親が施設に入った、病気で外出が難しい、遠くに住んでいて手続きに来られない。そんなとき、子が代わりに親の家を売れるのか、と考える方は多いはずです。
結論から言うと、子であっても親の家を勝手に売ることはできません。親の家を売れるのは、親本人か、親から代理を頼まれた人か、親に判断する力がないときに家庭裁判所が選んだ成年後見人です。どれになるかは、病名ではなく「契約のときに親が自分で判断できるか」で決まります。民法は、意思能力(自分のしていることの意味が分かる力)がない状態でした契約を無効としています(3条の2)。
親の判断が難しくなってからでは、子が自分で売れるとは限りません。最高裁判所の統計では、2025年に成年後見関係の手続き(後見・保佐・補助など)が終わった42,674件のうち、申立ての動機に「不動産の処分」を挙げたものが15,502件(36.3%)ありました。一方で、選ばれた後見人など(保佐人・補助人を含む)のうち親族は16.4%で、残りは司法書士・弁護士などでした。そもそも申立書で親族を後見人の候補者にしていたのが約19.7%です。
この記事では、親の家を代わりに売る3つのパターンと、それぞれの流れ、施設に入った親の家の税金の期限、そして親が判断できるうちに決めておけることを、条文と公的な統計で整理します。
- 子でも親の家を勝手には売れない。売れるのは親本人、親から委任状で頼まれた人、成年後見人
- 分かれ目は病名ではなく、契約のときに親が自分で判断できるか(民法3条の2)
- 成年後見人が親の住まいを売るには家庭裁判所の許可が要る(民法859条の3)
- 成年後見人などに親族が選ばれたのは16.4%、申立書に親族の候補者が書かれていたのは約19.7%(最高裁判所の統計・2025年)
- 親が判断できるうちに、親自身が売るか、委任状で子が売るか、任意後見・家族信託で備えるかを決めておく
目次
子は親の家を勝手に売れない。親の家の売り方は、親が今判断できるかで決まる
家を売る契約は、家の持ち主(登記上の名義人)がするものです。親の名義の家なら、売主は親です。子が親の家を売るには、親から代理を頼まれるか、家庭裁判所に成年後見人として選ばれる必要があります。
まず、家の名義を確かめてください。登記事項証明書は誰でも法務局で取れます(不動産登記法119条1項)。名義は親1人とは限らず、両親の共有のこともあれば、祖父母の名義のままのこともあります。両親の共有なら、家全体を売るには父と母のそれぞれが売主になるので、それぞれについて、本人が売るか、委任状か、成年後見かを考えます。祖父母の名義のままなら、先に相続登記をして名義を移す必要があります(進め方は「親から相続した家を売る方法と流れ」の節)。
代理を頼まれていない子が、親の代理人のふりをして売買契約を結んでも、親が認めない限り、その契約は親に効力が及びません(民法113条1項。代理の権限のない人がした契約は、本人が追認しなければ本人に効力を生じない、という定め)。所有権の移転の登記にも親本人の書類や確認が要るので、実際の手続きも進みません。
そして、代理を頼む・頼まれるという行為そのものが、親に判断する力があることを前提にしています。親が判断できる間は委任状で、判断が難しくなったら成年後見で、という順番になります。
親の代わりに家を売る3つのパターン
親の状態によって、親の家を売れる人と手続きが変わります。

| 親の状態 | 売主として契約する人 | 主な手続き |
|---|---|---|
| 親が健在で、自分で判断できる | 親本人。または親から委任状で代理を頼まれた子 | 委任状と、親の実印・印鑑証明書。不動産会社や司法書士が親本人を確かめる |
| 親が健在だが、判断する力が十分でない | 家庭裁判所が選んだ成年後見人(保佐人・補助人は、売却の代理権を与えられたとき) | 成年後見の申立て。親の住まいを売るときは家庭裁判所の許可 |
| 親が亡くなった | 家を相続した人 | 相続人の確定・遺産分割・相続登記のあとに売る |
どのパターンでも、親の家を売るときは、ほかの家族(兄弟姉妹など)に事前に話しておくことをおすすめします。親の家は、いずれ相続の対象になる財産だからです。売った代金の使い道や、親の住まいをどうするかで、あとから家族の間で行き違いが起きやすくなります。
親の代理人になって家を売る方法と流れ
親が自分で判断できるけれど、体調や距離の事情で手続きに出向けないときは、親から委任状で代理を頼まれた子が、親の代わりに家を売れます。代理人が親のためにすることを示して結んだ契約は、親に直接効力を生じます(民法99条1項)。
