住宅ローンの借り換えはしたほうがいい?借り換えのタイミングと注意点を解説

住宅ローン 借り換え タイミング

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 「住宅ローンの返済を軽減するため」
  • 「団信プランを充実させるため」
  • 「金利上昇リスクに備えるため」

などの理由で、借り換えを検討している方も多いはずです。
けれど本当に借り換えが必要なのか、今借り換えしてもいいのかなど、借り換えのタイミングで悩んでいませんか?

そこで本記事では、住宅ローンの借り換えで得られるメリットや注意点、借り換えに最適なタイミングをお伝えしていきます。住宅ローンの借り換えを成功させるポイントもお伝えしますので、借り換えを検討中の方はぜひ、最後までご覧になってください。

住宅ローンの借り換えはしたほうがいい?

住宅ローンの借り換えは文字通り、今利用している住宅ローンを一括返済して、新たな住宅ローンを借り入れることです。

借り換えは新規借り入れよりも優遇されることが多く、金利が低かったり、好条件だったり、魅力的に感じます。けれど借り換えをしたほうがいいのかは、金利や団信の内容、条件、諸費用などのさまざまな観点から判断しなければなりません。

住宅ローンを借り換えるメリット

まずは、住宅ローンを借り換えるメリットをお伝えしていきます。

返済負担を減らせる

住宅ローンを借り換えるメリットは、返済中の金利よりも低い金利で借り換えれば、返済負担を減らせることです。

たとえば5,000万円を返済期間35年で借り入れた場合、0.5%と1.0%の金利では、総返済額に476万円もの差が出ます。金利は0.1%の差でも軽くみてはいけません。実際に住宅ローンの借り換えをする多くの方が、返済負担を軽くする目的で借り換えを行います。

住宅ローン 金利 計算住宅ローンの金利から利息を計算する方法と、計算前に知っておきたいこと

金利の上昇リスク対策ができる

住宅ローンの借り換えは、金利の上昇リスクにも有効です。

現時点ではマイナス金利政策の導入によって金利がコントロールされ、変動金利は低金利が続いています。しかしマイナス金利政策がいつまで続くのかは、正確に予測できません。

いつ起こるかわからない金利上昇リスクに備えて、固定金利に借り換えておけば、一定期間または返済期間終了まで金利の変動を心配する必要がなくなります。

ただし固定金利は、2022年に発表された日銀の政策方針の修正や米国の利上げの影響を受け、上昇傾向にある点に注意が必要です。これから固定金利を利用する場合は、変動金利の利用時よりも返済負担が増える点を納得したうえで固定金利を選択しましょう。

団信の保障を充実させられる

「団体信用生命保険(通称、団信)」は、住宅ローンの返済中に契約者に万が一のことがあったときに、住宅ローン残高が保障される保険です。団信にはさまざまな種類があり、がん保障が付いている商品もあれば疾病付の商品もあり、保障内容や条件も金融機関によって若干異なります。

そして団信は住宅ローンの返済中に、途中解約や変更ができません。
そのため「今よりももっと手厚い保障を付けておきたい」と考える方には、借り換えることで団信プランを変更できるというメリットがあります。

金利の上乗せなしでがん保障や疾病保障を受けられる団信もあるので、借り換え時には金利だけではなく、団信プランも確認しておきましょう。

住宅ローンを借り換えるときの注意点

住宅ローンを借り換えれば、金利や団信などのさまざまな面でメリットがあります。けれどメリット以上に目を向けておきたいのは、借り換え時の注意点です。
ここでは住宅ローンを借り換えるときの注意点を、4つ説明していきます。

住宅ローンを借り換えるときの注意点①諸費用がかかる

住宅ローンの借り換えには、

  • 「返済中の住宅ローンを完済するための手数料」
  • 「新たに借り入れるための手数料」

の、大きく分けて2つの諸費用がかかります。まずは、借り換えにかかる手数料を一覧で見てみましょう。

全額繰上返済手数料0~3万円
事務手数料3~6万円(定額型)、借入額×2.2%(定率型)
印紙税1~2万円(借入金額による)
保証料0~60万円(借入金額による)
抵当権設定費用借入金額×0.4%
抵当権抹消費用不動産1件につき1,000円
(土地+建物の場合は合計で2,000円)
司法書士への報酬6~10万円
火災保険・地震保険料保障内容や支払い年数による

諸費用の目安は借入額の3〜7%で、借入額が大きくなるほど手数料も高くなります。借り換えを検討する際には、これらの費用がかかることも加味して、借り換えることで本当に負担が減るのか考えましょう。

