親の代から50年住んだ家。長く貸してきた古い持ち家。「築50年では、さすがに値段がつかないのでは」と、査定に出す前からあきらめかけている方は多いはずです。
先に実測を示します。築50年以上の一戸建ての取引価格は、全国の中央値で650万円。首都圏(1都3県)では1,500万円で、これは築45〜49年の帯(1,300万円)より高い水準です。2024〜2025年の2年間だけで、築50年以上の取引は全国で18,844件。当社の集計対象146,358件の12.9%を占めており、売買として特殊なものではありません。
| 築年帯 | 全国の中央値 | 首都圏(1都3県)の中央値 |
|---|---|---|
| 築45〜49年 | 700万円 | 1,300万円 |
| 築50年以上 | 650万円 | 1,500万円 |
※国土交通省「不動産取引価格情報」の2024〜2025年に取引された一戸建てを当社で集計した中央値です。立地・土地面積による個別差が大きく、この帯では特に土地の条件が価格を左右します。
築年数ごとの相場の一覧や、相場の自分での調べ方といった共通の基礎は、築年数別ガイドのまとめ記事に整理しています。
- 築50年の一戸建ての価格は「建物」ではなく「土地」で決まる。だから下げ止まり、首都圏ではむしろ反発している
- 売る前に整理すべきは建物の言い訳ではなく、土地の情報(境界・接道・再建築の可否)
- 築50年は例外なく旧耐震。確認に時間を使わず、旧耐震前提の売り方から入る
目次
築50年の売却相場。価格は土地の値段で決まっている

築30年から築45年あたりまで、取引価格の中央値は5年ごとに200万円前後ずつ下がり続けます。ところが築45年を過ぎると、全国では700万円→650万円とほぼ横ばいになり、下げが止まります。
理由はシンプルです。この帯では建物の評価が実質的になくなり、価格の主成分が土地に切り替わっているからです。土地の値段は築年数では下がりません。だから価格は土地の水準で下げ止まります。築50年の家に「値段がつかない」のは建物の話であって、売買の総額の話ではないのです。
首都圏で「反発」する理由。売れているのは小さな家と成熟した立地
首都圏の実測はさらにはっきりしています。築45〜49年の1,300万円に対して、築50年以上は1,500万円と、より古い帯の方が高い。
集計の中身を見ると、この帯の売れ方が見えてきます。首都圏の築50年以上の取引は、延床面積の中央値が80平米と全築年帯で最も小さい一方、取引は3,852件と厚い。つまり売れているのは、古くから開けた成熟住宅地にある、小ぶりな家です。買い手が値段を付けているのは建物ではなく、駅や生活基盤に近い土地。立地が強ければ、建物が50年を超えていても価格は落ちない。この実測が、「築50年でも売れる」の根拠です。
逆に言えば、この帯の価格は土地の条件次第で大きく割れます。同じ築50年でも、再建築できない土地や接道の悪い土地は中央値を大きく下回ります。だから次の章が、この記事の本題です。
売る前に整理するのは、建物ではなく「土地の情報」
築50年の売却準備というと建物の掃除や修繕を思い浮かべますが、価格を決めるのが土地である以上、整理すべきは土地の情報です。査定の前にこの4点を確認しておくと、見積もりの精度と、その後の工程の速さが変わります。

- 境界標と測量図: 境界標が現地に残っているか、確定測量図や境界確認書が手元にあるか。築50年級の土地は境界が未確定のことが多く、隣地との立会いに数か月かかる場合があります。書類の見分け方と測量の費用は確定測量の記事で解説しています
- 接道の状況: 敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接しているか。現行の接道義務を満たさない土地は再建築に制限がかかり、価格に直結します
- 再建築の可否: 接道や都市計画の条件で建て替えできない「再建築不可」に当たらないか。当たる場合も売れないわけではありませんが(FAQ参照)、売り方が変わります
- 越境の有無: 塀・庭木・屋根が隣地との境界を越えていないか。見つかった場合の扱いは覚書で整理するのが実務の定番です
この4点は、どれも「調べておく」だけで費用はかかりません。そして4点とも、買主と買主側の金融機関が必ず確認する項目です。売主側で先に整理してある物件は「売りやすい物件」として扱われ、値引き交渉の材料を先に潰すことにもなります。
築50年は例外なく「旧耐震」。前提にして売り方を組む
築50年の家は1970年代半ば以前の建築であり、耐震基準の分かれ目(1981年6月の建築確認)より確実に前です。つまり確認するまでもなく旧耐震です。築40年前後なら建築確認日の確認が最初の仕事になりますが、築50年ではその工程は要りません。旧耐震であることを前提に、売り方を組みます。
前提にすると、次のことが見えてきます。
