相続人がいれば、今住んでいる家は自分たちが亡くなったあとに配偶者または子孫へと引き継がれます。
一方で相続人がいない場合や、子孫が遠くに住んでいるなどで相続放棄の可能性があるときには、「自分たちが亡くなったあと、この家はどうなるのだろう」と、ふと心配になることもあるでしょう。
相続人がいない空き家は最終的に国が引き取ってくれますが、相続人の有無でそれまでの手続きが異なります。
そこで本記事では、相続人がいない空き家の扱いや対処法を説明します。家の相続がどうなるのかと心配になっている方は、参考にしてください。
- 相続人がいない空き家は最終的に国が引き取る
- 生前に売却や解体、リバースモーゲージでの対処が可能
- 早めに専門家へ相談し適切な方法を選ぶのが推奨される
目次
相続人がいない空き家のケースは3つ!
そもそも、どのようなときに相続人がいない状態になるのでしょうか。ここでは、相続人がいない空き家になる場面を3パターン説明します。
ケース1:相続人が1人もいない
まず考えられるのが、配偶者や子、兄弟などの法定相続人が1人もいないケースです。元々いない場合もあれば、自分よりも先に亡くなってしまったという場合もあります。
「法定相続人はいないが、事実婚の相手ならいる」というケースもあるかもしれませんが、事実婚は法律上の婚姻関係がないため、遺言書を残さなければパートナーに相続の権利はありません。
ケース2:相続人が全員相続放棄した
相続人はいるものの、全員が相続放棄をするケースが増えています。
たとえば売却や管理が難しい田舎の家だったり、プラスよりもマイナスの財産が多かったりする場合には、相続放棄によって相続人がいなくなることも珍しくありません。
ただし、相続人がいるときには相続放棄したら終わりではなく、さまざまな手続きが必要です。相続放棄後の手続きについては、次章で詳しく説明します。
ケース3:相続人と連絡がつかない
稀なケースではありますが、相続人全員と連絡がつかない、または行方不明で相続が進まないこともあります。
その場合は相続人を“相続予定の行方不明者”として扱い、家庭裁判者が選任した不在者財産管理人が相続人に代わって財産を管理します。もし他に連絡がつく相続人がいれば、不在者財産管理人を置いて遺産分割協議を進められますが、1人しか相続人がいなければ相続の手続きは進みません。
相続人がいない空き家の扱い
相続人がいない空き家は、最終的には国に帰属します。しかし、相続人がいなくなった経緯によって、それまでの手続きが異なります。
最終的に国に帰属する
民法第959条(2024年7月時点)では「処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する」と規定されているため、相続人がいない空き家は最終的に国が引き取ります。
相続人がおらず遺言書もなければ、不動産に限らず預貯金や車、有価証券などの財産も、なければ全て帰属対象です。
相続人がいる場合は一定期間は管理義務が残る
最終的に国に帰属する結果は同じでも、相続人がいるときには“相続放棄をしたら終わり”とはいかず、手続きや一定期間の管理義務が発生します。
管理義務が残るのは、家庭裁判所への申立後、相続財産清算人が選任されるまでの期間です。たとえ法定相続人全員が相続放棄をしても、一定期間は空き家(財産)の管理義務が残り、その間に起きたトラブルの責任も負わなくてはなりません。
相続人がいない空き家の対処法
相続人がいない空き家は、最終的に国に帰属されることがわかりました。
相続放棄の場合も、相続財産清算人が選任されれば管理義務はなくなるとはいえ、相続人に手続きの手間をかけさせてしまいます。もし生前から空き家を相続する意思がないとわかっているのなら、自分たちの代で手放しておくのもひとつの手段です。
そこでこの章では、相続人がいない空き家の対処法を3つ説明します。
- 自分たちの代で売却または解体する
- リバースモーゲージを利用する
- リースバックを利用する
自分たちの代で売却または解体する
自分たちの代で家を売却または解体しておくのが、相続人がいない家の空き家対策として最も安心かつ確実な方法です。
資産である家を売るのには抵抗があるかもしれませんが、最近では退職後に家を売り、利便性を求めて都市部へと移住するシニア層も増えています。
