親から相続した家、誰も住まなくなった実家。築40年と聞くと「もう建物に価値はないのでは」「そもそも売れるのか」と不安になる方が多いはずです。
先に答えを言います。現に売れています。2024〜2025年の2年間だけで、築40年以上の一戸建ての取引は全国で4万件以上、年間2万件規模で成立しています(国土交通省「不動産取引価格情報」を当社集計)。そして価格には、はっきりした構造があります。建物の評価がほぼゼロになっても、価格は「土地の値段」で下げ止まるのです。
だからこの記事は「高く売るコツ」ではなく、土地の価値で売るという前提に立って、①築40年の一戸建ての売却相場の実データ ②旧耐震か新耐震かの確認方法 ③現況・古家付き・解体のどれから検討を始めるか、の順で整理します。
なお、この記事は相続した実家・親の家を想定しています。ご自身が住んできた家の住み替えを考えている方は、築30年の一戸建ての記事をご覧ください。
また、築年数ごとの相場の一覧や相場の調べ方といった共通の基礎は、築年数別ガイドのまとめ記事に整理しています。
- 築40年の一戸建ては現に売れている。建物はほぼゼロ評価でも、価格は土地値で下げ止まる
- 築45年を過ぎると値下がり幅は急に小さくなる。首都圏では築50年以上の中央値がむしろ高い
- 売り方の入口は「現況のまま・古家付き土地・解体して更地」の大きく3つに分かれる。迷ったら壊さずに検討を始める
目次
築40年の一戸建ての売却相場。実際の取引データで見る
国土交通省が公開している全国の取引データ(2024〜2025年取引分・一戸建て)を当社で集計しました。取引総額の中央値は次のとおりです。
| 築年帯 | 全国 | 首都圏(1都3県) |
|---|---|---|
| 築40〜44年 | 890万円 | 1,400万円 |
| 築45〜49年 | 700万円 | 1,300万円 |
| 築50年以上 | 650万円 | 1,500万円 |
※中央値のため「半分はこれより高く、半分は安い」という真ん中の値です。出典: 国土交通省「不動産取引価格情報」2024〜2025年取引分(住宅地の土地と建物)を当社集計。個別の価格は立地・土地面積・道路付けで大きく変わります。
築0〜4年帯(新築を含む・中央値3,900万円)と比べると、築40〜44年は22.8%。つまり全国的には「新築の2割強」が実勢です。この数字だけ見ると厳しく感じるかもしれませんが、注目してほしいのは金額そのものではなく、この先の下がり方です。

ただしこれは全国・首都圏の中央値でみた構造です。再建築ができない土地や、解体費を見込んで評価される物件では、土地の相場どおりの価格にならないこともあります。
築45年を過ぎると下げ止まる。首都圏は築50年超で反発する
築年帯が1つ進むごとの値下がり幅を見ると、構造がはっきりします(全国・中央値)。
- 築30〜34年 1,300万円 → 築35〜39年 1,100万円(▲200万円)
- 築35〜39年 1,100万円 → 築40〜44年 890万円(▲210万円)
- 築40〜44年 890万円 → 築45〜49年 700万円(▲190万円)
- 築45〜49年 700万円 → 築50年以上 650万円(▲50万円)
築45年あたりまで200万円前後ずつ下がってきた価格が、その先はほとんど下がりません。建物の評価が実質的になくなり、価格が土地の値段まで降りきったからです。土地の値段は築年数では下がらないので、そこで価格の下げは止まります。
さらに首都圏(1都3県)では、築45〜49年の1,300万円に対して築50年以上は1,500万円と、中央値がむしろ上がります。築50年以上でも売買が成立している市場では、買い手が見ているのは建物ではなく土地です。土地が強い立地では、建物の古さよりも土地の値段が価格を決めているとみられます。この実測が、「築40年でも売れる」の根拠です。
だからこそ、築40年の売却で整理すべきは建物の弱点ではなく、土地の情報(面積・境界・道路付け・再建築の可否)です。この記事の後半は、その入口を扱います。
まず確認すること。旧耐震か、新耐震か
売り方を考える前に、1つだけ先に確認してほしいことがあります。建物が旧耐震基準か新耐震基準かです。
分かれ目は築年数ではなく、建築確認の日付です。建築確認が1981年(昭和56年)6月1日以降なら新耐震、それより前なら旧耐震です。築40年前後(1980年代前半〜半ばの建築)はちょうどこの境界をまたぐ帯にあたります。
注意してほしいのは、完成した日(竣工日)では判断できないことです。1981〜1982年に完成した家でも、建築確認が1981年5月以前なら旧耐震です。登記簿の新築年月日ではなく、建築確認済証(確認通知書)の交付日を確認してください。書類を紛失している場合は、市区町村の建築指導課などで台帳記載事項証明書を取得できる場合があります。台帳の保存状況は自治体によって異なるため、まず窓口で確認してください。
なぜこれが先かというと、旧耐震か新耐震かで買主側の条件が変わるからです。旧耐震の建物は、買主が住宅ローンや地震保険で不利になりやすく、建物価値が付きにくくなります。逆に新耐震なら、築年数が古くても中古一戸建てとして評価される余地が残ります。次の「売り方の入口判断」は、この確認結果を前提に進みます。
売り方の入口は3つ。どこから検討を始めるか
築40年の一戸建ての売り方は、大きく「現況のまま売る」「古家付き土地として売る」「解体して更地で売る」の3つに分かれます。このほかに買取業者へ直接売る方法もあり、状態や事情によってはそちらが現実的な場合もあります。それぞれの損得を細かく比較する前に、自分はどれから検討を始めるべきかを先に絞ると迷いません。