- 買主の住宅ローンが付きにくい。建物の担保評価が出ないため、買い手の中心は現金で買える実需層・土地として評価する買主・買取業者になります
- 建物に値段を付けようとしない。リフォームで建物評価を作りにいくより、土地の情報を整えて土地として評価してもらう方が、費用対効果は確実です
- 耐震診断は「攻めの材料」になる場合がある。状態のよい家で、住み継ぎたい買主層が見込めるエリアなら、診断結果の開示が安心材料になります。ただし必須ではありません
古家付きで売るか、更地にするか。迷ったら壊さない
築50年の売り出し方は、実務では「古家付き土地として売る」か「解体して更地で売る」かの二択に収れんします。原則は1つだけ覚えてください。迷ったら壊さないです。解体は後からでもできますが、壊した建物は戻せません。解体費の持ち出しが先に発生するうえ、更地にしてそのまま1月1日を迎えると固定資産税の住宅用地特例(課税標準を最大6分の1に軽減)が外れます。
「壊した方が売れるのでは」と感じる場合も、まず古家付きのまま査定に出し、不動産会社の見立てを聞いてから決めて遅くありません。解体すべきかどうかの判断基準(建築年・建物の状態・買主層の3軸)、更地渡しという中間の選択肢、解体費の相場は、古家付き土地の売却の記事で詳しく扱っています。
なお、相続した家で名義がまだ亡くなった方のままの場合は、売却の前に相続登記が必要です。相続からの売却の工程は実家売却の記事と築40年の記事で扱っています。
築50年の査定は、10件に1件あります
当社の築50年向けの記事には、過去16か月で1万回を超える検索表示があります(Google Search Console)。「築50年の家の価値」「築50年 一戸建て 売却 いくら」。この帯で迷って検索する方は、それだけ多くいます。
査定の実態も同じです。当社の10秒査定に寄せられた一戸建ての査定依頼36,641件(2025年7月〜2026年7月・築年数の記載があるもの)のうち、築50年以上は9.0%(3,306件)。10件に1件近くが築50年以上であり、珍しい相談ではまったくありません。
築50年の一戸建ての売却でよくある質問
築50年の一戸建ては、本当に売れますか?
現に売れています。2024〜2025年の2年間で、築50年以上の一戸建ての取引は全国18,844件、当社集計対象の12.9%を占めます。全国中央値は650万円、首都圏では1,500万円です。価格が建物ではなく土地で決まる帯なので、「売れるか」は築年数ではなく土地の条件(立地・接道・再建築の可否)で考えてください。
再建築不可の土地でも売れますか?
売れる場合があります。隣地の所有者への売却(土地をまとめると価値が上がるため)、セットバックなど条件を解消する方法の検討、再建築不可物件を専門に扱う買取業者への売却が主な出口です。ただし通常の相場より価格が下がることは避けられません。再建築の可否自体があいまいな場合も多いので、まず不動産会社に調査を依頼してください。
解体費は売主と買主のどちらが負担しますか?
自分の建物である以上、解体するなら売主負担が基本です。ただし実務では、古家付きのまま売って買主が解体する形や、契約成立後に売主負担で解体する「更地渡し」の条件を付ける形など、負担の置き方に選択肢があります。どれが得かは物件と買主層によるので、査定時に不動産会社へ確認してください。
3,000万円特別控除などの税の特例は使えますか?
マイホームの売却に使える3,000万円特別控除や、相続した空き家の売却に使える特例(適用には期限・耐震などの要件があります)など、該当し得る制度はあります。ただし適用の可否は要件の確認が必要で、特例を使う場合は税額がゼロでも確定申告が必要です。詳しくは国税庁のWebサイトを確認のうえ、税務署または税理士にご相談ください。
まとめ: 建物の古さを謝る必要はない。土地の情報を揃える
築50年の一戸建ての価格は、土地の値段で決まっています。だから売る準備も、建物の言い訳ではなく土地の情報の整理です。境界・接道・再建築の可否・越境。この4点を確認し、旧耐震を前提に売り方を組み、迷ったら壊さない。これだけで、話は前に進みます。
最初の一歩は、現況のままの価格を知ることです。SUMiTASの10秒査定は、住所と物件情報を入れるだけで匿名・電話なしで概算価格を確認できます。「値段がつくのか不安」という段階でこそ、まず数字を見るところから始めてください。
本記事の相場データは、国土交通省「不動産取引価格情報」(2024〜2025年取引分・住宅地の土地と建物)を当社で集計したものです。査定依頼の統計は当社「10秒査定」の利用履歴(2025年7月〜2026年7月)の集計です。金額はいずれも中央値で、個別の物件の価格は立地・土地面積・建物の状態により大きく異なります。税制に関する記述は2026年8月時点の情報です。
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