所有しているマンションを売却したいなら、どのようにして売るのかを知ることが大切です。売却の方法を把握していないとスムーズに手放すことは難しく、また売り損を出してしまう可能性もあります。
売却の手順や好条件を獲得するポイント、注意点など細部まで理解を深め、少しでも高値での売却を目指しましょう。
目次
マンション売却の流れを把握する
マンションをスムーズに売却することを目指すためには、まずは売却の流れを把握しておきましょう。
- マンションの相場価格を把握する
- マンションを査定する
- 依頼する不動産会社を決め媒介契約を結ぶ
- 売却活動をスタート
- 買主と売買契約を結びマンションを引き渡す
- 確定申告を行い完了
マンションの売却には大きく分けて、これら6つのステップで行われます。
1.マンションの相場価格を把握する
まずは所有しているマンションにどれくらいの価値があるのか、相場価格を把握します。売却前にはマンションの正しい価値を知らないと売り損を出したり、物件に見合わない価値をつけて売り逃しをしたりすることがあります。
相場価格を把握する方法はさまざまで、例えば不動産情報サイトで現在売り出されている類似した物件の売却価格を参考にしたり、レインズマーケットインフォーメンションというサイトで過去の取引事例を参考にしたりするとよいでしょう。
情報収集は上手に売却するための第一歩であるため念入りに行い、より正確に相場価格を把握しておくことが大切です。
2.マンションを査定する
相場価格をある程度把握したところで、不動産会社にマンションの査定を依頼します。査定結果によってマンションの売却価格がどれくらいになるかを判断しますが、不動産会社によって提示する金額は違います。業者ごとに金額が異なるため、どれが正しい金額なのか判断するために事前に相場価格を調べておくことが大切です。
査定の方法は大きく机上査定と訪問査定の2つであり、まずは机上査定から行います。机上査定とは物件情報や過去の取引事例などを参考に価格を算出する方法であり、いわばデータ上のみでの査定です。実際に物件を訪れるわけではないため正確性は劣りますが、ネットで完結し素早く査定結果が得られる点が特徴です。
訪問査定は実際に物件を訪れ、詳細部分まで確認してより正確な査定額を算出します。立ち会いが必要で当日も1時間程度と時間がかかるものの、机上査定よりは正確性が高いです。
査定はまずは机上査定から始まるため、SUMiTAS(スミタス)の査定サイトを利用し、相場を理解した上で訪問査定に移ることをおすすめします。
3.依頼する不動産会社を決め媒介契約を結ぶ
査定の結果を受けて、どの業者に売却を依頼するかを決めます。依頼する不動産会社を決めた後は仲介をしてもらううために媒介契約を結びますが、媒介契約には3種類あります。
媒介契約の種類 | 2社以上の不動産会社と契約できるか | 自分で買主を探して直接取引できるか | 活動報告の頻度 | レインズへの登録義務 |
---|---|---|---|---|
専属専任媒介契約 | ✕ | ✕ | 1週間に1回以上 | 媒介契約から5日以内 |
専任媒介契約 | ✕ | 〇 | 2週間に1回以上 | 媒介契約から7日以内 |
一般媒介契約 | ✕ | 〇 | 法令上の定めなし | 法令上の定めなし |
一般媒介契約のみ契約期間の定めがありませんが、専属専任媒介契約と専任媒介契約は3カ月以内と決められています。売却活動における自由度がもっとも高いのが一般媒介契約で、次に専任媒介契約、最後に専属専任媒介契約がもっとも制限が多いです。しかし、制限が多いほど不動産会社が売却活動に力を入れてくれやすく、より精力的に活動してもらえるためスムーズに買主を探せることも少なくありません。

期間終了後は媒介契約の種類を変えることも可能であるため、売却状況に合ったものを選ぶことが大切です。また、一般媒介契約は期限の定めはないものの、他の媒介契約と同様に3カ月程度を契約期間のひとつの目安とすることが一般的です。
4.売却活動をスタート
不動産会社と媒介契約を結ぶと、本格的に売却活動がスタートします。どの種類の媒介契約を結ぶかによって活動の内容は変わり、例えば一般媒介契約なら不動産会社に任せるだけではなく、売主も買主を探す必要があります。
これは専任媒介契約でも同じですが、一般媒介契約と比較すると不動産会社が売却活動に力を入れてくれやすいため、基本的には任せておいても問題はありません。不動産会社が行う売却活動としては、自社サイトへの物件情報の登録や看板や広告などでの告知、購入希望者への対応などがあげられます。
売却活動は基本的には無料ですが、不動産会社が定めた通常業務の範囲を超えて広告を出す場合などは、その都度経費がかかるため、確認をしながら広告を出してもらいましょう。
