相続で不動産を所有することになったら相続登記が必要ですが、「面倒だし費用もかかるからとりあえずそのままにしておこう」と登記しないままにしている方もいます。
しかし相続登記を放置すると、さまざまなリスクがあるため、面倒だからといって放置することはおすすめしません。本記事では、相続登記を放置する6つのリスクを解説していきます。
相続登記をする方法などもお伝えしますので、最後まで目を通してみてください。
- 相続登記を放置すると、時間が経つほど権利関係が複雑化し、子孫に迷惑がかかる。
- 相続人が認知症になると、遺産分割協議が難航しやすい。
- 2024年4月以降は相続登記が義務化され、未登記のままだと罰則が発生する。
- 不動産を売却・担保にできなくなるリスクがあり、価値が下がる可能性もある。
目次
不動産の相続手続きをしないと罰則はある?
相続登記には期限はありません。
しかし、不動産を相続するか放棄するかを決める期限は「相続の開始を知った日から3か月以内」と決められています。
遺産をすべて相続する「単純承認」、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続する「限定承認」、遺産をすべて放棄する「相続放棄」のいずれかを選択しなければなりません。
そして遺産相続で相続税が発生する場合の申告期限は「相続の開始を知った日の翌日から10か月以内」と決まっています。
相続の承認と相続税の申告には期限がありますが、先ほどお伝えしたように相続登記に期限はなく、現時点(2023年10月)では相続登記をしていないからといって罰せられることもありません。
2024年(令和6年)4月1日より、相続登記の義務化が施行されました。
相続登記が義務化されます!売れない、活用できない不動産はどう対処する?
相続登記を放置するリスクを解説する前に、まずは相続登記についてお伝えしていきます。
そもそも相続登記とは?
土地や建物などの不動産を相続し、不動産を被相続人の名義から自分の名義へと変更する手続きを「相続登記」といいます。相続登記の目的は、所有者を明確にして争いや不動産を巡って起こるトラブルを防ぐことです。
相続登記の基礎知識や詳しい手続きの流れなどをまとめたコラムがありますので、ぜひこちらも参考にしてください。
- 不動産を相続登記したときの登録免許税はどのくらい?計算方法や納税期限を解説!
- 不動産の相続登記の方法・費用の基礎知識。相続登記の義務化について解説
- 不動産相続の共有名義でよくあるトラブルは?共有名義を解消する方法も解説!
相続登記には期限がない
相続の承認・放棄や相続税の申告には期限がありますが、現時点(2023年10月時点)では相続登記に期限はなく、罰則もありません。
2024年(令和6年)4月1日より、相続登記の義務化が施行されました。
相続登記が義務化されます!売れない、活用できない不動産はどう対処する?
しかし2024年4月1日以降は義務化が決定しており、正当な理由がなく3年以内に相続登記をしなかった場合は罰則が発生するため、注意が必要です。義務化については後ほど詳しく説明します。
不動産の相続手続きをしない6つのリスク
相続登記を放置することには、次のようなリスクがあります。
- 年数が経つほど権利関係が複雑になる
- 子孫に迷惑がかかる
- 不動産を差し押さえられるリスクがある
- 相続人が認知症になり遺産分割協議が難航する
- 2024年4月以降は罰則が発生する
- 不動産を売却・担保にできない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
年数が経つほど権利関係が複雑になる
遺産を相続するときには、「遺産分割協議」を開いて遺産の分け方を相続人全員で話し合う必要があります。さらに遺産分割協議での取り決めを記した「遺産分割協議書」には、相続人全員の捺印が必要です。
相続登記をせず放置すると、年数が経つほど権利関係が複雑になっていきます。
法定相続人が死亡して新たに相続が発生する「数次相続」や、相続人が死亡したときに子や孫が相続人になる「代襲相続」が起こる可能性があるからです。
数次相続や代襲相続が起こったことで相続人がどんどん増えると、相続人の把握すら難しくなります。相続登記にあたってまずは相続人の把握から始めなければならなくなり、手間も時間もかかってしまうのです。
子孫に迷惑がかかる
相続登記を放置すると、子孫に迷惑がかかります。
先ほど説明した「権利関係が複雑になる」と同じ理由で、相続登記の放置期間が長ければ長いほど、新たな相続の発生によって権利関係は複雑化してしまうのです。
もし自分の代で相続登記をしなかった場合、子や孫の代で相続登記をするときには権利関係が複雑化していることが予想されます。自分が相続登記を放置したことで、子孫に迷惑をかけてしまうのです。
不動産を差し押さえられるリスクがある
