不動産を相続登記したときの登録免許税はどのくらい?計算方法や納税期限を解説!

不動産を相続登記したときの登録免許税はどのくらい?計算方法や納税期限を解説!

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

不動産の相続登記をするときにかかる税金が、「登録免許税」です。
登録免許税がどのくらいかかるのかは、不動産の評価額によって異なります。

そこで本記事では、登録免許税の計算方法を計算式に当てはめながら解説していきます。納税期限や納税方法などの登録免許税の基本部分もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

不動産相続における「登録免許税」とは?

被相続人から不動産を相続したときに、不動産の名義を変更する手続きを「相続による所有者移転登記」といい、「相続登記」と呼ばれています。そして相続登記の際に納める税金が「登録免許税」です。

相続登記における登録免許税の税率は「固定資産税評価額 × 0.4%」の計算式で算出します。ただし、事実婚の配偶者や同性のパートナーなど、法定相続人以外が遺言によって不動産を取得した場合の税率は 2%です。

登録免許税の納税期限や方法、費用については次章で詳しく説明します。

登録免許税や不動産登記がどのような手続きなのかを解説した記事がありますので、こちらも参考にしてください。
登録免許税とは

登録免許税の納税期限と納税方法

登録免許税がどのような税金かお伝えしたので、この章では登録免許税の納税期限と納税方法をお伝えします。

登録免許税の納税期限

現時点(2023年11月)の相続登記は義務化されておらず期限もないため、相続登記の際に納める登録免許税の納税期限もありません。
ただし、2024年4月1日からは相続登記が義務化されるため、3年以内に相続登記と登録免許税の納税が必要です。正当な理由がなく期限内に相続登記をしなかった場合は、10万円以下の過料が科せられます。

過去に相続があった不動産も義務化の対象となるため、すでに相続が発生しているのなら、早めの手続きをおすすめします。

登録免許税の納税方法

登録免許税の納税方法には

  • 「現金」
  • 「収入印紙」
  • 「オンライン」

の3つの方法があります。

まず、現金で納税する場合は、銀行などの金融機関を通じて登録免許税を支払い、その際に発行された領収書を登記申請書に貼り付ける形で納税します。

登録免許税が30,000円以下の場合は、収入印紙での納付が可能です。法務局や郵便局などで税額分の収入印紙を購入し、登記申請書に貼り付けて納付しましょう。

オンライン上で行う電子納付であれば、インターネットバンキングを利用して自宅から登録免許税の納税が可能です。マイナンバーカード、ICカードリーダライタまたはICカードが読み取り可能なスマートフォンを利用して、すべてインターネット上で手続きします。

ICカードを読み取れるスマートフォンが増えてきたことから、最近では電子納付を選択する方が増えてきています。

登録免許税以外にかかる費用

相続登記をする際には、登録免許税以外にも次のような費用がかかります。

【書類取得費用】

  • 戸籍謄本:1通450円
  • 除籍謄本:1通750円
  • 改製原戸籍謄本:1通750円
  • 住民票の写し:1通300円
  • 印鑑証明書:1通200円~400円
  • 登記事項証明書:1通600円

【司法書士への報酬】

  • 登記申請のみ:5~8万円
  • 戸籍収集や遺産分割協議書の作成、登記申請:7万円~15万円

被相続人の戸籍謄本は平均して4~6通ですが、相続人全員分の戸籍謄本や印鑑証明書も必要です。すべての書類を合わせると数十枚ほどになり、取得費用も数千円〜数万円になります

また、司法書士に依頼する場合は依頼内容の範囲によって異なりますが、相場は5~15万円です。報酬は相続人の人数や不動産の件数によっても異なるため、詳しい金額を知りたい方は、司法書士事務所で見積もりを依頼しましょう。

不動産相続の登録免許税の計算手順

登録免許税がどのような税金か説明しましたが、気になるのは「登録免許税がどのくらいの金額になるのか」という部分ではないでしょうか。ここでは登録免許税の計算手順をお伝えしていきます。

STEP1:固定資産税評価額を調べる

前章でお伝えしたように、登録免許税の税額は不動産の評価額によって決まるため、まずは相続する不動産の固定資産税評価額を調べます

「固定資産税評価額」は、固定資産税や都市計画税を算出する際に基準となる評価額で、登録免許税の課税額を決める際にも使用されます。この評価額は固定資産評価基準をもとに市区町村が決定するため、評価額を求めるための計算は不要です。固定資産税評価額の調べ方は次章で説明します。

