【2022年最新】任意売却ができないケースとは?買い手がつかない・売れない場合を解説!

【2022年最新】任意売却ができないケースとは?買い手がつかない・売れない場合を解説!

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

任意売却は競売に比べるとメリットも多いです。所有している不動産が競売に掛けられてしまうような場合、競売以前に「任意売却」を検討する事で、状況の改善に繋がるケースが多くあります。

任意売却を上手に使うことができれば、競売よりも高く不動産を売却することが可能になります。売却額を残債の返済に充てることで、返済額を大きく減らすことができます。

メリットも多い任意売却ですが、どんな物件でも任意売却が成功するとは限りません。
この記事では任意売却を検討している・ローンの支払いで困っている方に向けて任意売却の情報を記載しています。

  1. 任意売却を検討中だけど失敗したくない
  2. 任意売却ができないケースを知りたい
  3. 任意売却で買い手がつかず焦っている
  4. 買い手がつかない場合の解決策を知りたい

任意売却で買い手がつかない・売れないなどの疑問や悩みを持つ方は、ぜひ参考にしてください。

任意売却とは

通常、不動産を売却しても残債が残ってしまう場合には、不足分を補えるだけの自己資金がないと売却はできません。抵当権の抹消ができないためです。
任意売却とは、住宅ローンの返済ができなくなった場合に、残債が残ってしまう場合でも債権者に抵当権の抹消・承諾をもらったうえで売却することです。

抵当権とは、銀行や金融機関などからお金を借りる場合に不動産(土地や建物)に設定する担保物権のことです。金融機関などの債権者が、債務者の住宅ローン滞納が続く場合に「抵当権を実行」できる権利です。

抵当権を実行した場合、ローンの担保である不動産を競売にかけて売却金を残債の返済に充てるため、滞納が数か月続くと、競売開始決定通知書が届き、競売の手続きが進められます。

競売になると、通常の売買価格よりも3〜5割程安く売られ、返済に充てる金額も少なくなり、強制退去による明け渡しにも応じなければいけません。

任意売却は、滞納があり金融機関から「期限の利益の喪失通知」が届いてから申請ができます。競売の開札日前までに不動産を売却することができれば、「ほぼ市場価格で売却ができ、残債を大きく減らすことが可能」になることに加えて「引越し費用などの控除も認められやすい」というメリットがあります。

任意売却ができない5つのケース

ローンの返済ができないからといって、すべての物件で「任意売却」ができるとは限りません。例えば、下記のケースの場合には任意売却が難しい場合があります。

  1. 債権者の同意が得られない
  2. 所有者(共有者)の同意が得られない
  3. 物件にトラブルがある・建築基準法に違反している
  4. 買い手希望者が内覧できない
  5. そもそも買い手が見つからない

一つずつ詳しく解説します。

ケース1|債権者の同意が得られない

債権者の同意が得られない場合は、任意売却ができません。

例えば、「ローンを借りて日が浅い場合」や「売却後のローン残高が多いと判断される場合」は同意を得ることが難しくなります。「ローンを借りて日が浅い」と判断される基準は2〜3年と言われています。

また、契約の段階で「原則、任意売却は認めない」と契約書に記載する金融機関もありますので、「金銭消費賃借契約書」等を確認しましょう。債権者から同意が得られなかった場合でも、保証会社による「代位弁済」によって、債権の移動があり、債権者が「代位弁済をした保証会社」もしくは「保証会社が委託した債権の回収会社」に変更されることで、任意売却へ進められるケースもあります。

ケース2|所有者(共有者)の同意が得られない

所有者全員の同意が得られない場合にも任意売却はできません。

所有者の親族(両親や配偶者)と不動産を共有している場合は、任意売却の同意を得ることは難しくないでしょう。
しかし、親族以外の人と不動産を複数人で共有している場合には注意が必要です。親族以外の所有権共有者がいる場合だと、他の共有者を納得させるだけの理由が必要になります。
任意売却の同意を所有者全員からもらうには、計画的な作業と根気が必要でしょう。