相続人の中に借金を抱えている人がいる場合、債権者(借入先)によって不動産を差し押さえられるリスクがあります。借金の返済が滞ったときには債権者によって、借金をしている人の法定相続分の相続登記ができてしまうからです。これを「債権者による代位登記」といいます。
差し押さえられるのは“借金をしている人の法定相続分のみ”ですが、不動産の一部分を差し押さえられると、その後の手続きがとても煩雑になってしまいます。差し押さえられた部分は借金をしている人が相続を放棄すれば戻ってきますが、相続放棄の期限は相続を知ってから3か月以内です。
遺産分割協議書を作成していたとしても、相続登記をしていなければ差し押さえられてしまうため、遺産分割協議を開いたらすぐに相続登記をしておきましょう。
相続人が認知症になり遺産分割協議が難航する
相続登記を放置している間に相続人が認知症になると、いざ遺産分割協議をして相続登記をしようと動き始めたときに手続きが難航してしまいます。認知症の方は判断能力や意思能力が不十分とみなされ、法律行為を制限されてしまうからです。
さらに認知症の方は相続放棄できないので、財産を管理する「成年後見人」を立てて遺産分割協議をすることになります。その場合、成年後見人は職責を全うするために法定相続分、またはそれ以上の取り分を主張するため、遺産分割の話し合いが難航してしまうのです。
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2024年4月以降は罰則が発生する
現時点(2023年10月)では相続登記に期限はなく、登記しないことへの罰則もありません。しかし2024年(令和6年)4月1日からは相続登記の義務化が決まっているため、不動産の相続を知ったときから3年以内に相続登記をしなければ、10万円以下の過料が科せられます。この法律の注意点は、“過去に発生した相続も対象となること”です。
2024年4月1日以前に相続した不動産も、正当な理由がある場合を除いて3年以内に相続登記をしなければ、過料が科せられます。
法律の施行は2024年4月1日からですが、年明けごろから駆け込みで相続登記をする方が増え、法務局の混雑が予想されます。不動産の相続登記をまだしていない方は、早めに手続きしておきましょう。
不動産を売却・担保にできない
不動産を売却したり担保にしたりできるのは、不動産の名義人のみです。被相続人名義の不動産を売却や担保にすることはできません。
相続した不動産の売却や活用を不動産会社へ相談したときにも、活用前に相続登記をすすめられる場合がほとんどです。相続登記が面倒だからといって不動産を放置していると、建物の資産価値はどんどん低くなってしまいます。
相続登記を放置したことで相続した不動産の価値が下がってしまうのは、とてももったいないことです。相続した不動産をできるだけ高く売却するためにも、早めに相続登記を行い、売却活動を行いましょう。
不動産の相続手続きをする方法
相続登記を放置することには、さまざまなリスクがあるとわかりました。では、相続登記にはどのような選択肢があるのでしょうか。最後に、相続登記を手続きする2つの選択肢をお伝えします。
司法書士や弁護士に依頼する
1つ目の選択肢が、司法書士や弁護士などの専門家に依頼する方法です。
司法書士と弁護士のどちらが適しているのかは、相続の状況によって異なります。
相続登記に必要な書類集めから登記手続きだけを任せたいのなら、書類作成の専門家である司法書士への相談がおすすめです。戸籍収集や遺産分割協議書の作成であれば、5〜15万円程度で依頼できます。
相続人間で遺産分割協議が難航している場合や、トラブルが発生している、またはしそうな場合は、法の専門家である弁護士に相談しましょう。報酬は司法書士よりも高くなりますが、法律に基づいた相続ができます。
自分自身で手続きする
相続登記には資格が必要ないので、「登記費用を抑えたい」「相続が発生したばかり」という方は、自分で相続登記をすることも可能です。
ただし相続登記は書類集めだけでも手間と時間がかかるため、登記に関する知識や経験が浅い方だと、大きな労力がかかります。さらに登記すべき事項を見逃してしまう、“登記漏れ”が起こる心配もあります。
費用を抑えるために自分で手続きするのか、それとも専門家に任せるのかは、相続状況や登記経験の有無などから判断しましょう。
相続登記の申請方法や費用、必要書類などをまとめた記事がありますので、こちらも参考にしてください。
相続登記でお悩みの方はSUMiTASにご相談を!
相続登記を放置すると権利関係が複雑化したり、不動産を差し押さえられたりなど、さまざまなリスクがあります。さらに2023年4月1日からが義務化も決定しているため、相続を知ってから3年以内に相続登記しなければ罰金が科せられます。
相続登記の放置には何ひとつメリットはなく、あるのはデメリットばかりなので、不動産を相続したら速やかに相続登記しておきましょう。SUMiTAS(スミタス)では相続した不動産の売却や活用を検討している方の相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。