離婚の財産分与で住宅ローンが残っている場合

住宅ローンと離婚の財産分与について

監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

マイホームの住宅ローンが残っていますか?そんなときはSUMiTASにご相談ください
住宅ローンが残っているオーバーローンの状態でも、最適な財産分与と住宅ローンの対処法をご案内します。

離婚時の財産分与は、婚姻中に夫婦が協力して築いた夫婦共同の財産を、離婚のときに夫婦で分けて清算することです。住宅ローンなどの負債も、婚姻中に夫婦で築いたものであれば一般的には財産分与の対象となります。

家の住宅ローンが残っていても財産分与はできます

結論から言いますと、住宅ローンが残っていても財産分与は可能ですので、ご安心ください。一般的に住宅ローンは35年で組む方が多いので、ローンが残っている状態で財産分与の検討をされる方も少なくありません。しかし、住宅ローンの残債とマイホームの査定額によっては、対処の方法が異なってきますので、確認してみましょう。

住宅ローンの財産分与で確認すること

住宅ローンが残っている状態で離婚と財産分与を検討している方は、まずは下記の4つを確認してみましょう。その次は、信頼できる不動産業者に査定を依頼します。

住宅ローンで確認すること4つ

  1. 住宅の名義人
  2. 住宅ローンの契約名義人
  3. 住宅ローンの残額
  4. 住宅ローンの保証人

住宅ローンの内容は、借り入れをしている金融機関に直接問い合わせると確認できます。上記の内容がわかっていると、財産分与に必要な手続きが把握できます。場合によっては土地・建物の名義と住宅ローンの名義が異なるケースもあります。

たとえば不動産は夫婦の共有名義であったとしても、住宅ローンの名義人は夫の単独名義の場合もあります。このような場合は、財産分与の割合を決める際に影響することになります。

夫婦の名義人と住宅ローンの関係は、下記の4パターンのどれかにあてはまると思います。

名義人と住宅ローンの関係4パターン①1人で組んだ②ペアローン③連帯保証④連帯債務

住宅ローンを確認したら不動産の査定依頼

次は、住宅の査定を不動産業者に依頼します。不動産の価値は流動的であり、購入時の価格より上がることもあれば下がることもありますので、財産分与をするときは必ず不動産の時価を調べます

アンダーローンかオーバーローンか確認

不動産の現在の不動産価格がわかったら、アンダーローンかオーバーローンかを確認します。残っている住宅ローンと比べて、住宅の不動産価値が高いか低いかで、財産分与の方法や必要な手続きが異なります。

アンダーローンとオーバーローンの違い図解

アンダーローンの財産分与

アンダーローンとは、住宅ローンの残額と比べて住宅の不動産価値が高い場合です。アンダーローンの場合は、比較的スムーズに財産分与の話し合いが進みます。住宅を売却して住宅ローンを返済し、余った現金を財産分与の割合に合わせて夫婦で分けることで、財産分与は完了します

住宅を売らないで夫婦のどちらかが住み続ける場合は、必要に応じて名義変更をしましょう。名義変更が必要なケースは、下記の記事で確認できます。

オーバーローンの財産分与

オーバーローンとは、住宅ローンの残額と比べて住宅の不動産価値が低い場合です。不動産を売却したお金でローンを返済しても、まだ住宅ローンが残るということです。住宅ローンの不足分を自己資金で相殺できない場合は、任意売却をして離婚後も住宅ローンの支払いを続けていく必要があります。

たとえオーバーローンで住宅ローンが残ってしまう場合でも、それ以外の財産を加味することで夫婦全体の財産がプラスになる場合は、プラスになった分を夫婦で分与することになります。

財産分与の対象は住宅の他にもありますので確認しておきましょう。

離婚時に財産分与の対象となる財産 離婚時に財産分与の対象となる財産

また、夫婦で築いたすべての財産でマイナスの負債になった場合は、財産分与をしないケースが多く、借りた人(住宅ローンの名義人)が住宅ローンの支払を続けていくことが多いです

全ての財産を清算してもオーバーローンの場合

離婚時の財産分与で、夫婦で全ての財産を清算してもなお住宅ローンが残っている場合は検討することが少し増えます。マイホームを売却をするのが良いか、どちらかが住み続けるのが良いかは、不動産の状態、各地域ごとの不動産需要、住宅ローンの残債との関係によりますので、不動産業者にご相談ください。

お金も大切ですが、お互いが新生活に向けて気持ちよく進める方を優先して選びましょう。
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売却するケース

  1. 住宅ローンの不足分を自己資金で相殺する
    住宅を売却した費用と夫婦の貯蓄を足すことで、住宅ローンを完済します。
  2. 任意売却し、離婚後もローンの支払いを続ける
    任意売却とは、金融機関の同意を得て、ローンが残った状態で売却する方法です。通常は住宅ローンの不足分を自己資金で相殺できないと住宅は売却できませんが、任意売却なら住宅ローンの残債があっても売却が可能になります

