自宅の一戸建てが築30年に近づき、住宅ローンの完済が見えてきた。住み替えを考え始めたものの、「築30年の家に値段が付くのか」が分からず動けない。この記事はそんな方に向けて、実際の取引データと住み替えの段取りをまとめました。
まず結論です。築30年の一戸建ての売却相場は、全国の実取引の中央値で1,300万円(築30〜34年)。首都圏(1都3県)では1,700万円です。
| 築年帯 | 全国の中央値 | 首都圏(1都3県)の中央値 |
|---|---|---|
| 築25〜29年 | 1,600万円 | 2,500万円 |
| 築30〜34年 | 1,300万円 | 1,700万円 |
※国土交通省「不動産取引価格情報」の2024〜2025年に取引された一戸建て(全国146,358件。築0〜4年帯には新築の取引を含みます)を当社で集計した中央値です。土地の広さ・立地・建物の状態で個別差が大きく、土地相場の高いエリアほど総額は上振れします。
なお、相続した実家の売却を考えている方は、事情がかなり変わります(名義・空き家期間・遺産分割)。その場合は築40年の記事をご覧ください。
また、築年数ごとの相場の一覧や、耐用年数の考え方・相場の自分での調べ方・売却方法の選び方といった共通の基礎は、築年数別ガイドのまとめ記事に整理しています。
- 築30年の一戸建ては現に売れている。全国中央値1,300万円・首都圏1,700万円という実取引の裏付けがある
- 築30年前後は築年帯ごとの落差が最も大きい帯。先送りの影響が出やすい時期
- 住み替えはローン残債の確認から始める。売り先行か買い先行かは、資金の確実さと住まいの優先度で決める
目次
築30年前後の相場実勢。実際の取引データで見る
国が公表している「不動産取引価格情報」には、実際に成約した価格が物件ごとに記録されています。2024〜2025年に取引された一戸建てを築年数別に集計すると、価格カーブは次のようになりました。

築20〜24年から築35〜39年までの中央値を並べると、全国で2,100万円→1,600万円→1,300万円→1,100万円。首都圏では2,900万円→2,500万円→1,700万円→1,600万円です。
ここから読み取れることは2つあります。
- 築30年でも取引は普通に成立している。この集計で築30〜34年の取引は全国10,453件あり、築10〜14年(4,869件)の2倍以上です。市場として枯れているどころか、取引の厚い帯です
- 首都圏では築25〜29年から築30〜34年の間に、中央値が2,500万円から1,700万円へ800万円下がる。5年刻みの落差としては全築年帯で最大です
いまが「下げの一番急な帯」にいる
新築直後(築0〜4年)の中央値を100%とすると、全国の価格水準は築20〜24年で54%、築30〜34年で33%まで下がります。この10年間で約20ポイント、金額では2,100万円から1,300万円へ約4割の下落です。10年間の下落率として、全築年帯の中で最も大きいのがこの帯です。
つまり築30年前後の家は、価格カーブの中でもっとも傾きが急な区間の途中にいます。築35〜39年を過ぎるとカーブは緩やかになりますが、それは「下げ止まって安心」なのではなく、建物の値段がほぼ乗らなくなり、土地の値段に近づいたからです。
売るかどうかを迷っている間も、この帯では価格が動き続けます。この帯では、決める前でも「今いくらか」だけは把握しておく価値が大きくなります。
建物の値段が「残る家」と「消える家」の違い
中央値1,300万円という数字の内側には、大きな幅があります。築30年は、建物に値段が付く家と、ほぼ土地の値段だけになる家が分かれる境界の帯です。分かれ目は築年数そのものではなく、メンテナンスの履歴とそれを証明できるかにあります。
| 見られるポイント | 値段が残りやすい状態 | 値段が消えやすい状態 |
|---|---|---|
| 水回り(キッチン・浴室・給湯器) | 交換・更新の履歴がある | 新築時のまま |
| 屋根・外壁 | 塗装や葺き替えの記録がある | 長期間手つかず・劣化が見える |
| 不具合 | 雨漏り・シロアリ・傾きがない | 不具合を未修繕のまま放置 |
| 書類 | リフォームの請求書・保証書・点検記録が残っている | 何をいつやったか説明できない |
重要なのは書類です。「10年前に外壁を塗り替えた」という口頭の説明と、請求書や保証書で示せる履歴とでは、査定での扱いが変わります。残債の確認と並行して、リフォームや修繕の書類を探して1か所にまとめておいてください。
もう1点、築30年前後(1990年代半ばの建築)の木造住宅は、1981年施行の新耐震基準は満たしていますが、2000年に行われた木造の基準強化より前の建築です。耐震診断を受けて結果を示せると、買主の不安を消す材料になります。
なお、「だったらリフォームしてから売るべきか」という疑問には、後半のFAQで答えています。結論だけ先に言うと、売るためだけの大規模リフォームは原則おすすめしません。
住み替えの段取り。残債確認から引き渡しまで
築30年前後の売却で相場と同じくらい重要なのが、住み替えの段取りです。順番を間違えると、資金計画が崩れたり、仮住まいが必要になったりします。全体の流れを1枚にまとめました。

STEP1: ローン残債と手取りの確認
最初にやることは査定ではなく、住宅ローンの残債の確認です。金融機関の残高証明やWebで現在の残債を確認し、「売却価格が残債を上回りそうか」を先に見ます。売却代金でローンを完済するのが売却の基本形だからです。
残債を下回りそうな場合も、売れないわけではありません。不足分を自己資金で補う方法や、金融機関・不動産会社に早めに相談して資金計画を組み直す方法があります。いずれにしても、残債の数字を知らないまま査定に進むと、あとの判断の基準があやふやになります。
STEP2: 査定で「今の価格」を知る
