土地を売る前の確定測量。費用相場・期間と、境界立会い・越境でつまずかない進め方

土地を売る前の確定測量。費用相場・期間と、境界立会い・越境でつまずかない進め方

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

土地や戸建てを売るとき、避けて通れないことが多いのが「確定測量」です。隣地との境界をすべて確定させ、正確な面積を出す測量のことで、買主やその金融機関から求められるのが一般的です。

費用の相場は、この後の図のとおり整理できます。ただ、売却の現場から先にお伝えしたいのは、確定測量で本当に怖いのは費用ではなく「時間」だということです。境界の立会いがスムーズに進まないと測量は数か月単位で延び、売買契約後であれば決済(引き渡し)の期日を直撃します。

この記事では、費用と期間の相場を最初に示したうえで、つまずきやすい3つのポイント、境界立会いの進め方・越境が見つかったときの対処・手元の図面で足りるかの見分け方を、測量の実務から解説します。

この記事の結論
  • 費用の目安は、隣地との境界のみ(民民)で30〜60万円、道路など官有地との査定を含むと50〜80万円
  • 期間は民民のみで1.5〜3か月、官民ありで半年が目安。だから動き出しは「売ると決めたら最初に」
  • 立会い・越境・古い図面。この3つのつまずきは、事前に知っていればほぼ回避できます

費用と期間の相場を先に。条件で決まる

確定測量の費用と期間の比較図。現況測量10〜20万円、民民のみ30〜60万円で1.5〜3か月、官民査定あり50〜80万円で4〜6か月

確定測量の費用を左右する最大の条件は、道路や水路など官有地に接している境界の確定(官民査定)が必要かどうかです。官民査定は役所との協議・立会いが入るため、費用も期間も大きく増えます。

  • 現況測量(境界を確定させず現状を測るだけ): 10〜20万円。売却では参考資料にはなりますが、境界の証明にはなりません
  • 確定測量・民民のみ(隣接するのが民有地だけ): 30〜60万円が目安。期間は1.5〜3か月
  • 確定測量・官民査定あり: 50〜80万円が目安。期間は4〜6か月。隣接地が多い、土地が広い、形状が複雑といった条件では100万円を超えることもあります

このほか、境界標の設置費用や、面積が登記と大きく異なる場合の地積更正登記の費用が加わることがあります。正確な金額は土地家屋調査士の見積もりで確認してください(境界確定測量と、表示に関する登記の申請は土地家屋調査士の業務(独占業務)です。当社の監修者は測量士補として測量の中身を解説していますが、実際の手続きは調査士に依頼する形になります)。

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一番のリスクは「決済に間に合わない」こと

売却の流れと確定測量の期間を重ねた図。媒介契約と同時に着手すれば成約までに完了、売買契約後の着手では決済期日に間に合わないと対比

売買契約書には多くの場合、「売主は引き渡しまでに確定測量図を交付する」という趣旨の条項が入ります。つまり売買契約の後に測量を始めると、立会いが1件遅れただけで決済期日に間に合わないリスクを抱えることになります。期日の延期は買主のローン実行や住み替え計画に影響し、最悪の場合は違約の問題に発展します。

だから順番はこうです。売ると決めた時点で、境界の状態を確認する。査定のときに不動産会社へ「境界標はあるか」「測量図は手元にあるか」を伝え、確定測量が必要なら媒介契約と並行して着手する。売り出しから成約までは平均約3か月かかる(レインズ=不動産流通機構の成約データにもとづく目安)ので、売り出しと同時に測量を走らせれば、民民のみならおおむね成約までに間に合う計算になります。官民査定が必要な土地は、さらに前倒しが必要です。

確定測量をするか、公簿売買にするか

確定測量をせずに、登記簿上の面積のまま売買する「公簿売買」という方法もあります。買主の合意が前提で、実測との面積差があっても精算しない条件になるのが一般的です。どちらにするかは、次の4点で判断します。

  • 公簿面積の信頼性: 根拠となる地積測量図が法務局に備え付けられている場合や、行政の地籍調査が済んでいる場合で、その図面と現地の境界標で境界を示せるなら、改めて確定測量を行う必要性は低くなります(ただし古い地積測量図は現在の基準を満たさないことが多く、境界標が失われていることもあります。後述の「手元の図面で足りるか」を参照)
  • 土地の資産価値と費用対効果: 坪単価の高い土地では、数十万円の測量費をかけて面積と境界を確定させる価値が十分にあります。逆に坪単価が数千円から数万円程度の土地では、取引価格に対して測量費の負担が大きくなるため、公簿売買を選ぶのが合理的なケースもあります
  • 境界トラブルの防止: 坪単価にかかわらず、隣地との境界が不明確な場合は注意が必要です。隣地所有者の立会いのもとで境界を確認し、境界標を設置しておくことが、売買後のトラブル防止につながります
  • 買主の建築計画: 買主が新築や増築を計画している場合、敷地の境界と面積が正確に分かっていることで、設計や建築確認申請をスムーズに進められます

