【2024年最新】公示地価ランキング。バブル期以来の伸び率に

【2024年最新】公示地価ランキング。バブル期以来の伸び率に

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

2024年3月26日に国土交通省が発表した、最新の公示地価ランキングを紹介します。

今年発表された公示地価では、全用途地域の全国平均は前年度よりも2.3%上がり、3年連続の上昇となりました。伸び率が2%を超えるのは、1991年のバブル期以来です。

公示地価は土地の用途を分類しており「住宅地」「商業地」「工業地」「全用途」の4つに分けられますが、本記事では「住宅地」と「商業地」のランキングを紹介します。

なぜ2024年の公示地価が上昇したのか、理由や上昇が不動産取引に与える影響なども解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

2024年公示地価ランキング(全国)

2024年1月1日時点での全国の公示地価を、ランキング形式で見てみましょう。なお、今回発表された公示地価には、1月1日に発生した令和6年能登半島地震の影響は反映されていません。

【住宅地:価格順】公示地価ランキングTOP10

まずは、住宅地の公示地価の上位10地点の価格と伸び率を紹介します。

順位都道府県住所令和6年公示地価対前年変動率
1位東京都港区赤坂1-14-115,350,000円/㎡4.5%
2位東京都千代田区六番町6番14,390,000円/㎡2.6%
3位東京都港区白金台3-16-104,260,000円/㎡6.8%
4位東京都港区南麻布4-9-343,920,000円/㎡4.5%
5位東京都港区南麻布1-5-113,700,000円/㎡9.1%
6位東京都千代田区三番町6番253,600,000円/㎡7.8%
7位東京都千代田区一番町16番33,400,000円/㎡6.9%
8位東京都千代田区九段北2-3-253,340,000円/㎡7.4%
9位東京都渋谷区恵比寿西2-20-73,220,000円/㎡5.9%
10位東京都港区赤坂6-19-233,070,000円/㎡5.5%
【住宅地:価格順】公示地価ランキングTOP10

参考:国土交通省「(13)公示価格高順位表(全国)

住宅地の公示地価ランキングは例年通り1〜10位までをすべて東京都が占めており、7年連続で「港区赤坂1-14-11」が1位を獲得しています。

1~10位のすべての地点の価格に上昇が見られましたが、順位に変動はありませんでした。

順位以外で注目したいのは、対前年変動率です。2023年は対前年変動率が2.4~5.2%だったのに対して、2024年は2.6%~9.1%と大きく上昇していることがわかります。

これには高級住宅街でのマンション用地の需要の根強さ、麻布台地区の複合施設「麻布台ヒルズ」のオープンなどが影響したと考えられます。

【商業地:価格順】公示地価ランキングTOP10

続いて、商業地の公示地価ランキングを見てみましょう。前年度の順位から、いくつか入れ替わりが見られました。

順位都道府県住所令和6年公示地価対前年変動率
1位東京都中央区銀座4-5-6(山野楽器銀座本店)55,700,000円/㎡3.5%
2位東京都中央区銀座5-4-3(対鶴館ビル)47,600,000円/㎡3.5%
3位東京都中央区銀座2-6-7(明治屋銀座ビル)40,900,000円/㎡3.5%
4位東京都中央区銀座7-9-19(ZARA)39,900,000円/㎡3.4%
5位 ↑東京都新宿区新宿3-24-1(NEWNO・GS新宿)38,000,000円/㎡3.8%
6位 ↑東京都新宿区新宿3-30-11(新宿高野第2ビル)36,900,000円/㎡5.4%
7位 ↓東京都千代田区丸の内2-4-1(丸の内ビルディング)36,800,000円/㎡0.3%
8位 ↑東京都渋谷区宇田川町23-3(渋谷第一勧銀共同ビル)31,300,000円/㎡9.8%
9位東京都中央区銀座4-2-15(塚本素山ビルディング)29,600,000円/㎡3.5%
10位東京都中央区銀座6-8-3(銀座尾張町TOWER)29,300,000円/㎡2.8%
【商業地:価格順】公示地価ランキングTOP10

参考:国土交通省「(13)公示価格高順位表(全国)

商業地のランキングも1〜10位までをすべて東京都が占めており、1位は18年連続で「山野楽器銀座本店」が獲得しています。1位~4位は前年と同じでしたが、昨年は10位だった「新宿高野第2ビル」が8位に、昨年は5位だった「丸の内ビルディング」が7位になるなど、5位~8位には順位の入れ替わりが見られました。

そして商業地も住宅地と同様に、対前年変動率が大きく上昇しています。

2023年の対前年変動率が0~2.5%だったのに対して、2024年は0.3~9.8%と、地点にもよりますが大きく上昇する結果となりました。

これには、円安によるインバウンド需要の伸びなどが影響しています。

また、価格順位には入らなかったものの、変動率上位順位の1位と2位は熊本県が獲得しています。「村上写真館(上昇率33.2%)」、同県「冨永ビル(上昇率30.8%)」のTSMC熊本工場近くの地点の地価が大きく上昇しました。