固定資産税評価額と混同されやすい言葉に「相続税評価額」がありますが、相続税評価額は相続税や贈与税を計算する際に基準となる評価額なので、固定資産税評価額とは別物です。

相続税評価額の詳しい説明や計算方法をまとめた記事がありますので、不動産の相続税評価額が気になる方は、ぜひこちらの記事にも目を通してみてください。

STEP2:固定資産税評価額に税率をかける

固定資産税評価額がわかったら、税率をかけて登録免許税を計算します。

固定資産税評価額 × 0.4%

なお、固定資産税評価額が1,000円以上の場合は、1,000円未満の部分を切り捨てます。
一戸建ての不動産を相続したときの計算例を見てみましょう。

【固定資産税評価額】

土地:7,079,973円
家屋:6,843,167円

【計算式】

7,079,973円 + 6,843,167円 = 13,923,140円

計算時には1,000円未満の部分を切り捨てるので、土地と家屋を合算した評価額は「13,923,000円」となります。この数字に登録免許税の税率をかけて100円未満を切り捨てた額が、この不動産の登録免許税です。

13,923,000円 × 0.4% = 55,692円

例に出した不動産の登録免許税は「55,000円」となります。
計算式を見てわかるように、登録免許税の税額は分数を使ったり特別な式を利用したりすることなく簡単に計算できます。

不動産相続の固定資産税評価額を調べる方法

前章の計算で用いた固定資産税評価額は、これから紹介する方法で簡単に調べられます。

固定資産税・都市計画税 課税明細書を確認する

もっとも簡単で、すぐに固定資産税評価額を確認できる方法が、固定資産税と都市計画税の課税明細書の確認です。固定資産税課税明細書は毎年4〜5月頃に、固定資産税と都市計画税の納税通知書とともに送付されます。

固定資産税課税明細書の中に評価額が記載された欄があるので、そこに記載された固定資産税評価額を用いて登録免許税を計算してみてください。

固定資産税評価証明書を取得する

固定資産税課税明細書が見当たらない、または紛失した方は、固定資産税評価証明書を取得しましょう。発行手数料は1枚200〜400円ほどで、市町村役場の窓口または郵送で取得できます。不動産1件につき1枚の発行になるので、土地と建物の場合は2件必要です。

不動産相続の登録免許税が免税される2つのケース

相続登記の登録免許税は、場合によっては免除されることがあります。
最後に登録免許税が免除される、2つのケースをお伝えします。

ケース1:相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合

1つ目が、被相続人が土地の相続登記をしないまま亡くなったケースです。2025年3月31日までに相続登記を行えば、被相続人が納めるはずだった登録免許税は免除されます。

ただし登録免許税が免除されるのは“土地のみ”なので、建物は対象外となり、登録免許税の納税が必要です。措置期間は延長される可能性もあるため、詳しくは法務局のウェブサイトを確認してください。

法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html

ケース2:土地の評価額が100万円以下の場合

2つ目が、土地の固定資産税評価額が100万円以下のケースです。相続した土地の固定資産税評価額が100万円以下であれば、登録免許税の納税は必要ありません

複数の相続人で土地を共有する場合は、それぞれの持分に対する固定資産税評価額が100万円以下であれば適用可能です。

なお、こちらも2025年3月31日までの限定措置なので、詳しくは法務局のウェブサイトを確認してください。

法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html

不動産を相続したら期限内に登録免許税の納税を!

相続登記の際に納める登録免許税は、固定資産税評価額さえわかれば簡単に計算できます。相続が発生したら、どのくらいの登録免許税が必要なのか調べてみてください。

相続登記は2024年4月1日から義務化が決まっているため、義務化直前の3月頃は法務局の窓口が混み合うことが予想されます。相続が発生したら、なるべく早く相続登記をしておきましょう

相続した不動産の活用や売却をお考えの方は、ぜひSUMiTAS(スミタス)にご相談ください。相続登記はもちろん、相続税や譲渡所得税など、税金面のご相談も承っております。

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

2005年から不動産賃貸仲介営業で不動産業のキャリアをスタート。
物件マニアで、『従事している期間毎日10件内見する』という裏目標を立て、6年間実施。札幌市内の賃貸物件約18,000件を内見した。
天池 篤哉の詳細プロフィールはこちら