夫婦のどちらかが住み続けるケース

  1. 住宅の名義人が住み続けて、住宅ローンの返済を続ける
    名義人がそのまま住み続ける場合は、住宅ローンの連帯保証人を確認します。もし住宅ローンの支払いが滞った場合には、保証人に支払い命令がいくためです。
    保証人が夫婦のもう一方になっている場合は変更手続きを行いましょう。連帯保証人を変更するには、住宅ローンの名義人が別の連帯保証人を見つけて金融機関へ相談し承諾を得ます。
  2. 住宅の名義人ではない方が住み続けて、名義の変更と住宅ローンの借り換えを行う
    名義人ではない方が住み続けることになった場合は、住宅・住宅ローン両方の名義の変更をおすすめします。将来的に売却する時や、住宅ローンの返済が滞る可能性を考えると「住んでいる人=名義人」に合わせておいた方がスムーズに進むためです。
家を売らないで住み続ける場合、家の住宅ローンが残っている場合の名義変更手続きについて図解

財産分与時の住宅ローン借り換え(名義変更)方法

不動産に住宅ローンが残っている場合は、名義変更するには金融機関の承諾が必要です。夫婦のもう一方がローンを借り換える。ということです。 金融機関は名義人の返済能力等をもとに融資(住宅ローンの契約)をしてますので、例えば夫から妻名義に変更する場合は、妻に返済能力があるか審査が入ります。

住宅ローンの借り換え手順

住宅ローンを借りる手続きをする

新しく借入をする候補の金融機関(銀行)へ、住宅ローンの相談をしましょう。通常は複数の銀行に審査を依頼します。各金融機関ごとに審査を行い、借り入れ可能か、可能な場合は住宅ローンの金利の%がわかります。
SUMiTASは住宅ローンのご相談やお手続きにも対応できますので、お気軽にご相談ください

新しく借りた住宅ローンで、以前の住宅ローンを返済する

新しく借りた住宅ローンで、これまでの住宅ローンを返済します。そして、新しい住宅ローンを借りた金融機関への返済がスタートします。

住宅ローンは、安定的な職業とそれなりの経済力があれば借り換えができます。専業主婦(夫)などで経済力に不安がある場合は、ご両親や親族に頼るのも1つの方法です。

もし承諾なしに住宅の名義を変更したことが金融機関に知られた場合は、契約違反として住宅ローンの一括返済を求められる可能性があります。トラブルにならないように、住宅ローン返済や不動産の名義に関しては不動産業者に相談しながら進めましょう

夫婦共同名義で住宅ローンを借りている場合

夫婦共同の住宅ローンを契約している場合はこちらをご確認ください。

住宅を売却して現金で財産分与する場合

住宅を売却して現金で財産分与する場合は、夫婦の共同名義で住宅ローンを契約していても、どちらかが連帯保証人になっていても特別な対応は必要ありません

離婚後にどちらかが住み続ける場合

離婚後にどちらかが住み続けるのであれば、住み続ける一方に名義を変更しましょう。住宅ローンの借り換えをすることで変更ができます。

離婚の財産分与にかかる住宅ローンの手数料

離婚時の財産分与では、住宅を売却して住宅ローンの繰上げ返済をしたり、借り換え(名義変更)を行う場合には、それぞれ手数料がかかりますので一例をご紹介します。

繰り上げ返済の手数料

  • 全額繰上返済手数料
    インターネット手続きなら無料の場合が多い。
  • 保証会社事務手数料
    事務手数料はかかりますが、保証料を一括前払いしていた場合には還付もあります。

新しい住宅ローンの借入手数料

  • 保証料
    住宅ローンの返済が出来なくなった時に備えて保証会社と保証契約を結ぶ費用です。
  • 事務手数料
    金融機関に支払う事務手数料です。各金融機関が自由に設定できます。
  • 印紙税
    国税です。住宅ローンの金額によって印紙税額も変わります。

自宅を売却して住宅ローンを完済する場合には「繰上げ返済の手数料」が必要です。また、住宅ローンの借り換え(名義変更)をする場合には、これまでの金融機関への「繰上げ返済の手数料」と、新しい住宅ローンの「借入手数料」が必要になります

手数料は金融機関によって異なりますが、銀行の窓口を利用するとかかる手数料もインターネットバンキングを利用したり、インターネット手続きなら無料になる場合が多いので賢く活用しましょう

借り換えでも住宅ローン控除(減税)は使える

住宅をローンを使って購入した夫婦は、住宅ローン控除の「住宅借入金等特別控除」が適用され、税金が軽減されている場合も多いと思います。

「住宅借入金等特別控除」は、離婚時の財産分与で住宅ローンの借り換え(名義変更)を行った場合でも居住要件などの要件を満たしていれば、継続して受けることができます。

財産分与をスムーズに進めるために

財産分与をする場合は、まず財産分与の対象となる財産の総額を正しく確定させることが大切です。その中でもマンションや一戸建てなどの不動産は価格が大きいため、総額に大きく影響します。不動産を所有している夫婦は、まず不動産の査定から進めると全体の金額を把握しやすいのでおすすめです。

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監修者
天池 篤哉
天池 篤哉(株式会社SUMiTAS 取締役)
  • 宅地建物取引士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士

2005年から不動産賃貸仲介営業で不動産業のキャリアをスタート。
物件マニアで、『従事している期間毎日10件内見する』という裏目標を立て、6年間実施。札幌市内の賃貸物件約18,000件を内見した。
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