相続や贈与で引き継いだ空き家が、「手放したいけど売れない」「誰も引き取ってくれない」という状況になることは、珍しくありません。
空き家は所有しているだけで維持・管理費がかかるため、活用も難しいのであれば、一刻も早く処分したいと思うでしょう。
空き家を処分する方法は、売却だけではありません。本記事では、空き家が売れない理由と手放したいときの対処法を説明します。空き家の処分でお困りの方はぜひ、参考にしてください。
- 売れない空き家の特徴:老朽化や不便な立地、市街化調整区域が要因で買い手が見つからない
- 手放す方法の選択肢:隣人への譲渡や寄付、空き家バンク、リノベーション、自分で住むなどがある
- 放置のリスク:倒壊や犯罪利用の危険があり、管理や相談が必須である
目次
売れない空き家の特徴
空き家といっても不動産は資産のはずなのに、なぜ買い手が見つからないのでしょうか。
まずは売れない空き家の特徴を説明します。
- 家屋が激しく老朽化している
- 地方や田舎などの不便な場所にある
- 市街化調整区域にあり再建築できない
家屋が激しく老朽化している
地方移住や空き家活用などが注目されるようになり、一時よりは空き家需要が高くなりました。
しかし、空き家を探している人の多くは「暮らしや活用にかかる初期費用を抑えたい」という気持ちがあるため、修繕費が高くなりそうな物件は避ける傾向があります。
そのため、あまりにも劣化している空き家の売却は、難しいのが現実です。
また、外観や内装の状態が良くとも、家が傾いていたりして耐震補強が必要になると、買い手はなかなか見つかりません。
地方や田舎などの不便な場所にある
リモートワークや働き方の多様化によって場所を選ばない働き方をできる人が増えたといっても、その数はまだまだ多くはありません。
移住を検討している人の多くは移住先での転職や開業を考えているため、仕事がない地方や田舎の空き家は、候補から外れてしまう場合がほとんどです。
また、暮らし自体がままならない地域や、将来的になくなる可能性があるような限界集落や危機的集落に該当する場合は、さらに買い手が見つかりづらくなるでしょう。
逆に今は過疎化が目立っていても、自治体を挙げて地域おこしや活性化などが積極的に行われているのであれば、買い手が見つかる希望があります。
空き家のある地域がどのような状態なのか、これからどうなっていくのかも、調べてみてください。
市街化調整区域にあり、再建築できない可能性がある<
土地は都市計画区域によって区域が決められており、市街化調整区域では農地や緑地の保全が優先されるため、原則として新たに建物を建築することはできません。
すでに建物が経っている場合は、建築確認申請が不要な改修・修繕ならば可能で、開発の許可が取得できれば建て替えることもできます。
とはいえ、再建築ができない可能性は買い手にとってデメリットになり得るため、一般的な空き家よりも買い手は見つかりづらくなるでしょう。
空き家が売れないときの対処法
仲介売却が難しければ、不動産会社や買取専門業者に買い取ってもらえるケースもありますが、買い取るメリットがない空き家は断られる場合がほとんどです。その場合は、仲介売却以外の方法を考えなくてはなりません。
ここでは、仲介や買取での売却が難しいときの対処法を5つ説明します。
- 隣人に買い取ってもらう
- 空き家バンクで買い手・貰い手を探す
- 公益法人や自治体に寄付する
- リノベーションして自分が住む
- 更地にして相続土地国庫帰属制度で手放す
隣人に買い取ってもらうか、引き取ってもらう
田舎や地方で空き家の買い手が見つからないときには、隣地の人に買い取ってもらえないか、声をかけてみましょう。
昔のことわざに「隣の家(土地)は借金してでも買え」とあるように、隣家を買い取ることには所有地の間口や接道を広げられるなどのメリットがあるため、声をかければ買い取ってもらえる可能性があります。
ただし、仲介で買い手が見つからないような空き家ならば、売却価格を市場価格の半値以下に下げたり更地にして渡したり、隣人への負担が少なくなるように配慮が必要です。空き家の解体費用の相場は3〜5万円/坪と決して安くはありませんが、自治体によっては一部が補助される場合があります。
諸費用の負担を抑えるためにも、事前に補助金について確認しておくと良いでしょう。
