空き家を再生して収入を得る!空き家再生ビジネスのメリットと注意点

空き家を再生して収入を得る!空き家再生ビジネスのメリットと注意点

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

年々増加傾向にある田舎や地方の空き家は、タダ同然で取り引きされていることも珍しくありません。中には相続や贈与で空き家を取得して、「維持と管理に困っている」という方もいらっしゃるでしょう。

そこで近年注目されているのが、空き家を活用した「空き家再生ビジネス」です。

吉田 宏
吉田 宏

本記事では空き家再生ビジネスの種類をはじめ、メリットやデメリット、相談窓口について説明します。

この記事の要約
  • 空き家再生ビジネスは修繕を通じて収入を得る方法である
  • 賃貸やカフェ、民泊など多様な再利用が可能である
  • 利益を確保するため、地域ニーズの調査が重要である

空き家の再生とは?建て替えとの違い

そもそも「空き家の再生」は具体的に何を指し、どんなことをするのでしょうか。
まずは空き家再生の定義と、建て替えとの違いを説明します。

空き家再生は空き家を修繕・改修すること

空き家を再生することを、文字通り「空き家再生」といいます。

住宅の主要構造部は残して劣化したり腐食したりした部分を交換し、再び利用できるように修繕・改修するのが空き家再生の特徴です。

建て替えとの違い

再生と建て替えの違いは、建物の解体規模です。

建て替えでは空き家を全て解体してしまいますが、再生では劣化または腐食した部分のみを解体し、状態の良い部分はできる限り再利用します。

解体費用を抑えられるのはもちろん、工期が短くなる点もメリットです。
打ち合わせや工事がスムーズに進めば、着工から数か月のうちにビジネスを始められるでしょう。

空き家再生ビジネスの選択肢

空き家再生ビジネスと近しいものに「空き家活用」がありますが、活用の目的は“空き家状態を解消すること”です。
一方で空き家再生ビジネスは“収入を得ること”が目的なので、事業として成り立つだけの利益を出さなくてはなりません。

そのため初期投資費用や利回り、需要、管理・運営方法などを交えて、さまざまな観点からビジネス方法を熟考する必要があります。

まずは空き家再生ビジネスにどのような選択肢があるのか、代表的な4つの方法とその特徴を見てみましょう。

賃貸物件にする

初心者でも取り組みやすい空き家再生ビジネスは、空き家を修繕・改修して人が住める状態にして行う賃貸事業です。

入居者がいる間は安定して収入が入ってくる点や、高い利回りを期待できる点がメリットで、委託会社に管理を依頼すれば手間をかけずに運営できます。

空き家を活用することで初期費用を抑えられれば、不動産投資で理想とされる3〜4%を超える利回りを期待できるでしょう。

しかし、賃貸事業が成功するかどうかには、立地が大きく影響します。

賃貸需要が少ない地域では、入居者が見つからず赤字経営になるリスクがあるため、賃貸需要の見極めや入居者のターゲティング、利益を出すための資金計画が重要です。

レンタルスペースにする

都市部から数十分~数時間程度の地域にある空き家ならば、レンタルスペースにして貸し出す方法もあります。

レンタルスペースには居住用設備が必要ないので、内装のリフォームやトイレの交換など、最低限の改修で済む点がメリットです。

レンタルスペースにはさまざまな種類がある

レンタルスペースと言っても、レンタルオフィス、コワーキングスペース、写真スタジオ、イベントスペースなど使い方はさまざまで、用途に応じて改修内容や必要な設備が異なります。

「オフィス街から1時間程度の場所にある」「都市部でコスプレイベントや展示会が開かれることが多い」など、地域にどのような需要があるのかをしっかりと見極めてから、用途を決めることが重要です。

カフェにする

SNSの影響で古民家カフェや自然界隈などが注目され、都市部から離れた場所にあるカフェの需要が高まっています

飲食店を経営してみたいと考えているのなら、カフェを経営できるように空き家を再生させる方法もあります。空き家を使えば月々のテナント料がかからず、都市部でカフェを経営するよりも大きく維持費を抑えられる点がメリットです。

集客に成功すれば、ビジネスとしてしっかりと利益を出すことができるでしょう。
ただし、カフェを経営するためには食品衛生責任者の資格が必須で、資格を持つ人材やアルバイトを雇うためには人件費もかかります。

他の方法と比べて維持費が高くリスクも多い方法なので、商工会議所やコンサルタントに相談するなどして、しっかりと事業計画を考えなくてはなりません。

民泊にする

空き家再生ビジネスとして近年注目されているのが、外国人旅行者をターゲットにした民泊の運営です。「住宅宿泊事業法(民泊新法)」で定められた設備や居住の要件さえ満たせば始められ、宿泊者を誘致できれば安定した収入を得られます。

