どう決める?後悔しない住宅ローンの選び方

どう決める?後悔しない住宅ローンの選び方

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

住宅ローンを調べていると、「後悔している」「結局借り換えることになった」など、マイナスなコメントが目に入り、ローン商品をどう選べばいいのか不安になっている方も多いでしょう。

住宅ローン選びは金利・返済方法・借り入れ条件・団信などのさまざまなポイントから比較検討する必要があるため、段階的に決めていくことが大切です。
そこで本記事では、住宅ローン選びのステップをお伝えし、金融機関を選ぶときの注意点も解説していきます。これから住宅ローンを利用する方はぜひ、参考にしてください。

住宅ローンを選ぶときの4つのステップ

住宅ローン選びは段階的に、次の4つのステップで進んでいきます。

金利タイプを決める
返済方法を決める
金融機関を決める
団信プランを決める

どのステップも重要なので、しっかりと目を通してください。

STEP1:金利タイプを決める

住宅ローンを選ぶときには、まずは金利タイプを決めます。

金利には、

  • 変動金利
  • 固定金利
  • 全期間固定金利

の3種類あり、選ぶ金利タイプによって月々の返済額と総返済額が大きく異なるため、それぞれの金利の特徴を知ったうえで選ぶことが大切です。

まずは3つの金利タイプの特徴を見ていきましょう。

変動金利

変動金利は文字通り、借入期間中に金利が変動する金利タイプです。3つの金利タイプの中で、最も低金利で利用できます。金利は短期プライムレートによって決まり、半年に1度金利が見直されるのが特徴です。

しかし変動金利には、5年間は返済額が変わらない「5年ルール」と、返済額が125%までしか上がらない「125%ルール」があります。ルールが適用される金融機関であれば、すぐに返済額が上がるわけではありません。

固定金利

固定金利は、一定期間のみ金利が固定される金利タイプです。固定期間は2年〜20年と、金融機関によって異なり、固定期間が長くなるほど金利が高くなります。

固定金利は借入当初は金利の優遇を受けられますが、固定期間の終了後には金利が高くなる場合もあります。同じ固定期間の固定金利を選んだとしても、金利が上がる可能性がある点に注意しましょう。

全期間固定金利

全期間固定金利は、住宅ローンの借り入れから完済まで金利が固定されている金利タイプです。返済期間35年で借り入れたのなら、完済するまで金利が変わることはありません。

全期間固定金利は金利の上昇リスクに備えられるメリットはありますが、3つの金利タイプの中で最も金利が高く、月々の返済額も大きくなってしまいます。

また、全期間固定金利を取り扱っている金融機関は少なく、選択肢が限られる点にも注意が必要です。

STEP2:返済方法を決める

金利タイプを決めたら、返済方法を決めましょう。
返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つの返済方法があり、金利タイプと同じように選ぶ方法によって返済額に差が出ます。

元利均等返済

元利均等返済は、月々の返済額が一定になる返済方法です。金利の変動を受けなければ、借り入れから完済までの返済額は変わりません。

元利均等返済のメリットは、元金均等返済と比べて借入当初の返済負担が少なく、資金計画を立てやすい点です。ただし元利均等返済は借入当初は利息の支払いが多いので、元金の減りが遅くなり、総返済額を見ると元金均等返済よりも返済額が大きくなります。

元金均等返済

元金均等返済は、返済額に占める元金の割合が一定になる返済方法です。元利均等返済と比べて元金の減りが早く、返済が進むに連れて、月々の返済額が少なくなっていきます。同じ金利・期間で借り入れる場合、元利均等返済よりも総返済額が少なくなる点がメリットです。

ただし元金均等返済は借入当初の返済額が最も高く、返済負担も大きくなってしまいます。数年後に子どもの教育費のピークを控えている方や、車の購入を検討している方などはマネープランも踏まえて検討しましょう。

STEP3:金融機関を決める

金利タイプと返済方法を決めたら、いよいよ契約する金融機関を決めていきます。金融機関には次のような選択肢があり、それぞれ特徴が異なります。

  • 都市銀行(メガバンク)
  • 地方銀行
  • 信用金庫
  • 住宅金融支援機構
  • ネット銀行

都市銀行、地方銀行、信用金庫、住宅金融支援機構は実店舗があり、住宅ローン窓口で相談や手続きができるので安心感があります。通帳を持っている金融機関であれば、新たに口座を開設する手間が省ける点もメリットと言えるでしょう。

一方でネット銀行は、住宅ローンの審査から手続きまで、すべて自宅で行います。遠方に住んでいたり平日に仕事が休めなかったり、実店舗へ足を運ぶのが難しい方でも利用しやすい点がメリットです。また、最近では実店舗を構えるネット銀行が増えており、近場に店舗があれば窓口での相談もできます。

適用金利や借り入れ条件は金融機関によって大きく異なるため、しっかりと比較検討して決めることが大切です。

STEP4:団信プランを決める

金融機関を決めたら、最後に団信プランを選びます。

団信は正式名称を「団体信用生命保険」といい、住宅ローンの契約者に万が一のことが起こった際に住宅ローンの残債が保障される、いわば生命保険のような保険です。

団信プランにはさまざまな種類があり、死亡と高度障害のみが保障される「一般団信」や、がんと診断された際に保障が受けられる「がん団信」、「疾病保障付き団信」などがあります。

保障内容や上乗せ金利の利率などは金融機関によって異なるため、金利や借り入れ条件に加えて、団信プランも比較してみてください。

住宅ローンで金融機関を選ぶときの注意点

住宅ローンで金融機関を決める際、あまりにも選択肢が多く、どの金融機関にすればいいのか悩んでしまうと思います。金利や借り入れ条件などが比較しやすい部分ですが、他にも目を向けたいポイントがいくつかあります。

