不動産売買にかかる仲介手数料の上限と相場は?手数料が不要の売り方・買い方も解説

不動産売買にかかる仲介手数料の上限と相場は?手数料が不要の売り方・買い方も解説

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

不動産売買に伴う諸費用の中で、特に重要なのが「仲介手数料」です。仲介手数料は不動産会社によって異なるため、「相場はどのくらいなのか」や「仲介手数料を請求する会社としない会社の違いは何か」など、多くの疑問が生じることがあります。

この記事では、仲介手数料に関する基礎知識の説明に加え、以下の内容についても詳しく解説します。

  • 仲介手数料の上限と相場
  • 仲介手数料が発生する売買方法と発生しない売買方法
  • よくある質問への回答
吉田 宏
吉田 宏

仲介手数料についての基本的な知識を身に付け、不動産売買においてより賢い選択をしましょう。

この記事の要約
  • 仲介手数料は「原則、取引価格×3%+6万円+消費税」
  • 仲介手数料が不要な売買方法には、買取や個人間取引、空き家バンクがある
  • 仲介手数料を低く設定する不動産会社には悪質なケースもあるため注意が必要。

不動産売買にかかる仲介手数料とは?

まずは仲介手数料とは何か、基本部分をお伝えします。

不動産会社に支払う成功報酬のこと

不動産の売却方法には「仲介」「買取」の2種類あり、仲介手数料がかかるのは仲介売却のみです。

売主が仲介を選んだ場合は不動産会社と「媒介契約」を結んでポータルサイトや広告、紹介などを通して売却活動を行います。そして内見や交渉などを経て売買契約が成立した際に、はじめて仲介手数料が発生します。イメージとしては、手数料よりも成功報酬のほうが近いかもしれません。

仲介手数料以外の手数料は不要

不動産売買で売主と買主が不動産会社に支払う手数料は、仲介手数料のみです。売買に際してかかるウェブ掲載費や広告費用、書類取得費用、人件費などの費用は全て仲介手数料に含まれているため、追加費用がかかることはありません

追加費用を承知のうえで売主が新聞や雑誌への掲載を依頼した場合などは、例外的に費用がかかる場合もありますが、了承を得ていない費用は「宅建業法違反」にあたります。

仲介手数料以外の費用を請求された場合はすぐに支払わず、東京都知事免許の会社なら都庁、県知事免許なら県庁の不動産業課の相談窓口に相談しましょう。

不動産売買にかかる仲介手数料の上限と相場

宅地建物取引業法によって、仲介手数料には取引価格に応じた上限額が定められています。しかし下限は定められていないため、上限の範囲内であれば無料や半額など、不動産会社が自由に設定できます。これが不動産会社ごとに仲介手数料が異なる理由です。

では、上限だとどのくらいの仲介手数料がかかり、相場はどのくらいなのでしょうか。ここでは仲介手数料の上限と相場を見ていきましょう。

仲介手数料の上限

仲介手数料は物件の取引価格に応じて、次のように上限が設定されています。

追記:2024年7月1日より、低廉な空家等(物件価格が800万円以下の宅地建物)については、それまでの特例から見直しが入り、当該媒介に要する費用を勘案して、上限を超えて報酬を受領できるようになりました。
但し、媒介契約の締結に際しあらかじめ、上記の上限の範囲内で、報酬額について依頼者に対して説明し、合意する必要があることが原則となります。
参考:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001749923.pdf

取引価格仲介手数料の上限
200万円以下原則、取引物件価格(税抜)× 5%+消費税
200万円超~400万円以下原則、取引物件価格(税抜)× 4%+2万円+消費税
400万円超原則、取引物件価格(税抜)× 3%+6万円+消費税
仲介手数料の上限

不動産会社に仲介売却を依頼する売買では、400万を超える物件がほとんどです。中でも取引がとくに多い価格帯である、1,000万円〜5,000万円の仲介手数料の計算例を見てみましょう。

取引価格仲介手数料の上限
1,000万円39万6,000円
2,000万円72万6,000円
3,000万円105万6,000円
4,000万円138万6,000円
5,000万円171万6,000円
仲介手数料の計算例

高額取引の多い不動産売買では、3%+6万円の割合になると、数十万〜数百万円もの仲介手数料を支払うことになります。

低廉(ていれん)な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例

400万円以下の仲介手数料は「低廉(ていれん)な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例」によって、仲介手数料の上限額を“18万円+消費税とする”と定められています。

追記:2024年7月1日より、低廉な空家等(物件価格が800万円以下の宅地建物)については、それまでの特例から見直しが入り、当該媒介に要する費用を勘案して、上限を超えて報酬を受領できるようになりました。
但し、媒介契約の締結に際しあらかじめ、上記の上限の範囲内で、報酬額について依頼者に対して説明し、合意する必要があることが原則となります。
参考:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001749923.pdf

そのため、上記表の計算で仲介手数料が18万円を下回る取引額であっても、18万円+消費税分の仲介手数料を請求される可能性がある点に注意しましょう。

追記:2024年7月1日より、「物件売買価格が800万円以下の場合、最大30万円(税抜)受け取ることができる」ことに変更されました。
参考:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001749923.pdf

仲介手数料の相場

仲介手数料に下限は決まっていませんが、実際には多くの不動産会社が上限で設定しているので、“相場は上限額”だと考えておきましょう

吉田 宏
吉田 宏

上限よりも低く設定している会社もありますが、仲介手数料を下げることで追加費用を請求したり囲い込みをしたり、悪質な営業をしている会社もあるため、仲介手数料額のみで会社選びをするのはおすすめできません。