売却価格は高すぎず安すぎず設定することが大切
物件を売り出す際には、価格を決めなければなりません。このときの価格は高すぎず、安すぎないよう適正価格を意識しなければなりません。売り出し価格は自由に設定できるため、査定額よりも高額にすることも可能です。
しかし、実際の価値に対してあまりに売り出し価格が高すぎると、売れ残ってしまうこともあります。極端に高い金額設定をすると、その条件では売れる見込みがないと判断され、不動産会社が売却活動に積極的になってくれないこともあります。
その反対に安すぎると売りやすくはなるものの、利益分を減らし売り損を出してしまうことになります。売り出し価格はスムーズに売却できるか、損なく売れるかを決める重要なポイントですので、不動産会社の担当者とよく相談して、適切な金額設定を行いましょう。
マンション売却には内覧準備も重要
売却する際には内覧を行う必要があり、購入希望者に実際に物件を見てもらわなければなりません。内覧を行うには事前準備が必要であり、好印象を与えるための対策を行うことが好条件での売却に繋がります。
第一印象をよくするには部屋をきれいに見せることが重要であり、次の3つの準備は念入りに行うことが大切です。
- 物を減らす
- 部屋の電気はすべてつけ明るくする
- 部屋は消臭しておく
物が多いと散らかって見えて印象が悪く、実際の間取りよりも狭い印象を与えてしまう可能性があります。売却に際して大掃除を行い、不要なものは処分するか、レンタルルームなどに一時的に荷物を移動させておいてもよいでしょう。
部屋を明るく見せるには、できるだけ多く光を取り入れ、部屋の電気はすべてつけてカーテンも開けておきましょう。明るさが違うだけで印象は変わり、可能なら電球の取り替えもしておきましょう。
清潔感は印象を左右する重要なポイントであり、匂いによって印象が変わります。そのため部屋は消臭し、生ごみやたばこなどの臭いがしないよう心がけましょう。
5.買主と売買契約を結びマンションを引き渡す
内覧を行った後は、購入希望者と諸条件の交渉を行い、双方合意となれば売買契約を締結します。売買契約を締結する際には、マンションの売却価格だけではなく、契約破棄の違約金、手付金の金額や引き渡し日など細かいことも話し合います。
契約書に記載する内容がすべてとなり、口頭での約束は言った言わないでトラブルになることもあるため注意が必要です。守るべき内容はすべて契約書に記して書面に残すことが大切であり、双方が内容について正しい認識を持って、契約するようにしましょう。
契約後は引き渡し日までに新居や仮住まいへの引っ越しを行い、ローンが残っている場合は残金の返済や抵当権の抹消手続きなどを行います。契約書で定めた引き渡し日に買主からの決済を受け、所有権移転登記や鍵の引き渡しなどを行い、物件を買主に渡します。
6.確定申告を行い完了
マンションに限らず、不動産を売却した後は、その翌年に確定申告を行います。マンションの売却によって利益が出た場合は確定申告は必須であり、申告や利益分の納税を怠ると高い追徴課税を支払うことになるため、注意してください。
また、売却損が出た場合は基本的には確定申告は必要ありませんが、申告をすることで会社でもらう給与所得などと合算し、税制上の所得を減らして減税になる場合があります。不動産を売却した翌年は申告が必須と考えてよいでしょう。
確定申告は毎年2月16日から3月15日までの間に行われ、最寄りの税務署や確定申告会場の申告だけではなく、郵送による書類の提出やインターネット申告サービスなどを利用する方法もあります。
申告の意思はあっても期限を過ぎてしまうとペナルティが発生するため、期限内に提出するためにも早めに準備をしておきましょう。
マンション売却にかかる費用の相場
マンションを売却することで売却価格に応じた利益が得られますが、同時に売却時には費用もかかるため、これも把握しておかなければなりません。
費用項目 | 費用目安 |
---|---|
仲介手数料 | (上限)売却価格×3%+60,000円+消費税 |
印紙税 | ・契約金額により異なる 5,000円~60,000円程度 |
譲渡所得税 | 売却益が出た場合のみ課税 |
抵当権抹消の登録免許税 | 不動産1件につき1,000円 |
抵当権抹消を依頼する司法書士報酬 | 10,000円程度 |
引っ越し費用 | 回数、プラン、荷物量、距離、時期により変動 |
仲介手数料支払う費用は複数あるため、それぞれの詳細な内訳を知っておきましょう。
不動産会社に仲介を依頼して売却する際には、手数料が発生します。仲介手数料は法律で上限額が決められており、売却価格によってその制限は変動します。
