離婚や金銭問題など、自分にとってネガティブな理由で不動産を売却するとき、できれば理由を伝えたくないと考える方も多くいます。売却理由は、黙っていてもいい場合もあれば、必ず伝えなければならない場合もあるので、不動産会社には正直に伝えることをおすすめします。
そこで本記事では、売却理由を伝えるべき理由や黙っていることのリスク、売却理由を伝えるときのポイントなどをお伝えしていきます。「売却理由を言いたくない」「売却理由を明かすべき?」と悩んでいる方は、最後まで目を通してみてください。
- 不動産売却理由は不動産会社に伝えるべき。隠すと信頼関係や契約に問題が生じる可能性がある。
- 言いづらい理由は、担当者と相談して適切な伝え方を見つけることが大切。
- ネガティブな理由の場合、物件の魅力をアピールし、必要なら価格調整で売却をスムーズに。
目次
不動産の売却理由は伝えたほうがいい?
相続や住み替え、離婚、金銭的な問題、住環境の改善など、不動産の売却理由はさまざまです。理由によっては、伝えるべきなのか悩んでしまうことも少なくありません。
この章では、不動産の売却理由を伝えたほうがいいのか、この記事の本題からお伝えしていきます。
売却理由は伝えなければならない
結論からお伝えすると、売却理由は不動産会社に必ず伝えなければなりません。売却理由が「告知義務」に該当している可能性があるからです。不動産における告知義務は、物件の欠陥や問題のように、買主が「買う前に知っておきたかった」と思うような物件の情報を伝える義務のことです。
具体的には、次のような理由が当てはまります。
- 物理的な瑕疵:シロアリ被害が出ている、雨漏りしているなど
- 心理的な瑕疵:近隣トラブルがある、自殺や他殺、事故死があったなど
- 環境的な瑕疵:異臭、騒音、振動などがある、
上記のように買主にとって不利益になる情報は、すべて告知する義務があります。上記に当てはまらない、離婚や金銭的などは告知する義務はありません。
しかし物件の問い合わせ時や内見時には、必ずといっていいほど売却理由を質問されます。そこで理由を隠すとマイナスな印象を与えてしまうので、実際には売却理由を隠しておけないケースがほとんどです。
不動産売却で多い理由やきっかけ
不動産の売却理由で多いのは、どんな理由やきっかけなのでしょうか。
リクルートが調査した「2022年『住まいの売却検討者&実施者』調査(首都圏)」によると、2022年12月の売却理由で最も多い理由が「売れるときに売るため(30.2%)」、次いで「住む場所を変えるため(28.9.2%)」でした。
他にも「維持管理のお金や手間から解放されるため(18.1%)」や「相続分与のため(15.5%)」などもあったので、理由は人それぞれであることが読み取れます。
また、「ローンを返済するため(9.2%)」や「離婚・別居のため(4.8%)」などのネガティブとも取れる理由もあったので、「離婚や金銭問題で売るのは恥ずかしい」と気にする必要はないでしょう。
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不動産売却で理由を黙っているリスク
売却理由をどんなに伝えるべきだと言われても、言いたくないと思う事情もあるかもしれません。しかし不動産の売却理由を黙っていることには、次のようなリスクがあります。
- 不動産会社と信頼関係が築けない
- 契約不適合責任に問われる
それぞれ詳しく説明していきます。
不動産会社と信頼関係が築けない
不動産会社に売却を相談したときには、必ず売却理由を尋ねられます。その際に売却理由を隠したり、曖昧な返答をしたりしてしまうと、担当者と信頼関係を築けなくなってしまいます。情報を共有していなければ、購入希望者から売却理由を問われたときに、どのように伝えるのか売却戦略を考えることもできないからです。
さらに売却理由を隠したりごまかしたりすると、「何か大きな問題があるのではないか」と思われてしまう可能性もあります。
隠しておきたい事情があったとしても、担当者には売却理由を必ず伝えましょう。
契約不適合責任に問われる
売却理由を黙っていると、その内容によっては売却後に「契約不適合責任」に問われる恐れがあります。契約不適合責任を簡単に説明すると、契約内容に記載がない瑕疵や問題が見つかった際に、一定期間は売主が責任を負うというものです。2020年までは「瑕疵担保責任」と呼ばれていました。
たとえば、シロアリ被害があるのを黙って売却した場合、売却後にその事実が判明すると、代金減額や損害賠償などの何かしらの対応が必要になる場合もあります。瑕疵の程度や内容によっては、契約解除を求められる可能性もあるので注意しましょう。瑕疵保証とは?
