住宅ローンを返済中の家は、金融機関から抵当権が設定されているため、引き渡し時にローンを完済しなければ売却できません。
しかし、ローン残高があっても「どうしても売りたい」という場面もあると思います。そこで本記事では、住宅ローン中の家を売る方法や注意点などを、売却の理由別に説明します。売却をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
- 住宅ローン中の家は、完済が必須で、アンダー・オーバーローンによって対応が異なる。
- アンダーローンは問題なく売却可能だが、オーバーローンは自己資金で不足分を補填する必要がある。
- 売却理由により注意点が異なるため、専門知識を持つ担当者の助けが必要である。
目次
住宅ローン中の家を売る前に確認すべき内容
住宅ローン中の家を売却するときには、家の売却金よりも残高のほうが低い「アンダーローン」なのか、残高のほうが高い「オーバーローン」なのかによって、流れや対応が変わります。
そのため売却前にまず確認しておきたいのが、「住宅ローンの残高」と「家の価値」の2つです。
住宅ローン残高の確認方法
住宅ローン残高は、以下の方法で調べられます。
- 返済予定表
- 残高証明書
- ウェブサイト
返済予定表は住宅ローンの返済額、利息、借入金残高の3つが記載された書類です。変動金利ならば金利の見直しのタイミングで年2回、期間型の固定金利なら返済が始まったタイミングで届きます。残高証明書は、年末時点での住宅ローンの残高が記載された書類です。

本来なら10月中旬ごろに銀行などの金融機関から届きますが、売却時には現時点での残高が知りたいので、発行依頼をする必要があります。
そしてウェブサイトは、住宅ローンの契約者専用のページです。インターネット上で残高や返済予定などを調べられるので、この方法がもっとも簡単かつ確実です。
家の査定額を正確に把握する方法
次に調べるのが、家の価値である「査定額」です。不動産売買を得意とする不動産の訪問査定を受けて、“3か月以内に売れるであろう価格”を確認しておきましょう。
検討段階ならば簡易査定でも構いませんが、わかるのは“おおよその売却価格”なので、できれば訪問査定を受けることをおすすめします。
SUMiTAS(スミタス)が提供する「簡単10秒査定」は、物件情報を入力するだけで、すぐに査定結果がわかります。売却が検討段階の方は、ぜひご活用ください。
ローンの返済に充てられる手元資金
住宅ローンの残高と査定額を調べた結果、残高が売却金を上回る「オーバーローン」になりそうだとわかったときには、ローンの返済に充てられる手元資金を確認しましょう。
ローンを返済中の家には抵当権が設定されているため、引き渡し時にローンを完済し、抵当権を抹消する必要があるからです。

たとえば残高が3,000万円、売却価格が2,500万円なら、自己資金から500万円を用意する計算になります。不足分をシミュレーションし、手元資金で完済できるのかを確認してみてください。
アンダーローンの家を売る方法
家の売却金よりもローン残高のほうが低い「アンダーローン」のときには、引き渡し時に売却金でローンを完済し、抵当権を抹消すれば売却は完了です。
仲介手数料や引っ越し費用などの売却にかかる諸費用を除いて、自己資金が出ていくことはありません。ローン返済中であっても、問題なく売却できるでしょう。
オーバーローンの家を売る方法
家の売却金よりもローン残高のほうが高い「オーバーローン」の売却は、前述のように、売却時に完済の不足分を自己資金から補填しなくてはなりません。
自己資金でまかなえる金額ならば良いですが、預貯金が全くない場合や、数百〜数千と大きな額が必要になる場合には、資金の調達方法を考えなくてはなりません。
どのような方法があるのかについては、次章で詳しく説明します。
住宅ローンを完済する方法
家の売却金で住宅ローンを完済できず、自己資金での補填も難しいときには、次の2つの方法を検討しましょう。
- 住み替えローンを活用する
- 任意売却する
それぞれどのような方法なのかを説明します。
住み替えローンを利用する
1つ目が、「住み替えローン」の利用です。
文字通り住み替え専用のローンなので、今の家を売却して新居を買う場合には利用できる可能性があります。住み替えローンなら、住み替えにかかる資金を借り入れできるので、ローン完済の不足分を補えるでしょう。
たとえば不足分が500万円、新居の購入資金が3,000万円なら、3,500万円を借り入れるイメージです。