残債が分かったら、査定で現在の売却価格の見込みをつかみます。前の章で見たとおり、築30年前後は同じ築年数でも状態による幅が大きい帯です。相場表だけでは自分の家の位置が分からないため、個別の査定が必要になります。
まだ売ると決めていない段階なら、SUMiTASの10秒査定が使えます。匿名・電話なしで概算価格を確認できるので、残債と見比べる最初の材料として使ってください。
STEP3: 売り先行か、買い先行かを決める
住み替えの分かれ道です。どちらが正解ということはなく、優先するものの違いです。
| 売り先行(売ってから買う) | 買い先行(買ってから売る) | |
|---|---|---|
| 資金計画 | 売却額が確定してから買うので堅い | 売却額が未確定のまま買う |
| 住まい | 引き渡しまでに転居先が必要(仮住まいの可能性) | 引っ越しが1回 |
| リスク | 急いで買って妥協しやすい | 売れるまで二重の負担が続く可能性 |
| 向く人 | 資金に余裕を持ちたい人・残債が多めの人 | 資金に余裕がある人・次の家の条件を譲れない人 |
築30年前後の住み替えでは、残債の状況が判断材料になります。残債が多く残っているなら、売却額が確定する売り先行のほうが資金計画は堅くなります。
なお、売り先行でも住みながら売却活動を進めるのが一般的で、空き家にしてから売る必要はありません。
STEP4: 不動産会社と媒介契約を結び、売り出す
査定を経て依頼先を決めたら、媒介契約を結んで売り出しです。媒介契約の種類と選び方は別記事で詳しく解説しています。
売り出し価格の付け方と値下げの判断は、売却全体の成否を分けるポイントです。高すぎる価格で長期間さらすことのリスクを含め、やってはいけないことを別記事にまとめています。
STEP5: 成約・引き渡し
首都圏の中古一戸建ては、売り出しから成約まで平均100.9日、約3か月強かかっています(東日本レインズ「首都圏不動産流通市場の動向」2025年版)。成約後の契約・決済・引っ越しまで含めると、売り出しから引き渡しまでおおむね4〜6か月、STEP1からの準備期間を含めると半年程度が現実的な目安です。住み替え先の入居時期は、この期間から逆算して組んでください。
築30年前後で査定に出す人は、普通にいる
「築30年にもなって売りに出すのは、うちくらいではないか」という心配は要りません。当社の10秒査定に2025年7月からの13か月間で寄せられた81,859件のうち、一戸建ては37,595件。築年数の記載がある36,641件の内訳を見ると、築25〜34年は5,386件、約15%を占めます。
査定依頼の件数では、築30〜34年(7.6%)のほうが築25〜29年(7.1%)よりも多いというのが実測です。
査定依頼が最も多いのは築5〜9年(16.8%)ですが、これは住み替えの早い層です。築30年前後の依頼者は、ローンの完済期、子どもの独立、設備の更新時期という明確な節目で動いている層だと当社は見ています。「売り時を逃した人」の帯というより、「理由があって今動く人」の帯だとみています。
築30年の一戸建ての売却でよくある質問
築30年の一戸建ては本当に売れますか?
現に売れています。国の取引データの当社集計では、2024〜2025年の2年間だけで築30〜34年の一戸建ての取引が全国10,453件、年間5,000件以上のペースで成立しています。築10〜14年(4,869件)の2倍以上の取引がある、流通の厚い帯です。全国中央値は1,300万円、首都圏では1,700万円です。
リフォームしてから売るべきですか?
原則、売るためだけの大規模リフォームはおすすめしません。かけた費用をそのまま売却価格に上乗せできるとは限らず、買主が自分の好みでリフォームしたいケースも多いためです。例外は、雨漏りや設備の故障といった不具合の修繕と、ハウスクリーニングです。これらは「マイナスをゼロに戻す」もので、内覧の印象を大きく左右します。迷ったら、手を入れる前に不動産会社に相談してください。
住みながら売れますか?
住みながらの売却は、ごく一般的に行われています。内覧のたびに片付けるポイントを押さえておけば、負担はかなり軽くなります。住み替えでは、買い先行にしない限り住みながらの売却になるのが一般的です。具体的なコツは別記事にまとめています。
住宅ローンが残っていても売れますか?
残債がある状態での売却は、広く行われています。引き渡しと同時に売却代金で残債を完済し、金融機関の担保(抵当権)を抹消するのが通例です。完済が前提になるため、まず残債と売却見込み額の比較から始めてください。残債のほうが多くなりそうな場合は、自己資金での補填や資金計画の組み直しを金融機関・不動産会社に早めに相談することをおすすめします。
まとめ: 「今の価格」を知ることが、段取りの起点になる
築30年の一戸建ては、現に売れています。全国中央値1,300万円・首都圏1,700万円という実取引の裏付けがあり、査定に出す人も普通にいます。
一方で、築30年前後は築年帯ごとの落差が最も大きい時期です。売る・売らないを今すぐ決める必要はありませんが、判断の材料になる「今の価格」だけは早めに手に入れておくべき時期です。築年数は待っていても戻りません。
SUMiTASの10秒査定は匿名・電話なしで使えます。残債の数字と並べる最初の材料として、「まだ決めていない」段階からお使いください。
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本記事の相場データは、国土交通省「不動産取引価格情報」(不動産情報ライブラリ・2024〜2025年取引分)を当社で集計・加工したものです。あわせて公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向」(2025年版)および当社「10秒査定」の利用データ(2025年7月〜2026年7月・81,859件)を使用しています。相場は中央値であり、個別の物件条件により大きく変動します。
不動産売却ガイド