親の代理人になって家を売る方法
家族でも、代理人として売るなら委任状が要ります。口約束で引き受けると、「そんな条件で売るとは言っていない」「そこまで任せた覚えはない」という行き違いが、親子の間でも起きます。
委任状の書式は、依頼する不動産会社に確かめます。次の内容を入れます。
| 委任状に書く内容 | 例・注意 |
|---|---|
| 対象の物件 | 登記事項証明書のとおりに所在・地番・家屋番号を書く |
| 売却価格・手付金の額 | 下限の価格を決めて任せるか、都度相談するか |
| 代金の振込先 | 親名義の口座にする |
| 売却の条件と委任の範囲 | 媒介契約(不動産会社に売却の仲介を頼む契約)・売買契約・引き渡しまでのどこまでを任せるか |
| 委任する人(親)と受ける人(子)の住所・氏名 | 親は自署し、実印を押す |
| 委任状の有効期限 | 期限のない委任状は避ける |
親の実印を押し、親の印鑑証明書を付けます。売買の代金は親の財産なので、親名義の口座に入れるのが基本です。
親の代理人として家を売る流れ
- 親と、売る条件(下限の価格・時期・代金の使い道)と、子に任せる範囲を話し合う
- 不動産会社を探して、委任状のひな形と必要書類を確かめる
- 委任状を作る(親の自署・実印・印鑑証明書)
- 査定を受けて媒介契約を結び、売却活動をする
- 買主が決まったら売買契約を結ぶ
- 代金の決済と引き渡し、所有権の移転の登記
- 翌年に、親の名前で確定申告をする(3,000万円の特別控除を使うときは、税額が出なくても申告が要る)
委任状を作ることと、親の意思の確認を受けること以外は、自分の家を売るときと同じ流れです。
委任状があっても、売買の契約のときには、不動産会社が犯罪収益移転防止法にもとづいて、親本人と子(代理人)の本人確認(取引時確認)をし、委任の内容を確かめます(同法4条1項・4項)。そのうえで大事なのは、親本人の売る意思が確かめられることです。登記を担当する司法書士は、依頼者が本人であることとその意思を確かめることが、日本司法書士会連合会の行為規範で求められています(司法書士行為規範44条)。施設に入っている親なら、施設で面談したり、電話で確かめたりすることがあります。確かめられなければ、手続きはそこで止まります。

| 段階 | 誰が確かめるか | 何を確かめるか |
|---|---|---|
| 売買契約など | 不動産会社 | 親本人と代理人の本人確認(犯罪収益移転防止法の取引時確認)と、委任の内容 |
| 決済・登記の前 | 登記を担当する司法書士 | 親本人であることと、売る意思(司法書士行為規範44条) |
決済の日に向けて、親が面談や電話に応じられるよう、日程と体調を先に整えておくと手続きが止まりません。面談の段階で、親が売ることを理解できていないと判断されれば、委任状で進めることはできず、次の成年後見を考えることになります。
当社の店舗で扱った例を挙げます。売却の相談のときに、施設に入っている親の認知症が進んでいる段階だと担当者が聞き取ったため、媒介契約の前に司法書士と施設を訪ね、親本人であることと売る意思を司法書士に確かめてもらってから媒介契約を結び、子が代理で売却しました。確かめられなければ、委任状では進められません(前の段落)。当社の担当者が親本人に会う時期は、状況に応じて、問い合わせのあとの最初の面談の後、媒介契約のとき、売買契約のときなどさまざまです。
確定申告は、売った親本人の所得として、親の名前で行います。親が自分で手続きできないときの進め方は、税務署か税理士に相談してください。
認知症の親が所有する家を売る方法と流れ
親が認知症などで判断する力が十分でないときは、委任状で代わりに売ることはできません。代理を頼むこと自体ができないからです。この場合は成年後見制度を使い、家庭裁判所が選んだ成年後見人が、親の代理人として売買契約を結びます(売主は親のままです)。
認知症の親が所有する家を売る方法
成年後見制度は、判断する力が十分でない人の財産を守り、本人に代わって契約などをする人を家庭裁判所が選ぶ制度です。判断する力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つがあり、申立ては本人・配偶者・4親等内の親族などができます。保佐・補助の場合は、家庭裁判所が保佐人・補助人に売却の代理権を与える審判をしたときに代理で売れ、親の住まいを売るときはやはり家庭裁判所の許可が要ります(民法876条の4・876条の5第2項・876条の9・876条の10第1項)。
注意したいのは次の3点です。