ケース3|物件にトラブルがある・建築基準法に違反している

物件が原因で、任意売却が難しいケースもあります。
物件にトラブルがあったり、建築基準法に違反している物件などが該当します。

具体的な例として、「容積率・建ぺい率のオーバー」などが挙げられます。
容積率や建ぺい率がオーバーしている事例に関しては、新築時には問題はなかったが、増築時に違法建築になってしまったというケースが多く見受けられます。建ぺい率や容積率がオーバーしている物件は違法建築となるので、オーバーの度合いにもよりますが、買主が金融機関からの融資を受けにくくなるため、任意売却が難しくなるケースもあります。

その他いろいろなトラブルや建築基準法への違反がありますが、不動産自体に問題がある物件の任意売却は難しいでしょう。

ケース4|買い手希望者が内覧できない

買い手が内覧を希望した際に「内覧ができない状態」であると、任意売却がしづらくなります。
任意売却は競売と違い、一般の不動産売買と同じ販売方法を取ります。つまり、内覧や物件の情報を開示するなどの重要事項説明がともないます。

任意売却は売主が住んでいるタイミングで、購入希望者が内覧に来ることがほとんどです。同居する家族などがいる場合には、全員の協力が必要になります。もし内覧ができない事情があるのならば、その問題を解決する必要があるでしょう。

ケース5|そもそも買い手が見つからない

任意売却には、そもそも買い手が見つからないという問題があります。
「購入者の需要に応えられていない物件」や「予算に合わない物件」は買い手が見つかりにくいです。

次の章では「買い手が見つからない場合の原因と対処法」について説明していきます。買い手が見つからず困っている方はぜひ参考にしてください。

買い手が見つからない・物件が売れない3つの原因

物件の情報を公開して「1〜2か月反響がない」場合には買い手がつきにくいと判断できるでしょう。買い手が見つからない場合は主に次の3つの原因が考えられます。

  • 物件の価格が相場より高い
  • 物件の状態が悪い
  • 不動産業者の選び方を間違えてしまった

一つずつ詳しく解説していきます。

物件の価格が相場よりも高い

物件が売れない状況としてまず考えられることは、「販売価格が近隣の相場よりも高く設定されている」かもしれないということです。

近い将来に地価上昇が期待されているような地域であれば、相場よりも高い値段で売り出すことも可能でしょう。しかし、地価上昇が期待されている地域はそうは多くありません。

販売価格には相場があり、相場とかけ離れた値付けをしてしまうと購入を検討する人は減ります。不動産が売れないと悩んでいる方は、近隣の相場と販売価格が大きく乖離していないか見直しましょう。

物件の状態が悪い

物件の状態(性能も含む)が悪いと、買い手がつきにくいです。理由は、「状態の悪い物件を購入しても、建物の性能や設備に不安があり補修などに余分なお金がかかる」からです。

例えば、買い手は下記のような状態を好みません。

  • 雨漏り、外壁などからの浸水
  • シロアリによる浸食
  • 主要な設備の著しい不具合や劣化
  • 柱などの重要な箇所の過度な劣化

物件の損傷に関しては、買い手の許容できる範囲であれば問題ありません。

対して、「シロアリに侵されてボロボロ」「雨漏りを放置していて屋根の大部分が腐っている」など、誰が見ても建物の性能が悪く、誰もほしいと思わない物件は大きなマイナスの印象を与えます。

状態が悪いと判断される場合には、買い手が少なくなるので「状態を考慮した価格設定にする」か「問題箇所の修繕・改善」を検討しましょう。

不動産業者の選び方を間違えてしまった

「任意売却」が成功するかどうかは、どの不動産業者を選ぶかに大きく影響されます。

任意売却は「購入希望者への価格交渉」ならびに「購入希望者への価格交渉」とそれらを行なうための「スピード感」が重要なので、任意売却に対する理解の深い不動産業者と媒介契約をしましょう。

任意売却の経験が浅い不動産や、返事・仕事が遅い不動産業者かどうかを正確に見極めて、依頼してください。

「不動産業者の選び方」については、この記事を参考にしてください。

任意売却に強い不動産業者の選び方!競売までに間に合わせるための損をしない業者の見つけ方【2022年完全保存版】【競売になる前に!】任意売却に強い不動産業者の選び方!損をしない業者の見つけ方

