家を売ると決めて最初に気になるのは、「結局、手元にいくら残るのか」ではないでしょうか。売却には費用がかかりますが、いくらかかるのかを最初に知っておけば、手取りから逆算して売り出し価格や住み替えの計画を立てられます。
先に答えをお伝えします。不動産売却の費用の目安は、売却価格の3〜6%。これに加えて、利益が出た場合の税金がかかります。3,000万円で売れた場合なら、費用はおおよそ110万〜180万円です。
ただしこの「3〜6%」には幅があります。ほとんどの売却で必ず近い形でかかる費用は実は3つだけで、残りは物件と状況によってかかったり、かからなかったりするからです。この記事では、費用の全体像を2つのグループに分けて整理し、500万〜5,000万円の価格帯別の早見表と、実際に多い物件条件でのシミュレーション2本で、手取りまで計算します。
- 費用の目安は売却価格の3〜6%+税金。内訳は「ほとんどの売却でかかる3つ」と「物件と状況による6つ」に分かれる
- 最大の費用は仲介手数料。上限は「価格×3%+6万円+消費税」で、4,000万円なら138.6万円
- 費用の多くは売却代金から精算できるため、手元の現金が少なくても売却は始められる
- 土地や低額の物件は、測量や解体で費用の比率が大きく変わる。800万円以下には手数料の特例もある

目次
不動産売却の費用は「売却価格の3〜6%+税金」
まず全体像です。売却にかかるお金は、性質のちがう3つに分けて考えると迷いません。
| 区分 | 中身 | 目安 |
|---|---|---|
| ほとんどの売却でかかる費用 | 仲介手数料・印紙税・抵当権抹消の費用 | 売却価格の約3.5%前後 |
| 物件と状況によって発生する費用 | ローン返済手数料・登記の住所変更・測量・解体・クリーニング・引越しなど | 0円〜数百万円 |
| 税金(利益が出た場合) | 譲渡所得税・住民税 | 利益額と所有期間による |
「3〜6%」という目安の内訳は、大部分が仲介手数料(約3.3%+固定部分)で、そこに印紙税や登記関連の実費が数万円単位で乗る構造です。幅が出るのは2段目、つまり測量や解体のような「物件と状況によって発生する費用」の有無です。ここは後半で1つずつ「かからないケース」まで確認します。
なお、費用の多くは引き渡し(決済)の日に、受け取る売却代金から差し引いて精算するのが一般的です。手元にまとまった現金がなくても売却を始められないわけではありません。支払いのタイミングは記事の後半で時系列に整理します。
ほとんどの売却でかかる費用3つ
仲介手数料。上限は「価格×3%+6万円+消費税」
費用の中で最も大きいのが、不動産会社に支払う仲介手数料です。宅地建物取引業法で上限が決まっており、売却価格が400万円を超える場合は次の速算式で計算できます。
仲介手数料の上限 =(売却価格 × 3% + 6万円)× 1.1(消費税)
3,000万円なら105.6万円、4,000万円なら138.6万円が上限です。これは「必ずこの金額」ではなく法律上の上限ですが、実務では上限どおりの設定が多いため、資金計画はこの金額で見ておくのが安全です。上限の仕組みと計算の詳細は仲介手数料の上限と相場の記事で解説しています。
2つ、知っておきたい例外があります。
- 800万円以下の物件には特例があります。空き家など流通しにくい低額物件では、現地調査などの費用を考慮して、通常の上限を超えて最大33万円(税込)まで受領できる特例が2024年7月に始まりました。適用には、媒介契約を結ぶ前に不動産会社が報酬額を説明し、売主と合意することが条件です。500万円の物件なら通常の上限は23.1万円なので、「特例で33万円」と言われたら、事前説明と合意が前提の制度だと知っておいてください
- 手数料がかからない売り方もあります。不動産会社が直接買い取る「買取」は仲介ではないため、仲介手数料自体が発生しません。価格は市場相場より低くなるのが一般的なので、手数料の有無だけでなく手取り総額で比べることが大切です
値引き交渉の可否や現実的な落としどころは仲介手数料の値引き交渉の記事にまとめています。金額だけを削るより、販売活動の中身と合わせて判断するのがおすすめです。
印紙税。売買契約書に貼る税金