売却価格 | 報酬額(税抜) |
---|---|
200万円以下の金額 | 売却価格の5%以内 |
200万円超え400万円以下の金額 | 売却価格の4%以内 |
400万超えの金額 | 売却価格の3%以内 |
売買価格×3%+60,000円+消費税より簡単に計算するなら、400万円を超える取引では、次の式でまとめて計算することが可能です。
仲介手数料はあくまで上限額が設定されているだけなので、不動産会社によっては割引をしていることもあります。ただし、大幅な割引や無料とする場合は、別の部分で費用を高く計上されて結局支払いが増えることもあるため、注意しなければなりません。
また、仲介手数料は成功報酬であるため、契約が決まるまでは費用は発生していないことも覚えておきましょう。媒介契約を結んだだけでは費用は発生しておらず、もし途中で売却をやめた場合でも、活動にかかった実費を精算するだけで、仲介手数料はかかりません。
仲介手数料は買主との売買契約時に半額を、引き渡しの後に残りの分を支払うと、2回にわけることが一般的です。
印紙税
売買契約書には契約金額に応じた収入印紙を貼る必要があり、印紙税の用意が必要です。契約書の記載金額によって印紙税は変わりますが、マンションの売却では次の範囲となることが多いでしょう。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
500万円超え1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1,000万円超え5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円超え1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円超え5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
譲渡所得税2022年3月31日までは軽減税率が適用されているため、費用負担が少なくなります。
売却によって利益が出た場合は、所得税と住民税、復興特別所得税が課税されます。売却益の有無は、次の式で計算します。
売却益 = 売却価格 - 取得費 - 売却費用
これがプラスになる場合は売却益が発生しているため、課税対象になると考えましょう。所得税と住民税は不動産の所有期間によって税率が異なり、5年以下の場合を短期譲渡所得、5年を超えるものは長期譲渡所得とします。
税金の種類 | 短期譲渡所得の税率 | 長期譲渡所得の税率 |
---|---|---|
所得税 | 30% | 15% |
住民税 | 9% | 5% |
復興特別所得税 | 2.1% | 2.1% |
また、自宅の売却なら「マイホーム売却の3,000万円特別控除」が適用できることもあります。特別控除を使うことで課税される可能性を大幅に下げられるため、この適用条件も確認しておきましょう。
登記費用
不動産売却では、単に物件を引き渡すだけではなく、登記の内容も変更して、所有権を移動させなければなりません。売却時には住宅ローンを組んでいるなら抵当権の抹消登記を行い、さらに所有権の移転登記も実行します。
抵当権の抹消登記は該当する不動産1件につき1,000円であり、マンションと土地なら合計2,000円の費用がかかります。所有権の移転登記は固定資産税評価額に税率をかけて計算され、内容は次の通りです。
不動産の種類 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
建物 | 2% | 0.3% |
土地 | 2% | 1.5% |
司法書士への報酬建物は2022年3月1日まで、土地は2021年3月1日まで軽減税率が適用されます。契約時の取り決めによって異なりますが、基本的には抵当権抹消の費用は売主が負担し、所有権移転登記は買主負担で行うことが多いです。
登記は個人で行うことも可能ですが、手続きが複雑なため司法書士に手続きを代行してもらうことが一般的です。このときに支払う報酬も売却時の費用として計上できます。依頼する司法書士によって報酬額は異なりますが、抵当権の抹消なら大体10,000円程度が相場です。
引っ越し費用
自宅を売却するなら引っ越しが必要であり、これは次の4つのポイントによって決まります。
- プラン
- 荷物の量
- 引っ越し先までの距離
- 引っ越し時期
条件によって費用は異なりますが、大体30~50万円程度かかると考えておくとよいでしょう。また、先に売却をしてから新居を探す場合は、仮住まいへの引っ越しも必要となります。この場合は単純計算で引っ越し費用が2倍になりますので、売却方法によって費用が増大することは理解しておきましょう。