参考:国土交通省「(1)変動率上位順位表(全国)

公示地価が上昇した理由などは、後ほど説明します。

公示地価の決まり方

1㎡あたりの土地の価値を示した「公示地価」は、不動産取引において売却価格を決める指標となる重要な数字です。国土交通省が鑑定や分析を行い、1月1日時点での評価が毎年3月中旬ごろに公表されます。

公示地価の内容や決まり方、他の土地評価基準との違いについては下記の記事内で説明していますので、こちらもあわせて参考にしてください。

2020年公示地価ランキング2020年公示地価ランキング

2024年の公示地価が上昇した理由

前章のランキングを見てもわかるように、住宅地・商業地ともに前年度と比較して地価が大きく上昇していました。3年連続の上昇、バブル期以来の伸び率とのことですが、なぜここまで上昇したのでしょうか。

主な理由を3つ説明します。

観光地におけるインバウンド需要の増加

2024年の公示地価ランキングでは、商業地の地価が前年度と比較して大きく上昇しました。この結果に大きく影響したのは、「コロナ禍からの回復」と「円安」の2つの要因です。

2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことで、コロナ禍以前の生活ができるようになったこと、全国各地で観光客が増加したことなどが地価を押し上げる要因になりました。

また円安の影響によって、日本を訪れた外国人が国内商品を“爆買い”したり、高額サービスや旅館などを利用したりと、消費が増えたことも地価の上昇に影響しています。

都心におけるマンション価格の上昇

住宅地では港区や千代田区の地価の上昇が続いており、今回の発表でも最大7.8%と大きく上昇していました。これに影響しているのが、マンション価格の上昇です。

新型コロナウイルス感染症の蔓延によってテレワークが普及し、一時は郊外需要が高まっていましたが、5類への移行を機に従来のオフィスワークへと戻す会社も増えています。

その結果、これまでのように都心のマンション需要が高くなり、地価を上げる要因になりました。

また、円安の影響で多くの外国人投資家が都内の不動産を購入したことも、地価を上昇させる要因のひとつになったと考えられます。

大手半導体メーカーの工場進出

2024年の公示地価の発表で注目されたのは、熊本県の「村上写真館」と「冨永ビル」の地価の上昇です。

どちらも、2023年9月に世界大手の半導体メーカーの工場が完成したことが影響しています。工場付近に建てられる関連施設の土地需要や、工場が生み出すであろう経済効果などが工場付近の地価を底上げする要因となりました。

公示地価と2024年の社会の動きの関係性

用途に限らず全国的に上昇が見られた2024年の公示地価ですが、これから不動産取引を予定しているのなら、1月1日以降の世間の動きや、地方の地価についても把握しておきたいところです

最後に、マイナス金利政策の解除が地価に与えるであろう影響や、地方の地価下落などの頭に入れておきたい情報をお伝えします。

マイナス金利の解除はすぐには影響しない見込み

2024年3月19日の金融政策決定会合で、日銀は17年間にわたって続けてきた「マイナス金利政策」の解除を決めました。政策金利の引き上げが地価にも影響するのではないかと、心配する声も多く上がっています。

しかしマイナス金利政策の解除は、不動産取引にはすぐに影響しない見込みです。

住宅ローンの金利が上昇すると不動産価格は下落する傾向にありますが、政策金利が引き上げられたからといって、すぐに住宅ローンの金利まで引き上げられるとは限らないからです。

住宅ローンの金利の動向を見ながら、不動産の売り時を考える必要があります。

上昇の一方で地方の地価は下落が継続

2024年の発表は地価の上昇が目立っていますが、その一方で地方の地価は下落が続き、二極化が進んでいます。住宅地の地価下落率ワースト1位の福島県いわき市は、人口減少によって8.3%の下落率を記録しました。

全国的に地価が上昇していても、必ずしも所有する不動産の地価まで上がっているとは限らないのが難しい部分です。

売却する不動産の所在地付近の地価がどのように変動しているのかを確認し、売り時を見極めましょう。

2024年も公示地価は全国的に上昇傾向!売却には最適のタイミング

2024年の「住宅地」「商業地」の公示地価ランキングは、バブル期以来の伸び率になるなど、コロナ禍からの回復が顕著になる結果となりました。

地価が上昇すると不動産の取引価格も高くなる傾向があるため、売主にとっては今が売り時と言えるでしょう。しかし不動産価格の上昇は、購入希望者にとってはデメリットの要因となるため売却戦略が重要になります。

不動産の売却を検討中の方はぜひ、売却実績の豊富なSUMiTAS(スミタス)にご相談ください。

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

愛媛大学在学中に愛媛県で株式会社アート不動産を創業する。現在アート不動産では、アパマンショップ(賃貸)を5店舗、SUMiTAS(売買)を2店舗・管理センターを1店舗、売買店舗を2店舗運営。吉田 宏の詳細プロフィールはこちら