売買契約書には印紙税がかかります。不動産の譲渡契約書は軽減措置の対象で、2027年(令和9年)3月31日までに作成される契約書には軽減後の税額が適用されます。
| 契約金額 | 印紙税(軽減後) |
|---|---|
| 100万円超〜500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 10,000円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 30,000円 |
かからないケース: 電子契約で締結する場合、紙の契約書を作らないため印紙税はかかりません。対応しているかは不動産会社によって異なるので、契約前に確認できます。
抵当権抹消の費用。住宅ローンが残っていた家なら
住宅ローンを利用していた物件には、金融機関の抵当権(ローンの担保として設定される権利)が登記されています。売却の引き渡しまでにこれを消す登記が必要で、費用は次のとおりです。
- 登録免許税: 不動産1件につき1,000円。土地1筆+建物1棟なら2,000円です
- 司法書士への報酬: 依頼する場合は1〜2万円程度が目安です(依頼先により異なります)
実は、この手続きは自分でもできます。手順と書類は抵当権抹消を自分でやる方法の記事で書式の記入例まで解説しています。
かからないケース: ローンを利用していない、またはすでに完済して抹消登記も済ませている物件なら、この費用は発生しません。登記の状態は法務局で登記事項証明書を取れば確認できます。
物件と状況によって発生する費用6つ
ここからは、該当する人だけにかかる費用です。自分に当てはまるかどうかを1つずつ確認してください。金額の幅が大きいものほど、早めに見積もりを取ることが資金計画の精度に直結します。
| 費用 | 目安 | かからないケース |
|---|---|---|
| ローンの一括返済手数料 | 0円〜3.3万円程度(金融機関・手続き方法による) | ローンがない。ネット手続きで無料の銀行もある |
| 登記の住所・氏名変更 | 登録免許税は不動産1件につき1,000円 | 登記上の住所・氏名が現在と同じ |
| 確定測量(土地・戸建て) | 民有地どうしで30万〜60万円、道路など官有地との査定を含むと50万〜80万円 | 確定測量図があり境界が確定済み |
| 建物の解体(更地渡しの場合) | 木造は坪3〜4万円が目安。30坪なら90万〜120万円 | 建物ごと売る場合。古家付きでも売れる |
| ハウスクリーニング | 数万円台から。範囲と広さによる | 任意。掃除で足りることも多い |
| 引越し・残置物の処分 | 時期・距離・量で大きく変わる | 空き家・土地の売却なら不要 |
3点だけ補足します。
- 測量は「時間」も費用のうちです。境界の立会いが必要になるため数か月単位かかることがあり、売買契約後だと引き渡し期日を直撃します。費用と期間の詳細、手元の図面で足りるかの見分け方は確定測量の記事で解説しています
- 解体は「する前提」で考えないでください。古い家でも、解体せず「古家付き土地」として売る選択肢があります。解体費用の相場は解体費用の記事、解体すべきかの判断は古家付き土地の記事が使えます
- リフォームは原則不要です。売却前の大規模リフォームは費用を回収できないことが多く、実務ではおすすめしていません。気になる場合は査定時に不動産会社へ相談してからで十分です
現場でお客様から「想定外だった」と言われるのは、たいていこのグループの費用です。仲介手数料や税金は査定のときに説明されるのに対し、残置物の処分や引越しのような「暮らし側の費用」は、誰も代わりに計算してくれないからです。査定の場で、遠慮せずに全部書き出してもらうことをおすすめします。
価格帯別の総費用早見表。500万〜5,000万円
「ほとんどの売却でかかる費用」を価格帯別に計算したのが次の表です。仲介手数料は法律上の上限額、印紙税は軽減後の額で計算しています(税込・2026年8月時点)。
| 売却価格 | 仲介手数料(上限) | 印紙税 | 費用の計 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 23.1万円 ※ | 1,000円 | 23.2万円 |
