離婚時の財産分与の時効とは?除斥期間は離婚から2年

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

離婚後の財産分与について、請求できる期間が決まっている事はご存じでしょうか?
離婚を先に成立させて財産分与を後回しにするケースもあるかと思いますが、請求できる期限を過ぎてしまわないように注意しましょう。

財産分与を請求出来る期間である「除斥(じょせき)期間」と、除斥期間を過ぎても損害賠償として請求できる可能性について解説します。

離婚時の財産分与の除斥期間は2年

財産分与は離婚をするときに行うのが一般的ですが、離婚が成立した日から2年以内であれば財産分与を請求することが可能です。この期間を除斥(じょせき)期間といい、除斥期間を過ぎた場合は、相手側が任意で応じてくれない限り財産分与を請求することはできなくなります

財産分与は時効ではなく除斥期間となり、時効と違い中断はできません。先に離婚をして後から財産分与を請求する場合には、除斥期間内に請求するように気を付けましょう。

除斥(じょせき)期間は離婚した日から2年間の図解

除斥期間と時効の違い

民法上の代表的な期間制限として、「時効」と「除斥期間」の2つがあります。財産分与に適用される期間は「時効」ではなく「除斥期間」です。用途や条件が少し違いますので確認しましょう。

時効とは?

時効とは、時間の経過によって権利を取得(取得時効)したり、消滅(消滅時効)したりする制度です。たとえば、お金を貸した場合に10年間ずっと返済もされず請求もしなかった場合、時効によってお金を返してもらう権利が消滅します。

正確には、時効までの時間が経過し当事者が「時効を援用する」という意思表示をすると時効が成立します。時効には裁判を起こしたり内容証明郵便を郵送することで、時効の時間が経過することを中断したり延長できる制度があります。

除斥期間とは?

除斥期間は、ある一定の期間が過ぎると自然と権利が消滅します。除斥期間は中断できません。財産分与の話し合いがまとまらずに除斥期間を過ぎてしまいそうであれば、家庭裁判所に調停や審判を申し立てれば期間が伸ばせます。

除斥期間が過ぎても財産分与ができるケース

  1. 相手が任意で応じ、お互いが合意する場合
  2. 相手が財産を隠していた場合

財産分与は除斥期間を過ぎると絶対に財産分与ができなくなるわけではありません。相手が任意で応じれば、財産分与は可能です。さらに、離婚をする時に財産分与をしたけれど相手が財産を隠していた場合は、離婚から2年を過ぎても損害賠償を請求できる可能性があります

別居と財産分与の除斥期間

離婚をする前に別居した場合は、別居をした時点の財産が財産分与の対象となります。しかし、財産分与の除斥期間は「離婚が成立した日から」2年間です

対象の財産は別居をした時点の財産になりますが、除斥期間は離婚が成立した日が起点です。

別居をした時点の財産が財産分与の対象となり、除斥(じょせき)期間は離婚した日から2年間の図解

財産分与が確定した後の時効

話し合いや調停で財産分与額が確定した場合は、財産の引渡しを請求する権利は10年間です。財産分与の額が決まると、通常の債権と同じように10年間請求できる権利となるためです。

財産分与をスムーズに進めるために

財産分与をする場合は、まず財産分与の対象となる財産の総額を正しく確定させることが大切です。その中でもマンションや一戸建てなどの不動産は価格が大きいため、総額に大きく影響します。不動産を所有している夫婦は、まず不動産の査定から進めると全体の金額を把握しやすいのでおすすめです

この記事を読んだ方におすすめの関連記事

離婚の財産分与、まずは不動産査定から

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

愛媛大学在学中に愛媛県で株式会社アート不動産を創業する。現在アート不動産では、アパマンショップ(賃貸)を5店舗、SUMiTAS(売買)を2店舗・管理センターを1店舗、売買店舗を2店舗運営。吉田 宏の詳細プロフィールはこちら