マンション売却で発生する税金の節税方法
マンションを売却して売却益が出た場合には、その譲渡益に対して譲渡所得税が課せられます。例えば、3,000万円で購入したマンションを3,500万円で売却した場合、課税譲渡所得は500万円です。
マンションの売却益にかかる税金は高額ですので、少しでも節税して負担を軽減するようにしましょう。ここでは、2つの節税対策を紹介しますので、参考にしてください。
売却益が出た場合の節税対策「3,000万円特別控除」
住んでいたマンションが買った価格よりも高く売れて売却益が出た場合は、「3,000万円の特別控除」を利用して売却益への課税対象から除外するようにしましょう。
なお、売却益が3,000万円に満たない場合はその金額までの控除となり、税額は0円となりますのでご注意ください。
売却益が3,000万円未満 | 非課税 |
売却益が3,000万円以上 | 3,000万円を超えた金額分に課税 →3,500万円の譲渡所得の場合、3,500万円(譲渡所得)−3,000万円(控除分)=500万円に課税 |
この控除は、所有期間の長短に関係なく適用を受けることが可能ですが、一定の要件(※)がありますので気をつけましょう。
※国税庁「マイホームを売ったときの特例」内、「特例を受けるための適用要件」を参照してください。
売却損が出た場合の節税対策「損益通算」
住んでいたマンションが買った価格よりも安くなり、売却損が出た場合は「損益通算」を利用し、所得税・住民税の控除を受けるようにしましょう。損益通算は、不動産取引で生じた売却損を別の課税所得から相殺し、納税総額を減額する仕組みです。
例えば、マンションの売却(A)で売却損がでた一方、別の不動産(B)を売却して売却益が出た場合、AとBを相殺した金額を課税対象にできます。単年度の売却益で相殺しきれなかった場合は、最長4年(売買のあった年度含む)の利益を合算できますので、積極的に活用しましょう。
マンションを高く売る6つのポイント
所有するマンションを高く売るには、次の6つのポイントを押さえておきましょう。
- 査定は複数社に依頼し比較検討する
- 売却を不動産会社に任せきりにしない
- 時間に余裕をもって売却活動を行う
- 売却のタイミングを見計らう
- 室内をきれいにして内覧で好印象を残す
- 査定を依頼する前に自分でも相場を理解する
売却方法を工夫することで、より高値で売れることもあるため、ポイントは細部まで理解しておく必要があります。
査定は複数社に依頼し比較検討する
不動産会社によって売却の条件が変わるため、査定は複数社に依頼し内容を比較しましょう。もっともよい条件を提示した不動産会社を選ぶことが大切であり、不動産会社の選定を念入りに行うことで、売却の条件がよくなります。
よりよい会社を選ぶためにも最低3社以上から選定してください。SUMiTAS(スミタス)ならネットで簡単に不動産の査定を依頼することができ、売却までの流れをスムーズに進められます。
査定は大手だけではなく中堅や地域密着の会社にも依頼する
不動産会社は知名度がある大手や中堅、さらには地域密着の会社など、それぞれに査定を依頼しましょう。各会社で得意とする分野があるため、大手だからといっても好条件で売却できるとは限りません。
マンションの状態や地域、タイミング次第では大手よりも中堅や地域密着の不動産会社のほうが好条件で売却できることもあります。不動産会社の規模も変えることで、幅のある査定結果が得られます。
マンション売却に強い不動産会社に依頼する
不動産会社によって得意分野は異なるため、マンションを売却するならマンションの売却に強みを持つ業者を選びましょう。売却が得意な業者でも、それが戸建てなのかマンションなのかによって、売却結果が変わってくることは多いです。
また、同じマンションでも低層階のマンションと、タワーマンションでは売却の勝手が異なることが多いため、所有する不動産に合わせて業者を選定しましょう。得意分野を見極めるには、提示する査定額を参考にしたり、売却実績や過去の事例などをチェックしたりすることが大切です。
査定額だけで不動産会社を選んではいけない
不動産会社を選定する際には、査定額だけではなく、その内訳や担当者の対応などをチェックすることが大切です。提示された査定額だけで決めてしまうと、担当者との相性が悪くて売却活動がスムーズに進められなかったり、顧客を獲得するためだけに高額査定を提示している悪徳業者に引っかかったりする可能性があります。
査定額は参考価格でしかなく、確実にその金額で売れる保証はありません。なぜその金額になっているのかをきちんと確認し、納得できる理由を提示した信頼できる業者を選ぶことが大切です。