古民家の風合いをそのまま活かせるので、設備の入れ替えや劣化した部分の改修など、最小限のリノベーションで済む点もメリットです。

海外旅行者から人気の観光地が近いのなら、民泊を検討すると良いでしょう。民泊のメリットや注意点、法律などについて詳しくまとめた記事がありますので、ぜひこちらも参考にしてください。

「民泊」の関連記事
  • 空き家を民泊にするメリットと注意点、知っておくべき法律について

空き家再生ビジネスのメリットと注意点

初期費用を抑えられる空き家再生ビジネスは、不動産会社や工務店、リノベーション会社だけではなく、個人投資家も参入しています。

しかし、メリットもあれば注意点もあるため、個人で行う場合はとくにリスク面を把握しておかなくてはなりません。そこでこの章では、空き家再生ビジネスのメリットと注意点を説明します。

空き家再生ビジネスのメリット

空き家再生ビジネスには、次のようなメリットがあります。

空き家再生ビジネスのメリット
空き家再生ビジネスのメリット
  • 初期費用を抑えて活用を始められる
  • 補助金を利用できる可能性がある
  • 特定空き家に指定される心配がなくなる

ビジネスとして始めるときの大きなメリットは、やはり費用を抑えられる点です。
初期費用を抑えられれば事業開始と継続のハードルが下がるだけではなく、少ない売上でもそれなりの収入を得ることができます。また、自治体が支援する空き家活用の補助金や助成金を利用できれば、さらに参入障壁は下がるでしょう。

空き家でビジネスをすれば「特定空き家」に指定される心配もなくなります。
経営に費用や手間はかかりますが、すでに空き家を所有している方にとって、空き家再生ビジネスはさまざまなメリットを得られる所有方法と言えるでしょう。

空き家再生ビジネスの注意点

事業として成功すれば、安定した収入を得られる点が空き家再生ビジネスのメリットですが、一方で次のような注意点もあります。

  • 経営に手間と時間がかかる
  • ニーズ調査が難しい

経営を全て自分1人で行う場合は、手間と時間がかかります。利益が出ていれば管理会社に任せられますが、委託できるほどの利益がなければ自分で行わなくてはなりません。

そして利益を出すためには「早くビジネスを始めよう」と思うかもしれませんが、ただ漠然と空き家を再生しても、集客できず赤字経営になれば、経営を続けられなくなってしまいます。

初期投資の少ない空き家といえど、経営を成り立たせるためには一定の利益を出す必要があり、利益を出すためにはニーズ調査が重要です。

しかし、個人で行う調査や事業計画には限界があるため、費用はかかったとしてもコンサルタントや商工会議所などで専門家に相談することをおすすめします。

空き家再生ビジネスを相談できる窓口

前章では空き家再生ビジネスの相談先として、コンサルタントと商工会議所を挙げましたが、他にも相談できる窓口がいくつかあります。

それが次の3つの窓口です。

  • 不動産会社
  • 自治体の窓口
  • 管理会社

空き家再生ビジネス以外にも、仲介売却や買取を考えているのであれば、まずは不動産会社への相談をおすすめします。地域や需要、過去の傾向から、どの方法が最適なのかをアドバイスしてもらえるでしょう。

また、空き家対策に力を入れている自治体ならば、活用に際して相談員が配置されていることもあります。活用の相談とあわせて補助金の相談もできる点がメリットです。

そしてビジネスをすぐにでも始めたい方は、管理会社に相談する方法もあります。具体的な委託内容や費用などがわかるので、事業計画にも役立つでしょう。

空き家再生ビジネスは活用方法がキモ!まずはニーズ調査を

空き家再生ビジネスでは経営を成り立たせるために、利益を出すことがとても重要です。初期投資を抑えられ、流動性が高いとはいえ「とりあえず」ではなく、さまざまな観点からニーズ調査をしなくてはなりません。

賃貸需要や地域性などは自分で調べることもできますが、売上予測や事業計画を立てるのは素人では限界があります。

空き家再生ビジネスに興味がある方は、本記事で挙げた

  • コンサルタント
  • 商工会議所
  • 不動産会社
  • 自治体の窓口
  • 管理会社

などに相談してみてください。

SUMiTAS(スミタス)では空き家再生ビジネスの相談はもちろん、売却の相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

愛媛大学在学中に愛媛県で株式会社アート不動産を創業する。現在アート不動産では、アパマンショップ(賃貸)を5店舗、SUMiTAS(売買)を2店舗・管理センターを1店舗、売買店舗を2店舗運営。吉田 宏の詳細プロフィールはこちら