住宅ローンを借り換えるときの注意点②書類集めや書類記入に手間がかかる

住宅ローンを借り換えるときには、次のような書類を借り換え先の金融機関に提出しなければなりません。

  • 本人確認のための書類(住民票、印鑑証明書、免許証、健康保険証など)
  • 借り換えに関する書類(住宅ローン返済予定表、返済用口座通帳)
  • 収入を証明する書類(源泉徴収票、住民税課税証明書など)
  • 物件に関する書類(登記事項証明書、売買契約書、重要事項説明書、工事請負契約書など)
  • 団信へ加入するための書類:健康診断書

必要な書類は新規借入時に用意したものと同じですが、これだけ書類を集めるためには手間も時間もかかります。

市町村役場や法務局などへ出向いて手続きする書類は、平日しか対応できないため、有給や半休などを取らなければなりません。住宅ローンの借り換えは、手間と時間がかかる手続きだと覚えておいてください。

住宅ローンを借り換えるときの注意点③審査に落ちる可能性がある

住宅ローンを借り換える際には、新たに住宅ローンの借り入れ審査を受ける必要があります。新規借入時と同じように、収入や年齢、勤務先、勤続年数などのさまざまな観点から審査が行われるため、必ず審査に通るとは限りません。

住宅の築年数が経ったことで借入額に対して担保価値が見合っていない場合や、健康状態に問題がある場合は、審査に落ちてしまう可能性もあります。必ずしも借り換えができるわけではない点も、知っておきたい注意点です。

住宅ローンを借り換えるときの注意点④住宅ローン控除の対象外になる可能性がある

借り換え時には「返済期間を減らして定年までに返済を終えたい」「借入額を減らして返済期間を短くしよう」と考える方も多いでしょう。
しかし、借り換え時に返済期間を短くすると、期間によっては住宅ローン控除の適用外になるため注意が必要です。

住宅ローン控除の適用条件には「対象となる住宅に対して10年以上にわたるローンがあること」という項目があり、返済期間が10年未満になると住宅ローン控除は適用されません。借り換え後も住宅ローン控除を利用するのであれば、返済期間が10年未満にならないよう気を付けましょう。
なお、住宅ローン控除の適用期間は借り換えても引き継がれるため、控除期間が残り5年の時点で借り換えたのなら、借り換えたあとも残り期間は5年のままです。

住宅ローンを借り換えを検討するタイミング

ここまでは、借り換えのメリットや注意点をお伝えしてきました。
けれどみなさんが特に気になるのは「どのタイミングで借り換えればいいのか」という点ではないでしょうか。
ここでは、住宅ローンの借り換えを検討するタイミングを説明していきます。

借入時よりも金利が下がっているとき

借入時よりも住宅ローンの金利が下がっているときは、借り換えに最適のタイミングです。
2014年以前に住宅ローンを組んだ方は、変動と固定問わず、2023年現在よりも高い金利で借り入れした方がほとんどではないでしょうか。

もし借入時よりも0.5〜1%ほど金利が下がっているのなら、借り換えを検討してもいいと言えます。
ただし金利だけにとらわれず、団信や条件なども必ず比較しましょう。

好条件の住宅ローンを見つけたとき

好条件の住宅ローン商品を見つけたときも、借り換えのタイミングと言えます。
ひと昔前までの住宅ローンといえば、住宅金融支援機構や銀行などへ出向いて借り入れるのが当たり前でした。けれど2000年ごろからネット銀行が普及しはじめ、住宅ローンの選択肢はとても増えています。

比較検討するにしても選択肢が多すぎて、どの金融機関を比べたらいいのかを悩むほどです。そこで金融機関は、他銀のローン商品との差別化を図るために、さまざまな優遇を設けるようになりました。たとえば金利上乗せなしの団信プランや、独自サービスの利用権利、割引などがあります。

優遇によって多くのメリットが得られそうであれば、借り換えを検討してもいいでしょう。

固定金利の期間が終了したとき

固定金利の期間の終了時も、借り換えに最適のタイミングです。

固定期間が終了後は再び固定期間を定めるか、変動金利への切り替えを行います。しかし、再び固定金利を利用する場合は優遇金利が縮小され、金利が高くなることが多いです。

たとえば、新規借り入れ優遇によって当初1.2%で借り入れしていても、固定期間終了時には2%になってしまうなど、金利が大幅に引き上げられてしまう場合もあります。

先ほどもお伝えしたように、金利はたった0.1%でも返済額に大きく影響します。切り替え時に金利が高くなってしまう場合は、低金利で利用できる住宅ローンへ借り換えるのも、ひとつの方法です。