| 1,000万円 | 39.6万円 | 5,000円 | 40.1万円 |
| 2,000万円 | 72.6万円 | 1万円 | 73.6万円 |
| 3,000万円 | 105.6万円 | 1万円 | 106.6万円 |
| 4,000万円 | 138.6万円 | 1万円 | 139.6万円 |
| 5,000万円 | 171.6万円 | 1万円 | 172.6万円 |
※ 800万円以下は、事前の説明と合意を条件に最大33万円(税込)まで受領できる特例があります。
ここに、住宅ローンが残っていた物件なら抵当権抹消の約2,000円〜2万円、該当する場合は前章の「状況による費用」が加わります。逆に言えば、境界が確定していて解体もしない売却なら、費用は表の金額とほぼ一致します。

この表から分かる大事なことが1つあります。売却価格が低いほど、費用の「比率」は重くなります。5,000万円の売却で費用は約3.5%ですが、500万円では約4.6%、さらに測量や解体が加わると2割近くに達することもあります。低額の物件ほど、「何にいくらかかるか」を先に洗い出す価値が大きいのです。
なお、私たちが査定のご相談を受けるときは、費用の話を必ず手取りとセットでお伝えするようにしています。売主にとって意味があるのは費用の絶対額ではなく、最後に手元へ残る金額だからです。
手取りはいくら残るか。計算式とシミュレーション2本
手元に残るお金は、次の式で計算します。
手取り = 売却価格 − 売却費用 −住宅ローンの残債 −税金(利益が出た場合のみ)
この記事で計算するのは「売却価格 −売却費用」までの税引き前の手取りです。ローン残債は人によって違うため式に置くだけにとどめ、税金は次章で入口を説明します。
シミュレーションの条件は、当社の10秒査定に実際に寄せられた物件データから設定しました。2025年7月からの1年間に査定依頼された81,859件のうち、戸建ての中央値は「築18年・建物約100㎡・土地約115㎡」、土地の中央値は「約160㎡」です。つまり以下の2本は、実際に売りに出される「いちばん普通の物件」に近い条件です。

例1: 戸建てを4,000万円で売る(築18年・建物100㎡・土地115㎡・ローン返済中)
| 費用 | 金額 |
|---|---|
| 仲介手数料(上限) | 138.6万円 |
| 印紙税 | 1万円 |
| 抵当権抹消(司法書士依頼) | 約2万円 |
| ローン一括返済手数料 | 0〜3.3万円 |
| 費用の計 | 約142万〜145万円(売却価格の約3.6%) |
税引き前の手取りは約3,855万〜3,858万円です。ここからローンの残債を返済した残りが、住み替えや老後資金に使えるお金になります。なお4,000万円という価格は、首都圏の中古戸建の平均成約価格(3,917万円・東日本レインズ2025年公表値)に近い設定です。
例2: 土地を1,000万円で売る(160㎡・境界未確定・古家なし)
| 費用 | 金額 |
|---|---|
| 仲介手数料(上限) | 39.6万円 |
| 印紙税 | 5,000円 |
| 確定測量(必要な場合) | 30万〜80万円 |
| 費用の計 | 測量不要なら約40万円(約4.0%)/確定測量まで行うと約70万〜120万円(約7〜12%) |
土地は建物より単価が低い一方で、境界の状態によって費用が大きく振れます。確定測量図があるかどうかで手取りが最大80万円変わるので、権利証や図面の有無を先に確認してください。必要な書類のそろえ方は査定に必要な書類の記事にまとめています。さらに古家を解体して更地で渡す場合は、解体費(木造30坪で90万〜120万円が目安)が加わります。
費用を安くする方法。削減額の目安つき
「安くする」には、値引きをお願いするより先に、そもそも払わなくてよいものを見つける方が確実です。現場の感覚でも、交渉で数万円を削るより、かからない費用を1つ見つけるほうが手取りへの効果は大きいと感じます。効果の大きい順に並べます。
- 解体しないで売る(最大100万円超): 更地渡しが本当に必要かは、売り方の判断です。古家付きのまま売る、買主負担の条件で売るなど選択肢があります。判断基準は古家付き土地の記事へ
