空き家活用における初期投資額の大きさは、リノベーション費用によって決まります。
改修・修繕にかかる費用は範囲や規模によって変わるので、どのような工事にどのくらいの費用がかかるのかを把握しておくことが大切です。
そこで本記事では、空き家のリノベーション費用の相場やポイントなどを説明します。空き家活用をお考えの方はぜひ、参考にしてください。
- 空き家全体のリノベーション費用は500〜2,000万円が相場である
- 耐震補強や断熱施工の必要性を事前に確認することが重要
- 補助金やローンの利用条件を調査し、事業計画を立てることが大切
目次
空き家のリノベーションにかかる費用
空き家を修繕・改修する工事には「リフォーム」と「リノベーション」があり、工事内容が混同されがちです。しかし両者には次のように、工事の目的に明確な違いがあります。
- リフォーム:劣化した部分を修繕・交換し、元に近い状態に戻す
- リノベーション:より良い設備を取り入れ、元の状態よりも価値を高める
リフォームは修繕を目的としているのに対して、リノベーションでは修繕に加えて改修も行い、付加価値を高めることを目的としています。
そのためリノベーションでは、間取り変更や耐震性補強、断熱施工といった、大掛かりな工事になる場合がほとんどです。
当然ながら、リフォームと比較し費用が高くなる傾向にあります。以上の点を踏まえ、どのくらいの費用がかかるのかを以下に見ていきましょう。
空き家全体をリノベーションするときの費用
空き家全体をリノベーションするときの費用相場は500〜2,000万円と、とても費用差があります。その理由は、修繕箇所や設備のグレードによって費用に大きな差が出るからです。
たとえば基礎や躯体などの主要構造部が腐食していなければ、室内のリノベーションのみなので500万円前後で済ませられるでしょう。
一方で構造部構造の腐食や劣化が激しく、基礎や柱、梁などに触れる工事が必要な場合は、1,000万円を超える場合がほとんどです。さらに、建物をほぼ解体して骨組みの状態にするスケルトンリノベーションをすると、2,000万円ほどかかることもあります。
空き家のリノベーション費用は、家屋の状態によって大きな差が出ることを覚えておいてください。
空き家を部分的にリフォームするときの費用
続いて、部分的なリフォームをする場合の費用相場を見てみましょう。
リフォーム箇所 | 費用相場 |
---|---|
キッチン | 50~150万円 |
浴室 | 50~150万円 |
トイレ | 20~100万円 |
洗面 | 20~100万円 |
壁紙 | 45~90万円 |
フローリング | 6~30万円 |
畳の張り替え(6畳あたり) | 6~12万円 |
外壁(重ね塗り・上貼り) | 50~200万円 |
屋根(塗り替え・葺き替え) | 20~250万円 |
耐震補強 | 100~200万円 |
断熱施工 | 300万円~ |
シロアリ対策 | 15~30万円 |
増築 | 300~2,000万円 |
部分的なリフォームで費用幅が広いのは、修繕規模や設備のグレードによって費用が異なるからです。
たとえばキッチンを入れ替える場合、位置を変更せず低グレード品を選べば50万円程度で済みますが、移動を伴ったり高グレード品を選んだりすると150万円を超える場合もあります。
空き家活用でリノベーションするときのポイント
空き家のリノベーションでは、費用以外にもいくつか押さえておきたいポイントがあります。
- 目的からリノベーション規模・内容を考える
- 耐震補強や断熱施工の必要性を確認する
- 初期投資費用を回収できる事業計画を立てる
それぞれ詳しく説明します。
目的からリノベーション規模・内容を考える
前章で説明したようにリノベーションにかかる費用は、工事内容・規模・設備のグレードによって大きな差が出ます。費用を予算内で抑えるためには、リノベーションの目的から規模や内容を考えることが大切です。
たとえば賃貸物件にするのなら、全体的に内装や設備を入れ替える必要がありますが、間取り変更はせず、設備のグレードを落とせば費用を抑えられます。
レンタルスペースやオフィスとして活用する場合は、キッチンや浴室などの不要な設備を全て撤去すれば、交換費用がかかりません。また、予算から活用方法を考えるのもひとつの手です。
まだ活用方法が決まっていないのであれば、方法ごとのリノベーション費用を業者に質問してみると良いでしょう。