- 病名で決まるわけではない: 認知症と診断されても、軽いうちは自分で判断できることもあります。分かれ目は、契約のときにその意味が分かるかどうかです。迷うときは、医師の意見を聞いたり、不動産会社や司法書士に先に会ってもらったりして確かめる方法があります
- 親の住まいを売るには家庭裁判所の許可が要る: 成年後見人が、親が住むための家やその土地を売るには、家庭裁判所の許可を得なければなりません(民法859条の3)。東京家庭裁判所の手引きは、施設に入っていて今は住んでいない家や、過去に住んでいた家もこれに含むとしています。許可を得ないで売ると、その売却は無効になります。後見人になったからといって、自由に売れるわけではありません
- 親の委任状は使わない: 成年後見人は、法律で決まった代理人(法定代理人)として、親の代わりに売買契約を結びます。親の委任状は使いません
- 2026年6月24日に「民法等の一部を改正する法律」が公布されました。後見と保佐の制度を廃止して補助の制度に一元化し、本人にとって必要な範囲で使えるようにする内容です。施行は、公布から2年6か月以内の政令で定める日で、まだ決まっていません。施行日より前に後見開始の審判を受けた人には、原則として改正前の規定が適用されます。この記事は、2026年10月時点の現行の制度で書いています。
認知症の親が所有する家を売る流れ
- 家庭裁判所に成年後見の申立てをする(申立書・医師の診断書・親の財産の資料など)
- 家庭裁判所の審理(親本人の話を聞く手続きや、医師による精神の状況の鑑定。ただし2025年に鑑定が行われたのは手続きが終わったものの約3.4%で、多くは申立てのときの診断書などで判断されている)を経て、後見の開始と成年後見人が決まる
- 成年後見人が不動産会社に依頼し、査定と売却活動をする
- 買主と売買の条件を詰める
- 取引が成立する一歩手前の段階で、家庭裁判所に居住用不動産の処分の許可を申し立てる(東京家庭裁判所の手引きの案内。申し立てる時期は、依頼する不動産会社と家庭裁判所に確かめる)
- 許可が出たら、契約・代金の決済・引き渡し、所有権の移転の登記
- 売った代金は、成年後見人が親の財産として管理する
成年後見人(司法書士などの専門職に限らず、親族でも)は、家庭裁判所に申し立てて認められた額の報酬を、親の財産から受け取れます。額は、家庭裁判所が親と後見人の資力などを見て決めます(民法862条)。
東京家庭裁判所の手引きは、売る必要がある事情を前もって裁判所に知らせたうえで交渉を始め、取引が成立する一歩手前の段階で許可を申し立てるよう案内しています。審理には日数がかかるので、取引の日は余裕を持って決めます。
成年後見の統計から分かること
最高裁判所の統計で、2025年(令和7年)の成年後見の状況を見ると、親の家を売る計画に関わる数字が4つあります。

| 項目 | 2025年の数字 |
|---|---|
| 申立ての動機に「不動産の処分」を挙げたもの | 15,502件(手続きが終わった42,674件の36.3%。1件に複数の動機がある) |
| 選ばれた成年後見人等のうち親族 | 7,014件(16.4%)。親族以外は35,718件(83.6%)で、司法書士11,966件・弁護士8,903件・社会福祉士7,280件など |
| 申立書で親族を候補者にしていた割合 | 約19.7% |
| 審理の期間 | 2か月以内に終わったものが約71.1%、4か月以内が約93.8% |
出典: 最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況 令和7年1月~12月」をもとに作成。後見人等の数は、後見等の開始と同時に選ばれたものの件数(関係別の延べ数・合計42,732件)。
ここから読み取れるのは、不動産の処分を理由に成年後見を申し立てる人は少なくないこと、ただし「子が後見人になって売ればよい」とは限らないことです。親族が選ばれたのは16.4%で、申立ての段階で親族を候補者にしていたのも約19.7%でした。また、後見は家を売ったら終わるものではありません。親の判断する力が回復して家庭裁判所が取り消さない限り続きます(民法10条)。家を売るためだけに使う制度ではない点も、知っておいてください。
親が判断できるうちに備えておけること
親の判断が難しくなってからの選択肢は、成年後見にほぼ限られます。親が判断できるうちなら、選べる方法が増えます。
| 方法 | どういうものか | いつまでに |
|---|---|---|
| 親自身が売る | 親が売主として契約する。子は同席や手続きの手伝いをする | 親が判断できるうち |