金利の低さだけにとらわれない

住宅ローンの金利は返済額に直接影響するため、必ず確認しておきたい部分です。しかし金融機関を比較する際に金利の低さだけにとらわれると、金利上昇時に後悔してしまうこともあります。

たとえば前述したように、低金利の住宅ローンを提供している金融機関の中には、「5年ルール」「125%ルール」を適用外としている金融機関もあります。これらのルールが適用されないと、金利上昇時に金利見直しのタイミングですぐに返済額が増えてしまい、返済できない額になることも起こり得るのです。

さらに、金利を低くする分、事務手数料や繰り上げ返済手数料などの諸費用を高く設定している金融機関もあります。金融機関を選ぶときには金利だけにとらわれず、さまざまな部分から比較して、自分にとってメリットが多い金融機関を選びましょう。

フラット35が利用できる金融機関は限られる

全期間固定金利で代表的なのが「フラット35」です。

フラット35はもともと住宅金融支援機構が提供する住宅ローンでしたが、最近では都市銀行や地方銀行、ネット銀行での取り扱いも増えてきています。

とはいえ全体像で見るとまだ数は少ないので、フラット35の利用を検討する時点で金融機関はある程度絞られます。フラット35を選択するのなら、金利や団信プランの比較対象が減る点を納得したうえで利用しましょう。

フラット35

【フラット35】は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利の住宅ローンです。資金の受取時に返済終了までの借入金利と返済額が確定するため、長期にわたるライフプランが立てやすくなります。
引用:フラット35

団信プランは金融機関によって条件が異なる

先ほどもお伝えしたように、団信プランや保障内容、上乗せ金利などは金融機関によって異なります。同じような保障内容でも、金利上乗せがない金融機関もあれば、金利上乗せが0.1〜0.3%必要な金融機関もあります。

住宅ローンは金利が0.1%上がるだけでも返済額が大きく増えるので、「たった0.1〜0.3%」などと軽くみてはいけません。団信の保障内容や上乗せ金利の利率などから、どの団信プランが最も自分に適しているのかしっかりと比較検討する必要があります。

また、団信の審査は金融機関ではなく引受保険会社が行うため、保険会社によって審査の基準が若干異なる点も要注意です。同じような保障内容の団信でも、金融機関によって審査結果が異なる可能性があります。

諸費用を含めた総返済額で比較する

住宅ローンを借り入れるときには、事務手数料や保証料などの「諸費用」がかかります。
事務手数料には定率型や定額型があり、定率型は借入額に応じて決まり、定額型は借入額に関わらず事務手数料が一定です。

定率型の利率は「2.2%」に定めている金融機関がほとんどですが、中には1%前後の金融機関もあります。定額型の相場は、33,000円〜55,000円です。手数料だけで考えると定額型の方が負担が少ないように思えますが、定額型は定率型よりも金利が高く設定されています。

また、保証料も金融機関や保証会社の審査によって、支払金額や支払い方法が若干異なります。保証料は返済期間が35年の場合、融資額1,000万円に対しておおよそ20万円が相場なので、5,000万円を借り入れるのなら100万円もの保証料が必要です。

どんなに金利が低くても、諸費用によって総返済額で見ると変わらない、または負担が大きくなるケースもあります。住宅ローンを比較するときには、必ず諸費用も加味して比較検討しましょう。

住宅ローンの選び方で悩んだときに相談できる窓口

住宅ローンは長期にわたって返済していくものなので、簡単には決められないと考える方も多いはずです。最後に、住宅ローン選びで悩んだときに相談できる窓口を紹介します。

金融機関の住宅ローン窓口

金融機関をある程度絞っているのなら、金融機関の住宅ローン窓口で相談してみてみましょう。金利や借り入れ条件、団信プランはもちろん、借入可能額などの申し込みに関する具体的な相談もできます。

ファイナンシャルプランナー

お金の専門家であるファイナンシャルプランナーに相談すれば、第三者目線で住宅ローンのアドバイスをしてもらえます。住宅ローンを含めたマネープランの相談もできる点も、ファイナンシャルプランナーに相談するメリットです。ただし、ファイナンシャルプランナーへの相談は相談料がかかります。

住宅ローンのポータルサイト

数ある金融機関の中からある程度選択肢を絞りたいときや、金利や団信プランのみで金融機関を比較したいときにはポータルサイトの利用がおすすめです。
自宅からすぐに調べられて、無料で利用できます。ただし、ポータルサイトで利用できるのは簡易的なサービスなので、借り入れ条件などの詳細部分を加味した比較はできません。

不動産会社

不動産会社ならば、不動産の購入から住宅ローン全般を相談できます。ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーが在籍していれば、ローンや資金計画を無料で相談できる点がメリットです。申込期限がある場合は、スケジュール調整も含めて幅広くサポートしてもらえるでしょう。

住宅ローン選びでお悩みの方はSUMiTASにご相談を!

住宅ローンは、長期にわたって返済していくものです。
金融機関を比較するときにはついつい金利ばかりに目がいきがちですが、金利だけではなく、借り入れ条件や団信プラン、諸費用などのさまざまな部分から比較することが重要です。
しかし初めて住宅ローンを利用するのなら、比較すべき部分があまりにも多いので「どの金融機関がいいのかわからない」と、悩んでしまうでしょう。

SUMiTAS(スミタス)では、不動産購入はもちろん、住宅ローンの相談も承っております。住宅ローン選びでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

2005年から不動産賃貸仲介営業で不動産業のキャリアをスタート。
物件マニアで、『従事している期間毎日10件内見する』という裏目標を立て、6年間実施。札幌市内の賃貸物件約18,000件を内見した。
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