耐震補強や断熱施工の必要性を確認する
空き家の築年数や状態によっては、耐震補強や断熱施工が必要です。
とくに住宅の耐震性は人命に関わる部分なので、耐震性を判定する耐震診断を実施し、適切な補強工事を行うことをおすすめします。
耐震診断の費用は診断の方法や精度によって異なりますが、木造住宅の一般診断の場合は10〜30万円、精密診断の場合は60〜100万円が相場です。
面積によって費用に差が出る可能性もあるので、検討段階で一度リフォーム会社などに相談してみると良いでしょう。また、必要な工事を行ったうえで予算に余裕があれば、断熱施工もしておくことをおすすめします。賃貸物件として貸し出すのであれば、断熱性の高さが入居者を募集するときのアピールポイントになるでしょう。
初期費用を回収できる事業計画を立てる
空き家活用は空き家状態を解消することが目的ですが、とはいえ赤字になると活用を続けることはできません。最低でも初期費用を回収し、活用を続けられるだけの売上が必要です。
そのために重要なのが、リノベーション費用の把握と事業計画です。
冒頭でもお伝えしたように、空き家活用の初期投資額はリノベーションにかかる費用によって決まります。
まずはリノベーションにかかる費用を把握し、活用によってどのくらいの収入を得られ、何年で初期費用を回収できるのかをしっかりと考えてみてください。
初期費用や事業計画の相談は、不動産会社や管理会社、コンサルタント、商工会議所などに相談すると良いでしょう。
空き家活用でリノベーションするときに知っておくべきこと
空き家をリノベーションするときには、次のようにローンや補助金面の情報を知っておくことも大切です。
- 空き家活用ローンを利用できる可能性がある
- 補助金は居住用にしか使えないものが多い
- リノベーション費用は会社によって大きな差がある
費用に関わる大切な内容となりますので、しっかりと目を通してください。
空き家活用ローンを利用できる可能性がある
空き家のリノベーション費用は500〜2,000万円と大きな資金が必要になるケースも多く、資金繰りに悩む方も少なくありません。
そんなときにおすすめしたいのが、「空き家活用ローン」です。
活用を目的としたローンなので、居住のためのリノベーションでなくとも利用でき、上限500〜1,000万円(金融機関によって若干差がある)まで融資を受けられます。
扱っている金融機関は限られますが、審査に通れば自己資金が足りないときの助けとなるでしょう。
空き家は一般的な住宅と比べて担保価値が低いので、融資期間は10年前後とされている場合が多く、住宅ローンよりも金利が高い場合がほとんどです。
そのため、活用の売上でローンを返済できるのか、しっかりとした返済計画を立てる必要があります。
補助金は居住用にしか使えないものが多い
空き家対策として多くの自治体が補助金を支給していますが、そのほとんどが居住を目的とした制度のため、活用では利用できない可能性があります。活用でも支給が認められるケースもありますが、要件や支給額は自治体によってさまざまです。
補助金制度については、自治体の窓口またはウェブサイトで事前に確認しておきましょう。
リノベーション費用は会社によって大きな差がある
リノベーション費用には相場があるものの、基本工事費用を決める㎡単価は会社によってさまざまです。そのため全く同じ工事内容で依頼しても、会社によって費用に差が出ることは珍しくありません。
できるだけ費用を抑えるためには、複数社で相見積もりを取り、保証やアフターサービスなども比較検討したうえで正式な依頼先を決めましょう。
あまりにも安すぎる会社は、工事を外注先に丸投げしていたり、保証がなかったりする心配があるため、相場に沿った金額の業者で比較することをおすすめします。
空き家のリノベーション費用は内容で異なる!活用方法から見積もりを
空き家活用の初期費用はリノベーションにかかる費用によって、大きく変わります。自分が行う予定の活用方法だとどのような工事が必要で、どのくらいの費用がかかるのかを、本記事を参考に考えてみてください。
また、不動産会社によってはリノベーション会社と提携しており、優良業者を紹介してもらえることもあります。空き家の活用方法も含めて、まずは不動産会社に相談してみると良いでしょう。
SUMiTAS(スミタス)では空き家の状態や条件などから、お客さまに合う活用方法をアドバイスいたします。リノベーションに関する相談も承りますので、まずはご相談ください。