と年数と金利でも、元金均等返済のほうが元利均等返済よりも返済額が高くなることがわかります。決まった時期の利息を求めたいときには、元利均等返済と同じように、その時点でのローン残高をもとに上記の計算式を用いて計算してみてください。

利息の計算はシミュレーションツールを使うのがおすすめ

先ほど説明した計算式を見てわかるように、利息を求める計算はとても複雑です。
計算式を知っていれば、どのようにして利息が決まるのか理解することはできますが、実用的ではありません。

住宅ローンを比較するときに利息を比較するのなら、手軽に利息を計算できるシミュレーションツールの利用がおすすめです。

住宅金融支援機構が提供する「返済プラン比較シミュレーション」では、返済額や利息を最大3プランまで比較できます。住宅ローンを比較する際にぜひ、活用してみてください。

参考:住宅金融支援機構「返済プラン比較シミュレーション」
https://www.simulation.jhf.go.jp/type/simulation/hikaku/openPage.do

住宅ローンの金利から利息を計算するときの注意点

住宅ローンで支払う利息を知ることは、とても大切です。
けれど返済額や利息を計算するときには、知っておきたい注意点もあります。

計算で求めた返済額通りになるとは限らない

住宅ローンの返済額や利息を計算するときに必ず知っておきたいのが、計算で求めた通りになるとは限らないということです。変動金利や期間選択型の固定金利を選んだ場合、金利の上昇によって当初計算していた利息よりも増える可能性があります。

低金利を前提として返済できるギリギリの金額で借り入れた場合、金利が上昇してしまったときに返済が厳しくなってしまうかもしれません。全期間固定金利を選択する場合を除き、金利上昇のリスクを念頭に置いて、シミュレーションしましょう。

住宅ローン 金利 推移住宅ローン金利の推移と今後の動向は?金利タイプはどう決める?

返済方法の特徴を知ったうえで利用する

計算結果を見てわかるように、返済方法によって月々の返済額と総返済額に差が出ます

借り入れ当初の負担を減らしたいのであれば元利均等返済がおすすめですが、総返済額で考えると元金均等返済のほうが支払う利息を抑えられます。

それぞれメリットもあれば注意点もあるので、どちらがいいとは断言できません。返済方法で悩んだときには、現時点での家計状況や、マネープランをもとにどちらが自分に適しているのかを考えてみましょう。

返済額と利息額を知って無理のない返済プランを!

住宅ローンの利息を計算してみて、意外と大きな金額を払っていることに驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?金利によって、利息と返済額には大きな差が出ます

住宅ローンの返済シミュレーションをする際には、返済額と利息額を知り、無理のない返済プランを組むことが大切です。SUMiTAS(スミタス)でも住宅ローンの相談を承っておりますので、お悩みの方はお気軽にご相談ください。

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

2005年から不動産賃貸仲介営業で不動産業のキャリアをスタート。
物件マニアで、『従事している期間毎日10件内見する』という裏目標を立て、6年間実施。札幌市内の賃貸物件約18,000件を内見した。
天池 篤哉の詳細プロフィールはこちら