売却を不動産会社に任せきりにしない
媒介契約の種類によっては不動産会社が主導となって売却活動を行ってくれますが、すべてを任せきりにしてしまうのはよくありません。売却を成功させるには不動産会社と協力しながら自身も積極的に売却活動に参加することが大切です。
例えば売却の計画を話し合ったり、内覧時の対応で購入希望者に物件のよさをアピールしたりと、売主が行うべきことも多数あります。不動産会社は売却時のパートナーであることを理解し、協力しながらよりよい条件での売却を目指すようにしましょう。
時間に余裕をもって売却活動を行う
マンションの売却には時間がかかるため、スケジュールは余裕を持って組んでおくことが大切です。不動産の売却は最短で1カ月程度、通常で3カ月程度といわれています。長いと半年程度といわれることもありますが、実際にはこれ以上の期間がかかってしまうことも少なくありません。
売却期間が限定されている場合は、条件を下げることで速やかな売却につながりますが、好条件で売りたいのであれば時間的な余裕はもちましょう。
売却のタイミングを見計らう
同じ物件でもいつ売りに出すかによって売却の条件が変わることは多いため、タイミングを見計らって活動をすることが大切です。
1年のうちで価格が伸びやすいのは、新年度を目前にした1~3月の間です。また、好景気で住宅ローンの金利が下がっているときも、不動産需要が伸びるため売却には適しているでしょう。
マンションの場合は、同じマンション内で同時に売り出しがないかも確認が必要です。階層や方角、角部屋かどうかなどの条件によって別の部屋のほうが好条件なら、売却時期をずらすことも選択肢の一つです。
室内をきれいにして内覧で好印象を残す
内覧時にはできるだけきれいな状態の部屋を見てもらうことが大切であり、片付けや掃除は徹底して行い、細かい傷があるなら可能な限り直しておきましょう。
掃除は玄関周りや水回りなど、特に見られやすい部分を念入りに行うことが大切であり、必要に応じてハウスクリーニングを依頼することもおすすめです。
査定を依頼する前に自分でも相場を理解する
不動産会社に査定依頼する前に、次のような方法を使って自分でも相場をチェックしておくことが大切です。
サイト | 特徴 | どんな物件を探すのに向いているか |
---|---|---|
不動産情報サイト | ・競合物件の価格をチェックできる ・把握できるのは売り出し価格のみ | ・マンション:〇 ・戸建て:〇 ・土地:〇 |
不動産取引価格情報検索 | ・国土交通省が運営している ・アンケート調査で実際の取引データではない | ・マンション:〇 ・戸建て:〇 ・土地:〇 |
レインズマーケットインフォメーション | ・実際の成約価格がわかる ・データが一部ないこともある | ・マンション:〇 ・戸建て:〇 ・土地:× |
価格天気図 | ・全国の中古マンションの価格動向の上下を直感的に判断しやすい ・詳細な金額を知ることができない | ・マンション:〇 ・戸建て:× ・土地:× |
参考:不動産取引価格情報検索
参考:レインズマーケットインフォメーション
参考:価格天気図
不動産会社が提示する査定額が妥当かどうか判断するためにも、情報収集は念入りに行い、自分で判断できるよう基準を作っておきましょう。
マンション売却で知っておくべきポイント【ケース別】
ひとくちにマンションを売却するといってもさまざまなケースがあり、シチュエーションによって売却時のポイントは異なります。
一般的な住み替え時の売却から、財産分与や相続、投資目的のマンションなどケースは多岐にわたるため、それぞれのポイントを把握しておきましょう。
住み替えを目的としたマンション売却の場合
自宅の住み替えでマンションを売却するなら、先に売却して後で新居を見つけるのか、先に新居を購入して後で売却するのかの2つの方法があります。これらは「売り先行」、「買い先行」といわれており、それぞれで特徴が異なります。
売却スタイル | メリット | デメリット |
---|---|---|
売り先行 | ・余裕を持って売却活動をしやすい ・高値で売りやすい ・資金計画を立てやすい | ・仮住まいが必要で費用が多い ・新居購入のタイミングを逃すこともある |
買い先行 | ・住居が決まっているため安心できる ・仮住まいが不要で引っ越しが1回で済む ・欲しい住居の買い逃しを避けられる | ・新居購入費用の捻出が難しい ・短期間での売却となることが多い |
離婚によってマンションを売却する場合それぞれメリットとデメリットがあるため、よく理解して自分に合った方法を用いることが大切です。