また、「相続人はいるものの現時点では相続予定がない」という場合も、更地にしておけば管理の手間があまりかからず、手放したいときには相続土地国庫帰属制度を利用するなど、選択肢も広がるでしょう。
家屋を解体して更地にすると、固定資産税の軽減が受けられなくなり、納税額が今の6倍になる恐れがあります。
さらに、土地を維持し続けると売却金も入ってこないので、老後資金が心配な方は、他の方法を検討したほうが良いでしょう。
リバースモーゲージを利用する
自宅を担保にして毎月の生活費を借り入れる貸付制度を「リバースモーゲージ」といいます。
生存中は利息のみを返済し、自分(借入人)が死亡したときに担保となっていた自宅を処分(売却)することで、借入金を返済する仕組みです。
配偶者がいる場合は夫婦で債務者となる「連帯債務」で契約しておけば、どちらか一方が亡くなったあとも、もう一方が債務を引き継いで家に住み続けることができます。
この制度を利用すれば、家が空き家になる心配がなくなり、老後資金も用意できる点がメリットです。自宅を売却して借入金を完済するので、相続人に残債務が引き継がれる心配もありません。ただし、リバースモーゲージは高齢者専用の貸付制度のため、年齢は老後資金が必要となる55歳以上に設定されている金融機関がほとんどです。
年齢によってはすぐに利用できず、借り入れによって利息が発生するなどのデメリットも踏まえたうえで検討しましょう。
リースバックを利用する
「リースバック」は、リースバック業者に自宅を売却したあとに、家賃を支払う形で住み続ける方法です。
売却金を受け取ったあとにも家に住み続けられることから、住宅ローンの返済が厳しい方やまとまった資金が必要な方だけではなく、老後資金を用意する目的で利用するシニア層も増えています。
自宅の売却後は賃貸契約を結んで家に住み続けるため、自分が亡きあとに空き家になる心配がなく、まとまった資金が入る点がメリットです。家賃さえ払えば家に住み続けられるので、リバースモーゲージのように配偶者の住まいを考慮して、連帯債務を負う必要もありません。
しかしデメリットもあり、売却価格は市場相場の60〜80%ほどで、家賃は買取価格と利回りで決まるため、周辺相場と比べて高くなる場合がほとんどです。その他にも賃貸契約を結ぶがゆえに、いくつか注意点もあります。
リースバックのメリットや注意点、家賃の決まり方などを説明した記事がありますので、ぜひこちらも参考にしてください。
相続人がいない空き家について相談できる窓口
相続人がいない空き家がどうなるのか、生前にどのような対処法があるのかを説明しましたが、どの方法が適しているのかはご自身の状況や家の条件によって異なります。
元気なうちから窓口に相談しておけば、いざ終活を始めようと思ったときの行動がスムーズです。空き家について相談できるのは、主に次のような窓口です。
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
- 市役所
- 不動産会社
相続人はいないものの空き家や財産を譲りたい人がいるのならば、弁護士や司法書士、税理士などの士業に相談して遺言を作成する方法があります。
手続きはもちろん、税金面のアドバイスなども受けられるでしょう。ただし、士業への相談は費用がかかるため、検討段階ならばハードルが高いと感じるかもしれません。
家をどうすればいいのか気軽に相談したいのなら、不動産会社への相談がおすすめです。不動産の専門家目線で、どの方法が適しているのかをアドバイスしてもらえるだけではなく、実際に行動に移す際には賃貸物件も紹介してもらえるでしょう。
不動産会社への相談は、無料でできる場合がほとんどです。
相続人がいない空き家は生前に処分する方法も!子孫に迷惑をかけない選択を
自分の亡きあとに家がどうなるのか心配ではあるものの、「まだまだ元気だから」と行動に移す方は多くありません。しかし、終活は健康なうちから進めるのが理想です。
還暦や退職などの節目に、家の処分や扱いなどを考えてみてください。
SUMiTAS(スミタス)は相続についての相談を、老後の資金計画なども交えながらアドバイスいたします。自分が亡きあとに家がどうなるのか心配な方は、まずはお気軽にご相談ください。