都市部の宅地では、これらを踏まえて確定測量を求められるのが基本と考えてください。

境界立会いの実務。切り出すのは調査士、売主は「ひと言」だけ

確定測量には、隣地所有者に現地で境界を確認してもらう「立会い」が必要です。ここで心配になるのが「隣人にどう切り出せばいいのか」ですが、実務はシンプルです。

日程調整や説明は、依頼を受けた土地家屋調査士が行います。挨拶文を添えて訪問し、立会いをお願いするのは調査士の通常業務で、売主が自分で交渉する必要はありません。

そのうえで、売主にできる最も効果的なことが1つあります。調査士が動く前に、隣人へひと言伝えておくことです。「土地を売ることになったので、土地家屋調査士さんが境界の確認にうかがいます。お手数をおかけしますが、よろしくお願いします」。この一言があるかないかで、立会いの進み方は大きく変わります。境界の確認は隣人にとっても自分の土地の権利の確認であり、本来は双方にメリットのある手続きです。

それでも協力を得られない場合や、境界の主張が食い違う場合には、法務局の筆界特定制度(裁判より簡易に筆界を特定する制度)や、土地家屋調査士会のADR(裁判外紛争解決)といった手段があります。時間はかかるため、もめる可能性を感じた時点で早めに調査士・不動産会社へ共有してください。

越境が見つかったら。「覚書」で売れる状態にする

測量をすると、隣家の塀がわずかに敷地に入っていた、庭木の枝が越えていた、屋根の一部が境界線を越えて張り出していた、といった越境が見つかることがあります。ここで慌てて撤去交渉を始める必要はありません。売買の実務では、覚書を交わして売れる状態にするのが定番の解決策です。

覚書の内容は概ね次の3点です。

  1. 越境の事実を双方が確認する(現状の確認)
  2. 将来、建て替えや工事の際に越境を解消する(撤去の合意)
  3. この合意を、土地を買った人(買主)にも引き継ぐ(承継の合意)

つまり「今すぐ撤去」ではなく「事実を書面にして、解消の時期を将来に約束する」形です。買主と金融機関は、越境そのものより「越境が未整理であること」を嫌います。覚書があれば、多くのケースでそのまま売却できます。覚書の作成も、測量の過程で調査士や不動産会社がサポートするのが通常です。

手元の図面で足りるか。測量図は3種類ある

「親から相続した土地に、古い図面があった。これで測量は省けるのか」。よくあるご相談ですが、図面には種類があり、どれかによって答えが変わります。

手元の測量図3種類の見分けフロー。確定測量図+境界確認書はそのまま使える可能性が高く、現況測量図は確定測量が必要、地積測量図は作成年代次第
  • 確定測量図: すべての境界を隣地・官有地と確定させた図面。境界確認書(隣地所有者の署名捺印)とセットで残っていれば、売却にそのまま使える可能性が高い図面です
  • 現況測量図: 境界を確定させず現状を測った図面。参考にはなりますが、境界の証明にはならないため、確定測量の代わりにはなりません
  • 地積測量図: 法務局に備え付けられている図面(誰でも取得可能)。ただし作成年代によって精度が大きく異なり、古いもの(特に昭和期)は現在の基準を満たさないことが多いため、あっても確定測量が必要になるケースが少なくありません

見分け方の第一歩は、図面の表題と作成者、そして境界確認書(隣地所有者の署名押印)の有無です。判断に迷ったら、査定時に図面一式を不動産会社に見せてください。測量が必要かどうかの見立てから、調査士の手配までまとめて進められます。

確定測量でよくある質問

費用は誰が払うのですか?いつ払うのですか?

売主負担が通例です(買主に安心して買ってもらうための費用という位置づけ)。支払時期は依頼先との契約によりますが、着手時と完了時に分けるケースが一般的です。売却代金から精算できるかも含め、資金繰りは早めに不動産会社へ相談してください。

測量しないで売ることはできますか?

買主が合意すれば、登記簿の面積のまま売る「公簿売買」が可能です。ただし都市部の宅地では買主・金融機関から確定測量を求められるのが一般的で、「測量なしでよい」条件は価格交渉の材料にもなり得ます。省けるかどうかは物件と買主次第、と考えてください。

隣人が立会いを拒否したら、売却はできなくなりますか?

すぐに不可能にはなりません。筆界特定制度などの解決手段があるほか、確定できない境界が一部に残る状態でも、条件を開示して売却する方法を検討できる場合があります。ただし時間と価格に影響するのは避けられないため、拒否の兆候が出た時点で早めに調査士と不動産会社に相談することが重要です。

越境があると売れませんか?

覚書で整理できれば、多くのケースで売却できます(本文のとおり)。問題は越境の存在ではなく、未整理のまま契約に進むことです。測量で見つかった時点で覚書の準備を始めれば、売却スケジュールへの影響は最小限にできます。

まとめ: 「いくらか」と同時に「いつ始めるか」

確定測量の費用は、条件が分かればおおむね読めます。読みにくいのは時間です。立会い・越境・古い図面という3つのつまずきは、どれも早く着手していれば吸収できる問題であり、決済直前に発覚すると深刻になる問題です。

売ると決めたら、査定と同時に境界の状態を伝えてください。SUMiTASの10秒査定は匿名・電話なしで概算価格を確認できます。測量の要否の見立て込みで売却を組み立てる入口としてお使いください。

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費用・期間は一般的な目安であり、土地の条件・地域・依頼先により変動します。境界確定測量および登記の手続きは土地家屋調査士の業務です(2026年8月時点)。

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

愛媛大学在学中に愛媛県で株式会社アート不動産を創業する。現在アート不動産では、アパマンショップ(賃貸)を5店舗、SUMiTAS(売買)を2店舗・管理センターを1店舗、売買店舗を2店舗運営。吉田 宏の詳細プロフィールはこちら