離婚で財産分与をする場合は、マンションを売却して現金で分配したほうがトラブルが少なく、スムーズに分配もしやすいです。不動産の状態でも分配は可能ですが、現金のように価値が明確ではないため、どちらが何円相当の資産を取得するのかで揉めることが多いでしょう。
不動産のまま分配するなら不動産会社ではなく、不動産鑑定士により詳細な査定額を算出してもらい、それを元に資産の分配をすることがおすすめです。

相続したマンションを売却する場合
マンションを相続した後、これを売る場合は名義変更ができているかどうかをチェックしなければなりません。相続後名義変更がなされているなら、普通の不動産と同じ方法で売却できます。名義変更がまだなら、所有権の移転登記を行い、それから売却となります。
相続時の所有権移転登記の費用は売却時と税率が異なり、固定資産税額の0.4%で計算されます。司法書士に依頼する場合は費用は高く、司法書士への報酬だけで10万円程度かかることも多いため注意しましょう。
投資用のマンションを売却する場合
居住用ではなく、投資用のマンションを売却する場合は、利益が出るかどうかを最優先する必要があります。また、すでに赤字が出ている場合は、少しでもマイナスを避ける損切りの意味で売却するということもあります。
特に購入時から価格が下がり続けている場合は、それ以上下がる前に手放すことが大切であり、売り時を間違えると大損をすることもあるため注意しなければなりません。
住宅ローンを支払えなくなって売却する場合
組んでいた住宅ローンが支払えなくなった場合は、任意売却でローンの減額を図る方法もあります。任意売却は売却しても住宅ローンが完済できない場合に行える方法であり、抵当権の行使で競売にかけられるよりは高値で売却しやすいです。
ただし、任意売却をすると金融情報に傷がつくため、以降5年程度ローンが組みづらくなるため注意しなければなりません。

マンション売却前と売却中に注意すべきこと
ここでは、マンション売却を成功させるために、売却前・売却中に注意すべきことについて解説します。
マンション売却前の注意点
マンションの売却時、不動産会社任せではなく、ご自身でもチェック・準備しておくべきことがあります。以下、マンション売却前の注意点から解説します。
査定・売却に必要な書類を用意する
マンションを売却する際に、不動産会社から物件の権利関係などについて確認を受けます。ここでは最低限必要となる書類・項目についてまとめましたので、以下ご確認ください。
書類・項目 | 用途 | |
---|---|---|
1 | 登記済権利証 | 登記名義人の変更 |
2 | 間取り図と測量図 | 物件情報の確認 |
3 | 固定資産税納税通知書 | 負担する固定資産税の計算 |
4 | 実印、印鑑証明 | 書類への捺印と実印の証明 |
5 | 身分証明書 | 売主本人の確認 |
6 | 建築確認済証、検査済証 | 建築基準を満たしているかの確認 |
7 | 地積測量図、境界確認書 | 土地の大きさ等の確認 |
8 | マンションの利用規約 | マンション内のルールを確認 |
上記書類・項目以外にも必要となるものがあるかと思いますので、不動産会社の担当者に確認しながら情報収集を行いましょう。
物件の相場を調べておく
物件の査定額が適正かどうかを判断するために、ご自身でも事前に相場を調べておきましょう。相場を調べる方法はいくつかありますが、その中からレインズ・マーケット・インフォメーションをご紹介いたします。
上のサイトでは、実際に売れた価格(成約価格)の相場を調べられます。開いたページの左側でマンションを検索できますので、都道府県とエリアを選択してお住まいのエリアのデータをチェックしてみてください。
マンション売却中の注意点
ここからは、所有されているマンションをマーケットで売却する際の注意点をご紹介します。
売り出し価格を適正にする
マンションの売り出し価格は、マーケットの適正価格よりも高いと売れ残りますし、早く売却したいがために低く設定しすぎると売主が損をします。マーケットの適正価格を見極め、その金額からかけ離れた売り出し価格の設定はしないようにしましょう。
この場合の適正価格は不動産会社が算出した査定額ではないというのがポイントです。不動産会社からのアドバイスも受けつつ、ご自身で相場を調べて、売り出し価格や値下げ幅などは事前にある程度決めておくようにしましょう。
安易に売り出し価格を値下げしない
なかなか売却先が決まらないからといって安易に値下げをすると、売却損が発生し後悔してしまうことにつながりかねません。
不動産会社からは、早期売却のために値下げを要求されることもあるかと思いますが、値下げは最終手段です。その前にできることが無いか、以下のポイントを再度確認しましょう。
-
広告活動
依頼した不動産会社のHPに物件情報が掲載されているか?