ただし住み替えローンはオーバーローンが前提のため、一般的な住宅ローンと比べて審査や借入条件が厳しくなる傾向があります。必ずしも利用できるとは限らないので、審査に落ちてしまったときの対処法も考えておきましょう。
任意売却する
2つ目が「任意売却」です。任意売却は、金融機関からの許可を得て、抵当権が設定されたままの家を売る方法です。
しかし、任意売却を認めてもらうのは容易ではありません。住宅ローンの滞納だったり配偶者との死別、介護だったりと、やむを得ない理由がない限りは難しいのが現実です。多くの場合は返済額や期間の調整、猶予期間の設定など、売却しない方向で提案されるでしょう。
住宅ローン中の家を売るときの理由別の注意点
住宅ローンを返済中の家を売るときの理由として多いのが、「住み替え」と「離婚」の2つです。それぞれ売却の注意点が異なりますので、ここで確認しておきましょう。
住み替え時に考慮すべきローン処理の注意点
住み替えでローンが残っている家を売る方法には、家を先に売る「売り先行」と、先に新居を買う「買い先行」があります。
アンダーローンならばどちらの方法も選択できますが、住み替えローンを利用する場合は、売却と購入を同時に進めなくてはなりません。なぜなら住み替えローンの融資は1度のみで、その際に“売却での不足分”と“新居の費用”を決済する必要があるからです。
決済日を調整する方法には、購入したい新居をキープしてもらう「住み替え(買い替え)特約」もありますが、承諾する売主は多くありません。
売買のタイミングを合わせるには、担当者のスケジュール調整力と交渉力が試されます。
離婚時における家の売却とローン整理の注意点
離婚が理由で家を売るときには、家が“財産分与の対象”である点に注意しなくてはなりません。売却益が出たときには利益を夫婦で公平に分配しますが、住宅ローンの残高については、返済義務が続くのは契約者のみだからです。
財産分与に“考慮”はされても、返済義務を負わせることはできません。たとえば夫の単独名義の住宅ローンがオーバーローンのとき、不足分が500万円だと仮定して考えてみましょう。
財産分与を考慮するなら「夫婦で250万円ずつ出し合おう」となるはずですが、夫が妻に資金の用意を強制することはできません。
妻が無理だと言えば、夫だけで返済することになります。このように、離婚でオーバーローンの家を売るのなら、住宅ローンだけではなく財産分与についても考えなくてはなりません。
円滑に売却を進めるためには、離婚が理由の売却に詳しい担当者を探しましょう。
住宅ローン中の家を売るときには、まずはローン残高と査定額の確認を!

住宅ローンを返済中の家でも売却は可能ですが、引き渡し時にローンを完済させるのが必須条件です。もしローン残高が売却金を上回る「オーバーローン」なら、不足分の補填方法を考えてから売却しなくてはなりません。
まずはローン残高と家の査定額を調べて、アンダーローンとオーバーローンのどちらになるのかを調べましょう。
また、売却時の注意点は売却理由によっても異なります。売却をスムーズに進めるためにも、住み替えならば住み替えの対応実績が豊富な担当者を探し、離婚なら離婚による売却に詳しい担当者を探すと良いでしょう。
SUMiTAS(スミタス)はさまざまな経験を持つ営業マンが多数在籍しており、お客さまの売却にしっかりと対応できる者が担当者になります。
ローン中の家の売却をお考えの方は、まずはお話をお聞かせください。