【初心者向け】相続の名義変更の教科書|自分でできる?誰がいつまでにどこで行うのかを徹底解説!

【初心者向け】相続の名義変更の教科書|自分でできる?誰がいつまでにどこで行うのかを徹底解説!

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

いざ相続の名義変更を行う状況になると、何をどうすればいいのか分かりづらいですよね。

この記事では、初心者でも分かりやすいように相続時の名義変更について詳しく説明します。名義変更を行う理由や行わないリスク、名義変更の必要書類、費用など、さまざまな観点から徹底解説します。

これから相続の予定がある方や、相続したものの名義変更していないという方は、ぜひ参考にしてください。

相続の名義変更を「行う理由」と「行わないリスク」

不動産を相続したときに名義変更をすることを、相続登記(そうぞくとうき)と呼びます。相続時の名義変更は、2023年4月1日から義務化されるため、今のうちから相続時の名義変更を行うことをおすすめします。

相続時の名義変更を行わずに放置しておくと、以下のようなことが起こるリスクがあるからです。

  • 数次相続(すうじそうぞく)
  • 相続持分売却

1つ目のリスクは数次相続(すうじそうぞく)です。数次相続とは、相続登記など行う前に、相続人に新たな相続が発生してしまうことを指します。例えば、妻と子2人に相続が発生したケースを考えます。元々の相続では、妻と子2人に相続をする予定でした。その後、相続登記を実施する前に子の1人が亡くなってしまうと、亡くなった子に対しても相続手続きをする必要があります。その際、元々の遺産を改めて相続手続きを行う必要があり、元々の関係者よりも必要な関係者が多くなってしまうのです。

2つ目のリスクは相続持分売却です。相続登記は「法定相続分通り」であれば、法定相続人の内の誰か1人が単独で申請できることになっています。相続の名義を変更していないと、他の法定相続人が自分が知らない間に勝手に相続登記が実施されてしまっているケースがあるのです。

さらに、各相続人は、自分の共有持分のみであれば単独で売却することが可能です。通常、不動産の共有持分を単独で売買されるケースはほとんどありません。ところが、不動産会社の中にはこうした共有持ち分を格安で買い取っている会社もあり、時間をかけて他の持ち分も買い集めることで、最終的に割安で土地を取得することを目指しています。そのようなことから、共有持ち分を買い取った不動産会社が一方的に手続きを進めてしまうリスクがあるのでご注意ください。

相続の名義変更をせずに放置しておくと上記のリスクが起こりうるため、早い段階で手続きしておくことが大切です。

「生前贈与」と「死後の相続」の違い

不動産などの相続では、死後に行われる相続だけでなく、生前から遺産を贈与し、名義変更をすることも可能です。

生前贈与には下記のメリットがあります。

  • 財産を譲りたい相手に譲ることができる
  • 時間をかけて節税することができる

生前贈与では、財産を贈りたい相手に財産を贈ることが可能です。相続であっても遺言書で相続人を指定することはできますが、100%渡せるとは限りません。

また、生前贈与は1年間に110万円の非課税枠があるので、10年単位で少しずつ贈与を実施すれば節税につなげることも可能です。

一方、デメリットに「贈与税は相続税より税率が高い」という点があげられます。贈与税は相続税より税率が高いため、何も考えずに生前贈与を行うと「相続税の方が安い」といった結果になることもあります。生前贈与を行う場合は、きちんと計画を立てて適切に行いましょう。

相続の名義変更は義務化されるため、早めに対処すべき

相続時の名義変更に義務や期限は現時点ではありません。しかしながら、相続後に名義変更せずに放置しておくことにはさまざまなリスクがあるため、早めに登記しておくことが大切です。

また、民法の改正により、相続登記は2023年4月1日から義務化されます。過去の相続も義務化の対象になるため、これから相続登記が必要になるという方は、早めにやっておくことをおすすめします。

相続の名義変更は自分でできる?

相続の名義変更手続きは、さまざまな書類をそろえて法務局で提出することさえできれば、自分で手続きすることができます。名義変更の方法が分からないという方でも、法務局の担当者からアドバイスを受けながら手続きを進められます。

しかし、各種書類をそろえるのに役所や法務局に何回も足を運ぶ必要がある上、煩雑な手続きや対応をする必要があります。また、関係者が多いケースや、代襲相続(だいしゅうそうぞく)があるなどイレギュラーなケースでは手続きや必要書類も増える場合があります。

上記のように、相続の名義変更は非常に手間のかかる大変な作業です。ある程度法律的知識があるといったことを除いては、基本的には専門家に手続きを代行してもらうのがおすすめです。SUMiTAS(スミタス)であれば、専門家に無料で相談することができるので、まずは無料相談を検討してみるとよいでしょう。

相続の名義変更に必要な書類

相続の名義変更に必要な書類について見ていきましょう。

相続の名義変更に必要な書類は、大きく「遺言書がある場合」と「遺言書がない場合」に分かれます。そして、遺言書がない場合は、「遺産分割協議書がある場合」と「遺産分割協議書がない場合」によって必要な書類の内容が変わります。一覧にすると下記の通りです。