- 現況のまま中古一戸建てとして売る: 新耐震で、雨漏りやシロアリ被害がなく住める状態なら、まずここから。建物に値段が付く可能性を最初から捨てる必要はありません。まず現況のままの査定額を知るところからです
- 古家付き土地として売る: 旧耐震、または建物の傷みが進んでいる場合の中心的な選択肢です。建物の価値をゼロ扱いにして土地として売り出す方法で、解体費をかけずに売却まで進めます
- 解体して更地で売る: 解体費の持ち出しが先に発生するうえ、住宅が建っている土地の固定資産税の課税標準を最大6分の1に軽減する住宅用地特例が外れるため、最初の選択肢にはしません。更地の方が確実に売りやすいと見立てられたときの手段です
3つに共通する原則は、迷ったら壊さないです。解体は後からでもできますが、壊した建物は戻せません。解体すべきかどうかの詳しい判断基準(建築年・建物の状態・買主層の3軸)と費用の目安は、古家付き土地の売却の記事で扱っています。
相続した実家なら、売る前に「名義」と「残置物」
相続した家の場合、売却活動の前に片付けておく前処理が2つあります。
- 名義(相続登記): 亡くなった親の名義のままでは売れません。相続登記を済ませ、売主となる相続人の名義にしてから売り出します。相続人が複数いる場合は、売却代金の分け方を売り出す前に書面で合意しておくと、その後が滞りにくくなります
- 残置物(家財): 家財が残ったままでも売却は可能ですが、片付けてから売るか、残置物ごと買取業者に売るかを先に決めておくと、売り出し後の工程が読めます
この2つを含めた実家じまいの工程表・費用の総額・兄弟間の進め方は、実家売却の記事で詳しく扱っています。相続からの売却が初めての方は、先にそちらを読んでから戻ってきていただくのが近道です。
築40年の査定は、珍しくありません
「こんなに古い家を査定に出していいのか」とためらう方は多いのですが、実測では逆です。当社の10秒査定に寄せられた戸建ての査定依頼36,641件(2025年7月〜2026年7月・築年数の記載があるもの)のうち、築40〜44年が5.6%、築45〜49年が3.1%、築50年以上が9.0%。築40年以上が合計17.7%、5〜6件に1件を占めます。
築40年の家の査定は、特殊な相談ではなく日常的な依頼です。そして前半で見たとおり、この帯の価格を決めるのは建物ではなく土地なので、「古いから査定するだけ無駄」ということにはなりません。
さらに古い帯(築50年以上)の売却については、別の記事で詳しく扱っています。
築40年の一戸建ての売却でよくある質問
築40年の家の価値はゼロですか?
建物単体の評価はほぼゼロとして扱われることが多いのは事実です。ただし、取引が成立している物件の価格までゼロになるわけではありません。実際の取引データでは、築40〜44年の全国中央値は890万円、首都圏では1,400万円です(2024〜2025年取引分・当社集計)。価格の内訳が「建物の値段」から「土地の値段」に移るだけで、売れなくなるわけではありません。
解体してから売った方がいいですか?
最初に解体するのはおすすめしません。解体費は木造でおおむね坪3〜5万円、30坪なら90万〜150万円程度が一般に公表されている相場ですし、更地にしてそのまま1月1日を迎えると固定資産税の住宅用地特例(課税標準を最大6分の1に軽減)が外れて税負担が上がります。順番は「見立てが先、解体は後」です。判断基準の詳細は古家付き土地の記事で解説しています。
買主は住宅ローンを使えますか?
物件によります。旧耐震の建物や、建物の担保評価が出にくい築古の物件では、買主が住宅ローンを組みにくい場合があります。金融機関によって扱いは異なり、土地の担保評価を中心に融資がつくこともあります。買主側の融資が付きにくい物件では、現金で買う実需層や買取業者が買い手候補になります。ここは物件と金融機関の個別性が大きいので、査定時に不動産会社へ「この物件の買主はローンを組めそうか」を確認してください。
売る前にリフォームすべきですか?
原則、売却のための大規模リフォームはおすすめしません。かけた費用をそのまま価格に上乗せするのは難しく、リノベーション前提の買主にとっては手を入れていない状態の方が好まれることもあるからです。売り出し前にやる価値があるのは、片付けとハウスクリーニング、そして雨漏りなど不具合の正直な告知の準備です。
まとめ: 建物ではなく、土地の情報を整理してから動く
築40年の一戸建ては、現に売れています。価格は土地の値段で下げ止まり、首都圏では築50年以上の帯の中央値がむしろ高いという実測もあります。だから準備すべきは建物の言い訳ではなく、土地の情報の整理です。旧耐震か新耐震かを建築確認日で確かめ、現況・古家付き・解体のどこから検討を始めるかを絞る。この2つだけで、話は前に進みます。
最初の一歩は、現況のままでいくらになりそうかを知ることです。SUMiTASの10秒査定は、住所と物件情報を入れるだけで匿名・電話なしで概算価格を確認できます。「解体すべきかどうかも含めて相談したい」という段階でも、まず現状の価格感を知るところから始めてください。
匿名・電話番号の入力なし。10秒で概算価格がわかります
本記事の相場データは、国土交通省「不動産取引価格情報」(2024〜2025年取引分・住宅地の土地と建物)を当社で集計したものです。査定依頼の統計は当社「10秒査定」の利用履歴(2025年7月〜2026年7月)の集計です。金額はいずれも中央値で、個別の物件の価格は立地・土地面積・建物の状態により大きく異なります。
不動産売却ガイド