仲介手数料がかからない売り方・買い方

前述のように、仲介手数料は仲介売却が成立した際に支払う成功報酬なので、不動産会社を介さなければかかることはありません。その点を踏まえて、仲介手数料がかからない売り方と買い方を見ていきましょう。

仲介手数料がかからない売り方

仲介手数料がかからない売り方は、次の3つです。

  • 買取
  • 個人間の取引
  • 空き家バンク

買取は文字通り、不動産会社に不動産を買い取ってもらう方法です。不動産会社が提示した査定額や条件に納得すれば、すぐに不動産を現金化できます。この方法では売主と不動産会社の直接取引となるため、仲介手数料はかかりません。

親族や知人、自分で見つけた購入希望者などに不動産を売却する“個人間の取引”であれば、売買契約から引き渡しまでの全ての手続きを自分たちで行うことで、仲介手数料はかかりません。しかし売買契約書を宅建に関する知識のない素人が作成するのは難易度が高く、書類に不備があると取引後にトラブルになるリスクもあります。

取引額が高額になる場合や、リスクヘッジを優先したい方は、不動産会社や司法書士に売買契約書の作成を依頼しましょう。

“空き家を売りたい人”と“買いたい人”をつなげる「空き家バンク」も、個人間の取引となるため仲介手数料はかかりません。ただし自治体の紹介などで不動産会社を介して契約が成立した場合は、仲介手数料が必要です。

仲介手数料がかからない買い方

続いて、仲介手数料がかからない買い方を3つ紹介します。

  • 不動産会社が売主の物件を買う
  • 個人間の取引
  • 空き家バンク

ポータルサイトに掲載されている物件の中には、不動産会社が売主となって販売しているものもあります。たとえば新築一戸建て住宅や分譲マンションなどは、不動産会社やハウスメーカーが売り出しているケースが多いので、仲介手数料がかからない場合がほとんどです。

また、不動産会社が買い取ってリフォームやリノベーションをした物件なども、売主が不動産会社となるため仲介手数料はかかりません。

吉田 宏
吉田 宏

そして個人間の取引と空き家バンクは、売る場合と同様に買う場合も仲介手数料が不要です。注意点もリスクも同じなので、トラブルを避けたい方は不動産会社や司法書士に売買契約書の作成を依頼しましょう。

不動産売買の仲介手数料でよくある質問

仲介手数料の基本をおわかりいただけたと思いますので、最後によくある質問を3つ紹介します。

契約に至らなくても仲介手数料はかかる?

広告掲載や内見などの売却活動を行ったとしても、契約に至らなければ仲介手数料は発生しません。しかし売買契約の成立後に売主または買主都合で契約解除となった場合は、不動産会社に落ち度がないため、仲介手数料を請求される可能性があります。

契約解除による仲介手数料の扱いは不動産会社によって異なるので、契約前に確認しておくと安心です。

仲介手数料が会社ごとに異なるのはなぜ?

仲介手数料には上限が決まっていますが、下限は決まっていないからです。
上限の範囲内であれば不動産会社が自由に設定できるので、無料や半額、キャンペーンで値下げしている会社もあります。

仲介手数料は値引き交渉できる?

仲介手数料に下限は定められていないため、値引き交渉は可能です。しかし仲介手数料は不動産会社の収入源なので、応じてもらえないことがほとんどでしょう。もし多少値引きしてもらえたとしても、担当者のモチベーション低下につながりかねないため、あまりおすすめはできません。

仲介手数料を抑えたいのであれば、初めから仲介手数料を無料や半額にしている不動産会社に依頼することをおすすめします。

仲介手数料は上限までかかるのが一般的!手数料だけにとらわれない会社選びを

不動産会社に依頼して不動産を仲介売買する場合は、契約成立時に仲介手数料がかかります。手数料額は上限で設定している不動産会社がほとんどなので、「原則、取引物件価格(税抜)× 3%+6万円+消費税」がかかると考えておきましょう。

追記:2024年7月1日より、低廉な空家等(物件価格が800万円以下の宅地建物)については、それまでの特例から見直しが入り、当該媒介に要する費用を勘案して、上限を超えて報酬を受領できるようになりました。
但し、媒介契約の締結に際しあらかじめ、上記の上限の範囲内で、報酬額について依頼者に対して説明し、合意する必要があることが原則となります。
参考:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001749923.pdf

不動産会社の中には仲介手数料を無料や半額にしている会社もあるため、諸費用を抑えられる点では魅力的に思えるかもしれません。しかし仲介手数料を低く設定することで顧客を集め、悪質な営業をしている不動産会社も稀にあるので、手数料だけで不動産会社を選ぶのは危険です。

吉田 宏
吉田 宏

売却実績や「自分に合う物件を紹介してくれるか」「真摯に対応してくれるか」などの担当者との相性から、信頼できる不動産会社を見つけてください。

監修者
吉田 宏
吉田 宏(株式会社SUMiTAS 代表取締役社長)
  • 二級建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士
  • 測量士補
  • 賃貸不動産経営管理士

愛媛大学在学中に愛媛県で株式会社アート不動産を創業する。現在アート不動産では、アパマンショップ(賃貸)を5店舗、SUMiTAS(売買)を2店舗・管理センターを1店舗、売買店舗を2店舗運営。吉田 宏の詳細プロフィールはこちら