近隣の賃貸マンションへポスティングチラシを実施しているか?
近隣の不動産仲介会社へ物件の告知をしてくれているか?
物件広告は十分に魅力を伝えられている内容になっているか? - 売却物件の状態
買い手の意欲が下がるような状態で内覧を受けていないか?
部屋のクリーニングは十分か? -
営業マンとのコミュニケーション
現在の価格で売却に至らなかった原因を聞けているか?
周辺の事例を再調査し、最新の市場情報を教えてもらっているか?
競合している物件を調査し、比較情報を聞けているか?
なかなか売却先が決まらない場合は、上記のいずれかに問題がある場合が多いので、気をつけるようにしてください。
内覧前に部屋のメンテナンスをする
購入希望者が見つかったら、内覧してもらう前に部屋の清掃・片付けを行うようにしましょう。購入希望者は、見た目の良し悪し、備品のメンテナンス等で部屋の第一印象を決めています。
具体的には、玄関、リビング、水回り、バルコニーなど、ご自身が購入者の気持ちになって気になる箇所を重点的にチェックするようにしましょう。内覧希望は突然来ることもありますので、いつでも万全の状態で内覧をしてもらえるように、日頃から掃除・メンテナンスを怠らないようにすることが重要です。
よくあるマンション売却の3つの疑問
上手にマンションの売却をするには、売却時に出やすい疑問とその答えを知っておくことも大切です。
- Q1:マンションの権利証を失くしたらどうなるの?
- Q2:共有名義のマンションは売却できるか?
- Q3:売却の方法は仲介以外にあるの?
マンション売却で疑問に上がりやすいのは、これら3つです。
- マンションの権利証を失くしたらどうなる?
- 不動産売却時には権利証は必須であり、紛失したなら再発行しなければなりません。再発行の方法は、次の3つがあげられます。
・事前通知制度
・本人確認情報の提供制度
・公証人による本人確認制度
それぞれで再発行までの時間や費用発生の有無が異なるため、不動産会社と相談しながら、どの方法にするか決めるとよいでしょう。
- 共有名義のマンションは売却できるのか?
- 複数人での共有名義となっているマンションでも、名義者全員から合意が得られるなら売却は可能です。反対に名義者のうち、ひとりでも反対している人がいると売却はできないため注意しなければなりません。
共有名義で売却する場合は、名義者全員が売買契約書に署名と捺印をします。遠方で契約時に現地にこれない場合は、委任状によって対処することも可能です。
- 売却の方法は仲介以外にあるの?
- 不動産会社に売却する買取や、不動産会社を通さず売却する個人売買が主な売却方法です。買取は最短1週間程度で売れることもあり、個人では買い手がつかない不動産でも買い取ってもらえる可能性が高い点が魅力です。
反面売却価格は下がり、市場価格の70~80%程度になってしまうことが多いでしょう。個人売買は仲介手数料が発生しない分お得に売却できることもありますが、手続き面が複雑でトラブルになることも少なくありません。
リスクが高く、難しい方法であるため、仲介以外で売却を考えるなら基本的には不動産会社による買取を選んだほうがよいでしょう。
マンションを売却するなら早めの行動が大切
マンションの売却には数カ月単位で時間がかかり、売却活動が長期化することも少なくありません。そのため、売りたいなら早めに準備をすることが大切であり、念入りな事前対策が売却の成否をわけます。徹底した準備と早めの行動で万全の対策をし、好条件でマンションの売却を目指しましょう。