それでも売却が難しい場合は、譲渡する形であれば引き取ってもらえるかもしれません。すぐにでも空き家を処分したいのならば、買取の相談ではなく、初めから譲渡の方向性で話を進めることをおすすめします。
空き家バンクで買い手・貰い手を探す
地域おこしや活性化などが積極的に行われていたり、手厚い子育て支援があったりする地域の空き家なら、空き家バンクに登録することで地方移住者や週末移住者の目に留まる可能性があります。
空き家バンクには不動産のポータルサイトには掲載されていないような、安価な物件や譲渡物件が多いので、「いい物件があれば買いたい」と、定期的に物件チェックをする人がいるからです。
比較的状態が良い空き家や無償譲渡(0円物件)ならば、そういった方たちから買い手・貰い手が見つかる可能性があります。
価格を下げれば売却でも買い手が見つかるかもしれませんが、「一刻も早く空き家を手放したい」と考える方は、無償にしたほうが貰い手が見つかりやすくなるでしょう。
公益法人や自治体に寄付する
市町村役場や集会所付近、防災倉庫置場、小学校などの公益法人または自治体が所有する施設の近くにある空き家は、寄付を申し出れば引き取ってもらえる可能性があります。
売却金は入ってこないものの、売却・譲渡活動が不要なためスムーズに空き家を手放せる点がメリットです。
ただし寄贈時には家屋を解体して更地にする必要があるため、解体費用がかかります。
また、引き取るメリットがなければ寄付を申し出ても断られるので、再現性は高くありません。気になる方は、自治体の窓口で相談してみると良いでしょう。
リノベーションして自分が住む
買い手も貰い手も見つからない空き家は、リノベーションして自分が住むのが最も確実に空き家を解消できる方法です。
家屋の取得費用がかからず、修繕・改修費用のみでマイホームが手に入ります。
費用相場は内装のリノベーションと設備の交換ならば500~1,000万円前後、基礎部分までしっかりと修繕・改修して耐震性を高めても1,500~2,000万円ほどです。
居住を目的とした工事なら、空き家を対象にした補助金や国が支給するリフォーム補助金などが利用でき、さらに費用を抑えられるでしょう。
更地にして相続土地国庫帰属制度で手放す
「お金がかかっても空き家を手放したい」という方は、家屋を解体して相続土地国庫帰属制度を利用する方法があります。
相続土地国庫帰属制度は、10年分の管理費を支払うことで土地を国に帰属させる制度です。この制度を利用すれば、土地の帰属後は固定資産税や管理費が一切かからなくなり、管理義務もなくなります。
ただし、どのような土地でも引き取ってもらえるわけではなく、状態や条件によっては制度を利用することはできません。
相続土地国庫帰属制度の概要や要件を説明した記事がありますので、ぜひこちらも参考にしてください。
売れないからといって空き家の放置はNG
売れない、貰い手も見つからないような空き家でも、放置はおすすめしません。
自然災害による倒壊や破損、放火による火災、犯罪組織の温床になるなど、さまざまなリスクがあるからです。
実際に、放置された空き家が倒壊して隣家の塀と車を破損し、修理代などで数百万円を請求された事例もあります。物の破損だけではなく人命にかかわるような事故になれば、数千、数億の損害賠償になるでしょう。
また、倒壊の危険性がある空き家は「特定空き家」に指定され、固定資産税の軽減を受けられなくなります。対処に困っていても、管理は怠らないようにしてください。
売れない空き家も手放せる!放置せず不動産会社に相談を
数十年前までは資産とされていた不動産も、少子高齢化が進む今では“負動産”と呼ばれることが増えました。空き家は所有し続ける限り管理や維持に費用がかかるので、できるだけ早く対処法を考えることをおすすめします。
隣人への声かけや空き家バンクの利用、寄付、自分での居住、制度の利用など、記事内でいくつか方法を挙げましたが、どの方法が適しているのかは空き家によって異なります。
空き家を手放したいと思ったときにはまず、不動産会社に相談すると良いでしょう。
SUMiTAS(スミタス)は空き家の売却はもちろん、活用や制度の利用など、空き家の状態や条件とお客様の希望に合わせた方法を提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。