不動産の売却理由を言いたくないときの対処法
不動産の売却理由を黙っていることには、さまざまなリスクがあることがわかりました。とはいえ、どうしても購入希望者には伝えたくない理由もあるでしょう。そのようなときにできるのは、次の2つの方法です。
- 不動産会社の担当者に相談する
- 伝え方を工夫する
それぞれ詳しく説明していきます。
不動産会社の担当者に相談する
ここまで何度もお伝えしたように、不動産会社の担当者には、売却理由を必ず伝えなければなりません。もしそれが購入希望者には知られたくない理由であれば、売却活動を始める前に、その旨を担当者に話しておきましょう。
担当者は不動産売却の専門家なので、言いたくない理由をどのように伝えればいいのか、法的に問題がなく、契約不適合責任にも問われない伝え方を考えてくれます。
伝え方を工夫する
契約不適合責任に問われるような理由を除き、ネガティブな売却理由のほとんどは言い換えることができます。たとえば離婚やローンの返済が理由の売却であれば、「住み替えのため」「実家へ戻るため」と言い換えれば、購入希望者に本当の理由を知られることはありません。
購入希望者が「離婚が理由の物件は買いたくない」「売却がネガティブな理由なら知っておきたい」などと不動産会社に伝えていた場合、当てはまる理由を隠すと契約不適合責任に問われてしまいます。
言い換えられるケースと言い換えられないケースがある点は、覚えておきましょう。
不動産をネガティブな理由で売却するときのポイント
離婚、金銭面の問題、近隣トラブル、住宅の欠陥など、ネガティブな理由での売却と、ポジティブな理由の売却では、売り方のポイントが異なります。ネガティブな理由で不動産を売却するポイントは、次の3つです。
- 不動産会社と内見時の打ち合わせをしておく
- 理由を伝えたうえで値下げ対応をする
- 不動産の魅力を伝える
詳しく説明します。
不動産会社と内見時の打ち合わせをしておく
住みながら不動産を売却する場合は、内見に立ち会うことになります。その際に購入希望者から、売却理由や問題箇所の有無などを質問されることもあるかもしれません。質問時に慌てないためには、担当者と事前に打ち合わせしておくことが大切です。質問内容を予想し、その質問に対してどのように返答するのかを話し合っておきましょう。
「自分では答えられる自信がない」という方は、すべて担当者に受け答えしてほしいと伝えておくと安心です。
理由を伝えたうえで値下げ対応をする
ネガティブな売却理由であっても、値下げ対応をすればスムーズに売却できる可能性があります。値下げ対応のポイントは、理由とあわせて値下げを伝えることと、値下げ幅を用意しておくことの2つです。
理由をしっかり伝えたあとに値下げする旨を伝えれば、購入希望者の購買意欲を高められます。また、値下げを加味した価格で売り出しておけば、売却希望額より大幅に価格が下がる心配もなくなるでしょう。
不動産の魅力を伝える
売却理由だけではなく、不動産の魅力を伝えることもとても大切です。とくに次のようなポイントは、内見時に積極的に伝えましょう。
- 駅から近い
- 築年数が浅い
- 近隣に商業施設が多い
- 教育施設が徒歩20分圏内にある
- 眺望が良い
- リフォームで設備を新しく入れ替えた
自分では気づかない隠れた魅力があるかもしれないので、担当者と相談しながらどんな部分をアピールすべきなのか、考えてみてください。
不動産売却で理由を隠すのはNG!必ず担当者に相談を
不動産を売却するとき、理由によっては伝えたくないと思うこともあるかもしれません。しかしそれがどんな理由であれ、不動産会社の担当者には必ず理由を伝えましょう。
不動産の売却戦略を考えるためには、担当者との連携が必須です。悩みや不安をすべて打ち明けたうえで売却活動を任せられる、信頼できる担当者を見つけましょう。
SUMiTAS(スミタス)では、お客さまの考えや気持ちを尊重しながらしっかりと売却をサポートいたします。どのように売却すればいいのか最善の方法を考えますので、「売却理由を知られたくない」「ネガティブな理由で売却するから不安」という方は、まずはご相談ください。