| 委任状で子が売る | 親が子に代理を頼む(「親の代理人になって家を売る方法と流れ」の節) | 売る契約と決済のときに、親が判断できること |
| 任意後見契約を結んでおく | 親が判断できるうちに、将来の後見人(子など)と任せる内容を決め、公正証書で契約しておく。判断が難しくなったら家庭裁判所が任意後見監督人を選び、効力が生じる | 契約を結ぶときに、親が判断できること |
| 家族信託(民事信託)を結んでおく | 親と子が信託の契約を結び、家の管理や売却を子に任せる | 契約を結ぶときに、親が判断できること |
どの方法も、親が判断できるうちに始めなければ使えません。任意後見契約は、公証人が作る公正証書で結びます。任意後見も家族信託も、内容は家族ごとに決めるので、司法書士や弁護士などの専門家に相談して準備します。
親が施設に入るときや、子と同居を始めるときは、家をどうするかを話し合うきっかけになります。住み替えの考え方は老後の住み替えの記事、住みながら売る進め方は住みながら売却する記事にまとめています。
施設に入った親の家を売るときの税金と期限
親の家を売って利益が出たら、税金がかかるのは売った親本人です。子が委任状で代わりに売っても、成年後見人が売っても、親の所得になります。
親が住んでいた家なら、居住用の財産を売ったときの3,000万円の特別控除が使える場合があります。施設に入るなどで親が住まなくなっていても、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば対象になりえます(国税庁 No.3302)。住まなくなったあとに家を空き家にしていても、人に貸していても、この期限は変わりません。控除を使うには、税額が出なくても確定申告が要ります(同 No.3302)。
| 施設に入った時期の例 | 3,000万円の特別控除の期限 |
|---|---|
| 2025年中に住まなくなった | 2028年12月31日までに売る |
| 2026年中に住まなくなった | 2029年12月31日までに売る |
ほかにも、親子や夫婦など特別の関係がある人への売却では使えないなどの要件があります。使えるかどうかは、税務署か税理士に確かめてください。売るのに必要な書類と費用は、必要書類の記事と売却費用の記事にまとめています。
親から相続した家を売る方法と流れ
親が亡くなったあとは、親の家は相続人のものになります。売るのは家を相続した人で、流れは次のとおりです。
- 相続人を確定する(戸籍を集める)
- 遺産分割で、家を誰が相続するか(共有にするか、売って代金を分けるか)を決める
- 相続登記をする(相続で家を取得したと知った日から3年以内に申請する義務がある。2024年4月1日より前に相続した家は2027年3月31日が期限。不動産登記法76条の2と、改正法の附則)
- 査定・媒介契約・売却活動
- 売買契約・決済・引き渡し
- 翌年に確定申告
売買契約を結ぶこと自体は相続登記の前でもできますが、買主へ名義を移すには相続登記が済んでいる必要があります。
相続した家を売るときの所有期間は、親が取得したときから数えます(国税庁 No.3270)。親が長く持っていた家なら、相続してすぐ売っても、長期の税率で計算されることが多くなります。相続した空き家の特例が使える場合もあります。詳しくは空き家売却の記事をご覧ください。
相続登記の手続きは所有権移転登記の記事、相続した土地の売り方は相続した土地の売却の記事、実家の片付けから売却までは実家じまいの記事と実家売却の記事にまとめています。
親の家を売るときのよくある質問
親の家を勝手に売ることはできますか?
できません。親の家の売主は親本人です。代理を頼まれていない子が親の代わりに契約しても、親が認めない限り、その契約は親に効力が及びません(民法113条1項)。親が判断できるなら委任状で代理を頼んでもらい、判断が難しいなら成年後見の手続きを取ります。
親の家を売ると税金はいくらかかりますか?
税額は、売った価格から取得費(親がその家を買った費用。建物は減価償却した分を差し引く)と売るのにかかった費用を引いた利益で決まるため、家ごとに違います。税金がかかるのは売った親本人で、親が住んでいた家なら3,000万円の特別控除が使える場合があります。施設に入ったあとなら、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが条件の一つです(国税庁 No.3302)。具体的な金額は、税務署か税理士に確かめてください。
亡くなった親の家を売る手順は?