任意売却できなかった場合の2つの解決策

債権者が「任意売却で買い手が見つからない」と判断した場合は、裁判所に申し出て競売の手続きが取られます。

競売を避けるためにも、あなたが買い手が見つからないと判断した時点で、「販売価格の見直し」もしくは「不動産業者の再選定」をして売却成立に向かって行動を起こすことが大切です。

一つずつ詳しく解説するので、参考にしてください。

①価格を下げることを検討する

売れないと判断できるようであれば、まずは販売価格を下げることを検討しましょう。

近隣の相場を考慮しつつ、物件を探している人に見つけてもらいやすい価格に変更することで、急に買い手が現れて契約が成立するケースが多々あるからです。
しかし任意売却は、売却金額を返済に充てることを目的としているので、販売価格を変更するためには「債権者の許可が必ず必要」になります。

常識の範囲内で値下げするのであれば、債権者も承諾してくれることがほとんどなので、売れないと判断した場合はすぐに不動産業者と連携して債権者に相談し、値下げが可能か確認しましょう。

②不動産業者を変更する

任意売却は限られた時間の中で売買を成立させなければいけません。

しかし、仲介をお願いしている不動産業者の対応が良くなかったり、任意売却の知識が乏しかったりすることで結果につながらない場合もあるでしょう。
そのような場合には不動産業者の変更を検討し、なるべく早く変更しましょう。

状況が変わらない状態が続けば、債権者の判断で競売になる可能性があるからです。
ただし、不動産業者を変更する際には「媒介契約」に縛りがあるので注意が必要です。

媒介とは、不動産業者が依頼を受けて契約の両当事者の間に入り、両当事者間の制約成立を取りまとめることをいいます。

参考:e-GOV 法令検索『宅地建物取引業法

媒介にはいくつかの種類があり、任意売却は原則、「専任媒介契約または専属専任契約」で不動産業者と媒介契約を締結しなければいけません。

下記の表が「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の違いです。

区分専属専任媒介専任媒介一般媒介
契約可能な不動産業者一社のみ一社のみ複数可
売主への業務報告義務1週間に1回以上2週間に1回以上不動産業者の任意
売主が買主を探す制限あり
契約している不動産業者を仲介人とする
制限なし制限なし
流通機構(レインズ)への登録5営業日以内7営業日以内不動産業者の任意
契約期間3か月以内3か月以内法令上制限なし

表の通り、専任媒介契約または専属専任契約を締結すると、媒介契約書に記載された期間(3か月以内)は媒介契約を外すことはできませんが、交渉により可能な場合もあります。

任意売却が可能な期間のうちに不動産を売却するためには、販売活動の経過を見極めながら不動産業者の変更も視野に入れることをおすすめします。

媒介契約の種類不動産売却の媒介契約の違いとおすすめ。一般、専属、専属専任の違い

任意売却を成功させるなら適切な業者に早めの相談を

この記事では、任意売却で買い手が付かない原因と対策について解説しました。
任意売却についてお悩みがある場合は、適切な不動産業者に早めに相談をしてください。

任意売却で売れない原因として「売却希望価格が相場よりも高いこと」「物件の状態が悪いこと」「選ぶ不動産業者を間違えてしまったこと」が挙げられます。
それらの原因に対しては「売却希望価格の見直し」や「不動産業者の再考」を行うことで状況を改善できる可能性があるとお伝えしました。

任意売却を検討する側も不動産業者に丸投げするのではなく、要点などを押さえることで売却の失敗を防ぎやすくなります。
しかし、任意売却は不動産業者の力量が大きく作用することも事実です。つまり、任意売却に詳しく実績が豊富な不動産業者に依頼することが成功への近道です。

もし不動産業者選びで悩むようであれば、まずはお気軽にSUMiTASに無料でご相談ください。実績豊富なスタッフが全力でサポートします。

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吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
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愛媛大学在学中に愛媛県で株式会社アート不動産を創業する。現在アート不動産では、アパマンショップ(賃貸)を5店舗、SUMiTAS(売買)を2店舗・管理センターを1店舗、売買店舗を2店舗運営。吉田 宏の詳細プロフィールはこちら