自動車ローンを借り入れる前

住宅ローン以外の借り入れがあると、住宅ローンの返済に影響を及ぼすと判断され、希望の金額で借り入れできないことや、借り換え自体が難しくなることがあります。

ローンには自動車ローンやカードローン、教育ローンなどさまざまな種類がありますが、中でも金額が大きくなりやすい自動車ローンは注意が必要です。

もし近いうちにローンで車の購入を考えているのであれば、自動車ローンよりも先に住宅ローンを借り換えておきましょう

転職や収入が減少する前

住宅ローンの審査は収入や勤続年数も考慮されるため、転職を考えている方や、部署移動や残業の有無などで収入が減る場合は、審査に影響を及ぼす可能性があります。

とくに転職の場合は、勤続年数が1年未満だと審査に通りにくくなり、申し込み自体ができない金融機関もあるため注意が必要です。

転職や減収の可能性がある方は、先に住宅ローンの借り換えを検討しましょう。

健康状態が良好なとき

フラット35以外の住宅ローンを利用するときには、団信への加入が義務付けられています。健康状態が理由で団信への加入が認められない場合は、住宅ローンを利用できません。

健康状態に不安がある方でも、一般団信よりも引受基準が緩い「ワイド団信」であれば加入できますが、0.2〜0.3%の金利上乗せが必要です。せっかく低金利で利用できるローン商品を見つけても、金利の上乗せによって借り換えのメリットが薄れてしまう可能性があります。

体調は突然悪くなってしまう可能性も考えられるので、健康状態が良好なうちに借り換えておくのもひとつのタイミングと言えます。

住宅ローンの借り換えを成功させるポイント

住宅ローンの借り換えにはさまざまなメリットがありますが、お金も手間もかかる手続きなので、絶対に失敗したくはないですよね。最後に、住宅ローンの借り換えを成功させるポイントを2つお伝えします。

審査に通りそうなタイミングで借り換えをする

ここまでお伝えしてきたように、住宅ローンの審査はさまざまな観点から行われ、状況によっては希望額で借り入れができないことや、審査に落ちてしまう可能性もあります。
希望の金融機関で、なおかつ希望額で借り換えるためには、審査に通りそうなタイミングで申し込むことが大切です。

前項でお伝えした“借り換えに最適のタイミング”に当てはまるのなら、審査も優位に動くでしょう。金利や利用条件だけではなく、自身の状況からも借り換えのタイミングを考えてみてください。

金利上昇リスクを考えておく

借り換えを検討するときには、ついつい低い金利に切り替えることばかりを考えがちですが、金利上昇リスクも考えておく必要があります。住宅ローンは長期にわたって返済していくものなので、今は低金利が続いていても、完済するまで続くとは限りません。

実際に固定金利はアメリカの利上げの影響を受け、少しずつではありますが上昇傾向にあります。今のうちに全期間固定金利を利用して、金利上昇リスクに備えておくのもひとつの手です。

低い金利で今のうちに元金を減らしておくのか、それとも固定金利を利用してリスクに備えるのかは、個人の判断に委ねられます。住宅ローンを借り換える前に、必ずご家族で話し合っておきましょう。

住宅ローンの借り換えはタイミングが大切!注意点も考えながら借り換えの検討を!

住宅ローンを借り換えれば、今よりも返済負担を軽減したり、団信プランの保障を手厚くしたり、さまざまなメリットが得られます。しかし借り換えには審査があり、審査に通らなければ借り換えはできません。

借り換えを成功させるためには、金利や条件、自身の状況などから、借り換えのタイミングを判断し、諸費用をすべて含めたうえで、本当に借り換えるメリットがあるのかを検討する必要があります。

SUMiTAS(スミタス)では、住宅ローンに関するさまざまな悩みに寄り添い、アドバイスをいたします。住宅の購入、売却、住み替えなど、住宅ローンの借り換えでお悩みの方は、まずはご相談ください。

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

2005年から不動産賃貸仲介営業で不動産業のキャリアをスタート。
物件マニアで、『従事している期間毎日10件内見する』という裏目標を立て、6年間実施。札幌市内の賃貸物件約18,000件を内見した。
天池 篤哉の詳細プロフィールはこちら