相続人の確定、遺産分割、相続登記をしてから、相続した人が売主として売ります。相続登記は、相続で家を取得したと知った日から3年以内に申請する義務があります。2024年4月1日より前に相続した家は、2027年3月31日が期限です(不動産登記法76条の2と、改正法の附則)。流れは「親から相続した家を売る方法と流れ」の節にまとめています。
亡くなった親の家の解体費用はいくらですか?
家の構造と広さ、立地で大きく変わります。解体してから売るかどうかは、地域の相場によって答えが変わるので、先に査定を受けてから決めるのがおすすめです。構造・坪数ごとの目安は家の解体費用の記事にまとめています。
認知症の親の家は、診断されたらもう売れませんか?
診断名だけでは決まりません。契約のときに、親が売ることの意味を理解できるかどうかで決まります(民法3条の2)。軽いうちは親自身が売主になったり、委任状で子に頼んだりできることもあります。迷うときは、医師の意見を聞いたり、不動産会社や司法書士に先に会ってもらったりして確かめる方法があります。当社の店舗でも、先に司法書士に親と会ってもらうか、医師の意見をもらうようにしています。
成年後見人になった子は、親の家を自由に売れますか?
自由には売れません。親が住むための家とその土地(施設に入っていて今は住んでいない家や、過去に住んでいた家を含む)を売るには、家庭裁判所の許可が要ります(民法859条の3)。許可を得ないで売ると無効になります。家庭裁判所は、売る必要がある事情などを見て、許可するかを決めます。
親が施設に入ったら、親の家はいつまでに売ればよいですか?
売る時期に決まりはありませんが、税金の面では、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ると、3,000万円の特別控除の対象になりえます(国税庁 No.3302)。親の判断する力が落ちる前に動けるかどうかも、時期を決める材料になります。
まとめ: 親が判断できるうちに、誰が親の家を売るかを決めておく
親の家を代わりに売るときに、この記事でお伝えしたことをまとめます。
1. 子でも、親の家を勝手には売れません。売れるのは親本人、親から委任状で代理を頼まれた人、成年後見人です。
2. 分かれ目は、契約のときに親が自分で判断できるかです。病名ではありません(民法3条の2)。
3. 判断が難しくなったら成年後見です。親の住まいを売るには家庭裁判所の許可が要ります。2025年に選ばれた後見人など(保佐人・補助人を含む)のうち親族は16.4%で、申立書に親族の候補者が書かれていたのも約19.7%でした(最高裁判所の統計)。
4. 施設に入った親の家は、税金の期限も見ておきます。3,000万円の特別控除は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却が対象です。
親が判断できるうちなら、親自身が売る、委任状で子が売る、任意後見や家族信託で備える、と選べる道が増えます。家をどうするかを、親と一緒に話し合っておいてください。
当社では、匿名で物件の相場が分かる10秒査定をご用意しています。電話番号の入力は不要です。親と話し合う前の材料として、まずは親の家がいくらくらいになりそうかを確かめてみてください。
本記事の内容は2026年10月時点の法令・制度にもとづきます。意思能力のない法律行為は民法3条の2、代理は99条1項、無権代理は113条1項、成年後見人による居住用不動産の処分の許可は859条の3、後見開始の審判の取消しは10条、後見人の報酬は862条、後見開始の審理での鑑定と陳述の聴取は家事事件手続法119条・120条、任意後見契約は任意後見契約に関する法律、家族信託は信託法3条、3,000万円の特別控除は国税庁タックスアンサー No.3302、相続した土地・建物の取得時期は同 No.3270、建物の取得費の減価償却は同 No.3261、保佐・補助の代理権と住まいの売却の許可は民法876条の4・876条の5・876条の9・876条の10、登記事項証明書の交付は不動産登記法119条1項、相続登記の申請義務は同法76条の2と民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)附則5条6項によります。居住用不動産の範囲と許可の申立ての時期は東京家庭裁判所「成年後見人・保佐人・補助人ハンドブック(Q&A付き)」(令和7年4月)、本人確認は犯罪による収益の移転防止に関する法律4条1項・4項と日本司法書士会連合会「司法書士行為規範」44条、成年後見制度の見直しは「民法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第45号)と法務省の公表資料によります。成年後見の統計は最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況 令和7年1月~12月」をもとに作成しました。
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