- 手元の測量図で足りるか確認する(30万〜80万円): 確定測量図・地積測量図がすでにあるなら、新たな測量が不要な場合があります。見分け方は確定測量の記事へ
- 抵当権抹消を自分でやる(1〜2万円): 平日に法務局へ行ける人なら現実的です。手順の記事に書式の記入例があります
- 電子契約を選ぶ(5,000円〜3万円): 印紙税がかからなくなります。対応可否を不動産会社に確認してください
- クリーニングは範囲を絞る: 全体ではなく水回りだけなど、内覧の印象に効く場所に絞ると数万円で収まります
仲介手数料の値引き交渉も不可能ではありませんが、手数料は販売活動の原資でもあるため、安さだけを追うと広告や案内の質に跳ね返ることがあります。交渉するなら値引き交渉の記事で、タイミングと引き換え条件まで確認してからをおすすめします。
税金は「利益が出た場合」にかかる
最後に税金です。売却で利益(譲渡所得)が出た場合に、譲渡所得税・住民税がかかります。逆に、買ったときより安く売れた場合など利益が出なければ、これらの税金はかかりません。
- 利益の計算や税率(所有期間5年で変わる)、3,000万円特別控除などの特例の適用可否は、条件が細かく、個別の事情で結論が変わります。具体的な税額の計算は税務署か税理士に確認してください
- 全体像を先に知りたい方は、土地売却の税金の記事と一戸建て売却の税金の記事で仕組みを解説しています
1つだけ、費用の記録について実務からのお願いです。この記事で挙げた費用の領収書は、すべて保管してください。仲介手数料や測量費、解体費は、税金の計算で譲渡費用や取得費として差し引ける場合があり、領収書がその証拠になります。
よくある質問
Q. 費用はいつ、どうやって払うのですか?
多くは引き渡し(決済)の日に、受け取る売却代金から差し引いて精算します。仲介手数料は「契約時に半分、引き渡し時に残り半分」という会社が多いですが、支払い時期は媒介契約時に確認できます。先払いが必要になりやすいのは、測量費と解体費です。

Q. 手元に現金がなくても売却できますか?
始められます。査定は無料で、仲介手数料などの主要な費用は売却代金からの精算が一般的だからです。ただし測量や解体を先行させる場合は先払いが発生するため、資金の段取りは最初に不動産会社へ相談してください。
Q. 査定に費用はかかりますか?
不動産会社の査定は基本的に無料です。当社の10秒査定も無料で、匿名・電話番号なしで概算価格だけを確認できます。
Q. 買ったときの金額が分からない場合、税金はどうなりますか?
取得費が不明な場合、「売却価格の5%を取得費とみなす」概算取得費という扱いがあります(国税庁)。実際の取得費より大幅に低くなり税負担が増えやすいため、購入時の売買契約書を探すことが先決です。詳細は税理士にご確認ください。
まとめ: 費用を先に知れば、手取りから逆算できる
不動産売却の費用は、売却価格の3〜6%+税金が目安です。内訳の大半は仲介手数料で、測量・解体のような「状況による費用」が幅を作ります。費用の見積もりは、査定と同時に不動産会社へ依頼できます。「この物件の場合、何にいくらかかりますか」と聞けば、この記事の項目に沿った答えが返ってくるはずです。
手取りの計算は、価格が分からないと始まりません。当社の10秒査定なら、住所と物件情報を入れるだけで、匿名・電話番号なしで概算価格を確認できます。この記事の早見表と合わせて、手取りの目安づくりにお使いください。
本記事の費用・税額は2026年8月時点の制度に基づきます。仲介手数料は宅地建物取引業法に基づく報酬告示の上限額、800万円以下の特例は2024年7月施行の告示改正、印紙税は租税特別措置法の軽減措置(2027年3月31日までに作成される契約書に適用・国税庁タックスアンサーNo.7108)、登録免許税は国税庁の定めによります。測量・解体等の金額は目安であり、物件の条件により変動します。物件データは当社10秒査定の利用履歴81,859件(2025年7月〜2026年7月)の集計、成約価格は東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」によります。
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