  1. 遺言書がある場合
  2. 遺言書はないが、遺産分割協議書がある場合
  3. 遺言書がなく、遺産分割協議書もない場合

全ての場合で共通して必要な書類は下記の通りです。

  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 不動産取得者の住民票
  • 相続する不動産の固定資産評価証明書
  • 収入印紙
  • 登記申請書
  • 返信用封筒

次の章からはそれぞれの場合で必要な書類と入手できる場所を記載しますので、該当する章を確認してください。

遺言書がある場合

遺言書がある場合は、共通書類に追加して遺言書そのものを提出する必要があります。なお、遺言書は絶対に自分で開封してはいけません。必ず家庭裁判所で開封する「検認」を行ってください。

なぜなら、誰かが遺言書を開封した場合、内容の変更や取り換えが考えられるからです。遺言書を見つけた場合は、本物かどうかを確定させるためにも必ず家庭裁判所で開封を行ってください。

遺言によって遺言執行者が指定されている場合はその人の印鑑証明書が、家庭裁判所によって遺言執行者が専任されている場合はその書類が必要です。

一方、遺言執行者がいない場合には相続人全員の印鑑証明書が必要になるなど、状況別に必用な書類が変わります。

必要書類入手できる場所
相続人全員の戸籍謄本役所
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本役所
被相続人の住民票の除票役所
不動産取得者の住民票役所
相続する不動産の固定資産評価証明書不動産所在地の役所
収入印紙郵便局など
登記申請書自分で作成
返信用封筒郵便局など
遺言状
遺言執行者の印鑑証明書(いる場合)役所
遺言執行者選任審判謄本(いる場合)家庭裁判所
相続人の印鑑証明書(遺言執行者がいない場合)役所

遺言書がない場合

遺言書がない場合には、遺産分割協議書の有無によって必要書類が変わります。

遺産分割協議書がある場合

遺産分割協議書がある場合は、共通の書類に追加して「遺産分割協議書」と「相続人全員の印鑑証明書」を用意する必要があります。

必要書類入手できる場所
相続人全員の戸籍謄本役所
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本役所
被相続人の住民票の除票役所
不動産取得者の住民票役所
相続する不動産の固定資産評価証明書不動産所在地の役所
収入印紙郵便局など
登記申請書自分で作成
返信用封筒郵便局など
遺産分割協議書
相続人の印鑑証明書役所

遺産分割協議書がない場合

遺産分割協議せずに、法定相続分通りに相続する場合には、遺産分割協議書も遺言状も不要です。そのため、共通で必要な書類のみ提出してください。

必要書類入手できる場所
相続人全員の戸籍謄本役所
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本役所
被相続人の住民票の除票役所
不動産取得者の住民票役所
相続する不動産の固定資産評価証明書不動産所在地の役所
収入印紙郵便局など
登記申請書自分で作成
返信用封筒郵便局など

相続の名義変更にかかる費用の仕組み

最後に、相続の名義変更にかかる費用の仕組みについてご紹介します。相続の名義変更にかかる費用は「登録免許税」と「書類取得費用」と「司法書士の代行費用」です。

登録免許税の金額

登録免許税とは、登記関係の手続きをする際に必要な税金で、相続の名義変更時にかかる登録免許税は以下の計算式で求めることができます。

登録免許税=不動産の価格の合計(1,000円未満は切り捨て)×0.4%(100円未満は切り捨て

不動産の価格は固定資産税評価額です。

例えば、不動産の固定資産税評価額が1,000万円であれば、1,000万円×0.4% = 4万円となります。

書類取得費用

書類取得費用とは、先ほどご紹介した各種資料の取得に必要な費用です。

戸籍謄本や住民標の除票、住民票、固定資産評価証明書などで、関係者の方にそれぞれ取得してもらう必要があります。各種書類を取得する場合にかかる費用の一例は下記の通りです。

  • 戸籍謄本(東京都):450円 
  • 住民票・印鑑証明書 ・住民票の除票(東京都):300円 
  • 固定資産評価証明書(東京都):400円 

司法書士の代行費用

相続登記を司法書士に代行してもらう場合、登録免許税や書類取得費用とは別に、司法書士報酬を支払う必要があります。

司法書士会連合会によると、相続登記の場合、司法書士報酬の相場は6~8万円程度です。ただし、相続人や不動産の数によっても大きく左右されるため、必ず依頼する前に確認してください。

相続の名義変更はSUMiTAS(スミタス)にご依頼ください

この記事では、相続の名義変更についてお伝えしました。

相続の名義変更は、現段階では義務化されていませんが、今後義務化が予定されています。また、義務でないとしたとしても、放置しておくことにはさまざまなリスクがあるため、相続のタイミングで名義変更をすることをおすすめします。

相続の名義変更は自分で手続きすることも可能ですが、煩雑な事務作業に手間がかかる上、イレギュラーなケースでは対応が難しい場合もあります。SUMiTAS(スミタス)では無料で相談ができるので、心配な方やお困りの方は、まずは一度ご相談ください。

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

愛媛大学在学中に愛媛県で株式会社アート不動産を創業する。現在アート不動産では、アパマンショップ(賃貸)を5店舗、SUMiTAS(売買)を2店舗・管理センターを1店舗、売買店舗を2店舗運営。吉田 宏の詳細プロフィールはこちら